入浴目的あれこれ

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温泉の利用は入浴に限らない。浴びる、かける、蒸す、擦り込む、塗る、飲むなど多様だ。それを忘れて入浴だけを論じるのは不毛だろう。また、入浴をどうとらえるかで風呂の利用法も異なる。日常生活、憩い、治療などの目的によっても違うだろう。含有物の効能などによって湯かげん(温度)、浸かる時間、入り方に注意事項が生まれるはずである。そこで、利用目的に応じた入浴法を考えてみよう。

1 身を清める

 日常生活との結びつきでいえば第一が「汚れ落とし」だろう。汗を流し、体を清潔にして身を清めることだろう。それは入浴に限らず水浴びやシャワーで足りる。神事に「禊」(みそぎ)というものがある。川や滝で身体を清めることだが入浴にも似た面がある。

2 疲れを癒す

 これも日常生活とかかわる入浴である。風呂に浸かってゆったりした気分にひたることでもある。汗を流してさっぱりするだけでなく、たまった疲れをほぐして翌日に持ち越さない効果もある。これも程度を越せばのぼせたり、疲れを増すことも忘れてはなるまい。わたしは入浴したばかりに海水浴やゴルフの帰りに足がつって運転に冷汗をかいだ苦い想い出もある。

3 憩いや安らぎ

 これは2と似ているが保養の面がいっそう強い。入浴するか否かは個人の好みでことなるだろう。ぬるい風呂に入る、熱い風呂に入る、蒸し風呂に入る、それらをどう組み合わせるかは各人が選択することだ。入浴の合間を楽しむか入浴後を楽しむかも忘れてはならないことだろう。昔のヘルスセンターや今のレジャー施設はそういう側面でなりたっているはずである。

4 美容

 温泉には肌をすべすべさせる効果がある。最近はマイナスイオンやアルカリ効果というものがやけにもてはやされる。先日はワインをふんだんに使った入浴美容法が紹介されていた。最近は美容の効果をうたう日帰り温泉も多い。ちなみに、日本三美人の湯というものがあるそうだ。川中温泉(群馬県)、龍神温泉(和歌山県)、湯の川温泉(島根県)という。いずれも弱アルカリ性で、ナトリウムイオン、カルシュウムイオンを含むそうだ(飯島祐一著『温泉で健康になる』p24、岩波アクティブ新書22、2002年)。

5 健康・治療

 温泉のガイドブックは入浴の楽しみのほかに憩いや安らぎのほかに「健康」を取り上げるパターンが多い。効能を並べあげて入浴を美化するのも健康病ヒステリーの反映だろうか。でも、度を越せば不健康になるのは酒やタバコも同じだろう。確かに温泉は病気の治療にも使われているがそれは医師やアドバイザーの指導の下に行なわれるものだろう。これは(3)にあげた参考文献を読んでください。

【補記】

 銭湯から始まったわたしには家風呂(以下は「内風呂」とします)で育った家族と異なる違和感が温泉めぐりに伴います。説教を並べて嫌われるのもシャクですが、「
もう少しまわりの利用者に気をつかえ」と言いたい。それを0章の04「入浴のお約束」にまとめましたので風呂好きと自任している方はぜひ目を通してください。独断だけでは申し訳ないので他人が書いた「浴場の利用における一般的な共通の利用事項(抜粋)」や「お風呂の20カ条」もあわせて掲載しました。出典も明記しましたのでお確かめください。
  

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