山下雅司さんが作っておられる小学校高学年向けの俳句入門のプリントも2年目に入りました。
毎月ちょっとずつ俳句に慣れ親しんでくれたらすてきですね♪(連載中です)
第1回〜第12回と第25回〜もあわせてどうぞ。
動物の俳句は鳥のほかに、動物園でみる、きりん、ぞう、かば、鹿、たくさんあります。身近なところでは
猫や犬、牛や馬など。しかし、鳥のように大空を飛ぶことはできません。人も空想で魔法のほうきに乗っている夢をみることくらいはできますね。
今回は音に着目したいと思います。次の作品をみてください。
「初雁のまぎれなかりし夜の雨」 軽部烏頭子(かるべうとうし)
鳥の声、羽音と雨の音を俳句にした作品。耳をすましてみてください。
中7で〈まぎれなかりし〉と言い切っています。それは〈夜の雨〉でさらにしっとりとした感じ。
写真では表現できないものを俳句はみごとに文字で完成させています。
前回の〈鳥渡る〉も、音が巧みに響いてくる感じだったと思います。
目(視覚)や耳(音)、鼻(におい)や口(味覚)、研ぎすまされた感覚で俳句づくりにチャレンジしたいものです。
さて、次の俳句はだれが作った俳句でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
俳句「きつつきやおちばをいそぐまきのきぎ」
作者 @たかはまきょし Aみずはらしゅうおうし Bなつめそうせき Cまさおかしき
原句には漢字が混じっています。知っている人は書いてみましょう。
俳句「 」
作者( )
ではさっそく11月の俳句を作ってみましょう。毎日作っているひとも、もう一句。
俳句「 」
作者( )
次回も動物の俳句を少し勉強しましょう。
動物の俳句でよく使われる雀や鴉に「寒」をつけて冬の季語となります。みなさんの俳句ではどうでしょうか。寒鴉というと年中みかけるからすも
ちょっと違う気がしますね。11月は小春日和(こはるびより)といって春のようなぽかぽか陽気を言いますが、12月に入ると寒さが厳しくなってきます。
動物もその寒さに耐えてすごしているわけです。
学校の帰りに道ばたで猫や犬に会うことがあります。どんなようすですか。歌に「犬は庭かけ・・猫はこたつで・・」とありましたが、最近は犬もストーブの
そばで暖まっている情景もみかけます。そんな犬や猫の描写もたのしいと思います。
「第7回かわなべ青の俳句大会」の作品が新聞で発表されました。
その中の季語に「子がめ」「うぐいす」「赤とんぼ」「セミ」などが特選作品として挙がっています。植物や生活から多くの俳句がうまれました。来年に向けて
チャレンジしましょう。冬の動物をはじめ、冬の季語は少ないようです。荒波に耐えるナポレオン岩を先生にして毎日の俳句を作ってみてください。あすなろ俳句を
たのしみにしています。
さて、次の俳句はだれが作った俳句でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
俳句「かんすずめかおみしるまでしたしみぬ」
作者 @とみやすふうせい Aまえだふら Bなかむらくさたお Cまつもとたかし
原句には漢字が混じっています。知っている人は書いてみましょう。
俳句「 」
作者( )
ではさっそく12月の俳句を作ってみましょう。毎日作っているひとも、もう一句。
俳句「 」
作者( )
次回も動物の俳句を少し勉強しましょう。
干支(えと)をみなさんは知っていますね。ねずみ、うし、とら、うさぎ、たつ、へび、うま、ひつじ、さる、とり、いぬ、いのしし。
平成18年は戌(いぬ)年です。
出水平野に鶴の観察に行ったときの情景。田んぼのあぜ道にひしめきあっている鶴の群れに向かってトコトコと子犬が近づいて行きました。
大きな羽を拡げて独特の声で鳴いている鳥とエサでももらおうかと近づいて行く子犬を偶然にしてみることができました。
鶴があぜ道をあけてくれたと思いました。そこで作った俳句が、
「群れ鶴の道をあけたる子犬かな」です。俳句を始めて間もないころの作品も一生のたからものとなっています。
俳句は作る私と対象物があって成り立ちます。当然、私と言わないわけで感動が表現されればよいのです。おどろきも素直な感動のひとつ。その時の
作者の感情が同じ場面にであっても違う作品となってきます。同じような俳句ができたとしたら、あまり感動しなかったことなのでしょう。
自分のことばで生き生きとした俳句に今年もチャレンジしていきましょう。
さて、次の俳句はだれが作った俳句でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
俳句「こぞことし つらぬくぼうのごときもの」
作者 @たかはまきょし Aみずはらしゅうおうし Bいいだだこつ Cなつめそうせき
原句には漢字が混じっています。知っている人は書いてみましょう。
俳句「 」
作者( )
ではさっそく1月の俳句を作ってみましょう。毎日作っているひとも、もう一句。
俳句「 」
作者( )
次回は正月の俳句を少し勉強しましょう。
【俳句ミニ事典】
5/7/5と3段切れはさけること。短い17音の俳句には、@5・7・5の切れのない形が基本です。A5/7・5やB5・7/5などの形もあります。
上記の俳句はAの形ですね。3段切れは何を言いたいのか分かりませんので使わないことです。
正月と言えば、俳句の季語にはお年玉、年賀状、初日の出、去年今年(こぞことし)、書初(かきぞめ)、読始(よみはじめ)、初鴉(はつがらす)、
初稽古(はつげいこ)などがあります。
「初鴉」は元日に鳴くカラスの声、またはその姿をいうと歳時記に書いてあります。
「ばらばらに飛んで向うへ初鴉 高野素十」このような光景をみて素直に俳句にします。とても好きな俳句です。元日を作者はどんな思いで迎えたのでしょうか。
カラスが鳴いています。いつも見るカラスも見方で新鮮な感じです。島にはカラスよりもトンビが目につきますね。風に向かって飛んでいます。
正月2日、ふるさとの山にひとりで行きました。田んぼを作らないようになっている山は草ぼうぼうで、ツタが生い茂り、鎌で払いながらの山道でした。
小学校の卒業記念に植えたミカンが実っています。大きな木になっています。それこそ、カラスのエサになっているのですが、何個かとってきて父に食べてもらいました。
昔から正月2日は仕事始めの吉日といわれています。今年は何かよいことがありそうです。
さて、次の俳句はだれの作品でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
俳句「はるひとりやりなげてやりにあゆみよる」
作者 @のむらとしろう Aたかはしゅぎょう Bみずはらしゅうおうし Cいしだはきょう
原句には漢字が混じっています。知っている人は書いてみましょう。
俳句「 」
作者( )
ではさっそく2月の俳句を作ってみましょう。毎日作っているひとも、もう一句。
俳句「 」
作者( )
次回は水の俳句を少し勉強しましょう。
【俳句クイズ(1)】
私の
「北海道の旅」の旅吟のなかに秋の季節でない季語がふくまれています。さて、その俳句はどの作品でしょうか?
答:
※作者自注
バスガイドさんが( )のことについて紹介された。とても印象深く、ぜひとも俳句作品にしなければと思って季節は違うのに私流に残した。
季節を待って新聞に投稿しました。南国の自然を頭において、北国の季語を使った俳句ができたわけです。
季節は春。「春の水」の俳句をとりあげてみます。
与謝蕪村翁は「はるの水山なき国を流れけり」と俳句にしています。明るいイメージがふくらむ作品ですね。
春の水がみえてくるようなのどかさがどこかにあります。それほど、季語のもつ力に大きな比重があり、極端なことを言えば
季語こそいのちなのだと思います。時代をこえて、はるの水がよみがえります。蕪村さんのように、小学生のみなさんは純粋で
生き生きとした俳句をものにできるかもしれません。
さて、水は春夏秋冬とそれぞれの風情をもっています。では何がちがうと思いますか。水に触れると温度もちがうでしょう。
透明度もちがい、さらには感触も受ける人で異なります。また、水を比較の対象にする手法もあります。次の作品は時間の流れを
端的にとらえて夕空の情景を描いて季語の夕桜がみごとに表現されています。
「水よりも淡き夕空夕桜 野見山朱鳥(のみやまあすか)」
桜の季節がもうすぐやってきます。作品を思い出して実感してみてください。
さて、次の俳句はだれの作品でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
さて、次の俳句はだれの作品でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
俳句:「まさをなるそらよりしだれざくらかな」
作者:@ふくながこうじ Aまつおはしょう Bこばやしいっさ Cとみやすふうせい
原句には漢字が混じっています。知っている人は書いてみましょう。
俳句「 」
作者( )
ではさっそく3月の俳句を作ってみましょう。毎日作っているひとも、もう一句。
俳句「 」
作者( )
次回は桜の俳句について勉強しましょう。
【俳句クイズ(2)】
私の俳句で「あすなろ俳句教室」のなかに、説明的な俳句があります。
さて、それは次のどちらの作品でしょうか?すぐ見抜かれてしまいそうな俳句です。
@初山や鎌を片手のわがひとり A白梅や仁王片腕なりし門 答:
*言いたいことは理解できても、説明はよくありません。上五の「や」は切れ字です。
花と言えば桜。しかし万葉の昔は梅の花だったそうです。江戸時代の頃から花見は桜の花をさすようになったと聞いています。
木下藤吉郎こと、豊臣秀吉をみなさんは知っていますね。武士の出ではなく、百姓から身をおこして織田信長の足軽から天下をとった人です。
その秀吉はお母さんを醍醐の花見に連れて行った話があります。お母さんは何よりも喜ばれたにちがいありません。
梅が1ヶ月ほど咲くのに対して桜は1週間ほどで散りはじめます。いさぎよさとか、はかなさを桜の花には連想されられます。
今はソメイヨシノという桜が開花宣言の標準木となっていますが、ふるさとの山に咲く桜は山桜。素朴な感じですね。阿波野青畝(あわのせいほ)作品にこんな俳句があります。
「山又山山桜又山桜 青畝」。作者は漢字だけを使い俳句にしました。ふしぎな力ですね。
大きなやまなみや山桜が見えてきます。毎年、この季節には浮かんでくる名句です。
さて、次の俳句はだれの作品でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
俳句:「そらまめのはなのくろきめかずしれず」
作者:@なかむらくさたおAたかはまきょしBあわのせいほCみずはらしゅうおうし
原句には漢字が混じっています。知っている人は書いてみましょう。
俳句「 」
作者( )
ではさっそく4月の俳句を作ってみましょう。毎日作っているひとも、もう一句。
俳句「 」
作者( )
次回はあいさつの俳句について勉強しましょう。
【俳句クイズ(3)】
「 」に季語を入れましょう。@〜Dから選んでみてください。
「 」の風にふれあふ花壇(かだん)かな まさじ
@桃の花 Aパンジー Bもくれん C菜の花 Dたんぽぽ
俳句は存問と言って、お互いにあいさつを交わす意味があります。それは大変、大事なことですね。俳句であいさつができる?そう思っている人は案外少ないかもしれません。
心が通じ合うわけですから、みなさんもあいさつの俳句を作ってみてください。
次の作者は「あすなろ俳句教室」のバックナンバーをホームページに取り上げて掲載してもらっている真帆さんの俳句です。
「春泥(しゅんでい)の跳ねてはじめの一歩かな 真帆」江南文学50号掲載作品です。一句一章の例句で明るいイメージが、あいさつの句にぴったりと思います。
作者は「特定の方に対するあいさつということではなくて、その春に何かを始める誰かへのエールの気持ちを込めた。春泥を跳ね上げる、その躍動感には期待できそうな感じがしてならない。」と
言っておられます。「はじめの一歩」と「春泥」の取り合わせがすごいですね。最初は写生とばかりと思ったのでしたが、あいさつの思いが込められていたわけです。
春はあらたな生活が始まる季節で、新学期、進学、就職などさまざまです。
さて、次の俳句はだれの作品でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
俳句:「こにみせてひとのにわなるこいのぼり」
作者:@ふくながこうじAのむらとしろうBみずはらしゅうおうしCはやししょう
原句には漢字が混じっています。知っている人は書いてみましょう。
俳句「 」
作者( )
ではさっそく4月の俳句を作ってみましょう。毎日作っているひとも、もう一句。
俳句「 」
作者( )
次回は句会について勉強しましょう。
【俳句クイズ(4)】
A夏の季語と、B冬の季語は次のどれでしょうか。@〜Dから選んでみてください。
@しんきろう Aかのこゆり Bカンナ Cどんぐり Dこがらし
答:A・夏の季語( ) B・冬の季語( )
みなさんが作った俳句を出して、俳句の選をすることは経験がないかと思います。さて、今回は句会の方法を説明しておきます。
どんな作品が選ばれるか楽しみになってくるでしょう。句会に何句出して、何句を選ぶかはその句会で決めてあります。今回の場合は、
7句投句、5句選とします。とても勉強になります。では、句会を始めましょう!
@自分の未発表作品7句を短冊(たんざく)に1句ずつ書きます。(名前は書かない)
Aその短冊を混ぜて清記用紙に、今回は5句ずつみんなで手分けして書き写します。
B清記用紙に通し番号をつけていきます。(Aさんから順次時計回りで1、2、3、・・・と順番に大きな声で言いながら、自分の用紙にその番号を書いておきます。)
C次に時計回りと反対に清記用紙をまわして俳句を選びます。(この時点では何句でもOKです。選句用紙とは別の紙に、清記用紙の番号と一緒に書き出しておきましょう。)
このとき、自分の作品は選ばないことが決まりです。
D最後に選の中から5句選んで、選句用紙に各人で清書して提出します。(選者名を書きます。)
E集めた選句用紙を、披講(ひこう)者が読み上げます。自分の作品が読まれたら大きな声で名乗りましょう。
F最後に得点の集計でその句会の成績が決まります。
さて、次の俳句はだれの作品でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
俳句:「しまやくしょあとのはたけのあまりりす」
作者:@きよさきとしおAとみやすふうせいBたかのすじゅうCなかむらくさたお
原句には漢字が混じっています。知っている人は書いてみましょう。
俳句「 」
作者( )
ではさっそく6月の俳句を作ってみましょう。毎日作っているひとも、もう一句。
俳句「 」
作者( )
次回も句会について勉強しましょう。
【俳句クイズ(5)】
A春の季語と、B秋の季語は次のどれでしょうか。@〜Dから選んでみてください。
@すいか Aぶどう Bかき Cみかん Dさくらんぼ
答:A・春の季語( ) B・秋の季語( )
☆真帆からの「おまけ」☆
今回は句会の方法ということで、初めて聞く言葉もいくつかあったと思いますので、ちょっと説明を付け足しておきますね。
【短冊】
句会で使う短冊は、色紙のような厚紙や、笹飾りに結ぶような色紙ではありません。紙を縦長に細く切ったものです。
【清記用紙】
みんなで順番に見て選句する(句を選ぶ)ためのお清書です。句の作者が誰だかわからないようにするために、別の人が書き写すのです。
この紙を元にして句を選ぶので、読みやすい字で写し間違いのないように書くことが大切です。
今回の説明では清記用紙は5句並べて書くようになっていますが、ひとり7句出しているので、それと同じ7句を一枚にして清書することも多いかと思います。
【選句用紙】
この紙に、自分が選んだ5句を清書します。この紙は披講者が読み上げるので、これもまた大きな読みやすい字で書くのがエチケットです。
句の上に、清記用紙の番号を書き入れるように指示されることがあります。得点の集計をしやすくするためです。
【披講(ひこう)者】
みんなの選句用紙を朗読する係です。(場合によっては選句用紙に作者名をメモしてくださったりもします。)誰がどの句を選んだのか、また句の作者がだれなのかわかる、句会のクライマックスです。
【名乗り】
披講者の読み上げた句が自分の作品だったら、大きな声で、みんなに聞こえるように名前を名乗ります。
大体の場合は「まさじ」「真帆」といったように名前や俳号(ペンネーム)の「名」の部分だけを告げます。
ちょっと照れてしまったりして小さな声になりがちですが、選者や点盛りの方々だけではなく、ひょっとしたら5句には書き出さなかったけれど自分のメモに選んでくださっているかもしれない方達に、きちんと
お知らせするのがいいですね。
【点盛り】
最後に高得点句を発表して、みんなで鑑賞したりします。そのためには、どの句を何人が選んだのかを正確に数えていなければなりません。そのチェックをする係が点盛りです。参加者の多い句会では、出句(投句)数もかなりになりますから、
数人で清記用紙を分担して、作者名と選句者数を(正の字を書くなどして)記入していきます。
作業を文字で説明すると、なんだか面倒で難しい感じがしてしまいますが、会をスムーズに進めていくために、いくつかの役割分担と決まりごとがあるということなのです。
実際に参加してみるとドキドキワクワクの連続でとても楽しいですよ。迷ったら周りの人に聞いてみると、初対面の人とお話できるチャンスになるかもしれません♪
句会は作品を選ぶことだけではありません。自分が選んだ作品についてお話したり、人が選んだ作品の話を聞くことができる楽しみがあります。
俳句に感動してもらえた作者はこの上ない喜びにわくわくすることでしょう。それが先生の選であれば、なおさらです。
しかし、句会に出て、自分の俳句をだれもとってくれなかったと悲観しないことです。自分しかできない作品ですから大切にしてください。点数が
多い方が気分もよいと思いますが、今一度、少し考えてみる余裕が必要だと思います。俳句の内容はこれでよかったか。季語は?誤字はなかったか。さらに勉強。
選にもれた時ほど成長のもとだと思います。
素直な心であいさつができる人は俳句もうまくなります。多くのみんながアドバイスしてくれる句会でもあります。ひとりで頭で考えた俳句は感動がうすれます。
野外で俳句を作ることを「吟行(ぎんこう)」と言いますが、句会の当日に行われることが多いようです。新鮮な今日の出会いが俳句となります。自然はそんなみなさんを待っています。
次回は場所を選んで、俳句を作りに出かけてみましょう。夏休みです。
さて、次の俳句はだれが作った俳句でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
俳句「ひつぱれるいとまつすぐやかぶとむし」
作者 @ごとうやはん Aまえだふら Bなかむらくさたお Cたかのすじゅう
原句には漢字が混じっています。知っている人は書いてみましょう。
俳句「 」
作者( )
ではさっそく7月の俳句を作ってみましょう。毎日作っているひとも、もう一句。
俳句「 」
作者( )
次回は吟行について勉強しましょう。
<俳句クイズ>
次のなかに、同じ作者の俳句が2つあります。書道家で、かな文字に定評がありました。
@ 滝の上に水現れて落ちにけり A 立山のかぶさる町や水を打つ
B山の手に住む一生や金魚玉 C 芭蕉忌やさんさしぐれの筆を執る
D初蝶の熔岩(ラバ)につき当たりつき当たり
吟行は場所を選んで、俳句を作りに出かけることです。俳句は机の上でえんぴつを持って考えてもできません。
自然にふれて、ものを見つめて、作ります。夏休みには海や山に出かけて楽しい時間がいっぱいできると思います。小学生の思い出はいつまでも心に残ります。
子どもと月例会吟行に参加しました。小学5年生の夏休みのこと。俳句の先生に付いて夏の山を歩き、いろいろ教えてもらいました。セミが鳴いて照りつける暑さを今でも忘れません。
坂道のその向こうには入道雲が青い山並みからもくもくとわきあがっています。木陰に入ると涼しさを感じたのです。肌で感じることもまた、自然とのあいさつですね。子ども俳句はその年齢でしか作ることのできないものです。
ベテランの小浜さんに赤い句帳をもらった子どもは思いつくままの俳句を書いていたようです。当日、水一路先生が作られた俳句は子どもの誕生日に色紙にかいていただき、大切にしています。
吟行は純度の高いものと教えられました。同じ場所に何回行っても新たな発見があります。素直な心に自然が応えてくれるわけです。
夏休みに多くの俳句を作ってください。楽しみにしています。
さて、次の俳句はだれの作品でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
俳句:「あさがおやろじにひのさすこのじこく」
作者:@すずきまさじょAほそみあやこBかつらのぶこCなかむらていじょ
原句には漢字が混じっています。知っている人は書いてみましょう。
俳句:「 」
作者:( )
ではさっそく8月の俳句を作ってみましょう。毎日作っている人も、もう一句。
俳句:「 」
作者:( )
次回は投句の約束について勉強しましょう。
〈俳句クイズ〉
次の俳句はどの季節の作品ですか。( )に季節を入れてください。
@葛咲くやふるさと甑島めぐり( ) A海よりの雨のすだれの二日かな( ) B赤潮の帯幾筋ぞ甑島( )
C鳥渡る甑風力発電所( ) D子を連れて行くふるさとや稲の花( ) E鯉のぼり児童数にも勝りたる( )
俳句大会などに作品を投句する時の注意点をいくつか挙げてみます。
@以前に投句した作品は出してはいけません。同じ作品を出すと、後で取り消されてしまいます。これは不注意で自分の作品も他人の作品も似た俳句は先に認められた俳句が優先します。みなさんは7月の私の例句に気づかれましたか。これこれ、うっかり。昨年の7月の例句と同じ作品でした。大変はずかしい思いです。
A清記にあやまりはありませんか。文字は楷書でていねいに書きましょう。文字の誤りは絶対にしないように何回も見直しましょう。
B決められたことを守っていますか。俳句を書くところや学校名、学年、名前などはしっかりときめられた通りに記入します。
俳句大会には学校単位か、個人単位で投句します。先生や家族のみなさんに間違いのないようにみてもらってください。
次回はいよいよ自選(自分の俳句から作品を選びだすこと)。夏休みにたくさんの俳句を作ってください。ほかの勉強もしっかりと。
さて、次の俳句はだれの作品でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
俳句:「あをあをとふうせんかづらともりけり」
作者:@いいだだこつAひらいしょうびんBかとうしゅうそんCまさおかしき
原句には漢字が混じっています。知っている人は書いてみましょう。
俳句:「 」
作者:( )
ではさっそく8月の俳句を作ってみましょう。毎日作っている人も、もう一句。
俳句:「 」
作者:( )
次回は選句について勉強しましょう。
〈俳句クイズ〉
次の俳句には共通するものがあります。さて、それは何でしょうか。
@流れゆく大根(だいこん)の葉の早さかな A仕合せや冬菜(ふゆな)の束を胸に抱き
B葱(ねぎ)伏せてその夜大きな月の暈(かさ) C焼肉にうすみどりなるパセリかな
D秋茄子(あきなす)ややさしくなりし母かなし
選句をすることには自選と互選があります。自選は俳句大会などに作品をだすために自分で自分の俳句を選ぶことです。かたや互選は、俳句大会などで人の作品を選ぶことです。今回は自選のポイントを考えてみます。
@作品の内容がしっかりして、自分の言葉で対象をとらえたものを選びます。中身が動かない俳句、ほかの言葉に置き変えることができない俳句がよい作品です。
A固有名詞(地名など)が入った作品はできるだけさけましょう。俳句が小さくなります。17音を生かしたもの(特に中7)に着目して選びます。
B季語はひとつですか。また、季語は適切ですか。俳句を作った場所、その時の季語を大事に。ずばり言い切った作品を選びます。
C俳句には説明は不要ですから、レンズの焦点がはっきりした作品を選びます。日記風の作品はさけましょう。
主な点を挙げましたが、選句は自力をつけるために必要です。みなさんは俳句を作ってから、どのように整理していますか。チェックマークをつけて、あとで他の人が選んだ作品と比べてみることもたいへん勉強になります。
さて、次の俳句はだれの作品でしょうか。@〜Cから選んでみてください。
俳句:「とどまればあたりにふゆるとんぼなか」
作者:@なかむらていじょAほそみあやこBのざわせつこCすぎたひさじょ
原句には漢字が混じっています。知っている人は書いてみましょう。
俳句:「 」
作者:( )
ではさっそく9月の俳句を作ってみましょう。毎日作っている人も、もう一句。
俳句:「 」
作者:( )
次回は秋の果物(くだもの)について勉強しましょう。
〈俳句クイズ〉
次の俳句は句碑となっています。共通する地名を答えてください。
@熔岩(ようがん)に秋風の吹きわたりけり
A夏山と熔岩(ラバ)の色とはわかれけり
B噴煙の俄(にわ)かに高く菊咲けり
答: