ワープロを使用して文字を打てば、どんな文章もそれなりに体裁が整う。ちょっと見ただけでは、立派な小説本に見えた。もう、僕は小説家の気分だった。
元来、手書きだった原稿が活字になって出版される。本という形で紙媒体になった原稿は、市場に公開される。誰がどう見ても立派な本だった。
現実に、有料でそういう文章を本として印刷できるブログサイトがあった。僕はこのサイトを使って、初めて紙媒体の本を作成した。それは、昔ながらの小説本と言われる代物だった。これは僕の輝かしい記念の一冊となった。タイトルは『宇宙人 窓野枠著』という具合の本だ。寄贈した江東区立図書館で、21世紀になっても所蔵されていた。僕にとっては唯一無二の一冊だ。僕ですら持っていない。ネット販売を試みたが、売れるわけがなかった。面白い本かどうかは、読まないと分からない。そんなものに誰がお金を払うだろうか。
そんな大きな思い入れを持って出版した本だが、本として唯一不足しているものがあった。それは、ISBN(International Standard Book Number、国際図書識別番号)というものだ。本に付される唯一無二の書籍としての識別番号である。僕にとって、これがあってこそ書籍と言える、と言えるくらいのものだった。 |
|