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 ここから、パーシャルデンチャーですが、ワイヤーや既成のバーは、今は製作していなので
書き込めません。知り合いの50代以上で義歯専門にやってる技工士に聞いてください。
すごい技あるとおもいますよ。

 ところで、何年か前から保険制度に、ロー着(連結)や補強線の点数が付かなくなったの
ですが・・・これの意味するところ、解りますか?
 私見ですが、たぶん、厚労省はこのような既成のワイヤーや既成のバーの維持装置及び
バラバラのキャストクラスプはいづれ無くしていく策略ではないでしょうかねー。
(ワンピースフレームに移行させるための布石)

 今から30〜40年位前には、既成の金属板から打ち出してCrやBrを製作していた技工が、
キャストCrやBrになっていった技工の進化の歴史から考察すると、そう思うんですよ。
もうバンド冠には戻れません。

 なので、これからのパーシャルデンチャーは保険とか、自費とかにかかわらずワンピース
フレームあるいはプレートのデンチャーに必ず変わっていくとふんでいるんですが、どうでしょう?
ワイヤー曲げや、バー曲げがこれから義歯市場として伸びることはありえません。が、名人技として
残ることはあるでしょう。

 バンド冠や無縫冠(若い技工士には解らないかなー)が無くなっていったように、デンチャーの
維持装置も既成の金属線を曲げてクラスプやバーを作ってロー着した時代は終って、いずれ
キャストの維持装置になっていくのでしょう。ただし、単にキャストクラスプやバーでの製作が
優れているからいい訳ではないのです。本当に患者に優しいのは、あくまでも精度の高い
「ワンピース」なのですから。

 最悪は、寸法精度が狂っている模型で作るキャストクラスプ義歯は本当にダメです、無理に
セットしたとしても、患者さんは、まるで猿轡をかけられたようだと、入れて使ってくれません。
自分で外せますから・・・・ここが患者さん側の対応のCr・Brとの大きな違いです
もちろん、その歯科医院には、二度といかないでしょう。

 ワンピース義歯は技工精度がいいので、精度の悪い模型しか出来ない歯科医院は
対象外でしょう。もし、具合のいい義歯を手に入れたい歯科医院は出入りの技工士
(無資格の営業マンではだめですよ)に印象からの模型作りを教わってください、きっと
問題解決できます。(義歯製作用の高精度の模型が「必須」です)

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 「ワンピース」とはメジャーコネクター、マイナーコネクター、クラスプ、ガイドプレーン、レスト
等が、すべて連結していることです。

 なので、クラスプやコネクターがバラバラでのパーシャル製作は?です。たとえ、金合金でも
12%パラでもコバルトでもチタンでも、問題ありありですよね。よーく考えれば(考えなくてもか)
完成義歯が口腔内セットまでスムースに入るかチェックできないのですから・・・
(勿論すべて、コネクトして、パラレルを確認すればOKですが・・)

 立ちあがりを調整するのが当然と思っているDrいませんか?またバラバラでもチェアーサイド
からなにも言ってこないのでスムースに入っていると思っている技工士いませんか?
実は1発で入ってないんです。

 義歯維持装置の命である各クラスプがパラレル(勿論、鈎先はアンダーですよ)になっているかの
確認は、連結されていないと解りません。ですので、スムースに着脱方向(できれば垂直か開口部)
に向かっているかが模型上で確認出来ないですからね。これ本当に患者に優しくないですよ。
(模型上で完成義歯全体が完璧にブロックアウトされ、アンダーカット処理をしてあれば、これでも
問題ないです)

 ですので、これからのパーシャルはやっぱりワンピースですよ、なぜなら歯科医師は大学の
授業や実習でこれしか習ってませんから、当然ですよね。ワンピースははいいですよ、
患者さんに優しい義歯が提供で来るんです。義歯完成、仕上げ前に、技工士がすべての
維持装置を模型上でスムースセットできるか、チェックし、調整します。

 工程は金属床と同じです。
よってTFも楽々です。バイト採得も簡単です。なんんといってもクラスプとフレームがワンピースで、
その上、ロー提付いていますから、チエャーサイドにも優しいですよ。

 ただ、問題は製作工程と時間と材料がかかり、採算が取れないのです。個人ラボでの採用は
止めたほうが賢明です、今の保険技工料だと、個人では商売成り立ちませんよ、普通の
個人ラボが、これに対応するため設備や材料を買っても(メーカーは自費の金属床のつもりで
設定)投資対効果が期待できないです。

 なので、決して安易な受注やめましょう、キチンと原価計算して技工料設定しないといけません、
ましてやダンピングやるくらいならラボ閉めた方が賢いです。これやりたいなら、専門書や教科書
に載ってない特殊なノウハウを手に入れてないとできません。特化し、専門化し、超合理化図ら
ないと、無理です。
 もちろん、ここでは書き込めません。ゴメンナサイ。
なので、パーシャルの維持装置はこれで終りです、次回から配列にします。

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 パーシャルの人工歯配列は少数歯欠損と、多数歯欠損では大きく違ってきます。また、欠損部位
によってケースバイケースです。

 少数歯欠損の場合、とにかく、残存歯に合わせ不自然にならないようにすることが鉄則でしょう。
総義歯配列のようにランドマークを意識した配列基準はないです。強いて言うなら、対合歯との
咬合の回復ですし、前歯は口唇との兼ね合いです、臼歯は舌と頬粘膜の兼ね合いです。

 患者さんの要望が1番でしょうか。遊離端義歯以外は、床での粘膜面負担はあまり考えない方が
いいかなー、床大きいと、初めて義歯入れる患者さんですので、異物感かなり大きいですから・・・
(少数欠損のパーシャルは、患者さんは初体験ですから、その異常感覚に戸惑うのです)
チェアーサイドでは、ついついボ‐ダーを削除して床小さくしてしまいます。そう、気に入らないと
患者さん外して、当分その歯科医院に来ないですから・・・・

 この辺を技工士も把握しておきましょう。「できる技工士」の入門編です。

 患者さんにとって、少数欠損は、臼歯部では機能上、義歯が無くても、とりあえずはなにも問題
ありません。(前歯は審美性の欠落なので、早く何とかして欲しいと大騒ぎです)だからといって
ほっといていい訳はないです。医学的には大きな問題でしょう。

 まったくの私見ですが、欠損部位があると、身体が何とかそこを埋めようと(生存のための一種の
咀嚼を優先させる生体の防御反応でしょうか?勉強不足でよく知りませんが、そんな感じを持って
います)残存歯動いてきますよね。

 これは、明かに咬合崩壊に向かうのです。この残存歯移動を防ぐための「補隙装置」として、
抜歯後は速やかな仮義歯は必須です。ここにパーシャルデンチャーを入れる最大の意義が
あるのですよ。(患者さんに対して、最も大切な説明のキーポイントでしょう、その後、Brや、
金属床や、インプラントに移行していけばいいんです)

 小数歯欠損のパーシャルでは、人工歯にかかる咬合圧は、そのほとんどはレストを通して
残存歯の歯根膜負担になるわけですから、レストは必ず必要です。でないと、床が沈下して
粘膜面の当たりになってしまいます。「どてに当たって痛い入れ歯」で入れてられないなー
ということになります。(これも外してしまう要因です)

 でも、レストは、どこでもいいわけではありません、人工歯の咬合圧を負担する歯の状態に
よってです。でも基本原則はあります。(ここはDrの担当ですが・・)残存歯や鈎歯の
歯軸に対して、垂直にかかるようレスト座を求めるのがベストです。(遊離端義歯の遠心レストは
禁忌ですよね、当然ですが・・・)

 次回は多数歯欠損について書き込みます。

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 だいぶ日にちが開いてすみません。では、多数歯欠損の配列です。残っている歯数にも
よりますが、基本的には総義歯を念頭に配列しましょう。

 多くの歯が無くなると口唇や頬が陥没して皺くちゃの老人顔になってしまいます。
アンチエイジングに動いている時代にそんなこと許せませんよね、人工の歯を作る技工士と
しても。なので、総義歯の配列が審美的にはいいのです。

 ですが、1本でも歯が残っていることは歯根膜が存在しているわけですから機能的にはとても
大切です。根面だけでも歯周病が無いなら、なんとか残したいと思うのは当然でしょう。でも、
残存歯は多くの場合歯周病になっているので、将来予測をしながら入れ歯作りになるんです。

 多数歯欠損の配列は本当に難しい、むしろ、総義歯の方が悩まなくてすみます。よーく
「残存歯模型」を診れば見るほど、模型だけでは本当に正解はわかりません。残っている歯との
調和配列(こんな言葉教科書にはないかなー)が肝心です。

 特に、上下それぞれに2〜3本しか残存歯ない場合で、なおかつすれ違い咬合。(そう、習慣性
咬合位が無い場合です)咬合採得も難しいだろうなー、合っているかなー?と思い悩みつつも、
ま、バイトを信じて再配列にならないことを祈りつつ配列進めますが・・・

 で、残存歯は歯根膜が咬合圧のセンサーで、義歯は粘膜がセンサーですから・・・・セット後、
患者さんにはよく咀嚼訓練して、なるべく義歯の歯と自分の歯との折り合をつけてもらい、うまく
使ってもらえるといいのですが。技工士的には、バランスよく

 おおむね14歯(上下なら28本)で機能して欲しいですね、入れ歯を作る側からすると・・

 技工士の場合は「8020運動」(80才で20本自分の歯を残す、うむ、8本は?無い8本の
意味は技工士にとっても患者さんにとっても大きい)より「入れ歯でも8028運動」が正解と
思うのですがどうでしょう。歯科業界があえて、パイの縮小を宣言するとは・・・ね。

 ドイツでは、1本の歯の欠損でも疾病だと聞いたことありますが・・・

 本当は、直接患者さんと会って意見を聞きながらクラスプやバーの設計や配列ができれば
もっと長持ちする「本物の部分入れ歯」ができると思っているのは私だけですかねー。

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 「咬合採得」は技工士の範疇ではないが、多数歯欠損補綴の肝なので、一言。

 多数歯欠のパーシャルデンチャー製作での1番の要は、バイトを使って咬合器に装着する
ための、正確なバイトです。これがないと技工進めません。バイト材料は適切なものを選んで
ください。 バイトを採って硬化したバイト材は、変形しないよう「取り扱い注意」を徹底しましょう。

 ユーティリテーワックスのような弱い圧でも変形するのは・・・最悪ですが、患者を前にすると
早く咬合採得終わらせようと、これ使うDr結構多いかも。また逆にレジンのような石膏より
硬い材料も、歯牙模型欠けるリスク あるので・・・ね。

 上下模型に変形しないで正確に戻り密着する材料でなければなりません。お勧めはやっぱり、
一流メーカーの硬度の高いパラフィンワックスがベストかなー。上下、左右、前後の上顎模型と
下顎模型の関係位置の保証を「担保」できるバイトが絶対必要です。でないと、どんな高価な
バイト材料であってもなにも意味をなさないのです。

 もう1度言います。各種バイトマテリアルで、バイトを採った後の「バイト」は患者固有ですので、
咬合器装着作業の最も重要な道具です。(ちょっとしつこいですが肝ですので・・)
このDrのバイトは「咬合器に正確にらくらくマウントできるよねー」と関心させられる咬合採得は、
製作担当者のモチベーションがぜんぜん違ってきます。

 変形していたり、狂っていそうなバイトはそのまま進めないで、確認しましょう。これでは 正確な
咬合器付けできませーん、と。技工士の方からチャント言いましょうね。歯科医師も歯科技工士も
患者さんあっての歯科医療ですので具合のいい入れ歯を提供するためには、パーシャルでは
ここが胸突き八丁がんばり処です。
(ここで、クラスプやバーがワンピースでできていてロー提が付いているとほんとにらくらく、ピッタシ
咬合採得ができるのです、当然ですが・・これやらない手はないですよ)

 なので、チャアーサイドのDrは当然やっていると思いますがバイト採ったら、1度模型に戻して
上下関係(特に口蓋測から)を確認してからラボに発注して欲しいですよね。精度の高いカーナビ
無いと目的地(正確な咬合を回復)に行けません。行き当たりばったりではねー・・・

 で、具合のいい部分入れ歯を手に入れるための「10肝」提案です。

 @     精度の高い模型(チェアーサイド)
 A     必ずサベアーでアンダーカット処理と計測をする。
 B     クラスプやレスト・バーをワンピースにする。
 C     ロー提を製作する。
 D     口腔内でワンピースフレームの適合をチェックする(チェアーサイド)
 E  硬化後変形しない材料で咬合採得を行う(チェアーサイド)
 F   採得したバイトを必ず上下模型に戻して診る(チェアーサイド)
 G     バ゛ーチィカル/セントリック保持のため頑強な咬合器にマウントする。
 H     人工歯の下額運動は必ず行い、咬頭干渉は削合しておく。
 I     重合収縮をコントロールする。