旧制第一高等学校寮歌解説

昭和７年　

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	１、蒼穹深くはた極みなく　　　光の王座こゝにさだまる 　　柏葉茂りて誓ひや固し　　 時こそ來たれ今日をその名に 　　恥ぢず悔ゐずの戰に賭けむ 聞けや一千胸も裂けよと 　　雄たけびきほふ榮冠の歌 ２、大地涯(はて)なくはた搖ぎなく　　生命(いのち)の櫓こゝに築かる 　　橄欖實りて誇りや高し　　　時こそ來たれ今日をその名に 　　意氣と力の狼火(のろし)に搏(う)たむ　聞けや一千足も折れよと 　　踏みつれあぐる榮冠の歌
譜に変更はない。

語句の説明・解釈

陸運・端艇・野球・庭球の四部對三高戦は大正１３年に始まった。翌１４年に一高は、まさかの四部全敗を喫した。この屈辱に、全校揚げて對三高戦四部全勝を祈願し、選手は血の滲むような猛練習に耐え、雪辱に燃えた。昭和４年、５年と三部優勝をするも、あと一歩のところで全勝を逃した。切歯扼腕、今度こそと望んだ昭和６年は、端艇を除く陸運・野球・庭球の三部が敗北、逆に三高に全勝を許すところであった。昭和７年、「今年こそ四部全勝を」と絶叫を繰り返していた時に作られたのが、この應援歌である。しかし、この應援歌は、一高生の趣味に合わなかったか、ほとんど歌われずに終わった。 　ちなみに、一高が悲願の四部全勝を初めて達成したのは、昭和９年のことであった。

　　　　　　　　　　　

語句	箇所	説明・解釈
蒼穹	１番歌詞	あおぞら。おおぞら。
柏葉	１番歌詞	一高の武の象徴。
一千	１番歌詞	全寮生の数。
橄欖	２番歌詞	一高の文の象徴。柏葉橄欖は一高の校章。