<8、サスペンション特性が旋回性に与える影響例>

 これまでステア特性を説明する過程において、後輪の向きは完全に車体の向きと一致するものとして扱いました。また、前輪もある実舵角を与えれば人間がその角度を変更しない限りその実舵角が維持されるものとして話を進めてきました。

 しかしサスペンションはその本来の使命として、色々な路面状況や運転状況に対応してストロークしますし、また、乗心地やハーシュネス、あるいは耐久性のことを考えればその取付剛性もガチガチの無限大ではあり得ません。実際のサスペンションにおいては、ストロークすれば多くの場合車輪の向きが微少に変化しますし、力が加わればそれによっても車輪の向きが変わります。ここではストロークにより変化するトー角変化、キャンバー角変化、そして横力が加わったときのトー角変化を代表例として、ステア特性などの主に旋回性に関わる影響について説明したいと思います。ちなみにトーとはつま先のことで、トー角とはつまり上から見た車輪の角度のことです。


<8−1、ロールステアの概念とその影響>

<8−2、具体的なサスペンションジオメトリとロールステア>

<8−3、コンプライアンスステア及びステアリング剛性の概念とその影響>

<8−4、キャンバー角とその影響>


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