山下雅司さんが作っておられる小学校高学年向けの俳句入門のプリントです。
今年(22年)も年間計画に基づいて楽しく学んでいきましょう。

第1回〜第12回  第13回〜第24回  第25回〜第30回 
平成19年度(第31回〜第42回)平成20年度(第43回〜第54回)平成21年度(第55回〜第66回)もどうぞ読んでみてくださいね。




あすなろ俳句教室 (第67回) 2010.4月

4月:俳句はあいさつ
 新学年、おめでとうございます。しっかりと勉強して、学校生活を送りましょう。
 次の俳句は2010年カレンダーの中の作品です。
 「一年生小さな背中にランドセル 中川あかね」
 一年生がランドセルを背負って、元気よく通学するようすが見えてきます。一年生の「小さな背中に」という表現に五年生のやさしさがあふれています。一年生を思いやる気持ちです。一年生はお姉さんに感謝の俳句ができたかもしれません。
 お友だちをたずねたり、旅先の出会いには感動がいっぱいです。その感動は、その土地へのあいさつとなります。次の俳句をみてください。
 「堂々のナポレオン岩秋の声 瀬戸清子」
 下甑島のシンボル、ナポレオン岩ですね。「秋の声」は秋を感じる風や雨の音。島の出身者として、とてもうれしくなりました。
 俳句は春夏秋冬の季節のことばを使って作る感動の結晶です。同じ場所を何度となく訪ねても、その季節によって違う俳句が生まれます。自然に感謝して、これから一年間、みなさんと心豊かな俳句を作りましょう。

さて、次の俳句はだれの作品でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
俳句:「あかるさにみちうすれゆくめぶきやま」
作者:@かわさきてんこうAのむらとしろうBいしかわけいろうCうえだごせんごく

※解答のヒント…「山、吹、芽、径、明」の漢字が作品に使われています。

原句には漢字が混じっています。知っている人は書いてみましょう。
俳句:「    」
作者:(    )


ではさっそく4月の俳句を作ってみましょう。毎日作っている人も、もう一句。
俳句:「             」
作者:(    )

次回は「俳句のかたち」について勉強しましょう。

あすなろ季語集:
春光(しゅんこう)…春の日の明るく柔らかな光です。すべての生きものは暖かな日差しにほっとしています。【天文】
遠足(えんそく)…野山などに先生といっしょに出かけます。お弁当が楽しみです。思い出の1ページです。【生活】

《あすなろ俳句鑑賞》
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

永き日のにはとり柵を越えにけり 芝不器男

答はこちらからどうぞ!

あすなろ俳句教室 (第68回) 2010.5月

5月:俳句のかたち
 俳句は5・7・5のことばの組み立てが基本です。みなさんは、すでによく知っているかと思いますが、指で数えてみましょう。

 同じ17音の俳句でも7・5・5や8・9などと組み立てのちがう俳句もあります。また、17音にならない俳句もありますが、基本は17音による5・7・5のリズムです。日本語の持つリズムが5音、7音の繰り返しになっています。
@ 5・7・5/
A 5・7・/5
B 5・/7・5
 3つの形で俳句は成り立っています。A、Bも5・7、7・5でつながった形です。大事なことは5・/7・/5と切ってはいけません。  次の俳句で5音7音5音の形をたしかめてみましょう。

  「往診の道すがら見ししんきろう 平田清」(しんきろうの句碑より)

 「アマリリス風といっしょに歌ってる 西山小4年 大塚心」(2008年薩摩川内元気塾の俳句作品より)

 その時の感動が17音にしっかりとよみこまれていますね。俳句の形をくずさずに、俳句という詩を作りましょう。

さて、次の俳句はだれの作品でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
俳句:「すずめらもうみかけてとべふきながし」
作者:@いしだはきょうAみずはらしゅうおうしBまさおかしきCたかはまきょし

※解答のヒント…「吹、流、飛、雀、海」の漢字が作品に使われています。

原句には漢字が混じっています。知っている人は書いてみましょう。
俳句:「    」
作者:(    )


ではさっそく5月の俳句を作ってみましょう。毎日作っている人も、もう一句。
俳句:「             」
作者:(    )

次回は「俳句はきせつ」について勉強しましょう。

あすなろ季語集:
愛鳥週間(あいちょうしゅうかん)…5月10日からの一週間です。鳥類保護運動も開催されるバードウィーク。【行事】
吹流し(ふきながし)…こいのぼりといっしょに幟竿に取りつける紅白や五色の布です。【行事】

《あすなろ俳句鑑賞》
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

母の声しかと八十八夜かな 山下雅司 

答はこちらからどうぞ!

あすなろ俳句教室 (第69回) 2010.6月

6月:俳句はきせつ
 俳句は季節のことば(季語)が作品に入っています。梅雨(つゆ)というだけで、その季節感が理解できます。(あすなろ俳句教室65回「季語集」参照)
 次に挙げる俳句は、「ふるさと」を題にして作った作品です。

 初山河(はつさんが)…ふるさとの居間より仰ぐ初山河

 山桜(やまざくら)…山桜咲きはじめたる故郷かな

 新緑(しんりょく)…新緑のふるさとの山輝けり

 蝉(せみ)…ふるさとや目覚めて蝉の声ばかり

 野菊(のぎく)…甑野菊咲くふるさとの風の丘

 年用意(としようい)…ふるさとの今もかはらぬ年用意
 
 新年の景色、山桜の故郷、新緑の山、蝉の声、野菊の丘、正月準備。こうして並べると、俳句は季節が大きな役割を果たしていることがわかります。四季の移り変わりの中で生活しています。みなさんは、どんな俳句ができましたか。

さて、次の俳句はだれの作品でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
俳句:「いととんぼみずそそぎてもはかあつし」
作者:@きしだちぎょAなつめそうせきBあくたがわりゅうのすけCかどかわげんよし

※解答のヒント…「水、蜻、蛉、濯、糸、墓、熱」の漢字が使われています。

原句には漢字が混じっています。知っている人は書いてみましょう。
俳句:「    」
作者:(    )


ではさっそく6月の俳句を作ってみましょう。毎日作っている人も、もう一句。
俳句:「             」
作者:(    )

次回は「俳句はリズム」について勉強しましょう。

あすなろ季語集:
額の花(がくのはな)…あじさいの一種で、鞠状ではなく平らな花をつけます。額縁のようです。花は白から藍紫色になります。【植物】
木耳(きくらげ)…枯れた木に生えるきのこ。耳の形をしています。中華料理に入って美味しいですね。【植物】

《あすなろ俳句鑑賞》
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

山越えて笛借りにくる早苗月  能村登四郎 

答はこちらからどうぞ!

あすなろ俳句教室 (第70回) 2010.7月

7月:俳句はリズム
 俳句はリズムがとても大切です。俳句は5音+7音+5音=17音になっています。5音+7音=12音は息をつかずにできる長さだそうです。日本語は快いリズムをもっているのです。

 高野素十作品から1つとりあげてみます。

  甘草(かんぞう)の芽(め)のとびとびのひとならび

 甘草の芽で有名な俳句です。「とびとび」、「ひとならび」の同じ音の繰り返しがリズミカルです。俳句を作るうえでリズムが重要だとわかります。

 小学生の俳句から2つあげてみます。(俳句雑誌「湾」児童の部作品)

  @えだまめさんかわからじゃんぷとびだした (小学1年生)
  Aゆでたまごつるりとむける冬の朝 (小学3年生)

   同じ作者の俳句ですが、しっかりと自分のことばでえだまめさんのこと、ゆでたまごのことを表現しています。@…かわからじゃんぷA…つるりとむけるとリズムもいいですね。作者の気持ちまで想像できるようです。

 みなさんも俳句ができたら、声に出してみてください。リズムよくできていますか。

さて、次の俳句はだれの作品でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
俳句:「てんのおくほのかにくらしこしょさらす」
作者:@くろきそうがくAきもつきそほうBのみやまあすかCはしもとけいじ

※解答のヒント…「曝、古、暗、書、天、奥」の漢字が使われています。

原句には漢字が混じっています。知っている人は書いてみましょう。
俳句:「    」
作者:(    )


ではさっそく7月の俳句を作ってみましょう。毎日作っている人も、もう一句。
俳句:「             」
作者:(    )

次回は「俳句をつくる」について勉強しましょう。

あすなろ季語集:
虫干(むしぼし)…梅雨明け後、かびや害虫などを防ぐために陰干しをして風を入れる。生活の知恵です。【生活】
花火(はなび)…夏の季語。各地で花火大会も開催されます。仕掛花火は迫力があります。庭で線香花火もたのしみです。【生活】

《あすなろ俳句鑑賞》
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

昼寝覚む夢に片足かけしまま 緑川 美世子 

答はこちらからどうぞ!

あすなろ俳句教室 (第71回) 2010.8月

8月:俳句をつくる
 俳句の基本を学んだ後は俳句作りです。先日、磯の海岸で小学生の遠泳の練習風景に出会いました。遠泳は夏の季語。さっそく俳句にしました。

風に向かい遠泳の子ら練習す
南風に流されまいぞ遠泳子
黒点の列正しゆく遠泳子
親船とボート五隻や遠泳子
遠泳の子にがんばれと親の声
遠泳の列をみださぬ折り返し
遠泳子自信満々なる顔に

 遠泳の子どもの風景が絵画のように浮かんで来るでしょうか?俳句を作るのは、自然との出会いです。夏休みには、花や昆虫の観察や海水浴、お墓参りなど多くの俳句を作ってほしいと思います。みなさんの作品を楽しみにしています。
 「青の俳句」の締め切りは9月15日。次回は俳句大会の約束事にもふれたいと思います。

さて、次の俳句はだれの作品でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
俳句:「きりひとはひあたりながらおちにけり」
作者:@まさおかしきAたかはまきょしBいしだはきょうCまつもとたかし

※解答のヒント…「桐、葉、一、日、落、当」の漢字が使われています。

原句には漢字が混じっています。知っている人は書いてみましょう。
俳句:「    」
作者:(    )


ではさっそく8月の俳句を作ってみましょう。毎日作っている人も、もう一句。
俳句:「             」
作者:(    )

次回は「俳句をえらぶ」について勉強しましょう。

あすなろ季語集:
墓参(はかまいり)…お盆にご先祖の墓にもうでること。お墓を洗い、掃除をします。【行事】

踊(おどり)…お盆に行われる踊り。ふる里の夜はなつかしい友だちと踊りの輪でにぎわいます。【生活】

《あすなろ俳句鑑賞》
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

算術の少年しのび泣けり夏 西東三鬼  

答はこちらからどうぞ!

あすなろ俳句教室 (第72回) 2010.9月

9月:俳句をえらぶ
 俳句を選ぶことを選句と言います。作句と選句は車の両輪と言われています。それは俳句を作ることも、俳句を選ぶことも、どちらも大切だからです。
 自然観察して、発見した俳句には素直な感動があります。頭の中で考えたものとは違い、余分な言葉はなく季語の説明はありません。
 先日、合同句集に載せるための24句をこの十年間の作品から選びました。@絵画のように目に浮かぶ作品かA季節がしっかりと作品に表現されているかB声に出してみてリズムはどうか。など…
 最後に俳句大会に応募する場合の約束事です。文字は楷書で一字一字をていねいに書くことです。誤字がないように、いま一度確認しましましょう。

さて、次の俳句はだれの作品でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
俳句:「こにうつすふるさとなまりきぬかつぎ」
作者:@いしばしひでのAすずきまさじょBきくちつねこCしょうぶあや

※解答のヒント…「故、里、子、衣、被」の漢字が使われています。

原句には漢字が混じっています。知っている人は書いてみましょう。
俳句:「    」
作者:(    )


ではさっそく9月の俳句を作ってみましょう。毎日作っている人も、もう一句。
俳句:「             」
作者:(    )


あすなろ季語集:
秋桜(こすもす)…キク科の一年草で「あきざくら」とも使う。白や紅色があざやかに咲きほこる。可憐な花だが茎は風に強い。【植物】
月(つき)…月の秋、秋の月など歳時記にある。月だけで秋の季語。星月夜は月のない夜で満天の星の夜のこと。間違えないように。【天文】

《あすなろ俳句鑑賞》
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

子にみやげなき秋の夜の肩ぐるま 能村登四郎  

答はこちらからどうぞ!

あすなろ俳句教室 (第73回) 2010.10月

10月:人を詠(よ)む
 俳句はあいさつです。一期一会(いちごいちえ)、出会いの心を大事にしたい。そういう思いで作った俳句はたからものです。
 今年6月、お亡くなりになられた鶴田正義先生とご一緒した短歌の会。その時に作った俳句です。「薫風(くんぷう)や師もすこやかに歌の会」。 年に一度のにしき江全国大会はにぎやかなものでした。「いつまでもお元気でご指導ください」と心の中で念じました。あの日あの時の先生が走馬灯のように浮かびます。
 短歌雑誌「にしき江」本部ではいま、先生の追悼号が編集されています。新聞投稿のご縁で歌集までも作ることができました。「歌集 いのち」の先生の筆文字が心にしみる秋です。
 
さて、次の俳句はだれの作品でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
俳句:「あかあかとひはつれなくもあきのかぜ」
作者:@まつおばしょうAこばやしいっさBまさおかしきCいしだはきょう

※解答のヒント……「秋、日、風」の漢字が使われています。

原句には漢字が混じっています。知っている人は書いてみましょう。
俳句:「    」
作者:(    )


ではさっそく10月の俳句を作ってみましょう。毎日作っている人も、もう一句。
俳句:「             」
作者:(    )


あすなろ季語集:
秋風(あきかぜ)…身にしみる秋風です。「しゅうふう」とも読みます。秋の風、金風、素風も同じ。【天文】
草の実(くさのみ)…もろもろの秋草につく実のことです。黄色くなって風に吹かれてゆれています。【植物】

《あすなろ俳句鑑賞》
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

行く秋の噴煙空にほしいまま 篠原鳳作  

答はこちらからどうぞ!

あすなろ俳句教室 (第74回) 2010.11月

11月:二十四節気(にじゅうしせっき)
 11月7日は立冬です。いよいよ暦のうえでは冬となります。農家の人は季節の移り変わりを敏感にとらえて、農作業をしています。一年は12カ月ですが、さらに12に分けて1年を24つに分けたのが二十四節気です。

 春:りっしゅん(2月4日ごろ)、うすい(2月20日ごろ)、けいちつ(3月6日ごろ)、しゅんぶん(3月21日ごろ)、せいめい(4月5日ごろ)、こくう(4月21日ごろ)
 夏:りっか(5月6日ごろ)、しょうまん(5月21日ごろ)、ぼうしゅ(6月6日ごろ)、げし(6月21日ごろ)、しょうしょ(7月7日ごろ)、たいしょ(7月23日ごろ)
 秋:りっしゅう(8月8日ごろ)、しょしょ(8月23日ごろ)、はくろ(9月8日ごろ)、しゅうぶん(9月23日ごろ)、かんろ(10月8日ごろ)、そうこう(10月24日ごろ)
 冬:りっとう(11月7日ごろ)、しょうせつ(11月23日ごろ)、たいせつ(12月8日ごろ)、とうじ(12月22日ごろ)、しょうかん(1月5日ごろ)、だいかん(1月21日ごろ)

 日本の四季の移ろいは時候のあいさつにも出てきます。「暑さ寒さも彼岸まで」とよく聞きますね。

さて、次の俳句はだれの作品でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
俳句:「しぐれきやはやしにいればたびごころ」
作者:@まちしゅんそうAはしもとたかこBいしだはきょうCのざわせつこ

※解答のヒント……「忌、時、雨、林、入、旅」の漢字が使われています。

原句には漢字が混じっています。知っている人は書いてみましょう。
俳句:「    」
作者:(    )


ではさっそく11月の俳句を作ってみましょう。毎日作っている人も、もう一句。
俳句:「             」
作者:(    )


あすなろ季語集:
大根(だいこん)…一年中、大根は食べますが、しゅんは冬で冬の季語です。煮物にはかかせない野菜。大根漬けもおいしいですね【植物】
時雨(しぐれ)…初冬の降ってはすぐあがる雨のこと。朝時雨、夕時雨、小夜時雨。季節を入れて春時雨、秋時雨と使うとその季節の季語になります。【天文】

《あすなろ俳句鑑賞》
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

ゆでたまご口いつぱいに冬の旅 桂信子

答はこちらからどうぞ!

あすなろ俳句教室 (第75回) 2010.12月

12月:カレンダー
今年も1カ月です。みなさんは、どんな1年だったですか。小学校の手作りカレンダーをみて、いろいろと思い出してみましょう。
 学習発表会やお別れ歩こう会、入学式、野外すい飯、遠足、七夕の行事、夏まつり、運動会、シアノーノー、トシドンなどの絵に俳句がのっています。
 今年は運動会のあとに、小学校の創立130周年のお祝いもありましたね。校歌を作ったYさんのお話は、後輩のみなさんに元気をあたえてくれたと思います。俳句のお話もされましたか。
 さて、大晦日に下甑島の各集落で行われているトシドン。2010年のカレンダーに2句ありました。「トシドンはおもちをくれるようれしいな」「としどんがくる時間にはおびえてる」。 トシドンは今年もやってきます。しっかりと勉強して、お手伝いもして、トシドンさまとの約束をはたしておきましょう。
 

さて、次の俳句はだれの作品でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
俳句:「いそちどりあしをぬらしてあそびけり」
作者:@よさぶそんAまつおばしょうBこばやしいっさCまさおかしき

※解答のヒント……「磯、千鳥、足、遊、濡」の漢字が使われています。

原句には漢字が混じっています。知っている人は書いてみましょう。
俳句:「    」
作者:(    )


ではさっそく12月の俳句を作ってみましょう。毎日作っている人も、もう一句。
俳句:「             」
作者:(    )


あすなろ季語集:
懐手(ふところで)…寒い冬は、ついついふところに手を入れたくなります。人間の習性でしょうか。省略のきいた和服特有の季語です。【生活】

大年(おおとし)…大晦日のことです。大晦日は大つごもりと言います。大年とは感じ方が違いますね。同じことも言葉の選び方で違います。【時候】

《あすなろ俳句鑑賞》
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

歩む鶴ことりと畦を下りけり 橋本鶏二

答はこちらからどうぞ!

あすなろ俳句教室 (第76回) 2011.1月

1月:新年と日記
 あけましておめでとうございます。新しい年の始まりです。みなさんは、どんなお正月を迎えましたか。昨年の反省と今年の目標をしっかりと立てたことでしょう。
昨年の年賀状で、こんな俳句をもらいました。

「目標の成否は問は(わ)ず初日記 直鬼」

目標をたてることは何ごとにも大切です。初めから、なるかならないかを考えていてはどうにもなりません。まずは、目標をたてるのです。作者はそのことを今年初めて書く日記に、どんな目標をたてたのでしょうか。俳句に今年にかける意気込みを感じてなりません。
 年末年始の3日連続の大荒れ。甑島航路は全便欠航でした。台風でも3日の欠航はめったにはありません。自然は、どうすることもできません。

 今年も一年、俳句を通して自然を見つめてみましょう。みなさんの日記には365句の作品が生まれることでしょう。


さて、次の俳句はだれの作品でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
俳句:「いちがつのかわいちがつのたにのなか」
作者:@いしはらやつかAいしだはきょうBやまぐちせいしCいいだりゅうた

※解答のヒント…「一月、中、川、谷」の漢字が使われています。

原句には漢字が混じっています。知っている人は書いてみましょう。
俳句:「    」
作者:(    )


ではさっそく1月の俳句を作ってみましょう。毎日作っている人も、もう一句。
俳句:「             」
作者:(    )


あすなろ季語集:
初空(はつぞら)…元日の大空を言います。群鳶(むれとび)の舞なめらかに初御空(はつみそら) 富安風生。同じ「初」でも初桜、初午はそれぞれの初です。【天文】

破魔矢(はまや)…初詣の神社で、授与される白羽の矢。子どもの厄除けと親心が込められる。「抱きし子に持たせて長き破魔矢かな 松本たかし」。目に浮かびますね。【行事】


《あすなろ俳句鑑賞》
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

海鳴りは母のはげましお元日 山下雅司

答はこちらからどうぞ!

あすなろ俳句教室 (第77回) 2011.2月

2月:俳句と短歌
 俳句は5.7.5、短歌は5.7.5.7.7の形です。俳句は短歌よりも14音も少ないので作り方もちがいますが、感動は同じだと思います。
 次の短歌は15年前に初めて作ったものです。俳句でいう季語が2つも入っています。ある時、短歌の先生から「5.7.5で切って俳句でも成り立ちますね」と言われたことがありました。

   紅梅は今も昔も女のもの春立つ今日の玉くしげかも 雅司

 俳句にする場合は、短歌より14音短くしなければなりません。俳句は、ずばり言い切ることや省略をする部分が多くなるわけです。余韻を残すことになります。その意味では、やさしい言葉こそ思いの深さを表現できるかもしれません。
 いずれにしても、俳句は詩や短歌と同じように、17音の中で存分の思いを表現しなければなりません。それには季語の力が必要です。紅梅と言うだけで説明は要りません。立春と言えば、だれもが知っています。日本語の美しさを俳句で残しましょう。


さて、次の俳句はだれの作品でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
俳句:「おりおんのましたはるたつゆきのやど」
作者:@まえだふらAいしだはきょうBおおのりんかCくぼたまんたろう

※解答のヒント…「オリオン、下、真、立、春、宿、雪」のカタカナと漢字が使われています。

原句には漢字が混じっています。知っている人は書いてみましょう。
俳句:「    」
作者:(    )


ではさっそく2月の俳句を作ってみましょう。毎日作っている人も、もう一句。
俳句:「             」
作者:(    )


あすなろ季語集:
下萌(したもえ)…早春は芽吹き。草の芽が大地から萌え出ることです。草青む、草萌える、畦青む。さまざまな使い方が歳時記にあります。【植物】

風生忌(ふうせいき)…俳人・富安風生の亡くなられた2月22日です。昭和54年、93歳。俳句雑誌「若葉」を主宰されました。忌日俳句はご縁です。【行事】


《あすなろ俳句鑑賞》
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

ねこやなぎ我れは何処に尾を忘る 緑川美世子

答はこちらからどうぞ!

あすなろ俳句教室 (第78回) 2011.3月

3月:思い出の俳句
全校児童5人の西山小学校で、6年生のあかねさんが卒業式を迎えます。あすなろ俳句教室ではたくさんの俳句を作ってくれました。
 平成20年7月開催の『薩摩川内元気塾』では4年生でした。その俳句教室で次の作品が生まれています。生命力あふれる明るい俳句です。

「お日さまの光をあびて花がさく」

 自分のことばで、しっかりした俳句です。これからも自然を大事にする心を作品に残してください。「学習指導要領」の改定で、小学校は平成23年度から、中学校では平成24年度から新聞が学校で使われるようになります。新聞にも俳句教室が掲載されるかもしれません。そうなればうれしいですね。中学校でも俳句を作り続けてほしいと思います。健康に気をつけて頑張りましょう。

さて、次の俳句はだれの作品でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
俳句:「ままごとのめしのおさいもつくしかな」
作者:@ほしのたつこAほそみあやこBすぎたひさじょCなかむらていじょ

※解答のヒント…「土、筆、飯」の漢字が使われています。

原句には漢字が混じっています。知っている人は書いてみましょう。
俳句:「    」
作者:(    )


ではさっそく3月の俳句を作ってみましょう。毎日作っている人も、もう一句。
俳句:「             」
作者:(    )


あすなろ季語集:
水温む(みずぬるむ)…冬が過ぎて冷たかった水も日増しにぬるんできます。春の日差しで水面に明るさが戻ります。温む池や温む川などと用いれば特定されます。【地理】

試験(しけん)…大試験といえば、以前は卒業試験。学年、進級試験もあります。今は入学試験を指すことが多いようです。全力を尽くす受験生です。【生活】

《あすなろ俳句鑑賞》
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

すかんぽや治りはじめの傷痒し 棚山波朗

答はこちらからどうぞ!