物権は10種類に限られます。債権が13種類の典型契約を例示するのと異なり、物権は法定されることが特徴です。
すでに物権の内容に応じた区分を「物権編のあらまし」で図解しましたが、それぞれの物権の内容まで示していません。
ここでは個々の物権がどのような権利なのか簡単に整理しておきます。物権どうしの違いや賃借権などの債権との比較は「民法用語(2)」で行なっています。
物権は条文に細かい規定がありますので必ず読んでください。入会権は地役権の章に「共有の性質を有しない入会権」で登場します。
共有については「共有にかかわる基礎知識」で触れますが、入会権は「総有」とされます(ただし、条文はありません)。
また、根抵当は抵当権の中に含まれています。これは判例から派生して条文になったいきさつだそうで、条文に枝番号が付いています。
物権の説明が9種類だったり、11種類だったりするのはこんなところにあります。
数が少ないとあなどらないでください。権利の成立、第三者への対抗、担保能力に加え、総則編で登場した時効も含めて相続財産までかかわります。
【参考までに】
1 物権の全体像は「物件編のあらまし」の図解と対比して把握してください。
2 法定地上権などは「民法用語(2)」で確かめてください。物権どうしのかかわりや債権との対比をしています。
3 対抗要件は「権利義務の成立と第三者への対抗」で触れています。
4 時効は「時効の要点」をごらんください。
5 当事者や第三者の呼び方などは「人と人のかかわる形態」を眺めてください。
6 担保能力は債権編の「担保と保証の基礎知識」で触れます。
7 典型担保は「典型担保と典型契約」で触れています。
8 共有については「共有にかかる基礎知識」でマンション法(区分所有法)も含めて触れます
9 登記については「登記できる権利と第三者」で触れます