この派生ゲームを、オプション取り引きの用語でいうと、以下の通り。
元ゲーム 元商品(例えば、株式とする)
派生ゲーム 株式上の派生商品(この場合は、ヨーロッパ型コールオプション)
コイン 株価の変動を模擬的に示す
上例の1000円 株の現在の価格
上例の800円 行使価格
ゲームへの参加、不参加を決める権利の代金 プレミアム
A 買い手(プレミアムを払う人)
B 売り手(プレミアムを受け取る人)
N回目 満期(上例では2)
以下に、関連事項、注意事項を述べる。
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(1)プットオプションとは?
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プットオプションとは、コールオプションとは逆に、売る権利のことである。同じ例で、Aはプットオプションの買い手、Bは売り手とする。
株価が250円になったら、Aは行使価格800円で売れるから、差し引き550円の儲けとなる。それ以外の時は行使しない。
これのプレミアムは金利を考えないと、244円となる。
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(2)オプションには、ヨーロッパ型とアメリカ型がある。従って、コールとプット組み合わせ |
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ると、四種類存在する。 これから説明するのは、ヨーロッパ型コールであるが、ヨーロッパ型プットも殆ど同じように考えることができる。
実は、コールもプットも、もっと一般化して自由に商品を作ることができる。(後述)
これに反して、アメリカ型では、或る程度思考の飛躍が必要となる。
実は飛躍させた上でヨーロッパ型とアメリカ型も共通に定式化できるのであるが、やはり取り扱いはそうとう異なるので、あまり共通化のメリットはないようだ。
いずれにしろ、ここでは説明しない。 |
(3)上例では、コインを用いている。(裏表の確率=0.5)
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2項モデルだからサイコロでではまずいが、裏表の確率を変えた変造コインでも良い。
また、そのコインを、時々刻々しかも、現れた状態(表・裏)それぞれ別々に変えても良い。
実際の株価の変動は難しいが、離散数理モデルでは、株価の変動は基本的にはコイン投げで表現している。 |
(4)金利を考えるとは? |
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ゲームの場合なら、金利は考える必要はないが、現実の金融では事情が違ってくる。
仮にゲームに例えるなら、1回目のサイコロを振るのを来年とし、2回目のサイコロを振るのを再来年とするような場合は、
金の価値は変わってくることを慮しなければならない。
例えば、物価の上昇率を年10%とすると、以下のような換算をしなければならない。
100円(今年)=100円/1.1(一年前)=90円(一年前)
金融工学の分野では、この「物価の上昇率」を安全証券の利子率などと表現する。
安全証券とは、基本的な(安全な)な預金(多分に仮想的な)のことで、その利息は金の価値の変動(上昇・下落)を表わすと考える。
つまり、安全証券の利息は、儲けではなく、金の価値の、時間によらない基準化のための指標と考えるべきである。 この考え方は、オプションによらず、金融一般で重要である。
このため、安全証券の利子率は、デイスカウンターと呼ばれることもある。 |