あらすじ 新しい年を迎える大晦日、年若くわがままな女王が、4月に咲くマツユキ草がほしいと言い出したため、国中が大騒ぎ。 ほうびの金貨に目がくらんだ、継母と姉娘のいいつけで、マツユキ草を採ってくるようにと一人の娘が真っ暗な森に追いやられます。 森に出かけた娘は、そこで一月から十二月までの月の精たちに出会います。 娘の話を聞いた四月の精は、他の月たちに頼んで一時間だけ「時」を譲ってもらいます。冬の森はたちまち春へと季節を変え、むすめの目の前で一面にマツユキ草が顔を出します。 むすめの帰りを待ちかまえていた継母と姉娘はマツユキ草を取り上げ、宮殿の女王の元へ。 女王は、みずからマツユキ草を摘むために家来たちを引き連れて森へ出かけていきます。しかし、そこで待ち受けていたものは……。 解説 オペラ「森は生きている」は1992年の初演以来、毎年上演を重ねているこんにゃく座の代表的なレパー^トリーの一つです。これまでに1992年岡村晴彦、2005年高瀬久雄(文学座)、2012年大石哲史(こんにゃく座)、2021年眞鍋卓嗣(劇団俳優座)が演出を手がけています。 ロシアの民話を元にサムイル・マルシャークがこの物語を書き上げたのは今から約80年前のことです。当時の時代背景も影響し、マルシャークは子どもたちのために児童文学の執筆に力を入れていました。(マルシャークは戦争で犠牲になった子どもたちを救援する仕事に、ある時期関わっていました。) ファンタジーでありながら自然や人間の本質を描いたこの物語は、林光作曲の生き生きとした音楽と結びつき、子供から大人まで多くの人を魅了してきました。 演出の真鍋氏は作品の本質に立ち返り、自然の理と対峙する登場人物の姿を通して、新たな角度で「今」を照射するオペラへと仕上げました。 歌役者による生の歌声とピアノの音色、色鮮やかな衣装、美しい舞台セットと照明効果によって、観ている人たちを一瞬にして物語の世界へ誘います。 オペラ「森は生きている」は時代を経ても色褪せない、舞台作品の醍醐味に溢れています。 |