7− いろいろな派生商品を作る
コールオプションの価格の決め方を復習しよう。(2期モデルとする。)
関数 F(X)= |X―K|+ に対して
2期目の株価の確率変数S2 を代入して
C2 = |S2―K|+を定義し、0期のコールオプションの価格を以下の式で決めた。
C0 =E*(C2)/r2
プットオプションの場合は、関数F(X)= |K―X|+に対して全く同様のことをやれば
良い。実は関数F(X)は、(非負でありさえすれば)全く任意に決めて良いのである。
例えば、次のような商品を考える。
コールオプションでは、株価が上昇すれば売り手の損失も増大するから、制限を加えよう
。(LはKより大きい数)
F(X)= |X―K|+ X < Lの時
F(X)= L―K X >= L の時
このF(X)に対して
C0 =E*(F(S2))/r2
として、この“上限付きコールオプション”の価格を決めることができる。当然コールオ
プションの価格よりも安くなる。オプション商品と言う場合は、何らかの形で行使価格が
組み込まれていないとシックリこないが、派生商品と言えばもはや行使価格も必須ではな
い。F(X)は、単に非負の関数でありさえすれば良い。
更に一般化することができる。
コールオプションは2期目の株価だけを考えたが、履歴を考えよう。
例えば、関数 F(X1 、X2)= |(X1+X2)/2―K|+ を考える。
C2 = |(S1+S2)/2―K|+ となる。
コールオプションと全く同じように、
C0 =E*(F(S1 、S2))/r2
として、この“履歴平均型コールオプション”の価格を決めることができる。
N期モデルについての一般型は、
F(X1 、X2 、・・・、XN)
となる。(但し、非負)
リスク中立確率を用いるとこのように簡潔に表現できるという事実は、リスク中立確率の
重要性を示している。
ともあれ、金融マンは、投資家をひきつけるようなF(X1 、X2 、・・・、XN)を考案
することになる。
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