作成日 | 最終更新日 | マビノギのバージョン(作成時) |
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2005年2月19日 | 2005年3月 5日 | 18 |
2005年2月4日の夜は更け、日付は、2005年2月5日にかわっていた。
クローズドβテスト期間の 6日目だった。
前回の私記で述べたとおり、「ティルコネイル」の周辺に湧く敵は、
先に攻撃を仕掛けてくることがなかった。
私は、この性質を利用しながら戦闘を繰り返すことにした。
「私」の経験値を得るためのみならず、
私が「マビノギ」の戦闘システムに慣れる必要があると考えたためだった。
この画像で、「私」が座っているのは、 生活スキルのひとつである「休憩」を使用しているためだった。
「休憩」は、NPC「ノラ」に話しかければ、修得することができた。
修得は、1 日目の時点で済ませていたものの、
戦闘の合間に使用するのは、このときが初めてだった。
「休憩」を使用している間は、
「生命力」(マビノギでは、「HP」ではなく、「Life」だった)や
「スタミナ」が早く回復する上に、「Wound」も回復できるとのことだった
(生命力とスタミナは、「休憩」を使用しなくとも、時間の経過とともに回復した)。
この時点では、「休憩」を使用しても、
生命力とスタミナの回復は、わずかしか早くならないように思えた。
前述の画像は、「褐色キツネ」を相手に苦戦していたことをしめすものでもあった。
この時点における「私」の弱さは、
「マビノギの私記 4」
において言及したとおりだった。
しかし、「木の棒」を装備させた途端、状況は、一変した。
これまで倒すことのできなかった「白クモ」や「赤キツネ」を倒すことができた。
褐色キツネに関しては、多対一の戦闘となっても、
楽に狩ることができるようになっていた。
私は、「木の棒」の「耐久力」の低さに不安を感じたため、
「ショートソード」を入手するまでは、
「採集用ナイフ」を使い続けようと考えていた。
この考えは、完全な誤りだった。
「木の棒」と「採集用ナイフ」の「攻撃」の相違は、予想以上の大差だった。
「私」がレベル5 に到達した頃、 「ダンジョンの宝物」というクエストが課せられた。
つい先程、白クモや赤キツネを倒すことができるようになったばかりの 「私」にとって、無謀なものであることは、容易に想像できた。
「無謀だから、何だというのか」と私は思った。
「アルビダンジョン」では、
これまでに見たこともない敵を相手にすることとなった。
しかし、戦闘を行ってみると、
「木の棒」のみでも倒すことのできる程度のものばかりに見えた。
そのときだった。
まさか、このような序盤で、 動画再生をともなって登場するような敵に遭遇することになろうとは、 思ってもいなかった。
これに対しては、逃げる以外になかった。
「木の棒」による攻撃を命中させても、
相手の生命力がほとんど減少していないように見えたためだった。
マビノギのプレイヤキャラクタは、
一定期間毎に加齢されることが知られていた。
この期間は、エリン時間ではなく、実際の時間に基づいていた。
クローズドβテストでは、土曜日に加齢されるとのことだった。
しかし、土曜日の正午を過ぎても、「私」は、10歳のままだった。
一旦、ログアウトした後、ログインすると、
「私」は、突然、11歳になった。
どうやら、ログアウトせずにプレイし続けていると、加齢されないようだった。
スキルを修得する際、および、スキルのランクを上昇させる際には、
多くの場合、AP が必要だった。
消費した AP を生命力やスタミナと同じような方法で回復させることはできなかった。
AP を得るためには、特定のクエストを遂行するか、
プレイヤキャラクタのレベルを上昇させるか、
プレイヤキャラクタが加齢される必要があった。
プレイヤキャラクタのレベルが上昇した場合に得る AP は、1 だった。
クエストを遂行した際に得る AP も、ほとんどの場合は、1 だった。
一方、加齢された場合に得る AP は、前述の 2種よりも多かった。
10歳から11歳に加齢された場合には、AP を 5 得た。
加齢の際に得る AP は、プレイヤキャラクタの年齢が低いほど多く、 一定の年齢を超えると、加齢されても AP を得ることができないとの情報もあった。
加齢による「基本能力」の上昇については、すでに、 「マビノギの私記 1」で述べた。
アルビダンジョンでの戦闘から、少なくとも、武器が「木の棒」のみでは、
如何ともし難いのは、明らかだった。
まずは、武器の調達に重点を置く方針とした。
本来ならば、「ショートソード」を購入したいところだった。
しかし、4,000 Gold の調達には、まだ、時間を要した。
そこで、「ショートボウ」を購入した。
これには、
マビノギにおける「遠距離攻撃」というものを知っておこうという考えもあった。
ショートボウを使用するためには、「矢」も購入しておく必要があった。
マビノギでは、弓が右手に、矢は左手に装備された。
矢は、100本までを左手に装備させることができ、
100本を超える分は、「インベントリ」内に収納された。
当然のことながら、矢は、遠距離攻撃を行う度に消費された。
しかし、敵を倒した際に矢を入手できることも多かった。
遠距離攻撃の能力は、戦闘スキル「レンジアタック」
のランクを上げることによって向上するとのことだった。
レンジアタックを修得するための手順は、複数存在するようだった。
「私」は、トレフォーとの会話でキーワード「遠距離攻撃」を得た後、
NPC「レイナルド」との会話でキーワード「弓」を得るという手順を経た。
しかし、きくところによると、
鍛冶屋でいきなりショートボウを購入した後、それを装備すれば、
修得できるらしかった。
また、戦闘スキル「クリティカルヒット」の効果は、
線距離攻撃にも反映されるらしかった。
「私」は、レンジアタックを修得すると、間もなく、
遠距離攻撃の戦闘スキルのひとつである「マグナムショット」も修得した。
実際に、褐色キツネなどに使用してみると、
ショートボウによる遠距離攻撃の威力は、絶大なものに見えた。
これを心強く思った私は、アルビダンジョンの西側に行ってみることにした。
「シドスネッター」で見つけた「コヨーテ」に攻撃を仕掛けてみた。
結果は、散々なものだった。
現時点で、この辺りの敵を相手にすべきではないと判断した。
「シドスネッター」での惨敗から、物事を成し遂げるためには、時として、 順序というものが重要なのかも知れないという考えに至っていた。
そこで、私は、先程の方針どおり、さらなる武器の調達を行うこととした。
そのためには、資金が必要だった。
ここまでの戦闘から、敵を倒しても、
わずかな Gold しか得ることができないことがよくわかっていた。
どのようにして Gold を得たかについては、
「マビノギの私記 2」で述べたとおりだった。
そして、ついに、ショートソードを購入した。
この画像で、右手の装備欄の右上にショートボウが、
左手の装備欄の右上に矢がそれぞれ小さく表示されているのは、
2組の武器を同時に装備していることをしめしていた。
この時点で、キーボード上の Tabキーを打鍵すれば、
ショートボウと矢の方が大きく表示されるはずだった。
戦闘中に Tabキーを打鍵すれば、使用する武器を変更することも可能だった。
ショートソードを装備した結果、いままでは、倒すことができるという程度だった 白クモもどうにか狩ることができる状況となった。
そればかりではなかった。
「灰色オオカミ」を倒すことが可能となった。
物事の順序という観点でいえば、 近接攻撃の能力は、優れた武器を装備することのみならず、 戦闘スキルのランクを上昇させることによっても向上する ということを先に述べるべきだった。
ランクを上昇させることが通常の近接攻撃の能力の向上に最も寄与する戦闘スキルは、
やはり、「アタック」であると考えられた。
これに加え、「クリティカルヒット」は、
スタミナの温存という観点において効果が大きいと私は実感していた。
一方、最もランクを上げるべき戦闘スキルは、
「ディフェンス」であるという考えもあった。
しかし、その根拠を私が認識するのは、7日目になってからのことだった。
また、この時点の「私」は、
「ウィンドミル」、「スマッシュ」、「カウンターアタック」も修得していた。
これらは、アタックと違い、特殊な攻撃を繰り出す戦闘スキルだった。
マビノギにおける近接攻撃の真髄は、
戦闘スキルのランクを上昇させることではなく、
「如何なるリズムでアタックを繰り出すか」と
「各戦闘スキルを如何なる組み合わせで繰り出すか」
という 2 点につきるということに気づき始めていた。
しかし、この時点の私にとっては、
まさに「言うは易く行うは難し」という状況だった。
灰色オオカミを倒すことが可能となったため、 私は、「マビノギの私記 4」 で述べた「羊飼いの頼み」というクエストを遂行できる可能性が生じたと判断した。
「羊飼いの頼み」の難しさは、灰色オオカミを倒すことができるか否かよりも、 期限内に目的を達成できるか否かであると、私は、考えていた。
「羊飼いの頼み」の期限は、エリン時間で、「1日と1時間」だった。
これは、とうに過ぎていた。
「放棄」を選択した後、NPC「デイアン」に
キーワード「キャンプファイア」で話しかけると、
再び「羊飼いの頼み」が課せられた。
期限は、「1日と1時間」にもどっていた。
かくして、「私」は、生活スキル「キャンプファイア」を修得した。
NPC から本をもらう種類のスキルを修得するためには、
「熟読」を成功させる必要があった。
熟読には、スタミナを消耗した。
また、キャンプファイアを使用するためには、「薪」が必要だった。
「マビノギの私記 2」で述べたとおり、
「薪」を得るためには、「採集用斧」が必要だった。
これらは、インベントリを圧迫した。
マビノギの生活スキルは、単独で成り立たないものが多いように思った。
先程のショートソードの購入で、資金調達のすべを把握できたため、
この時点では、多少の余裕があった。
おりしも、「初心者用ズボン」の消耗が進んでいたので、
「ベストとズボン」を購入した。
このまま、初心者用ズボンを修理しながら装備し続けるというのも一興だった。
しかし、これまでの戦闘における防御面での脆弱さを考慮すると、
多少なりとも、まともなものを装備させておくべきであるように思えた。
ついでに、ローブを購入した。
ローブには、「ローブ」と「スレンダーローブ」の 2種類があった。
当初は、色彩の好みからローブを購入した。
しかし、後に、形状の好みから、スレンダーローブを購入した。
性能面での両者の相違はなかった。
NPC が販売するアイテムの色彩は、
エリン時間の 0時の時点で無作為に変更されるようだった。
Gold の浪費だった。
しかし、多少の浪費は厭わなかった。
2003年の10月頃、私が初めてマビノギの存在を知って以来、
目に焼きついて離れなかったこの姿に、
ようやくたどり着くことができたと感じていたためだった。
「私」がティルコネイルの雑貨屋でスレンダーローブを装備した頃、 6日目の夜は更け、7日目を迎えようとしていた。