渓流の語り部

平成18年度 渓流話
 長男が岩手の学舎より戻ってきた。というより連れて帰ってきた。体調の悪い中、三陸キャンパスの下の下宿より引っ越し。荷物はたいしてないが、車二台分はあった。1日整理、2日目は遠野の釣具店と河童淵へ。さすがに岩手の釣具屋、何でもそろっている。ルアーは7グラムから40グラムまで。河童淵は修理中。途中小雪が混じる寒さ。3日目は学舎見学と帰路。さすが大学は専門性の者・物がごろごろしている。専門科教室に続く階段には所狭しとウェットスーツやばかながが乾されており、怪しさを醸し出していた。日曜日の教室は閑散としていたが、怪しい者はいるものである。ところどころの教室のベンチには布団が置かれ、卒論の苦労さがにじみ出ている。研究室は足の踏み場がないぐらいのすごさだ。魚の研究を行いと同時に干物を食らう。衣食勉便同源だ。これを片付けるのは新年度の新4年生の第一の仕事だそうだ。恐ろしい限りだ。つぎに1階の水槽を見学。何が入っているのか予測不可能。その後、3階の食堂へ。受け持ち教授と挨拶を終え、学食を食べる。私の時とたいした違いはないが、さすが魚類はうまそうである。大学を後にして思うと「この大学は、ここの生活は天国である。」半島のいたるところで引っ越しの準備をしている。しかし、その姿はいかにも名残惜しそうである。みんな帰りたくないのである。大学院に残る者もいれば、去れない者もいる。私自身、長男を連れ戻すもどすには後ろ髪が引かれる。このような場所で好きな釣りをし、好きな勉強ができればそれ以上幸せなことはない。吉浜湾をあとにし、スタンドでガソリンを入れているところに院に残る仲間がきた。長男と抱き合い、名残惜しんでいた。二人ともこれからの生活に不安を抱いていたことであろう。しかたないことだと自分に言い聞かせた。そして大学・半島にお礼を言いエンジンを回した。
 
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Last updated: 2008/6/9