作成日 | 最終更新日 | マビノギのバージョン(作成時) |
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2005年2月20日 | 2005年3月 7日 | 18 |
2005年2月5日の夜は更け、日付は、2005年2月6日にかわっていた。
クローズドβテスト期間の 7日目だった。
「マビノギ」において、スキルのランクを上昇させるためには、
特定のクエストを遂行するか、「トレーニング」を行う必要があった。
スキルのトレーニングとは、そのスキルに関連する操作を行うか、
特定の事象を発生させることだった。
トレーニングの回数が一定値に到達すると、
スキルのランクを上昇させることができた。
トレーニングの方法は、スキル毎に異なっているばかりでなく、
ひとつのスキルでも複数のトレーニング方法がある場合があった。
あるスキルのすべてのトレーニング方法の回数が一定値に到達すると、
「パーフェクト・トレーニングボーナス」を得ることができた。
7日目を迎えて間もなく、 「私」の「クリティカルヒット」の「トレーニング」が「完璧」になったので、 クリティカルヒットのランクを上昇させた。
なお、スキルのランクを上昇させると、多くの場合、
AP を消費する結果となるので、注意が必要だった。
AP を得る契機については、
「マビノギの私記 6」で述べた。
そして、再び、「アルビダンジョン」に挑んだ。
最初にアルビダンジョンに到達した時点にくらべ、
「私」の装備は充実していた上に、各戦闘スキルのランクも上昇していた。
しかし、「巨大クモ」を倒すことはできなかった。
ただし、今回は、「私」の攻撃が命中すれば、
敵の「生命力」が減少することを確認できた。
Hit and Away 的な攻撃を繰り返せば、
倒すことができるのではないかという兆しが見えたように感じていた。
後に、この考えがあまり有効でないことを知った。
この時点の私は、「私」が巨大クモを倒せない真の原因に気づいていなかった。
前回の私記で、私は、物事を成し遂げるためには、時として、
順序というものが重要なのかも知れないと述べた。
物事の順序といえば、
「私」は、これまで、1 度も授業というものを受けたことがなかった。
そこで、NPC「レイナルド」の授業を受けてみることにした。
レイナルドは、鍛冶屋の「ファーガス」と並んで、
私が気に入っている NPC だった。
一般論として、RPG におけるこの種の NPC は、
ただ冷徹なだけの存在として描かれていることが多かった。
しかし、私は、レイナルドが熱血のたぎる教育者であるばかりでなく、
プレイヤを見守る存在として設定されていることに好感をもっていた。
例えば、「アタック」の「トレーニング」を行うと、 気の利いたセリフを見ることができた。
初級戦闘学には、1~3 のコースがあった。
例えば、「初級戦闘学2」を受けるためには、
「初級戦闘学1」を完了している必要があった。
「初級戦闘学1」および「初級戦闘学2」には各3回、
「初級戦闘学3」には 5回の授業があった。
いずれも、エリン時間で 1 日につき 1 回の授業しか受けることができなかった。
つまり、「初級戦闘学1」~「初級戦闘学3」を終了するためには、
最短でも、エリン時間で 11日を要した。
各コースを開始するためには、Gold が必要だった。
「初級戦闘学1」は 300 Gold、「初級戦闘学2」は 500 Gold、
そして、「初級戦闘学5」は 1000 Gold だった。
例えば、「初級戦闘学1」の開始時に 300 Gold を支払えば、
「初級戦闘学1-1」、「初級戦闘学1-2」、「初級戦闘学1-3」
という 3回(3日)の授業を受けることができた。
プレイヤキャラクタにとってありがたいのは、授業の効果だった。
授業を 1回受ける毎に、経験値を 100 得た。
各コースの最後には、「課題」があった。
課題は、一種のクエストで、完了させると、「基本能力」が向上した。
「初級戦闘学1」で、最も印象に残っている内容は、次の画像のものだった。
私が知る限り、ダンジョン内でも、「生命力」は、回復できた。
しかし、画像のとおり、ダンジョン内で「Wound」を回復するためには、
「キャンプファイア」が必要だった。
一方、「スタミナ」に関しては、
ダンジョン内でも、通常のフィールドと大差のない速度で回復するように感じた。
「初級戦闘学1」の課題は、次のものだった。
これは、素手でも遂行可能な内容だった。
もっと早期に遂行していれば、より効果を実感できると考えられた。
この時点の私は、次の画像の内容こそ、 マビノギにおける近接攻撃の基本であると気づき始めていた。
マビノギにおいて、
連続的にアタックを行うことのできる回数は、装備に依存した。
具体的には、刃物や木の棒が 3打、斧や鈍器が 2打だった。
この時点の「私」の武器は、「ショートソード」だったので、3打攻撃が可能だった。
3打目が命中すると、敵は、飛ばされるか、滑りながら後退した。
敵と「私」との間に距離が空くと、敵には反撃の機会が生じた。
この場合、敵は、「立ち上がり優先権」を得るので、
次に両者がアタックを繰り出すと、非常に高い確率で、
「私」の方が大きな被害を受けた。
前述の状況で、「私」が敵の反撃を防ぎ、再び攻撃に転じるためには、 以降のいずれかのスキルを使用するという方法が考えられた。
これらの内、最も有効なものは、ディフェンスだった。
ディフェンスの次に有効だったのは、カウンターアタックだった。
しかし、カウンターアタックは、スタミナの消耗が大きいため、
「私」のようにプレイヤキャラクタの年齢が 10歳~11歳の場合には使い難かった。
また、カウンターアタックが命中すると、敵と「私」との間に再び距離が空いた。
このため、カウンターアタックで止めを刺すことができなかった場合には、
ディフェンスを使用した場合よりも不利になった。
ウィンドミルを発動させた状態で、
「私」の足元の少し敵寄りの地点にマウスカーソルを置いておき、
敵が接近し始めた瞬間にクリックすると、
カウンターアタックと類似の挙動となった。
スタミナの消耗が小さいという観点では、カウンターアタックよりも有利だった。
しかし、止めを刺すことができなかった場合に不利である点は、
カウンターアタックと同様だった。
これに加え、周囲に敵が存在した場合、
どの敵を巻き込むか予想し難いので、使い難かった。
アタックを使用した場合には、どの敵を巻き込むか直感的に予想できた。
ところが、ウィンドミルを使用した場合、予想外の敵を巻き込んでしまうので、
多対一の戦闘を強いられる結果となった。
この時点の私が知る限り、マビノギにおける敵は、必ず、
最後に攻撃を行ったプレイヤキャラクタに反撃を行った。
照準した敵以外が攻撃に巻き込まれた場合、
反撃を行ってくるか否かは、敵種に依存するようだった。
また、ウィンドミルは、プレイヤキャラクタの生命力を必ず消耗させた。
「私」のようにプレイヤキャラクタの年齢が 10歳~11歳の場合には、致命的だった。
これが原因で「私」が「行動不能」になったこともあった。
レンジアタックやマグナムショットは、
敵のディフェンスやカウンターアタックおよびスマッシュを無効化することができた。
しかし、
敵がアタックを仕掛けてきた場合には、照準が間に合わないことが多かった。
そもそも、剣から弓と矢に武器を変更するだけでも、時間的には、不利だった。
ただし、剣での攻撃にくらべ、攻撃力やクリティカル率が高いので、
命中さえすれば、止めを刺せることが多かった。
「私」が「マビノギの私記 6」
の時点で「灰色オオカミ」を倒すことができたのは、
このためであると考えられた。
一方、スタミナという観点では、カウンターアタックと同様に不利だった。
この時点の「私」は、魔法スキルを修得していないので、 魔法スキルによる遠距離攻撃という選択肢はなかった。
「初級戦闘学」では、
敵が使用したスキルを見極めてから行動せよという主旨の内容が繰り返された。
この時点の私は、本当に、このとおりに行動しようとしていた。
しかし、後に、私は、敵のスキルを見極めてから行動したのでは、
敵の反撃に間に合わないことに気づいた。
間に合わせるためには、「私」が 3打目を繰り出すと同時に、
次のスキルを使用する必要があった。
逆もまた真なりだった。
敵の 1打目、2打目を受けたときにディフェンスを使用しても、
ディフェンスが発動する前に次の攻撃を受けてしまうことが多かった。
マビノギでは、アタック以外のスキルの使用中に敵の攻撃を受けた場合、
そのスキルが無効化されてしまうためだった。
一方、敵の 3打目を受け、
「私」が飛ばされるか後退し始めた瞬間にディフェンスを使用すれば、
反撃に転じることが可能だった。
ただし、「私」のようにプレイヤキャラクタの年齢が 10歳~11歳の場合には、
敵の 3打目を受けた瞬間に行動不能となっていることも多かった。
次の画像の内容は、 「初級戦闘学」全般において、私が最も強い印象を受けたものだった。
少なくとも、クローズドβテスト期間中に関する限り、
この内容は、事実であると実感していた。
例えば、「初心者用ズボン」の防御力は、僅か、1 だった。
「マビノギの私記 6」において、
「私」は、ようやく、「ベストとズボン」を防備していた。
これの防御力は、高々、2 だった。
ローブ類は、なんと、防御力が 0 だった。
クローズドβテストの範囲内で購入可能な最も防御力の高い鎧ですら、
精々、4 に過ぎなかった。
ディフェンスのランクを上昇させると、スキル使用時ばかりでなく、
ディフェンスを使用していない状態での防御力も向上した。
これに加え、生命力も向上した。
マビノギにおける防具が今後もこのようなものであるならば、
ディフェンスこそ最もランクを上昇させるべき戦闘スキルであると考えられた。
「初級戦闘学2」の課題は、次のものだった。
したがって、「私」のようにプレイヤキャラクタの年齢が 10歳~11歳の場合には、 「初級戦闘学2」を受ける前に、「木の棒」か 「木の棒」よりも優れた武器を調達しておくことが望ましいと考えられた。
「初級戦闘学3」を申し込むと、うれしいことに、次のセリフを見ることができた。
「初級戦闘学3」で最も印象に残っている内容は、次の画像のものだった。
前述のとおり、敵のスキルを見極めてから行動すると、敵の反撃に間に合わないので、 プレイヤキャラクタが 3打目を繰り出すと同時に、 次のスキルを使用する必要があった。
「私」の場合には、まず、ディフェンスを使用することにしていた。
しかし、敵もディフェンスを使用した場合には、時間の浪費となってしまっていた。
このときに、「スマッシュ」を使用すると、
敵のディフェンスを突破して大打撃を与えることができた。
スマッシュには、画像の内容のとおりの短所があった。
敵がカウンターアタックを使用した場合にスマッシュを使用してしまうと、
「私」の方が甚大な被害を受けた。
敵のスキルがディフェンスかカウンターアタックかを区別するためには、
敵の移動速度を観察すればよいといわれていた。
前者ならば、敵の移動速度が低下し、後者ならば、敵が移動しなくなるはずだった。
しかし、両者を瞬時に区別するのは、困難であるというのが実状だった。
区別してからスマッシュを使用しようとすると、
その間に敵がアタックに転じてしまうことが多かった。
敵がアタックを仕掛けた場合にスマッシュを使用してしまうと、
必ず、「私」の方が被害を受けた。
そこで、「マビノギの私記 6」までの私は、このような場合、
レンジアタックやマグナムショットを使用することにしていた。
これらには、「初級戦闘学2」で述べたような短所があるものの、
スマッシュよりは、安全であると考えていたためだった。
いずれにしても、ディフェンスの次に使用したスキルで止めを刺せなかった場合には、
不利な状況となった。
そもそも、「私」のようにプレイヤキャラクタの年齢が 10歳~11歳の場合、
ディフェンスの後にアタック以外の戦闘スキルを使用するという行為自体が
スタミナという観点で困難だった。
このような行為を強行すると、スタミナが不足してしまうため、
後続の攻撃を繰り出すこと自体ができなくなった。
結局のところ、敵がディフェンスまたはカウンターアタックを使用した場合、 この時点の「私」にとって、最も有効な対処方法は、 ディフェンスを使用したまま、敵が攻撃に転じるまで待機しておき、 ディフェンスで敵の攻撃を防いだ後に、アタックを 3回命中させるというものだった。
しかし、
ディフェンスを発動させたまま待機しているときに敵のスマッシュを受けてしまうと、
当然のことながら、「私」の方が甚大な被害を受けた。
そこで、敵がスマッシュを使用した場合だけは、
ディフェンスを解除してアタックで対処することにした。
アタックで対処するという方法は、偶然気づいたものだった。
敵がスマッシュを使用した場合、明らかに「私」に向かって走行するため、
とっさにアタックを出したのがきっかけだった。
私が知る限り、使用したスキルを解除する操作法には、以降のものがあった。
これらの操作は、戦闘スキル以外のスキルについても使用可能だったので、 アルバイトの際にも役に立った。
ところで、 私は、ディフェンスを使用している敵にウィンドミルを命中させると、 どのような結果となるか興味があった。
私は、何度か試したものの、確認できなかった。
ディフェンスを使用している敵は、「私」との間に距離を保とうとするため、
ウィンドミルの射程距離内に入れることが困難だったためだった。
「初級戦闘学3-5」を受けると、突然、次のセリフを目にすることとなった。
「初級戦闘学3」の課題は、次のものだった。
皮肉な展開であると感じた。
しかし、ここまでの授業だけでも、 投資を上回る経験値や基本能力の向上を得たと確信していた。