旧制第一高等学校寮歌解説

野球部凱歌

明治41年 

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1、古都千年の夢つつむ      さが野の春の花がすみ
  霞の奥の山びこは        一高軍の球の音
  きけますらをのおたけびを   あられたばしる武蔵野に
  きたへしかひな今よ今      力にうなるはれ軍
*「つつむ」は昭和50年寮歌集で「つゝむ」に訂正。

2、千草のはなやにしきをる    神樂が岡の戰に
  見よ我かちぬ友よ舞へ     いざや祝はん我勝利
  あめつちどよむ(かちどき)に      おどる健兒と諸共に
  うたふかなれも空高く      比叡の麓のあげひばり
原譜はと調又はBbとあったが、現譜と同じト長調とした。拍子は不変4拍子。
譜は、大正14年寮歌集を中心に、次のとおり変更された。

 1、「ことせんねんの」(1段1小節)の「ねん」  レーレ(大正14年寮歌集)
 2、「さがののはるのー」(1段3小節)の「はるのー」  ミーミレード(大正14年と平成16年寮歌集)
 3、「はながすみ」(1段4小節)の「な」  ド(大正14年寮歌集)
 4、「たまのおと」(2段4小節) ミソーレーミドー 前小節最後の「の」の4分音符を付点8分音符に変更して、「た」の音を前小節に移し、弱起とした(大正14年寮歌集)。「春爛漫」の「鳥は囀り」を歌い崩したのと同じ手法である(大正14年寮歌集)。
 5、「(き)けますらおの」(3段1小節)の「ま」 ソ(昭和10年寮歌集)
 6、「おたけびを」(3段2小節)の「び」  ラ
 7、「むさしのに」(3段4小節)の「に」 ソ(1オクターブ高い)(大正14年寮歌集 *誤植訂正か)
 8、「(き)たへしかひな」(4段1小節)の「えしか」 ソミーレ(昭和10年寮歌集)
 9、「いまよいま」(4段2小節)の2番目の「い」 ラ(昭和10年寮歌集)
10、「はれいくさ」(4段4小節) ミソーレーミドー 第4項の「たまのおと」と同じ方法で弱起とした。「筑紫の富士」の最後「忍ぶ哉」を歌い崩したのと同じ手法である(大正14年寮歌集)。 


語句の説明・解釈

この凱歌は、昭和10年寮歌集以来、「明治38年作」とあったが、平成16年寮歌集で明治41年作と改められた。対三高野球部定期対校戦は、明治39年に始まった。第1、2回とも試合は東京で行なわれた。明治40年に行なわれた第2回対校戦は三高が勝利したため、明治41年の第3回の対校戦は、負けた一高が京都に遠征することになった。同行応援団は約170名、寮生数百名が新橋駅まで見送った。試合は、4月9日、2A-1で一高が勝利し雪辱を果たした。

語句 箇所 説明・解釈
神樂が岡 2番歌詞 三高のあったところ。三高「逍遥の歌ー紅もゆる」の8番に「神楽ヶ岡の初時雨 老樹の梢傳ふ時」とある。
                        

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