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2.10 来月報告予定の『網膜静脈閉塞症(RVO)への鍼施術』が完成しました
3月9日(日)に開催予定の第40回『眼科と東洋医学』研究会で、私が報告させていただく予定の『網膜静脈閉塞症(RVO)への鍼施術』は、抄録・スライド等の準備を終えて、最後の微調整を残すだけになっています。今回の報告は短い時間ではありますが、網膜静脈閉塞症への鍼治療が視力低下や網膜浮腫の改善に役立つと同時に、眼科で主流となっている頻繁な硝子体内注射は、最小限の使用で済むことを眼科医や臨床に取り組む先生方に、お伝え出来たらと思っています。
現在、抗VEGF硝子体内注射(ルセンティスやアイリーアなど)は、網膜静脈閉塞症だけでなく、加齢黄斑変性や近視性黄斑変性、糖尿病網膜症などの網膜疾患に広く用いられ、視力低下や網膜浮腫による変視(視界内の歪み)の軽減に無くてはならない治療法です。しかし1回の注射の効果期間には数ヶ月程度と限りがあり、数年程は高い効果があっても、5年〜10年も経過すると網膜が弱って萎縮し、視力も低下してしまう現実は、あまり知られていません。千秋針灸院には、こうした状況で来院される患者さんが多い状況です。
硝子体内注射は網膜の状態が悪化する度に行い、年間で数回〜10回程行われるのが普通です。しかし5年後までに10回〜数十回、10年後は20回〜50回以上も眼球内への注射を行うことになり、注射1回のリスクは小さくても網膜裂孔(網膜剥離)や白内障、緑内障などの発症可能性は高くなります。また硝子体内注射は網膜自体の血流を改善する治療ではないため、網膜疾患の最後の姿である網膜(黄斑)萎縮への進行を防ぐことは出来ません。
私は網膜疾患への治療法が限られ、硝子体内注射が始まっていない15年以上前から眼科領域を専門として鍼治療を行っています。当時鍼治療だけで回復し、現在まで診せていただいている患者さんは限られますが、網膜(黄斑)萎縮による視力低下などは生じていません。しかし硝子体内注射を何回も受けられた患者さんの多くは、発症から5年〜10年もすると網膜(黄斑)萎縮による視力低下を生じて来院されています。
網膜(黄斑)萎縮への鍼治療の効果は、視力などの回復は萎縮の進行具合によります。視力低下を含め軽症なら解消する場合もありますが、視力0.1以下など萎縮が進行しすると現状維持が精一杯のケースもあります。患者さんにとって硝子体内注射は当面の視力等を守る救世主ではありますが、注射に頼り続けることは将来の失明に繋がる恐れがあり、早い段階で視機能を守るための出口を見つける必要があります。硝子体内注射は一時しのぎに過ぎないことは、経験の深い眼科医の先生方なら理解されていますが、手立てが無いのが現状です。今回の私の報告は、こうした内容を暗に含ませながら、鍼治療の有効性を当院の統計とOCT(光干渉断層計)の画像から見ていただけたら幸いです。
報告後にはOCT画像の一部を除き、公開できる予定です。千秋針灸院からだけでなく、将来は数多くの治療院から、眼科医の先生方に自信をもって症例報告が行える日が来ることを願っています。
●リンク・・・眼科と東洋医学研究会
1.20 後部硝子体剥離になりました
私事ですが昨年末の31日夜から、右眼の耳側(外側)に光が小さなフラッシュのように走るようになり、数日続いた後から時折視界内に薄い白い膜が揺らぐように見えています。年齢的にも典型的な後部硝子体剥離の症状と考えられます。時々問い合わせや当院の患者さんも遭遇するのですが、硝子体剥離だけであれば加齢と共に生じる五十肩と同じように、心配する必要はありません。但し稀に網膜の一部が一緒に剥がれてしまい、網膜剥離を生じてしまうことがありますので、眼科で診ていただく方が確実です。もしも視界内に暗い部分や視力の低下を感じた場合は直ぐに眼科で診ていただいて下さい。
後部硝子体剥離の症状をきっかけに、時々は片目ずつ見え方を確認する習慣を付けると、網膜剥離や緑内障、黄斑変性等の早期発見に繋がります。大切な目にも寿命があり、硝子体剥離や白内障はサインの一つです。前回の日記に書いた、「体の各パーツ毎に寿命がある」という話にも当てはまりますので、目の健康に気を付けられると良いでしょう。
後部硝子体剥離は加齢に伴い誰にでも起こりますが、症状には個人差が大きく一生気が付かない場合もあります。フラッシュのように光が走る現象は数日〜数ヶ月以上続くことがあり、時折見える視界内の薄く白い膜は数ヶ月〜数年以上消えないことがあります。五十肩のようにいつの間にか消えたり気にならなくなることも多いので、あまり気にし過ぎず大らかに受け止めることが大切ではないかと思います。
1.6 あけまして、おめでとうございます
今回の年末年始休暇は8連休をいただきました。千秋針灸院の周囲に植えてあるバラ等の観葉植物の剪定や鉢の植え替え、昨年から育てている観賞用ブドウのフェンスを組み立てる等、時間が掛かる外回りの仕事が捗り、充実した休暇となりました。
私自身、年齢を重ねる程に感じていることですが、人は一般的な寿命とは別に体の各パーツ毎に寿命があり、中年期以降は加齢や生活習慣に伴って消耗したり故障を生じ、パーツ単位で寿命を迎えることもあります。例として耳が聞こえ辛くなったり、終には聞こえなくなることが分かりやすいと思います。また運動により筋肉を鍛えることで骨格や関節の弱りを補うことや、歯や水晶体等、医療の進歩で交換できる部分もありますが、内臓など鍛えられない部分や交換できないパーツも数多くあります。年齢を重ねる上で、体の様々な不具合が増えていくことを感じる方は多いのではないでしょうか。
体のパーツ単位の衰えへの対処として、健康寿命を出来る限り延ばすことが大切になるのですが、針灸治療は対応できる状況に限りはあるものの、様々な不具合を同時進行で治療できる特徴があります。当院の患者さんの声でも、様々な医院や治療に通わずに済んでいるという話をよくいただきます。千秋針灸院は眼科領域を専門としてはいますが、治療自体は幅広く対応できますので、来院時には気になる症状や不具合は出来る限りお伝え下さい。皆様の眼科領域を含めた健康寿命を延ばすお手伝いができれば幸いです。
今年も皆様にとって健やかな一年となりますよう願っています。
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