2003/09/06(土)臓器移植法学習会の報告


〜NHK特集「剛亮生きてや」(1987年)とKTVドキュメント「ふたつの命」(2003年)を見る〜

2003.09.14. by てるてる

2003/09/06に、大阪府立文化情報センターで、臓器移植法改正についての学習会をしました。

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2003/09/06(土) 10:00〜12:00

大阪府立文化情報センターうえまちルーム
http://www.opas.gr.jp/bunjyo/

NHK特集「剛亮生きてや」(1987年)とKTVドキュメント「ふたつの命」(2003年)のビデオを参照資料として、ディスカッションします。

*参考図書
「子どもの脳死・移植」(杉本健郎著、クリエイツかもがわ)
「ああ、ター君は生きていた」(吉川隆三著、河出書房新社)
「脳死の人」(森岡正博著)

テレビドキュメンタリー「ふたつの命」については、↓のサイトでも紹介しています。
http://members.tripod.co.jp/saihikarunogo/20030429ktv.html

*レジメ
http://members.tripod.co.jp/saihikarunogo/faq2003.html

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*参加者の感想

森岡正博さんの「脳死臓器移植」専用掲示板への投稿から

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学習会終了しました 投稿者:てるてる  投稿日: 9月 6日(土)19時02分26秒

きょう、大阪府立文化情報センターで、午前10時から12時まで、臓器移植法学習会をしました。
参加者は、私を入れて4人でした。

ことし1月の小児科学会主催のシンポジウムで一部分だけ見ることができた「剛亮生きてや」、4月にテレビで放映された「ふたつの命」、続けて見ることができました。

「剛亮生きてや」は、脳死のこどもを看取った4日間、淡々と語られていました。
おかあさん、おとうさんがお互いに剛亮君の洋服をたたみながら話しているとき、なんどもなんども服をなでていて、語りつくせない想いが語られていました。

なんだか、ずっしりと重くて、今まで、話で聞いていたことや文字で読んだことと、知識としては同じことが表現されているのに、全然違う、と感じました。
知識として知っていることと全然違う感じがしました。

「剛亮生きてや」の最後では、剛亮君が腎臓を提供した人がどうなったかはわからない、と言っていました。

この番組が放送された後、レシピエントから御両親に手紙が来ています。

非常にいいドキュメンタリーだったと思います。

その後、「ふたつの命」では、心臓移植を待つこどもたちの話が、前半、描かれました。
心臓移植手術を受けるために渡航することにした彰吾くん、
移植手術を受けるために渡航したけどドナーが現われる前に亡くなった勇貴くん、
渡航して移植手術を受けて元気になった夏帆ちゃん。

渡航するために募金を集めるとき、経験者が教えていました。募金をする人は、自分が出したお金がどうなったか知りたい、という人が多い。募金したけど渡航する前に亡くなったとか、渡航したけど手術が受けられなかったとかいうことがあると、じゃあお金を返してくれ、といってくる人もいる。親に資産があるとわかると、親が資産をつぎこんでから募金を集めるべきだという人もいる。

「ふたつの命」の後半は、こどもの腎臓を提供した、吉川さん、スギケン先生のお話です。
提供した側は、提供した腎臓がどうなったか、とても気になる。

この春「ふたつの命」が放映されたときには生きていた彰吾くんは、いまは、亡くなっています。

スギケン先生の、18年前の当時のお話と、現在のお話と、二つの番組のおかげで、続けて、聴くことが出来ました。

なんだか、今まで思ってきた以上に、重くて、感想を書くにも、どう書いたらいいか、わからないぐらいです。

二つの番組を並べてみるのと見ないのとでは、全然違うと思います。
是非、両方、テレビでも、放送してほしい。
それは実現無理でも、臓器移植法のことを考える人には、両方見てほしいなあ、と思います。

渡航のための募金をする人が、お金がどう使われたか知りたがる、というのは、ドナー家族が、レシピエントが元気なのかどうか知りたい、というのと、似ているなあ、と思いました。
でも、募金した人が、手術できなかったのならお金を返してくれ、というのは、ドナー家族の思いと全然違うなあ、と思います。
ドナー家族は、自分のこどもをなんとかして生かしたい、このままでは終わりにしたくない、と思ってこどもの腎臓を提供したのだと。腎臓移植が必要な人を助けてあげようというのではなかったと。
そこが、移植が必要な人のために募金する、という人との違いだろうと思います。

ただ、家族が先に資産を手放してから募金を集めろ、という人の気持ち。
これは、臓器提供先に親族を指定できるようにしろ、という意見と、ちょうど表裏ではないかと思います。

「脳死とは、ほんとうに死なんでしょうか」と問いかける、「剛亮生きてや」は、けして、臓器移植に反対するものではない。事実、臓器提供した御家族の話です。
こどもも心臓移植ができるようにすることがだいじなこともわかるし反対しないから、それについて議論するとき、自分の患者が脳死だと診断しても人工呼吸器を止めることはなかった、でも、自分のこどもは、人工呼吸器を止めて、心臓が止まるのを待って、腎臓を提供した、という、このお医者さんの御家族のドキュメンタリーも、是非、見ておいてほしい、と思います。心臓移植は、人工呼吸器を止めずに、動いている心臓を摘出しないといけないんだけど。

……なにか、「剛亮生きてや」のことを書こうとすると、気持ちが落ち着かないので、どう言葉を使えばいいのか、迷いつつ、ここに御報告しました。

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13日もよろしくお願いします 投稿者:ぽん(おかだ)  投稿日: 9月 7日(日)15時19分45秒

6日の学習会、勉強になりました。参加者のみなさん、ありがとうございました。
13日の関大でのスギケン先生のレクチャーもよろしくお願いいたします。
スギケン先生のお話は午後3時からです。―関西大学尚文館507教室(44名収容)
(森岡先生、掲示告知していただいてありがとうございます。)

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ぽんさん 投稿者:てるてる  投稿日: 9月 7日(日)19時23分18秒

6日の学習会への御参加、ありがとうございました。
いっぱいお話しできてよかったです。
ぽんさんから、「着たかもしれない制服」では、おかあさんの文章が、たいへんなまなましくてよいと聴いたので、是非読みたいと思っています。

ところでまだ「剛亮生きてや」の余韻にひたっているというか、立ち直れないというか(?!)

番組冒頭は、「……どうして人工呼吸器を止めることができようか」から始まるのですが、ナレーションが、重厚な男性の声で、最後まで淡々と語っていって、とてもよかったです。途中、剛亮君のおねえちゃんの気持ちをせりふでいうのもよかった。

「子どもの脳死・移植」(クリエイツかもがわ)でも読んでいましたが、たとえばおとうさんおかあさんたちが朝食のパンを食べ始めると剛亮君の肩がちょっと動く。
スギケン先生「もう腹減ってしかたないからパン食べてたら、剛亮も、こっち側の肩がちょっと動く。おれも腹減ってるねん、パン食べたい、って言ってるみたいに思えた」

スギケン先生たちが何かだいじなことを決めるたびに剛亮君が深呼吸する。呼吸器に赤いランプがつく。
でもそれは、器械が15分置きにランプが付くように設定してあった。

ということを、本でも読んでいましたが、テレビでも、ナレーションで言ってくれたのですけど、それが、感情的にならず、でもかえって、よく気持ちが伝わる言い方でした。

スギケン先生が、医師として、脳死と診断されそうなこどもさんでも、人工呼吸器を切ることはしなかったし、奇跡的な回復を遂げる例があった。(ほんとうに脳死だと回復しないけど、そのぎりぎりぐらいのところで回復したということを言ってたんだと思います)
この子もそういうこどもの例である、として、赤ちゃんが映りました。だー、だー、言ってる赤ちゃんを若いスギケン先生がこら、こらとか言いながら抱き上げるところは、ユーモラスでした。「もうちょっとがんばらなあかんなあ」とかおっしゃってましたが、なにをがんばるのか、赤ちゃんは。

剛亮君の人工呼吸器をどうしますか、とお医者さんからきかれたときに、いや自分は患者に対して呼吸器を切るなんてことはしてこなかったし、最後までお願いします、と言ったときのことを振り返って、自分の方針と違うから怒るとか憎いとかじゃなくて、お願いする、という気持ちだったと語っていました。

おかあさんも、細胞一つでも生きていれば、生かし続けてやりたい、とおっしゃっていた。

でも、3日、4日ぐらいになると、見た目にも、目が乾燥してくるし、このままではかわいそうと思うようになってきて、腎臓の提供を思いついた。

番組は、病院での4日間の再現映像と、おかあさん、おとうさんが剛亮君の服をたたみながら話したり、それぞれおひとりで、画面にむかって語ったりするのとが交互に、進んでいきました。
おふたりで話す最初の場面は、剛亮君の靴が、片方だけみつかって、もう片方がどうしてもみつからなかったと、みつかったほうの靴をだいじにだいじに見たり触ったりしながら話しているところでした。

非常にいいできのドキュメンタリーだと思いました。

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6日の学習会 投稿者:いずみ  投稿日: 9月 7日(日)20時34分57秒

参加し、なかなかその機会のない貴重な番組を観て、皆さんとそれについてお話をすることができて、たいへん有意義でした。
てるてるさん、他のみなさん、どうもありがとうございます。

ふたつの番組、単独でもよいけれど、併せることによってより全体像が見え易くなりますね。

てるてるさんも言及されているけれど
剛亮くんのお洋服をいとおしむかのように畳んでなでるシーンとか、
今も思い出して「……」となります。
また、もう亡くなられている彰吾くん、
かれがバランス崩して倒れそうになると思わず「おっとっと」と声が出て手をのばしたくなる、この自分の感覚がふしぎでした。

(これ、変なたとえかも。もう少し違うことを言いたいのですが)
ほんとうに、言語化しにくいですね。
でも、どうにかして表現していかなければならないものでしょう。
移植推進へ、との「声」の方が大きくなりがちで
このままだと、よく内容が分からないままに進みかねませんものね。

どちらの声も「善意」であっても。
また、いずれも「親の深い愛情」のなせるものであっても。

私も、重さに、戸惑うばかりでうまく言語化できません。
戸惑い、慎重さ、でもこういったものをも「声」として出して聴いていってもらうべきだと思います。

言うはやすし、ですが。また、言わずもがな、ですが。

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ありがとうございました。 投稿者:k  投稿日: 9月 7日(日)20時36分30秒

昨日は学習会に参加させていただき、ありがとうございました。
ビデオの内容は非常に衝撃的で、一言で感想を言うのがとても難しいです。
でも、てるてるさんがおっしゃっていたように、子どもの臓器移植を
考える際、多面的な見方をする上でも、あのビデオを2つセットで見る
意味というのは大きいと思いました。

また、この問題を考えていく際、難しいかもしれないと思ったことは、
「子ども」が関わる問題なので、どうしても感情的になってしまうところです。
やはり苦しんでいる子どもを見ると、正直つらくなってしまいます…。
だからビデオを見るまでは、冷静な視点(?)で問題を考えていたつもりでしたが、
さすがにビデオを見たあとはその衝撃で、少しの間考えられなくなりました。
ですがやはり問題を考える際、客観的に、そして一側面のみを
見ないことが大事かと思い直しました。(難しいですけどね…。)

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杉本さんのビデオ 投稿者:森岡正博  投稿日: 9月 7日(日)22時16分00秒

私も毎年、授業で使っています。とてもいいビデオだと思います。

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ビデオ鑑賞ありがとう 投稿者:スギケン  投稿日: 9月 8日(月)20時59分29秒

てるてるさんありがとう。16年前に作ったNHK特集でしたが、たしかに今自分で見ても、一種の感動を覚えます。というより親としていつまでもその時の気持ちを忘れないでおれる貴重な息子の遺産です。しみがない?僕の顔、かあちゃんも若かった。
息子のおかげ?で親は一生懸命生きるパワーをもらっています。
見ていただいたビデオはNHK最終チェックのためのもので、放映されたものと全く同じか
どうかは定かではありませんが・・・一カ所理解に苦しむ場面がありましたので。

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ことしに入ってから、こどもの脳死判定後の臓器提供について考える、催し物とテレビ番組が、1月、4月、6月、9月と続いています。
それらについて、森岡正博さんの「脳死臓器移植」専用掲示板杉本健郎さんのホームページなどに掲載された記事をまとめました。

日本小児科学会公開フォーラム「子どもの死を考える」報告
2003年1月13日(月曜日、成人の日)に、神戸ポートアイランドの国際会議場で日本小児科学会倫理委員会主催のフォーラムがありました。

KTVドキュメント「ふたつの命」報告
2003年4月30日(水曜日)午前0時35分から、関西テレビでKTVドキュメント「ふたつの命」が放映されました。

テレビ大阪「ジカダンパン」報告
2003年6月2日(月曜日)午後9時から、テレビ大阪で「ジカダンパン "心臓移植"あなたならどう考えますか? 5歳の娘、2歳の息子を亡くした親の叫び…」が放映されました。

2003/09/13(土)杉本健郎さんの講演会の感想など
2003年9月13日(土曜日)に、関西大学で、杉本健郎さんの講演会「子どもの脳死・移植」がありました。


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