10 期間と期限(きかんときげん)
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●期間(きかん)と期限(きげん) 条件・期限と期間計算は別に触れています。
ある一定の時間を区切ったものが「期間」です。始まりを「始期」、終了を「終期」といいます。
民法の始期は、日・週・月または年によって期間を定めたときは初日を含めません(初日不算入の原則)。
ただし、その期間が0時で始まるときや時間をもって期間を定めたときは初日を含めます。
法律行為には期限がつけられます。金融機関から融資を受ければ返済期限がつけられますし、死亡を条件とした贈与契約もあります。
期限は期間の「終了日」です(「期間の末日」や「満了日」ともいいます)。
期間が絡むのので思いつくのが時効です。一定期間の占有が継続することによって権利を得る「取得時効」と一定期間の権利行使が行われなかったことによって権利を失う「消滅時効」があります。そして、時効の進行を停止したり中断する手続もあります。これらはすでに「停止と中断」で触れたので省略します。
また、期間や期限がついたものには、その期間内に返済等を済ませた人と済ませなかった(事情により済ませられなかった)人で取り扱いが異なります。
昨年の東日本震災のような本人の責任を問えない災害は各種の救済・支援措置が行われていますが、本人の懈怠(けたい・怠慢)の場合には利息の他に遅延損害金・違約金などが請求されます。
ここで忘れてはならないのは「期限の利益」です。
期限の利益というのは債務者の保護で決められたものです。
債務を返済するのは返済期限まで行えということで、債権者は破産等の特殊事情がないかぎり一括返済を求めることはできません。
ただし、債務者の一括早期返済は、債権者の利息請求権を侵害するので「期限の利益」とはいわないようです。
金融機関は、お金を貸して利息を得る利益を失うからです。
また、利息は有償・無償で決めることができます(契約自由の原則)。有償であっても利率が定められていない場合に民法の規定を使います。
経済社会では期限経過後には、利息のほかに損害遅延金(通常の金利より高い)が請求されます。
期限を守る人と守らない人(事情により守れなかった人)には、期限を境に、余計な出費や法的制裁が伴うことを忘れてはならないでしょう。
ここで余段になりますが、年金の解説書を眺めると支給表に「生年月日が昭和●●年4月2日〜昭和●●年4月1日」となっています。
4月1日生まれの方は支給開始年齢が1年早くなっています。これは、「年齢計算ニ関スル法律」により満年齢の誕生日が3月31日になるからです。
わずか1日の違いで支給される(もらえる)時期が異なるのに驚かされました。
このほかにも特定の期間(所得税は1月1日〜12月31日)や特定の日(住民税や固定資産税は1月1日現在)を定めていますのでよく読んでおきましょう。
申請書類にしても期間や期限が事細かく決められていて、間に合わなかったばかりに軽減が受けられない場合もあります。
期間や期限をバカにしていると思わぬ出費やどんでん返しがあるものです。
【補足】 利息と遅延損害金
今まで民法の総則に沿って説明してきましたが利息は債権編の総則「金銭債権」に登場します。
そこで関連する条文をあげておきます。
(1)民法にある規定
●金銭債権(402条)
●法定利率(404条) :年5分
●利息の元本への組み入れ(405条) :利息の支払いが1年分以上延滞した場合は
●履行期と履行遅滞(412条)
●債務不履行による損害賠償(415条)
●金銭債務の特則(419条) :約定利率が法定利率を超えるときは約定利率
●賠償額の予定(420条) :違約金は賠償額の予定と推定する
(2)利息制限法
●利息の最高限(第1条) :金銭を目的とする消費貸借上の利息は、元本10万円未満・年2割、元本10万円以上100万円未満・年1割8分、元本100万円以上・年1割5分まで
●賠償予定の制限(第4条) :制限税率の上限の1.46倍
(3)出資法
貸金業者 20%
借金に慣れていない方が誤りやすいのは複利の怖さです。元本に年利を単純にかけたものではありません。
複利の計算式を数式で示せば、 元本×(1+年利)n乗 :nは年数です。
たとえば、年利4%で100万円を10年借りると利息は148万円になります。
単利なら、100万円×4%×10年で40万円ですから100万円以上の差があります。
中学レベルの数学解説書に必ず掲載されていますからご自分で計算してみてください。
マイクロソフト社のホームページで金利返済シュミレーションもありますので借入にあたってご利用をおすすめします。
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