シナリオのアイディア ◇

ベーシックの冒険

ドワーフの隊商 ◇

ダランガリア山脈、ブリスディーンやその近辺に住まうノーシャドワーフたちは、
毎年寒気の厳しい冬になると(ナイニーアの冬の寒さは、
他国のそれとは比べものになりません。寒さを押して鉱山で働くなど、
彼らノーシャドワーフはともかく労働奴隷の男たちには考えられないことです)
住処の洞窟に籠もって細工物を作ります。
そして、それを春になると山を下りて商隊を組み、
港街はリルンガップへ売りさばきに行きます。
そんな彼らは、別にちょっとした山賊やモンスターなど、
自分たちの斧の1振りで撃退できるであろう筈なのに、
わざわさ冒険者を護衛に雇います。
しかも、相手は排他性で悪名高いあのノーシャドワーフたち。
あるいは彼らは、食い詰めた冒険者たちに仕事を与えてあげているのでしょうか?
しかし、あのノーシャドワーフたちが何故?

低レベルの冒険者たちなら単なる護衛の冒険に、
少し高いレベル(高くなくてもいいですが)なら何故彼らが人間を雇うのか、
その秘密を探るシナリオに仕立てられます。


怪盗現る! ◇

最近、夜の首都ラナルハイムを駆け巡り、世間を騒がせる者がいます。
その名は、ショパンIII 世!
ショパンIII 世は、200 年以上も昔に世界中を騒がせた大泥棒、
アルコール・ショパンの孫を自称しています。
真偽の程は定かでありませんが、彼がかの大泥棒、
ショパンを彷彿とさせるだけの敏腕盗賊であることは疑いようのない事実です。
ショパンIII 世の手によって起こった窃盗の被害総額は、
すでに10 万GP を越えると言われています。
彼が首都からナイニーアの富の集積地、港街リルンガップに移動してしまったら、
一体被害額が幾らにまで跳ね上がるのでしょう?
想像するだに恐ろしい事態です。資産家にとっては!

ショパンIII 世は、盗みを働く前に、
必ず目的となる物の所有者に予告状を送りつけるというキザな行動を取ります。
ショパンの腕前を思えば、予告状を受け取った商人や資産家は多少高い金を払ってでも、
お役所仕事の兵士より手練の冒険者を雇うに違いありません…



エキスパートの冒険

奴隷売買商会 ◇

ナイニーアは、ユリニア西部では数少ない、奴隷を認知している国家です。
建国当時よりは随分良くなったとはいえ、差別の激しい国であることには変わりありません。
従って、シナリオタイトルのような名の商会も、堂々と存在しています。

このシナリオでは、ある日、他国から100 万GP 以上で売買されて連れて来られたと言われる、
亡国の貴族と噂されている見目麗しき婦人が、
豪奢な檻に入れられて奴隷商会館に連行されてくるところから始まります。
PC たちは、その連行されている貴婦人を、鉄格子越しに天下の往来で見かけることになります。
ナイニーア出身者なら平然としていてもいられましょうが、
他国の生まれのPC は少なからずショックを受ける、
我が目を疑うような光景です(DM はそのことをナイニーア人以外のPC に説明してください)。

それから数日間、酒場などでは奴隷館の高貴な捕らわれ人の話題で盛り上がります。
しかしある日、その話題が次のような内容に取って代わります;

「奴隷館の貴婦人が、いずこかへ逃走。これを捜索して捕らえ、
奴隷売買商会に連行してきた者には莫大な金貨を授ける」

(具体的な金貨の枚数は、DM が決定してください)

このシナリオは、パーティの現状によって様々な使い方ができます。
DM が、パーティを他国へ移動させたいと思った場合などは、貴婦人がそちらに逃げた、
あるいは保護した貴婦人がそちらに逃げたがっているとさせられますし、
またダンジョンアタックをしたいなら貴婦人が何者か(邪悪な魔術師が研究材料に、とか、
エントロピィのイモータルへの生け贄として僧侶たちが、などがオーソドックなところです)
にダンジョン内に連れ去られるか、
または貴婦人が自分でダンジョンの中に逃げたことにしてもいいでしょう:
貴婦人がモンスターや悪人などに殺される前に捕らえねばならないので、
タイムアタック的な遊び方ができるでしょう。
軍事的なキャンペーンの最中ならば、
その貴婦人が政治的に意味のある立場にすればつながりを作れるかも知れません。
パーティをナイニーアのアッパークラスにアピールさせるための素材にもなり得ます:
連れ戻したなら好意を、逃がしたのならば敵意を持って。

奴隷という階級が存在する、この国ならではのシナリオです。
DM が現在展開しているキャンペーンに、うまく適合して使ってみてください。


君子様のお見合い話 ◇

ナイニーアの南、フレイアード王国には、
御年27 歳の君子ウィレムに相応しい、妙齢の王女が二人もいます。
今後もナイニーアがフレイアードとの同盟を考えていくなら、
君主エドワードは君子ウィレムとその二人の王女のどちらか(あるいは両方)
と見合い話を画策するかも知れません。
ですが、王宮にはひとつの噂が流れています。
曰く、君子エリックはお忍びで街に出られた時、一人の街娘を見初めてしまい、
君子はとても今、見合いする気になどなれない、と…

PC たちが王の信任を受けるような、偉業を成し遂げたか高いレベルになっていたなら、
事の真偽を探らせるクエストが与えられるかも知れません。
反対に、君子ウィレムから事の真偽の真相を語られ、
君子自身の考えに協力を要請されることもあるかも知れません…


ブリスディーンの乱 ◇

ブリスディーンという街があります。
鉱山の街で、その鉱石はナイニーアの軍隊の装備を支える貴重なものです。
ですが、そこに住んで鉱石を掘り出す仕事に従事しているのは、
国の法律によって合法的に国によって虐げられた絶望と憎悪とで心の中を満たす者たちです。
中には犯罪を犯して奴隷に落ちた自業自得の者もいますが、
親が奴隷だから、生まれた自分も奴隷、という者の方が圧倒的に多いのです。
そして彼らへの衛生管理等の労働条件は、年々悪化の一途を辿っています。
他国(ロガール)との戦争が政策に組み込まれている時点で、
やはり国のどこかに歪みはきてしまうものなのです。

彼ら重労働に従事する者たちは、自分たちの働きによって掘り出した鉱石を武器にして消費し、
それに倍する鉱石をもっと掘り出せと命じてくる有力者たちを、
どのような目で見ているでしょうか。
明日に希望なく、いつ死ぬとも知れないとなっても、人は柔順でいられるでしょうか…

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