民法あれこれ図解編 
債権・債務の発生
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1 債権の種類

 債権は民法399条の「債権の目的」から始まりますが、この条文は「債権は、金銭に見積もることができないものであっても、その目的とすることができる」と謎めいた内容です。その次の400条は特定物の引渡しは善良なる管理者の注意をもって保存しなければならないと、いわゆる「善管注意義務」を定めています。
 債権の定義は、特定物債権(400条)、種類債権(401条)、金銭債権(402条)、選択債権(406条)で、それをまとめたものはありません。
 条文からは、特定物債権・種類債権・金銭債権は物を目的とし、選択債権が給付を目的とすることはつかめますがもやもやとして戸惑うばかりです。

 債権や債務あるいは給付については民法用語(3)で確かめてください。
 ともあれ、解説書の債権の種類は、特定物債権種類債権金銭債権選択債権任意債権(条文不明)の5つに区分されています。

 債権編の不思議さは、物の引渡しや給付(サービス)の提供に対する弁済(支払い)に触れずに、債務不履行へ進むことです。
 その前の債権の目的にも利息を潜ませ、債務者が約束を守らないことを前提に数々のペナルティを並べます。
 だから、部外者から見ると債権編は不信感を解消するための条文だけしかないような債権者本位の構造に映り、対等な私人間の行為はどこにいったんだと右往左往する始末です。

2 債権・債務の流れ

 債権編には大きな流れが2つあります。
 ひとつは、債権者と債務者が正常に権利と義務を果たす(履行する)流れです。
 もうひとつが、債務不履行や不法行為などによる契約解除や損害賠償を伴うアブノーマルな流れです。
 条文を眺めているだけではわからないことばかり登場する債権編はどの流れに沿っているかを確かめる必要があります。

 そのためには、債権・債務は次の条件が確定する必要があります。
  @渡す物の数量や質が特定できること。
  A提供する給付の内容が明確であること。
  B渡したり提供する期限が定められていること
 以上を当事者が合意しなければ、履行も不履行も成り立ち得ません。
 最初に持ち出した民法399条により債権は金銭に見積もることを要しませんので金銭評価を要件としません。

 ここでは触れませんが、用語集のほかに「期間と期限」で利息、「典型担保と典型契約」で契約、「責任と義務」で債務と責任の違いに触れていますので参考にしてください。
 ちなみに、民法では利息を付けるか否かは任意です。私人間の取引では贈与や使用貸借のように無償で行う契約もあります。
 物や金の貸し借りに利息や使用料が出てくるのは営利活動を扱う商法や会社法の世界で、民法とは別の世界です。
 ただし、金銭債務の特則(419条)だけは知っておいてください。
 債務不履行の場合ですが、損害賠償については@「債権者は損害の証明をすることは要しない」とあり、A「不可抗力をもって抗弁とすることができない」ことです。
 あっさり書いてあって読み流しますが、債権者は証明の負担が軽減され、債務者は弁明の理由を失う馬鹿にできない内容です。


3 債権の発生原因

 ここで債権編のあらましの図解を思い出してください。債権編は、契約事務管理不当利得不法行為の4つに区分されます。
 民法の解説書は契約と契約以外に分けて説明を続けます。これは、事務管理・不当利得・不法行為が契約から生じるものではないからです。
 互いの合意を基とする契約以外のものが債権編に含まれるかといえば、債権債務は人と人のかかわりに生ずる財産権を扱うからです。
 財産権のうち人と物のかかわりは物権で扱いますが、人と人のかかわりを扱う債権は合意だけで律せられない幅広いジャンルです。
 債権の特色は@当事者の片方が相手に一定の行為を請求すること、A相手の行為があってはじめて実現すること、B同じ人に同じ内容の契約ができること(排他性がないので二重契約も多重契約も成り立ちます)、C権利を主張できるのは原則的に当事者間に限られること、D債権者は平等に扱われること(優先権を除く)です。
 このほかにも物権と債権の違いは説明されますが債権は相手に依存する要素が多い分、攪乱的な要素が増すわけです。
 ちなみに、債権が有効に成立するための条件は次のものとされます。
  @債務者のなすべき行為が適法であること
  A債務者のなすべき行為が可能なこと
  B債務者のなすべき行為が確定していること
 上記の2であげた、特定できること、内容が明確であること、期限が定められていることとズレがあります。
 期限については未確定や不確実なものを含むのが債権です。それが確定して不履行になります。
 また、上記@のように適法性に限ると契約の不履行、不当利得、不法行為は除かれるので無理があります。
 そこで、債権編の債権・債務の発生原因には不法行為も含めて考える必要があります。
 あらましを並べれば次のとおりです。
 (1)契約に基づく債権・債務  民法が定める13の契約のほかに、契約自由の原則によりその他多数の契約が存在し、債権・債務が発生します。
 (2)事務管理による債権・債務 義務なく他人のために事務を管理することで発生する債権・債務が発生します。
 (3)不法利得による債権・債務 法律上の原因がないのに利益を得た人に利得の返還を求める債権・債務が発生します。
 (4)不法行為による債権・債務 故意または過失により他人に与えた場合には損害賠償にかかわる債権・債務が発生します。
 なお、「権利義務の成立た第三者への対抗」や「他人にまかせるときの法律関係」も参考にしてください。

角丸四角形: 債権・債務の発生
角丸四角形: 数 量
角丸四角形: 期 限 角丸四角形: 内 容

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 











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