<5、ジャッキアップ特性>

 これまでは話を簡便にするため、車体がロールするとき外輪側が沈んだのと同じ量だけ内輪が浮き上がるという前提で説明をしましたが、実際にはほとんどの場合外輪側の縮みのストロークと内輪側の伸びのストロークは同一ではありません。例えば外輪側が沈む量以上に内輪側が浮き上がったりします(つまりロールしながら全体が浮き上がる)。このような現象をジャッキアップ現象と言います。尚、もちろん車体が剛体であれば、内外輪ストローク差(ロール角)は前輪と後輪で同一であることは変わりありません。

このようにジャッキアップとは、車両諸元やサスペンション特性によって旋回時に車体がロールするだけでなく、持ち上がったり逆に下がったりする現象のことをいい、過度なジャッキアップ特性は、旋回により車両重心位置を持ち上げ、極端な場合は横転につながる危険性をはらんでいることから望ましくない特性です。また、前後のジャッキアップ量の設定によっては、旋回時に例えば前の内側が浮き上がり、後の外側が沈み込むといった対角ロールをしているような印象をドライバーに与える等、ドライブフィーリングにも悪影響を与える場合があります。


<5−1、ジャッキアップが起きる理由>

<5−2、サスペンションの瞬間回転中心について>

<5−3、定常円旋回中のロールモーメントの釣り合い>

<5−4、サスペンションジオメトリとジャッキアップ量>


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