テレビ大阪「ジカダンパン」報告

2003.06.03. by てるてる

「森岡正博の生命学ホームページ」から、掲示板の投稿などをまとめた。


「ジカダンパン」9:00PM〜 投稿者:てるてる  投稿日: 6月 2日(月)08時50分56秒

関西では、テレビ大阪で、きょう、6月2日、午後9時より、「ジカダンパン」という番組で、こどもの心臓移植の問題をとりあげます。

「ジカダンパン」(テレビ大阪、午後9時〜10時)
"心臓移植"あなたならどう考えますか? 5歳の娘、2歳の息子を亡くした親の叫び…

臓器移植の問題を取り上げる。心臓移植以外には助からない子どもが、日本には約三百人いるという。しかし日本では、脳死状態の臓器提供者は十五歳以上と決められている。一年以内の心臓移植が必要とされている子供と、その家族を取材。移植を待ち続けて子供を亡くした親も紹介する。

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このまえ、こどもの心臓死後の腎臓提供の経験のあるスギケン先生や吉川さんのインタビューも入れて、心臓移植を待つこどものことをとりあげた番組は、深夜に放送されて、その後再放送もされていない。 そして、きょうの、夜9時台に放送される番組は、心臓移植を必要とする側だけを放送する。 これは、偏っていると思います。 両方の側を、ゴールデンタイムに放送してほしい!!


「ジカダンパン」 投稿者:てるてる  投稿日: 6月 2日(月)21時26分12秒

中継はしないつもりでしたが……、

はじめに、心臓移植を待機中に亡くなったこどもさんが2例紹介されました。 おひとりは渡航直前に、おひとりは、渡航後、ドナーが現われる前に。

そして、スタジオで、みのもんた司会で、ドナーの意思表示が15歳以上というのは妥当かどうか、という議論に。

今井通子さん:10歳でも意思表示できるのではないか。 奈美悦子さん:自分のこどもが臓器提供の意思表示をしても、母親としては、つらくて同意できない。

街頭インタビュー:こどもの意思を尊重するという人、臓器提供は当然と頭では理解するけど自分のこどもの死後にからだが切り刻まれるのは耐えられないという人。


こどもの脳死臓器提供に反対する人々の紹介。
関西の脳死臓器移植に反対する市民の会の岡本隆吉さん。
(訂正:岡本勇吉さん, http://fps01.plala.or.jp/~brainx/

こどもが7歳で事故に会い、脳死寸前になったがなんとか生還し、今もからだは動かないが意識はあるこどもを育てている御夫婦。こどもの脳死臓器移植が可能となったら、それは移植のために脳死を死とするのではないかと思って反対している。

今度は、脳死臓器移植に賛成している人の紹介。
日本移植支援協会の有村さんの紹介。
http://www.ishokushien.com/

USAのロマリンダ病院の話をしている。18人のこどもが同じような時期に助かったんだと。
(このまえの深夜の番組でもこの話はされていました)

有村さん:親の同意で臓器提供できる。こどもでも意思表示できるひともいる。


有村さんの勇貴くんの話の紹介です。
有村さんは勇貴くんのために移植支援協会の活動をしています。

みのもんた:手術でなおせるような方法を早くみつけてほしい。考え方が分かれて当然。
たとえば欧米諸国はどうなっているか。
USA:親族の書面の同意。
UK:親族が拒否しない。


今井通子さん:法律が改正されても、日本よりもUSAのほうがドナーが現われるチャンスがあるかもしれない。日本では(一般市民は)武器をもっていないし……

「臓器はモノじゃないんです。人格が宿っているんです」(吉川さん?) CMです。
結局中継している私……


吉川隆三さん(やっぱりです)
角膜腎臓移植法に基づき、息子さんの腎臓を提供した。
社会貢献をしようという気持ちなどではなく、息子を、人様のからだを借りて生かしてあげよう、という気持ちだった。

レシピエントとドナーの家族が連絡をとることはできない。

「(息子は)どこへいってしまったの?」「おこっているんじゃないか」「勝手なことをして」という疑問が、時がたつとともにわいてきた。
「でも、腎臓を患っている人が助かっている」というように、自分の心の中で毎日葛藤していた。

5年前にようやく作った息子さんのお墓。息子さんに似せて作ったお地蔵さん。

東京にも、こどもの臓器提供をして、日本の移植医療に疑問を持つ人がいる。
間澤洋一さん。娘さんがUSA留学中に亡くなり、臓器を提供した。
元気なころのビデオ。娘さんの手紙「先週の火曜日に免許をとったよ。ドナーに登録されているので、万一事故のときには、眼球その他はとられてしまうので、よろしくね」
親が「家族に相談しないで」といったら、娘は「わたしはもう24歳よ。ママたちもこういうことを考えたら」
そして、1年後に事故。家族がかけつけたときには脳死の状態に。
まるで眠っているように見えた。からだが温かい。

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「うちの娘をどう思いますか」 投稿者:てるてる  投稿日: 6月 2日(月)21時45分50秒

と、間澤さんがきくと、
医師「こんなに若くてきれいな娘さんを救えなくてすみません(I'm sorry)」

それで、亡き娘の意思を生かそうと決意した。
そして、6人のUSAの人の命が救われ、「命の贈り物」と紹介された。
間澤さん:移植医療はふたつの命で成り立っている。薬や部品ではない。


USAでは年間2000件以上の心臓移植。
日本では臓器移植法施行後5年間で17件。
間澤さん:移植の件数が増えないといわれる。命の大切さをみんなが考えてほしい。

5月17日、ドナー家族の会が開かれた。

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臓器提供意思表示カードの紹介 投稿者:てるてる  投稿日: 6月 2日(月)21時50分43秒

カードの大写し。
「脳死判定に同意します」と「臓器提供に同意しません」のところが明るくなっている映像。
コンビニエンスストアや郵便局や免許更新センターで置かれていることも紹介。

「これを機会に、(いのちのたいせつさや移植医療について)考えてみてください」というナレーション。

渡航移植に成功したこどもさんの紹介。
両親のことば「息子は命のたいせつさを教えてもらった張本人なんです。」

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中継終わりです 投稿者:てるてる  投稿日: 6月 2日(月)21時55分15秒

「ジカダンパン」も、一方的にならずに、ちゃんとした番組でした。
はじめに、心臓移植を待っていたこどもさんたちの元気な頃のビデオ映像、ほんとに愛くるしくて、すくすく育っているようで、この子がどうして、亡くなってしまうのか、と思いました。
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「ジカダンパン」補足 投稿者:てるてる  投稿日: 6月 2日(月)22時32分55秒

みのもんた:御自分のこどもさんが心臓移植が必要といわれたらどうしますか。
奈美悦子さん:それはもうあっちこっちに土下座してなんとしてでも移植手術ができるところへつれていきます。
今井通子さん:連れて行っても適合するドナーが現われるとは限らない。
三田寛子さん:渡航すればドナーが現われるとつい思っちゃうけど、そうじゃないんですね。

臓器移植について。 投稿者:pepe  投稿日: 6月 2日(月)22時29分33秒

今日臓器移植についてのテレビをみました。(てるてるさんが解説してるのん)私はドナーカードをもっています。みなさんはもっていますか??臓器移植についてどうおもいますか??私は自然な事と思っています。自分が死んだら燃やされるのだから、私の臓器で人が一人でも助かるなら、いいと思います。だからなんの抵抗もありません。15歳以下の移植についても、なぜ認めないのでしょうか??子供でも、提供する意思があるならそれを法律で認めないのは反対です。本人の意思がどうとか、やるべきでないとか、そんな事、だからなんなんですか??それを考えるのはとても大事だと思いますが、本人提供したいといってるのに、それに対して、NOといい、認めないのはどうかと思います。認めたら、提供したい人もしたくない人の意思も尊重されるのではないでしょうか??法律で認めてもらえないと、提供したい人の意思は尊重できません。みなさんはどうおもわれますか??

つつ"き。。。。提供したくないことに反対はできません。それも本人の意思だから。でも、私はドナーが増えてほしいと思います。15歳以下の移植については、自分のかわいい子供の臓器を見知らぬ他人のために・・・という意見もありますが、私はそれを聞くと悲しくなります。もしそんなかわいい自分の子供が臓器の移植なしでは助からない、しかも提供者が現れなくて死んでしまったら。自分には関係ないとか、そんなんなったことないから、、、とか、実感は持てないし、いまいちピンとこないかもしれませんが、実際、提供者がみつからず、幼い子供がなくなっているのは事実です。提供したくない意思を否定することはできませんが、すこしでも、理解と賛成ががふえてほしいです。


「ジカダンパン」と臓器移植法ガイドライン 投稿者:てるてる  投稿日: 6月 3日(火)08時49分26秒

きのうの「ジカダンパン」は、こどもが臓器提供の意思表示をすることを認めてはどうか? という論調だったと思います。
メイン掲示板でpepeさんも「ジカダンパン」を見て、こども本人に臓器提供の意思表示があれば認めることにすればいいではないか、という御意見を出されています。

「ジカダンパン」では、現在の臓器移植法では、15歳未満の人は、民法の遺言可能年齢を参考にして、臓器提供意思の表示が認められていないから、こどもからこどもへの心臓移植ができないのだ、と説明していました。
正確には、臓器移植法のガイドラインの規定です。

町野案こと厚生労働省研究班の改正案と、トリオ・ジャパンの主張では、おとなもこどもも本人の意思表示がなくても家族の同意だけで臓器提供できるようにしようとしています。
これだと、臓器移植法の本法を改正しなければなりません。

それに対して、森岡・杉本案では、15歳以上となっている臓器提供意思可能年齢を、12歳以上、または、6歳以上にしようとしています。 これだと、臓器移植法のガイドラインの改正で済みます。

なお、ガイドラインでは、本人の臓器提供意思に同意または拒否の意思表示をできる親族または遺族の範囲もまた定めています。

「原則として、配偶者、子、父母、孫、祖父母及び同居の親族の承諾を得るものとする。」

原則なので、実際には、これよりさらに広い範囲で、たとえば叔父伯父叔母伯母などが反対しても、臓器提供をとりやめているかもしれません。
それは実際には、そのときの状況で左右されるのは無理もありませんが、ガイドラインに定めている意思表示可能な親族の範囲が広すぎるのではないか、という意見もあります。
ここで意思表示可能といっているのは、つまり、本人に臓器提供の意思表示があっても、拒否できること、という意味です。
本人の意思を拒否できる親族の範囲を、配偶者に限るとか、親または成人の子に限るとか、狭くしたほうがいいのではないかという意見が出ています。

「てるてる案」では、原則として、成人は本人の意思表示だけでよい、こどもは本人の意思表示と親の同意が必要としています。
しかし、本人が臓器提供拒否権者を一名、指名しておけるようにもしています。

それから、スギケン先生がカナダでドナーカードに署名されたとき、自分は現在は意思を表示しない、死後に家族にきいてくれ、という項目を選んだと、「こどもの脳死・移植」(クリエイツかもがわ)に書かれていました。
こういう項目は、ドイツにもあり、日本でも、作ったほうがいいかもしれません。

ただし、これは、おとなに限る項目だと思います。
こどもの場合、たとえば「親にまかせる」などという項目を作っても、話になりません。
おとなが、「家族にまかせる」と書いた場合には、意味があります。
それも、スギケン先生のような、お医者さんで人生経験のある方と、20歳ぐらいで、ほんとのところ脳死のことも移植のこともよくわからないから、自分は今決められないという人とがいたら、やっぱり、そこで「家族にまかせる」ということの意味は変わってくるのですが、でも、10歳のこどもが「親にまかせる」というのと比べたら、充分に「まかせる」意味があります。

ただし、この場合も、現行の臓器移植法のガイドラインに知的障害者の臓器提供意思表示について、
「一律にその意思表示を有効と取り扱わない運用は適切ではないが、これらの意思表示の取扱いについては、今後さらに検討するべきものである」
と書かれているように、慎重にいろんなケースについて議論してから決めるべきだと思います。

てるてる案では、「家族にまかせる」と本人が書く項目を作ることは提案していません。
森岡・杉本案でも、町野案でも、日本移植者協議会案でも、そういう項目は提案されていません。
作ってもいいような気がしますが、よく考えたほうがいいと思います。


*関連リンク

臓器移植法の見直しをめぐる論点

臓器移植法改正を考える

臓器移植法

日本小児科学会公開フォーラム「子どもの死を考える」(2003/01/13)報告

KTVドキュメント「ふたつの命」(2003/04/29)報告

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