YUKO MASUMITSU JAZZ DANCE STUDIO

 2006年 8月


2006/08/17  大変ご無沙汰致しました。m(_ _)m

気が付けば、(ホントはもちろん気になっていたのですが・・・)1月のパソコン故障騒ぎから、半年以上のご無沙汰です。(^^;)

舞台のお知らせにもありますが、5月からスタジオを挙げて取り組んでいる公演、演劇連盟あつぎテアトロ結成5周年記念 ダンスコラボレーション《クロニクル》の本番がすぐ目の前、8日後!に迫っています。
正直言って、パソコンに向かう余裕もない位、あれやこれやと忙しい毎日・・・。
テアトロのナンバーと、スタジオのメンバーが踊るナンバー、合せて52名の出演者による20曲を超える構成、振付に全脳細胞?!を起動させ、抜け殻のような今の私に、なおも次々と襲い掛かる課題・・・。
しかしながら、今回ほど、日頃からの私の想い、“舞台は皆の力で創るもの”という事を実感したこともありません。
テアトロのスタッフの方々や、めっきりと頼もしくなったスタジオのメンバーや、その他いろいろな方々の力に支えられ、何とか無事にここまで来れたなぁ〜と感慨もひとしお・・・。
残りほぼ一週間となった日々を大切に、少しでもよい舞台を見て頂こうと、メンバー一丸となって努力している次第であります。
あつぎテアトロ(リンクしていますので、是非ご覧になって下さい)のホームページを見せて頂いていたら、私の振付の事、メンバーの踊りの事をメチャクチャ褒めて下さっていて、嬉しいやら、気恥ずかしいやら・・・ですが、ここでもう一度シャキッと自分に活を入れ、25日を迎えたいと思っております。

たった2回(昼、夜)の本番、時間にしたらあっという間に終わってしまう舞台。
でもその舞台の成功のために、何ヶ月にもわたり一人ひとりが出来る限りの努力を重ねていく・・・。
そしてその力が結集するのが、本番。
今回、スタジオのメンバーの中には、文化祭ではない舞台は初めて、という方もいたのですが、一人の踊り手としての意識や、舞台を創っていく舞台人としての意識を、皆で一つのものを創るという作業の中で少しずつ実感してくれていたらいいな・・・と思っています。
一歩ずつ一歩ずつ、踊りの技術だけでなく、踊り手として、舞台人として、そして一人の人間として一緒に成長できたらいいな・・・と思ったりしています。

舞台の板の上は、孤独で、でも自由で、不思議なパワーに溢れています。

それでは、8月25日、文化会館の小ホールでお待ちしています!!



2006/08/19  “雨の音”

25日の舞台の作品に使う雨の効果音。
制作の方にお願いしていたのですが、聞かせてもらったその音が、どうもしっくり来ない。
・・・で、昨日の夜中に、確かあった?・・・と思われる、前に使った効果音のCDを家中を大捜 索して、見つけ出しました。
二枚のうち一枚は、自然の音がいろいろ入っているもので、その中の雨は、全然イメージじゃなく てボツ。
もう一枚は、雨と雷と風だけが沢山入っているもので、雨だけでも九種類くらいありました。
普通の“雨”、“トタン屋根に落ちる雨”(結構うるさい)、“空き缶に落ちるゆるい雨”(ポチ ャン、・・・ポチャン・・・)、“空き缶に落ちる激しい雨”(カン、コン、コン、コン・・・) “吹き付ける雨”(シャァ〜・・・)“軒下に落ちる雨”などなど・・・。
結局どれもぴったりは来ないんだけど、まぁ仕方ないかな、という候補をやっと選びました。

その昔ラジオドラマの頃なんかには、波を表現するのに、小豆を行李の中で転がしたり、というい ろいろな渋い?!テクニックがあったそうですが、かえって今のデジタルで作った音よりもそうい った人の手で作った音の方が本物らしかったりする。今の録音技術を持ってすれば、例えば実際の 雨を録音することなど容易いわけだけれど、それはSE (効果音)としては、全然使えなかったりする。
結局、欲しい雨の音は、創り手の頭の中に、状況や雰囲気、イメージとともにあるわけで、後はそ れにいかに近いものを具体化するか、の問題なんですよね。

それにしても、夜の夜中に、雨でもないのに、死ぬほどいろんな雨の音を聞いているうちに、耳も 脳も疲れてきて、同じ雨の音を何度も聞いてたり、気がつかずに風の音を聞いてたり・・・。(> <)
いけない、いけない・・・。



2006/08/26  “打ち上げ花火の後”

「クロニクル」の舞台、昨日おかげさまで、無事終了する事ができました。
昼の回、夜の回ともに、ほぼ満席のお客様の暖かい拍手を頂き、出演者とともに、ほっとしている次第です。
ご来館頂いたお客様、舞台を影で支えてくださった方々、スタッフの皆様、そして出演者の皆様( そしてご協力頂いたそのご家族の皆様)本当に有り難うございました。

5月にリハーサルを始めてから、「クロニクル」一色に染まっていた4ヶ月間が、一日にして終わ ってしまいました。
舞台が終わるといつも感じる、興奮の残り香と、充実感、疲労感、そして何よりも、一つ何かが終 わってしまったという喪失感、寂しさが、入り混じった奇妙な感じ・・・。
23曲の振付に追われている間は、何をしていても、頭の隅のどこかのスイッチが入っている状態 で、(やってもやっても終わらない・・・)という焦りを必死に押さえつけ、(千里の道も一歩か ら)と念じ、リハーサルに行っては、(3歩進んで2歩下がる)状態にいらつく自分をなだめ、極力無心に進んできました。

テアトロのミュージカル作品と、スタジオの作品を、いかに両方とも生かしていくか・・というの が最初からの課題だったわけですが、自分の中で構成の構想が固まって、振付も構想が固まると、 今度はそれをいかに伝えるか、の闘い、出演者と振付者、生徒と指導者、人間対人間の押したり引 いたり真剣勝負に明け暮れました。
スタジオの皆さんにとっても、子供たちとの共演は、初めての体験。
しかも、子供たちのリハーサルは小学生もいるため、基本的に5時まで、一方スタジオの皆は仕事 を持つ社会人のためその時間には行かれない・・・とのすれ違いリハーサル。
私の頭の中の舞台のビジョンは、たぶんぎりぎりまで両者には見えていない状態なんだろうな・・ ・と思いながら、必死で付いてきてくれる出演者を何とか引っ張ろうと走ってきました。
6日に初めて合同の通しリハが出来て、ほっと一息もつかの間、その後は残り時間との闘い。
加えて、出演者に襲い掛かる?!衣装製作の枷。
仕事や、家庭を持って出演しているスタジオメンバー、或いは子供たちの保護者の皆さんも、いっ たい何でこんな大変なんだろう?!と思っているに違いないと察しつつ、イメージする作品をいかす衣装にはこだわりたいし、かといって、衣装製作のプロに依頼するほどの予算はないだろうし・ ・・と心の中で祈るように手を合せつつ、ポーカーフェイスで、作成を煽る。
本番秒読み、目の前にゴールが見えた!と思う間に、時計が早回しになったように時間が進みだし 、ハコ入り(会館入り)、ゲネと進み、2回の本番、と夏の打ち上げ花火は終わってしまいました 。

今回の公演は、たぶんスタジオの皆さんにとっては、最初思っていたよりもずっと規模の大きい舞 台、“公演”で、その分負担も多かったことと思います。
また、今回ほどアクシデントが続いたこともなく、一人ひとりの皆さんにとっても、大きな課題、 試練の部分も多かっとたことと思います。
しかし、無事に公演がはねた今、皆さんは確実に自立して、たくましくなり、一段階段を上ったように思います。
共に協力し合って、共に作り上げていく舞台というものの素晴らしさ、また踊れることの素晴らしさ、を実感してくださったように思います。

終わってしまうと、あんなに苦しかったリハーサル期間は、もう懐かしく、次の舞台をめざしたく なる・・・。
やはり舞台は魔物です。(^o^)



2006/08/27  もう秋・・・?!

舞台が終わったとたん、めっきりと涼しくなって、吹く風ももう秋・・・。
24時間テレビなんてやっているのを見ると、夏は終わった〜とちょっと寂しくなったりしています。

さて、今回の公演が今までと一番違ったのは、私が本番を二度ともほとんど見れたということ。
今まで、自分が出演している公演だと、本番は、私も一人のダンサーとなって、出番以外も楽屋にこもって着替えてたり、見れたとしても袖から見守るくらいでした。
しかし、今回、自分が出演していなかったから、客席から(昼の部は満席だったため、ドアの横に立って、会場案内係も兼任し)自分が創った作品をじっくり見れました。
(一時間以上立って見てたら、かなり疲れた〜)

本番に強いといえば、子供たち・・。
あれほど練習で、怒ったり、「お願いします・・・」と頼み込んだり、「意味がわかる?え?」としつこいおじさんのようにネチネチとからんだり?して、【とにかく、笑って!!】と言っても一向に変わらなかった子供たちの表情が、本番になって一変。
(何だ・・・笑えるんじゃないの〜)
とちょっと頭に来ながら、
(あの子が笑ってるよ〜)と涙腺がうるうるとなってしまった私でした。
スタジオの大人の皆さんも、やはり本番となると本気モードで魅せてくれていたので、細かな失敗はほとんど気にならず、自分の創った世界にどっぷりとつかり、楽しんで見れました。
意外な人が、意外な魅せ方をして驚いたり、一瞬はらはらしたりしながらも、先生、演出モードからちょっとだけ抜けて一観客となっていました。
フィナーレの挨拶だけ出ることにしていたため、直前に客席を立ち袖に行くと、キラキラモードの皆さんがいて、ちょっぴりうらやましかったけど、今回自分も出てたら、間違いなくぼろぼろ、たぶん倒れていましたから仕方ない・・・。

自分の作品にうるうるきそうに(^o^;)なりながら、たまに他の観客の反応を確かめたり、舞台での生の皆の踊りを見れたし、完璧にひいて本番の舞台空間を見れたから、私にとっては、結構良い経験でした。

さぁ・・・そろそろ社会復帰!
次の舞台(文化祭)の構想でも練るかな・・・。



2006/08/29  “吉田都さんのアドバイス”

今日テレビで、日本でバレエをやってる女の子に、バレエダンサーの吉田都さんがアドバイスするという企画をやっていました。
その子の悩みは、“体型”。
背が小さく、手足も短く、どうしてもコンプレックスを感じてしまうという彼女。
外国人の中で果敢にトップダンサーの座を守り抜いてきた、自身も決して体型に恵まれているとは言えない都さんは、その子になかなか親身になっていいことを言っていました。

ロイヤルバレエ学校に留学した頃、周りの外国人ダンサーの体型の美しさに引け目を感じ、(やっぱりバレエはこの人達のものなんだ・・・)と落ち込んでしまった都さんに、先生は、
「あなたは何が表現したいの?」
と言ったそうです。
結局、大切なのは、体型の美しさでも、テクニックの正確さ(ある程度(^o^;)は必要だとは思うけどね・・とこれは私の茶々ですが)でもなく、その人が何を表現したいか、ということだということを教えてくれたのだそうです。(もちろん私もそう思います)
その人ならではの、表現!
その言葉にハッと目覚めた都さんは、自分の踊りに自信を持って、“日本人ならではの繊細な表現”と言われるトップダンサー(プリンシパル)の地位を手に入れたのでした。

そんな自身の体験談から、その子を力づけ、その後、都さんによるレッスンが始まりました。
その子も、NBAコンクールで優勝したとかで、テクニックはあるし、それなりに表現力もあるしプロのダンサーとしても通用するくらいかなり踊れているのですが、やはり世界のバレリーナは違いますね〜。
ちょこちょこっと何気ない上半身の使い方、ひねり方などをアドバイスしているそのラインの美しいこと。
都さんが要求しているのは、モダンで言えば、スパイラルのテクニック、引き上げたままの上半身のねじり上げなのですが、都さんがやってみせると芯はまっすぐのまま、背中が入っているからぶれない。
その子がやってみると、体が反ってしまって芯がぶれてしまうので、やりにくそう・・・。
でもたぶん、ちょっと練習すればものにするとは思うけれど、彼女にとってはとてもよい勉強になったと思いますね・・・。

世界の一流になった人は、皆同じような事を言いますよね。
いわく、“自分らしさを大切にする”という事。
どんな逆境にあっても、自分を信じて大切にしていく・・・。
その強さの果てに明日はあるんだね。



2006/08/31  “鼻緒”

今回のクロニクルの舞台で、何が大変だったかと出演者に尋ねれば、きっと“衣装!!”と迷わず言う声 も多いと思います。
作品は、音楽、振付、衣装、照明、その他もろもろ全てが合わさってこそよいものになるわけで、そんな 私のこだわり故に、毎回、衣装製作では皆さんに苦労をかけているな〜とは思います。
しかしながら、そんな私と付き合いの長い方は、舞台の回を重ねるごとに鍛えられ、最初の頃は、並縫い も怪しかった人も、いつの間にか、頼もしく成長し、デザインや、型紙製作から任せられるようになった りしていて、私としても大変嬉しい今日この頃であります。

さて、先日、そんな衣装製作について、大先輩の児童舞踊のH子先生とお話ししていた時のこと。
「今の子のお母さんなんかは、子供に踊りなんかやらせていなかったら、針自体持つことの全くない方と かが多いですからね〜。そういう方に、“見返し”なんて言ったって、“は?お返し?いや仕返し?です か?”って感じでしょうからねぇ〜・・・」
と私が言ったら、
「そうなのよ!前に和風の作品をやった時に、下駄の鼻緒をね・・・」
と話して下さったことには・・。
H子先生は、可愛らしい下駄の鼻緒を、ご自身で作って、“この鼻緒をつけて下さい”とお母さん方に言 ったら、
「鼻緒って何ですか?」
という方がいたのだそうです。鼻緒を知らない!!
「下駄についている鼻緒よ。まさか下駄履いたことないの?」
「下駄は、あれ全部で下駄って言うんだと思ってました。」
あまりの事に、H子先生は、ちょっとキレて、
「春よ来い!早く来い!赤い鼻緒のじょじょ履いて・・・って歌にもあるでしょ?」
と歌われたそうです。
すると、そのお母さんは、
「じょじょって何ですか?」
H子先生は、ここに至ってコミュニケーションをあきらめ、
「あなたは日本人じゃないわ!」

しかし考えてみれば、現在小さな子を持つお母さんの世代というのは、日本文化と触れ合う機会もめった にないまま大きくなった世代。
雑巾は100円ショップで買うもの、下駄にも草履にもめったに触れ合わないし(これは実はすでに私も そうだな・・・、さすがに鼻緒は分かるけど・・・)家にミシン自体ない、という方が多い。
前に、初めて発表会で、お子さんの衣装を縫ったお母さんから、
「子供のために始めて洋服を縫いました。とてもよい経験をさせていただきました。」
というお手紙をもらって嬉しかったことがありました。
何事も経験なわけで、一見時間ばかりかかって無駄に見えることの中から、思いもかけない真実が生まれ たりすることもあるわけで・・・。
何事にも「初めて」はあるのだから、知らない事と出会うこと、或いは知らない事を伝える事を恐れず、 少しずつでも何かの繋がりが作れたらいいかな〜なんて思った私でした。



ページ先頭へ 前へ 次へ ページ末尾へ