8− マルチンゲールとストッピングタイム
マルチンゲールは、「公正なゲームを数学的に表現したもの」と言われる。しかし、この
説明はあまり核心をついていない。
次のような二つのゲームを考える。
ゲーム1
AとBがコイン(普通の)を使ったゲームをする。表がでたらAは100円もらい、裏がで
たら100払う。これを2回行う。
ゲーム2
ゲーム1で、2回目のルールを以下のように変える。
1回目で表がでた時、2回目で表がでたらAは100円もらい、裏がでたら50円払う。
1回目で裏がでた時、2回目で表がでたらAは50円もらい、裏がでたら100円払う。
二つのゲームはどちらも2回目の期待値は0となるから、どちらも公平なゲームである。
( ゲーム2の期待値=1/4×200+1/4×50+1/4×(−50)+1/4×(−200)=0 )
ところが、ゲーム1はマルチンゲールであるが、ゲーム2はマルチンゲールではない。
何故か?
ゲーム2において、Aに対して、1回目の結果をみて続行か中止かを選ぶ権利を与えたと
する。すると当然Aは、「1回目で表がでたら続行、裏がでたら中止」という作戦を選ぶ。
何故なら、その場合の期待値は
期待値=1/2×(−100)+1/4×200+1/4×50)=12.5円
となって、Aに有利となるからである。
ゲーム1の場合はどのような作戦をとろうと、常に期待値=0となる。
因みに、作戦は以下の4つである。
・1回目で表がでたら続行、裏がでたら中止
・1回目で表がでたら中止、裏がでたら続行
・どちらでも中止
・どちらでも続行
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