「Doctor’s Ink」の2005年を振り返って
とりあえず今年はこれが最後のエントリーになりそうなので、今年の「Doctor’s Ink」に書いたことのなかで印象に残ったことあれこれを、振り返ってみようと思います。まあ、言い訳みたいなものです。
(137)「女医」と呼ばれる人々への幻想と妄想(1)
けっこういろんなところで取り上げていただいて、そのうち(2)を書かなくてはと思っていたら、いつのまにかこんなに前のことになってしまいました。
(144)「個人情報保護法」への医療現場の対応と困惑
結局、「番号で呼び出してください」という人は、今の僕の仕事場での病院ではほとんどいません。でも、病室の名前をイニシャルにしている人はけっこういらっしゃいます。こういう「個人情報」を悪用する人がいなくなってくれれば、こんな窮屈な思いをみんなしなくてもいいんでしょうけどねえ。
(146)いま、「医療系サイト」に求められているもの
これはもう、僕がずっと考えていることなんですけど、なかなか結論が出ません。たぶん、病気に縁のない人は「素顔の医者」に興味があるのだろうし、病気で不安な人は、「医者は完璧な人間であってほしい」と思うのだろうし…
(159)上機嫌な医者、不機嫌な医者
こんな偉そうに書いているのですが、僕は相変わらず、すぐにイライラしてしまう自分をもてあましているのです。でもまあ、不機嫌って、結局は損なんですよね、とまた自分に言い聞かせてみる、と。
(160)「心付け」なんて、要りません。
ほんと、どうして政治家の賄賂をみんなあんなに批難するのに、自分のこととなるとこの手のものを渡したがるのか…気持ちはわからなくもないのですが、ほんとうに迷惑なので、勘弁してください。
(167)こんなはずじゃなかった、医者の仕事の現実
こういう「現実」は、現在も続いております。イメージと現実の仕事のギャップというのは、どの仕事にもあることなんでしょうけど。
(170)「医療者」と「一般人」の悲しき断絶
これは、まさに最大の課題だと思います。この溝を埋めるためには、どうしたらいいのでしょうねえ…
(173)「うさぎ狩り部」の末路と「知識の公開」のボーダーライン
けっきょくこの学生たちは「停学処分」になったわけですが、「モラルの欠如」で停学になったというのは、前代未聞なのだそうです。確かに「モラル」を定量化するのって、難しいですよね。だからといって「不問」にはできないだろうし、難しい判断だったと思います。しかしながら、じゃあ、大学生にもなって、「停学」という処分を受けたら、人間性が劇的に向上するのか?と問われたら、僕はそれもどうかなあ、という気がするんですよね。しかし、自分の昔のことを考えても、医者って本当に「純粋培養」されている人が多いし、それって危険なことだよなあ、と思いました。
正直、この「Doctor’s Ink」、2005年は、何度か止めようと思っては考え直すことの繰り返しだったのです。そして、2006年は、医療者にとって、さらに厳しい年になっていくと予想されます。ネット上の言説にしても、厳しい視線を感じますし、「医者に対しては、何を言ってもいい」と考えている人すらいるのではないか?なんて被害妄想を抱いてしまうこともあるのです。書いてあることをまともに読もうとせずに、苦情メールとか送ってくる人とかね。「そんなことどこに書いてあるんだよ!」とか思いつつも、投げつけられた悪意は、たとえそれは的外れなものであっても、やっぱり僕を傷つけるのです。
ネットというのは、ほんと、無自覚に人を傷つけているツールなのですよね。そして、僕自身も、そうやっていろんな人を傷つけてきたのだな、と感じています。
でもまあ、僕自身は、今のところはできるところまでやってみようと思っています。 というか、書かずにいられない人間なのだろうなあ、なんてこった。
とりあえずそういうことで、2006年も、よろしくお願いします。