3
秋も深まって、お庭にも落ち葉が落ちる季節になってきたわね。
冬は寒くて嫌いだわ。おそとで暮らさなくてはならないみなさんは、これからが大変ね!
きょうはわたしの最初の子供の「ナキちゃん」と「チンちゃん」のお話をするわね。
2人の父親になる「アカ」と知り合って、
わたしもここのお庭にごはんを食べに来るようになったんだけど、
「トラちゃん」の子供の「チャトちゃん」に嫌われて、
わたしはなかなかお庭に入れなかったのよ。
いつもチャトちゃんがいないときを見計らって、そーっと食べにきていたの。
子供達が生まれても、ごはんを食べるのは本当に大変だったわ。
ナキちゃんとチンちゃんは、わたしとアカ父さんと同じ白と茶の「二毛」で、
2人は背中の茶色い斑点模様もそっくり。
顔の両ほほに「チン、チン」と茶色の点があるほうがチンちゃん。
ナキちゃんはいつもよっちゃんの姿を見ると、
前のお家の生垣に隠れながら「いるよ! いるよ!」ってニャー、ニャー鳴くので、
よっちゃんが名付けたんですって。
でもよっちゃんは「もっと良く考えて付ければよかった」って後悔してたわ!
チンちゃんは控えめな子だったわ。
あまり騒がず、ナキちゃんにいつも寄り添っていたの。
でも積極的な面もあって、一人でよくよっちゃんのお家に入ってたわ。
2人はとても仲が良かったわ!
わたしが次の子の「チコちゃん」を産むために2人を手放してからも、
2人は力を合わせていつも一緒に行動してたの。
でもナキちゃんは男の子だから、いつもだれかに追いかけられて、とてもかわいそうだった.
わたしがこのお家に入れてもらえたとき、
わたしが手放したナキちゃんがいたんでびっくりしたわ!
でもチンちゃんの姿はなかったの。よっちゃんがチンちゃんを、
お家に入れようとしたときにはもう、チンちゃんはどこかへお出かけしたまま
帰らなかったんですって。どこへ行ちゃったのかしら・・・
この家で再会してからしばらく、ナキちゃんはわたしのことをこわがって、
近寄ろうとしなかったの。
男の子は自立させなくちゃならないのでつらくあたったのが、
忘れられなかったみたい。
わたし、この家に入ってからも、お散歩に出してもらえたの。
それは3年もおそとの暮らしをしていたので
「出して! 出して!」ってきかなかったからなの。
毎朝お散歩のときに、虫やネズミのお土産を持って帰ると、ナキちゃんはとっても喜んだわ
(これはよっちゃんにどういうわけか怒られちゃたけど)。
それからだんだんに、元の仲良し親子になったのよ!
わたし以外はみんなおとなしくお家で遊んでいたわ。
でも半年ぐらいして、わたしも「おそとに出てはダメ」って言われちゃったの。
迷子になったり、けんかをしたり、病気になったりしちゃうからなんだって。
しばらくは鳴いて「出して!」って頼んだけど、
今はドアが開いてもおそとには出たくないわ。おうちが1番安心していられるわ!