旧制第一高等学校寮歌解説

御大典奉祝歌(昭和天皇2)

昭和3年 

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神の代ながらに      すめらみことは
いなほみのる秋      ふるき都に
あめつちのもなか     すめおほがみの
ひつぎのみくらに      のぼりたまふよ
いざやとこしへを      祝ひまつらん
我らも

おほなめまつりの      灯ゆるくゆらぎ
おほあへのむしろ      あや雲なびく
やちよろづびとの      ことほぐ歌は
わたつみをこえて      とよみ渡るよ
いざやほがらかに      うたひまつらん
我らも
ハ長調 3拍子の譜に変更はない。MIDI演奏は、左右とも同じ演奏である。

速度表示の「Allegro」は「快速に」、「maestoso」は「荘重に」という意味である。アウフタクトの曲で、最初と最後の小節が不完全。基本的に4分音符と2分音符の組合せで、何かに追いかけられる感じで、しかも音域があって、この奉祝歌も一般の寮生には歌うのがきつかったのではないか。特に、後半の5、6、7段は、老年の私には声が出なく、難しい。


語句の説明・解釈

 昭和10年11月10日、昭和天皇は京都紫宸殿で即位礼を挙行した。一高では、倫理講堂で即位奉賀式、夜、提灯行列。日を改めて、16日に奉祝晩餐会を行なった。この時に歌われた奉祝歌二つの歌のうちの一つである。ここで、大典とは、天皇即位式のことである。
           
語句 箇所 説明・解釈
すめらみこと 1番歌詞 天皇の尊称。「すめら」(スメロの母音交替形)とは、最高の主権者。一地域、また、日本全土についていう。
ふるき都 1番歌詞 京都。冒頭に記したように、昭和天皇は京都紫宸殿で即位礼を挙行した。
あめつちのもなか 1番歌詞 天つ神国つ神が見守る中で、の意か。
すめおほがみ 1番歌詞 皇大神。皇室の祖先神、天照大神のこと。
ひつぎ 1番歌詞 「日嗣」(日の神の大命で、大業をつぎつぎにしろしめす意という)で、天皇の位。皇位。
みくら 1番歌詞 高御座(たかみくら)」のことで、天皇の玉座。平安時代以来、大極殿または紫宸殿に置き、即位・朝賀・蕃客引見などの大礼の際 に用いた。
おほなめまつり 2番歌詞 大嘗祭。天皇が即位後初めて行なう新嘗祭のこと。その年の新穀を献じて自ら天照大神および天神地祇を祀る、一代一度の大祭。
おほあへ 2番歌詞 大饗。ここでは、即位礼・大嘗祭に行なう大饗宴。
むしろ 2番歌詞 宴席。
やちよろずびと 2番歌詞 八千万人。全国民。
わたつみ 2番歌詞 海。
とよみ 2番歌詞 あたりに鳴り響くこと。
            

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