6.そのほか、相続と不動産に関するQ&A


Q1
 平成18年4月から相続登記の登録免許税の計算方法が変更になったと聞きました。
具体的には、どうなったのですか。


A 土地(評価額3,000万円)、建物(評価額1,500万円)を一括して相続登記するという例に挙げて説明します。
 平成18年4月から、不動産評価額の0.4%が課税される取扱いになりました。その結果、18万円となります。



Q2
 やっておかなくてはと思いつつ、現在まで相続登記をしないでいるのですが、だんだん不安になってきました。やっぱりやっておいた方がいいのでしょうか。今からでも間に合いますか。

 相続登記には、期限の定めはありません。また、怠ったために罰金などが科されることはありません。ただ、立場上そのままでいいですよともいえませんので(笑)、皆さんがどうして相続登記をしておくのかを中心にお話し致します。もちろん、今からでも間に合います。

 やはり、自分の財産は、登記を入れて権利を確保しておきたいと考えるからでしょう。
たとえ、現在、相続人間の仲がよく不都合はなくても、時間がたち、相続人が増えてしまうと、話し合いがまとまらなくなることも考えられるからでしょう。

 以前、こんな相談を受けたことがありました。「父Xが亡くなって相続が開始し、子供たち兄弟AとBが相続人になりました。父Xの不動産にはそのままAが住み続けましたが、AとBは仲がよく、特段、不都合はありませんでした。その後、Aはその不動産を売却し、その資金で老人ホームに入りたいと考えるようになったというのです。その頃には、すでにBは亡くなり、その子供達が相続人となっていました。Aは、その不動産につき、Bの子供達と遺産分割協議(書を作成)した上で、A名義に相続登記をしてからでないと売却できないため、話し合いをしました。しかし、一部協力が得られず、事実上、売却をあきらめざるを得ませんでした。」(遺産分割の調停という方法が残されていましたが、そこまではちょっと、ということでした)
 
 また、ご自身の死後、相続人につまらないもめごとの種を残さないようにという意味を込めて、相続登記をしておくという方も多いです。




Q3
 相続した不動産に、昭和40年代に設定された抵当権が残ったままになっているのですが、これを抹消するためには、裁判によるしか方法はありませんか。こういう手続きは費用はいくら位かかるものでしょうか。


 まず、抵当権者は誰なのか登記簿で確認して下さい。現在見かけない会社でも、それが銀行や信用金庫などの金融機関であれば、抵当権者としての立場は何らかの形で引き継がれていることが多いため、資料を調べていくことで、現在の会社にたどり着くことができると思います。
 そこで、担当部署の方と交渉をし、抹消書類をだしてもらうという流れになると思います。債務をすでに弁済しているかどうかも問題になりますが、いままで支払いの請求が来ていないようでしたら、完済はしているものの登記だけが残ってしまっているということが多いです。
 抵当権者が、その他の一般の会社や個人であった場合も、金融機関の場合よりも労力はかかりますが、調べてみる必要があります。それでも、見つけることができなかったら、抵当権者が行方不明であるとして、所有者から単独で抹消することが認められる手続きが用意されています。お手元に債務を弁済したことを証明できる領収書等がある場合には、その領収書等を添付して、ない場合には、債務を供託所に供託することによって抹消することができます。

 抹消にかかる実費は、登記簿謄本を見てみないと何とも申し上げられませんが、当方報酬は、抵当権者の調査代なども含めて、3万円〜5万円と考えていただければと思います。





Q4
 父が、私に対して、アパート「○○荘」を相続させるという遺言を残していたのですが、これで相続登記はできますか。


 可能ではありますが、遺言のほかに、相続人全員の確認書を添付しなければなりません。
  遺言で土地や建物を相続させるときには、本来、土地であれば「所在・地番・地目・地積」を記載することによって特定し、建物であれば「所在・家屋番号・種類・構造・床面積」を記載することによって特定する必要があります。
  「○○荘」と言われても相続人ならばともかく、法務局(登記官)としてはそれがどこの建物なのか判断がつかないからです(登記官は提出された書類上でのみ審査できると決められているのです)。 
  しかし、すでに亡くなっている遺言者の意思を尊重してあげたいのも事実です。そこで、実務では、遺言のほかに、遺言に記載されている物件は、これこれに相違ありませんという相続人全員からの確認書をつけることで、受け付けてもらえることが多いです。しかし、遺言の便利なところは、遺言によって相続財産の配分の方法が定められている場合には、遺産分割協議が不要になることです。相続人の話し合いを経ないでいいという点にあります。相続人全員の確認書が必要となるということは事実上遺産分割協議が必要になるということです。そういう意味でも、せっかく残しておく遺言書は、記載方法にも注意しておきたいものです。



Q5
 権利証が見当たらないのですが、相続登記はできますか。


 
相続登記には、原則として、権利証は必要ありません。権利証は、売買による所有権移転などの場合には、その方が、本当に所有権を持っているのか、本当に売却する意思があるのか確認するために、必要になります。しかし、相続登記の場合には、 これに代えて、戸籍や戸籍の附票、遺言、遺産分割協議書などで相続の事実を確認するために不要とされています。
 (ただし、遺贈の場合には、権利証が必要になります)




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