コイちゃんでーす
 オカーチと一緒
なんだかこのごろうるさくてなあー。前はこんなうるさくなかったんだ。
あの変な黒いのが来てから毎日が戦争なんだよ。
「コマ」には追いかけられるくせに、ぼくのことは追いかけてくるんだよ。
ぼくは仲良しになろうと思っているのになー。変なやつだ。「ソックス」って言うんだってよ。

 ぼくがここに来たのは「オカーチ」に連れられて、
おいしいごはんを食べに来たのが最初さ。
それまでオカーチはいつもぼくと「ウッコちゃん」のところに、
毎日ちくわとかウインナーをくわえて持ってきてくれたんだ。
生まれて2ヶ月ぐらいしたときに、「こっちにおいで」と言われて来た所がここだったんだよ。
オカーチは塀を軽々越えるんだけど、
僕たちはまだ塀の隙間からしか出入りができなかったんだ。
今、ぼくは7キロを超す大猫なんだって。きっともうあの隙間は通れないだろうなあー。

 ここのお庭には「トラおばさん」がいて、ぼくたちをにらむんだ。
でもお家の中には、ナキちゃんとチコちゃんというオカーチの1番目と2番目の子供が
もう入っていたんだ。
だからぼくもきっと入れるって信じてたよ。
でもまだ怖くて、よっちゃんが出てきても逃げ回っていたんだ。

 それに時々オカーチは、トラちゃんと取っ組み合いのけんかをして、
よっちゃんに怒られてたんだ。「仲良くしなさい! 」って。
でも僕は毎日ごはんをくれるよっちゃんとヤスヤンが好きになって、なでてもらえるようになったんだ。

 それから1ヶ月ぐらいたったとき、オカーチの態度が冷たくなってきたんだ。
ぼくたち2人を置いて遊びにいくことが多くなって「ついて来るな! 」って言われて、
ウッコちゃんと2人でよっちゃんのお庭でじっとして待っていたんだよ。
そのうち夜も帰ってこなくなってほんと心細かったよ。

 ある日よっちゃんが大きな窓を開けて「おいで」って言ってくれたんだ。
ぼくすぐ入ったよ。ウッコちゃんもついて来たんだ。
そしたらおもしろい棒で遊んでくれて、夜はふかふかのとこに寝かしてくれたんだ。
オカーチが心配だったけど・・・。
塀の隙間を通れたころのコイちゃん