Nairobi Today #6

お食事中も背後に一定の注意が必要です

Nairobi Today #1

Nairobi Today #2

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Nairobi Today #4


Nairobi Today #5

Nairobi Today #7

Nairobi Today #8
皆さん、お元気でしょうか? 
私は元気ですが、遂に強盗に襲われてしまいました。結論から言うと、私と嫁には身体及び財産共にまったく被害はなかったのですが、夜警が大怪我をし、犬も2匹殺されてしまいました。
今回はそのお話から。

問題の事件の6時間前、父は再び日本に向かって一時帰国の途に。従い、家の中には私と嫁のみ。後は、夜警1名と、住み込みのお手伝いさんと庭師が各1名。その日は珍しく一日中雨が降っていました。

16日(土)午前4時頃、突然窓を叩かれ、住み込みの庭師に起こされました。"problem! problem!"と言うので、止む無く玄関を開けると、こん棒持ってヘルメット被った現地人が数人居ました。「しまった!警備会社のようにも見えるが、泥棒かもしれないな。ドアを夜中に開けるべきではなかった。」と後悔しつつも、「あんた誰?」と聞くと、「警備会社の者だ。」とのことで一安心。

事情を聞くと、強盗がやってきてお宅の夜警を襲い、その夜警は隣家の庭に逃れてきたところを、更に強盗達に追いかけられて襲われ、怪我をしている。隣家の夜警が無線で応援を呼んだので、我々警備会社の者が駆けつけたところ、強盗達は逃げて行ったとのこと。

マジ!?という感じで、隣家の庭に行くと確かにうちの夜警が怪我をして苦しんでいます。救急車や警察には何の期待もできないので、取り急ぎ自力で病院に連れて行くことにしました。家に嫁を置いておくのも心配なので財布やパスポートなど身の回りの大事なものだけをまとめ、一緒にワゴン車で病院に向かいました。


侵入路:ゲート右下の鉄条網が切られました


プール奥の茂みから、5人の武装した強盗が一斉に走ってきたそうです
途中、ほとんどすれ違う車もほとんど居ないのに、2件も交通事故があり、救急車が駆けつけたりしていて、不思議な夜でした。しかも雨がシンシンと降り、ドラマか映画の中に居るような感じでした。後部座席でうめく夜警、スワヒリ語でなだめる庭師、沈黙を続ける嫁、街灯もほとんどない暗い道をただただひたすら車を走らせる私。

襲われた夜警の必死の道案内でケニヤッタ病院に到着するも、正面ゲートが閉鎖され救急出入り口もわからない状態。困っていると、表通りを救急車が走っていきました。さっきの交通事故現場に居た救急車と信じ、急いで追いかけて行くと、すぐ近くにあったナイロビ病院の救急病棟にたどり着きました。救急車なんてナイロビ滞在中3台くらいしか見たことないので、奇跡のような幸運です。

救急車から全身血だらけの人が降りてくるなど、これまたドラマのような光景が展開される中、夜警もERばりに素早くストレッチャーで運ばれ診察。しかし迅速だったのはここまでで、あとは薬、X線など、必要な処置が決まるたびにまずお金を払わされ、レシートを見せてからその分の治療が行われます。

この間、父が居ないので、ケニア人の知り合いなどにアドバイスをもらおうと電話をかけまくるも、全て不通。前回警備契約を結んだMalukiも、会社の幹部のMuthumaも、近くに住む会社の若い衆までことごとく繋がりません。日本人に相談してもあまり意味ないので、これも断念。ただ日本に居る母にだけ事情を説明し、父が経由地のドバイから電話してきたら、連絡をくれるようにお願いするのがやっとでした。

ナイロビ病院に着いてから3時間。夜明けと共に父があちこちに電話して、事態を知ったいろんなケニア人が助けにやってきてくれました。夜警は検査の結果、右腕が骨折し、頭を怪我しているものの、あとは打撲と分かって、こちらも一安心。治療費が高いナイロビ病院から、小さいが清潔で治療もしっかりしているナイロビウエスト病院へ移し、2〜3日様子を見ることにしました。

さて、その間夜警から聞いた話によればこういうことだったようです。

犬達が激しく吼えて騒ぐので、夜警小屋を出たところ5〜6名の強盗が庭の隅のほうからやってくるのが見えた。あわてて反対方向へ逃げ、逃げながら笛を吹いたところ、黙らせようと強盗達が追いかけて来た。更に隣家の庭に逃れたが、そこで転んでしまって捕まり、しこたま打たれた。その間、殺さないでくれと嘆願したところ、お前をこうやって教えるんだ、と強盗達は言ったそうです。その時、彼が襲われている場所が隣家の使用人の家のすぐ目の前だったので、彼らが気付いて非常ベルを鳴らし、それを聞いた隣家の夜警が警備会社に無線連絡。すぐに応援が車で駆けつけてくれたため、うちの夜警も助かり、強盗は逃げていったと言う次第。

途中、うちの夜警を襲う際に、犬に毒入りの肉を与えたため、それを食べた2匹(ポン太とエリー)は死に、老犬クーは気付かずに熟睡、一番のちび犬小梅は鳴きながら庭師達の使用人小屋へ逃げてきたそうです。かわいそうなことをしました。


隣家の使用人小屋:手前のフェンスを乗り越え、給水タンクの間で倒れ襲われたそうです


警備会社の応援が来るや、強盗達は裏庭から裏の隣家に逃げて行ったらしいです



私達の命を救った笛(100円)
ちなみに、ナイロビ病院の救急にはこの日だけで5件同様の事件でのけが人が運ばれて来たそうで、中には撃たれた警備員もいるとか。雨が降っていたので音が漏れにくく、絶好の強盗天気だったのでしょう。

さて、済んでしまった過去よりも今後です。とりあえず、夜の警備体制が万全になるまで、一時家を離れ、夜だけはホテルで寝ることにしました。警備体制については、今回は隣家の警備会社によって助けられましたが、自分でもしっかりした備えが必要だと痛感しました。ということで、週明け月曜日からは当分警備強化に追われそうです。


以下は、いつものナイロビでの日々の生活です。

10月6日(水)
朝、トラック2台分の土砂を購入。以前の言い値は、2台で10,000円でしたが、今朝払う時に、「いくらだっけ?」ととぼけて聞いたら、9,000円とのこと。もう一勝負いけると踏んで、「あっ、ごめん8.000円しかないや。まあ今後も頼むから、これでいいだろ。」で強引に握手握手攻撃で無事成立。

日中庭師二人に石を敷き詰めさせるが、石が大きすぎるので街中まで巨大ハンマーを買いに行くことに。庭師に案内させて行ったのは、巨大なスラム街のど真ん中にある職人エリア。100%危険な現地人しかいない雰囲気です。こんな時、ボロイ車に乗って、金目のものを現金以外まったく持っていないと安心です。外人なんて来ないので、あまりぼったくり価格も提示してこず、1,700円を1,500円に値切って完了。ハンマーと鉄の柄を取り付ける作業をしている間、車で待っていると、前方から「泥棒!!」という声と共に全力疾走で駆け抜けてくる若者が。私の車の横をすり抜け、10メートルほど先で転んでしまい、瞬く間に大群衆に取り囲まれてリンチされていました。庭師が職人と完成したハンマーを持ってきて、嬉しそうに「あの泥棒はもう死んだ、良いことだ。」と微笑んでました。

ちなみに、リンチで死ぬまでやるかどうかは、群集の腹のすき具合によるそうです。



過積載は車両の性能上不可能です


これでしめて8,000円


こんなところでオーバーヒート



火守
10月7日(木)
午後、早めに帰宅したところ電話が不通
→地区の電話局に賄賂を持って行くが電話代未払が
 原因と言われる
→電話局の本社に払いに行く。その場で地区の電話
 局に連絡してもらう
→帰宅する。まだ不通
→地区の電話局に行き、わめき散らす。ぶつぶつ言い
 ながら開通
→帰宅する。停電になっている
→暖炉を焚いて明かりを得る
→1時間後、電気が復旧したので暖炉を消す
→10分後、再び停電になる
→再び暖炉を焚く
→30分後、電気復活
→疲れて寝る


10月8日(金)
朝、重宝している皮むき器がなくなっていることに気づく。使用人が間違って捨ててしまったらしい。ごみの山に既に捨てたから見つからない、と言うので、見つけられなかったらクビにする、と気合を入れてあげる。10分後
に発見。お帰り、皮むき器。



貴重品
10月9日(土)
前回買ってきた雄鶏があまり鳴かないので、よく来る客から1羽よく鳴く雄鶏をもらう。オフィスで、普通のスーパーのビニールに入れてぶら下げておき、帰りにトランクに入れてスーパーを2軒回って帰宅。すると!死んじゃってました。長時間つれまわしたのがいけなかったようで、ごめんなさい。合掌。即、使用人たちが嬉々として持って行きました。


会社で待たされる雄鶏



金網を挟んで男と男の熱い闘い
10月10日(日)
鶏が死んだと聞いて、またお客がわざわざ鶏を家まで持ってきてくれました。今度は元気に、いきなり既存の3羽と闘鶏を始めていました。とりあえず水をぶっかけて仲良くさせたので、大丈夫でしょう。

10月11日(月)
道路工事がようやく完了。後は、11月の小雨季でのテストを待つのみ。楽しみです。

14時から始まった停電が4時間たっても直らず調べてみると、家を出て200メートルほどのところで、人が集まっていて、巨大な樹木が倒れて電線をなぎ倒していました。クレーン車などなく、長いはしごだけでせっせと作業していました。江戸時代の火消しもびっくりの技です。(20時には復旧してくれました)


電柱後方の木が倒れて断線。ちなみにこれは復旧後の写真。また風が吹いたら停電ですね
10月13日(水)
雄鶏を探していると聞いた他のお客が、また1羽雄鶏を持ってきてくれたので、今回はすぐに家に持ち帰りました。日曜日にもらった雄鶏と同じくらい大きくて立派なもので、当然闘鶏がはじまりました。昼間は庭で放し飼いにしているので問題ないですが、夜は小屋が同じなので相手を殺すまで闘う恐れがあり、夜は毎回この2羽を小屋の中で縛ることにしました。安易に雄鶏を増やしてしまったことを後悔するも手遅れ。


新しい雄鶏と、持ってきてくれたお客さん
10月14日(木)
父の仲良しのリーキーさんの家に遊びに行く。リーキーさんは、世界最古の人類の化石を東アフリカで発掘したリーキー博士夫妻の息子さんで、過去にはケニアの環境大臣なんかもしていた人です。ナイロビから1時間半ほどのサバンナに、家を建てて住んでおり、周囲は100%マサイ族。まともな道路もないサバンナを走って行くのですが、タイヤのパンクが1度、道に迷うこと2度。通りがかりのマサイ族を一人助手席に乗せ、道案内をしてもらって無事到着。70円をお礼に渡すと、うれしそうにマサイ族は推定徒歩3時間の道のりを帰って行きました。

ちなみにリーキーさんのお宅は、最近自分で企画したマサイビーズ事業が米国で大ヒットしたため、海外とのやり取りが必要となり、3ヶ月前から衛星電話や電気を導入したばかり。話も面白い人で、昔若いころに日本の国立博物館を訪ね、象の骨を展示したいと言われアレンジを引き受けたりしたそうです。そのときは、ケニアに帰国してハンターにくっついて歩き、死んだ象の皮と肉を剥ぎ、骨を煮て完全な白骨をそろえたとか。ただ、骨を煮るのに数日と思っていたら、3ヶ月もかかり、予想以上に大変だったと苦笑してました。その後、骨を船で送り、3年後に再訪したところ、象は美しく展示してあり、国立博物館の担当者は大変喜んでいたとか。ただ、彼が膝の骨が欠けていることを見つけ指摘すると、担当者は真っ青になり、必死に船積みで送った箱を探すも見つからず、このこぶし大ほどの欠けている骨をぜひ送ってくれと依頼。ということで、再びケニアに戻ってハンターにくっついて歩き、同じくらいのサイズの象が獲れたら、再び煮て、そのパーツだけを送り、後はスペアパーツとして家に保管しておいたそうです。なんというか、白人は行動力があるな〜と関心してしまいます。


ガゼルとかが走っている正真正銘のサバンナ


そんなところでパンク


とても気さくなリーキーさん


これが米国で大ヒット中
10月15日(金)
夜、父は再び日本へ一時帰国の途に。今回は1ヶ月近く帰国するとかで、母校での講演会が主目的。他に来年2月のキリマンジャロ登山ツアーの説明会(父主催)、米国で大ヒットしているマサイビーズの日本での販売リサーチ、ケニアでの柔道クラブ再興に向けた日本の柔道関係者とのミーティング、ドバイでのサイドビジネスなど、本業の中古車輸入と関係ない用事が盛り沢山です。

なお、余談ですが、父は強盗事件についてメールでいろいろ心配してくれ、警備体制についてもきちんと見直そうと言ってくれましたが、なぜかメールの最後の文章が、「鶏の雄鳥が心配です。何とか二匹共存する方法を考えて下さい。」で結ばれていました。私には雄鳥はもはやどうでもいいです、当然ですが。(笑)