緑内障   更新日 13.3.15  1.006 本文へジャンプ

・原発開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、緑内障性視神経症、高眼圧症、ステロイド緑内障、血管新生緑内障、甲状腺眼症、網膜色素変性症や網膜黄斑変性症等の他疾患に伴う合併症としての緑内障、Posner-Schlossman症候群やぶどう膜炎後などの続発性緑内障 

現代医学での概要と当院の針灸治療
千秋針灸院で行う測定法・治療法について
当院での治療効果の実際
患者さんからよくある質問
日常生活での注意点
院長からひとこと

○緑内障について、詳しいデータや解説のページ ←緑内障を詳しく知りたい場合はこちらへ

千秋針灸院の統計症例報告 「緑内障への鍼治療」 平成22年10月21日 Web症例報告

現代医学での概要と当院の針灸治療


○針灸単独の治療ではなく、眼圧を下げる点眼薬等との併用が原則です。
(眼圧は正常眼圧・高眼圧に関わらず、重要なポイントになります。針治療単独の治療はお勧めできません。)


・緑内障とは高眼圧などにより眼底の視神経乳頭部での変化や、中心性もしくは水平性に視野の欠損が起こる病気です。進行性のため適切に治療されなければ失明する可能性もあります。緑内障は原発緑内障(開放隅角緑内障、閉塞隅角緑内障)、続発緑内障、発達緑内障、小児の続発緑内障に分けられます。正常眼圧緑内障を含めた広い意味での原発開放緑内障が最も多くの方で発症しています。

・眼圧が高い症例では眼圧を十分に下げることにより、視神経障害の進行を止めたり遅らせることができますが、近年多くの発症が確認されている正常眼圧緑内障では、循環をはじめ眼圧以外の原因もあると考えられています。
また日本人は40歳以上で20人に1人が緑内障であり、正常眼圧緑内障が約7割に上ります。適切な医学的アプローチを行った場合に緑内障の初期から、中心視野が障害され失明に至るまでの期間は平均40年程という報告があり、慢性に進行していく病気です。

・現在の眼科医学では、緑内障により失われた視野は回復しないとされます。しかし必ずしもそうでないことは、眼科学の専門書にも記載があります。代表例として続発性開放隅角緑内障の一つに、Posner-Schlossman症候群という病気があります。この緑内障は虹彩炎などの炎症疾患の後、眼圧が上昇(20〜80mmHg)して起こるもので、明確な視野欠損を伴います。しかし薬物治療に対する対する反応(眼圧低下)は一般に良好で、永続する視神経障害は無く、視野欠損は解消することも多い疾患です。治癒後は急な発作(眼圧上昇)に注意する必要はありますが、薬物治療(点眼)を続ける必要はありません。なお健康な若い方では一般に、50mmHgで5日間、35mmHgで7日間が視神経障害を残さない限界と言われています。

・Posner-Schlossman症候群の病態からは、眼圧が上昇して視神経を圧迫し視野欠損が生じたとしても、比較的短期間であれば回復しているという事実が分かります。つまり視神経が眼圧上昇による持続的な圧迫を受けても、圧迫された部位の視神経は直ぐに死滅するわけではなく、機能不全を伴いながら徐々に弱り、最終的に死滅していくものと考えられます。このことから緑内障は、視野欠損部位がそのまま視神経の死滅ではなく、機能不全部位+完全障害(視神経死滅)部位と捉えるのが自然です。

・また眼科専門医向けの書籍である 『眼科プラクティス23 眼科薬物治療 AtoZ 』 文光堂 の中毒性視神経症などの記載では、完全な障害を受けていない視神経は3ヶ月程で回復する可能性のあることが明記されています。緑内障は眼科での点眼薬による眼圧低下のみでは、機能不全に陥っている部位を回復させることは難しいのですが、針治療を加えることで眼底の血流量が増加するなどして、機能不全部分を回復させる可能性があり、その結果が個人差はあるものの、一定度までの視野改善につながっているものと考えられます。

・現在、緑内障は従来の眼圧に加え、眼周囲の循環も含めた要因が関係した疾患との考えが眼科医学の主流となり、針治療を試みることで眼の周囲を含めた循環は改善し、また薬物(点眼)の効果を強めることから眼圧に対しても良好な状態が得られ易くなります。この結果、緑内障の進行を抑えるばかりでなく、個人差はあるものの明確な視野の改善が得られる症例もあり、当院でも多くの症例を集積しつつあります。針治療は薬や手術による副作用や合併症のリスクも無く、緑内障治療の選択肢の一つとなる可能性を秘めています。


・現在眼科での主な治療は点眼と手術(レーザーを含む)ですが、急性に起こる閉塞隅角緑内障については、速やかに病医院での治療を受ける必要があり、治療法に選択の余地はありません。その他の、主に正常眼圧緑内障を含む広義の原発開放緑内障、続発性緑内障などについてが、針治療の対象となります。緑内障における大きな問題は、視野等の僅かな異常が発見された時点で、既に神経節細胞の約半数が障害を受けており、障害を受けた神経節細胞は点眼薬を中心とした治療では回復が期待できないことにあります。できるだけ早期に発見し、視神経の障害が軽度な間に適切な針治療を行うことで、進行を抑えることが大切です。

・当院の針治療では、眼圧を下げる点眼薬との併用を原則とし、眼周囲の循環改善を目指し、眼痛や頭痛といった緑内障に関わる症状の改善や、点眼薬と併せて眼圧降下の作用を強めることを目標にしています。その結果、通常の点眼薬のみの治療では見られないような、一定度までの視野の改善や眼圧降下が得られるケースがあります。また中心視野まで障害が進み、0.1未満へと視力が低下したケースでも、視力の維持だけでなく若干の向上を含めた視力の改善も期待できます。当院で視力・視野の測定を行った上、眼科医療機関でも診断していただき、針治療の確実な効果を確認しています。

・緑内障の病態とは、正常・高眼圧に限らず、原因の一つとしては視神経節細胞が耐性を超える眼圧にさらされ続けるために、主に視神経乳頭部位で障害され、障害の程度によって徐々に視野を失っていく病気といえます。緑内障の病態に最も関係の深いのは眼圧なのですが、点眼薬によって眼圧を下げつつ、当院では針治療を併用し、特に局所(目周囲)の血流改善を目的に治療に取り組んでおり、実際の臨床結果から以下のような推測を立てています。

緑内障については疾患の進行により、視神経乳頭部位で
@既に完全に障害され固定された部分(完全障害部位) ←完全な障害により回復の可能性は無い部分です。
A障害が現在進行している部分(不完全障害部位) ←機能障害の部位は針治療による循環や眼圧低下により、回復する可能性があると考えられます。
Bまだ障害を受けていない部分(健全部位) ←健全になることで、主に視力等の改善にも役立つと考えます。
が、個人差はあるものの、同時に存在していると考えられます。

・針治療により頭頚部や眼周囲の血流を改善し、視神経乳頭部位から眼底部位への血流にも影響を及ぼすことで、視細胞や視神経が活性化して、視力や視野に関しては主にA、Bの部位の状態が改善しているものと考えられます。実際の臨床例として、治療の継続により視力については向上し、視野に関しては一定度までの改善後、足踏み状態となる症例が多く、この時期から針灸治療の目的を状態の維持へと切り替えていきます。


・網膜色素変性のページと似た説明になっていますが、実際の臨床的な成果においても似た傾向があります。ただし、病変部が視神経乳頭部位に限定されるためか、網膜全体に関与する色素変性症よりも障害の程度による回復の個人差が大きいこと。また視野欠損が軽度な方では自覚症状に乏しく、重度な方では視野の回復部位が相対的に小さくなることから、実際には視力や視野検査等で治療効果が上がっていても、回復の実感が持てないケースがあります。治療の中心が眼圧を下げる点眼薬であり、針治療が得意とする血流改善が単独で、治療効果に大きく関与している訳ではないためか、当院としては順調に成果を上げている色素変性症に対して、症例数の割りには回復の予測がやや難しく、個人差も大きい結果となっています。

・緑内障も網膜色素変性症と同じく、視野欠損を起こした部位は現代医学的に回復不能とされている疾患です。医学的に回復しないとされる疾患であり、病医院での視野検査そのものが誤差の多い検査法ですので、眼科医に有効性を認めていただき難い問題はありますが、最近では症例数が増加し、当院での視力や視野測定が可能となっているため、当院での結果が良好な症例では、視野検査や眼底所見から眼科医にも改善を認めていただけることも増えてきました。

中医学での捉え方

・緑内障は青風内症に相当する。進行すると青盲に変わり、失明に至る。
先天の禀賦不足、肝腎の不足、肝鬱気滞、脾の運化失調等から目が栄養されないために起こる。
・補益肝腎、健脾舒肝、活血通絡の治療を主とする。

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千秋針灸院で行う測定法・治療法について


・緑内障に関しては、眼科医学の常識として疾病の改善は否定的なため、客観的な診断さえいただけない場合があり、同時に治療の道も閉ざされてきました。このため千秋針灸院では可能な限り正確で、客観的に測定できる方法を取り入れる試みをしています。当院の測定結果と眼科医の検査・診断結果を併せて評価していきます。

詳しくは千秋針灸院で行う測定・評価法で解説しています。

・緑内障では、明確な視野欠損が生じている状況では、既に50%以上の神経節細胞が失われるため、より早期に発見するために感度低下を検出するハンフリー(Humphrey)視野計が、主に使用されています。黄斑部以外で25%(黄斑部では50%)の神経節細胞の消失で検出可能ですが、千秋針灸院では早期の感度低下を発見するために、鈴木式アイチェックチャートの二種類の簡易視野計を併用し、様々なパターンの緑内障の状況を、患者さんの実際の見え方から把握しています。特にblue on yellow(青錐体系反応)チャートでは、見え方を記録することで部位毎の感度が把握でき、針治療による変化や様々な状況までを記録に残すことができます。

・当院の視野測定は明室で行える上、年齢を始めとした反応条件に左右されない特徴があります。初回の治療後に鈴木式アイチェックチャートで確認していただくと、半数程の患者さんで治療直後から若干の改善が自覚できます。(数名の医師や医療関係者の患者さんにも、直後の改善を確認していただきました)


千秋針灸院での治療法について

○一般に当初は週2回(3ヶ月程まで)、その後は状態の維持を目的とした治療(週1回以下)へ移行します。
(軽症例では僅か数回で改善する症例があり、重症例では半年でも僅かな回復に留まる症例もあります。)
(回復が続いていると判断できる期間は週2回程度の治療を続けます。視野や感度の改善が続く期間です。)


○軽症かつ安定されている方は週1回から始め、早期に隔週1回程度の治療で状態の維持を目標とします。
(自覚症状等が無く、早期緑内障の診断が付いている場合等です。当院での測定は続けて行います。)


○従来の中医針灸治療法を見直し、眼窩内への刺針を行わない安全な独自の治療法に改良しました。
(眼科疾患に特化した新しい針灸治療法を開発し、特に治療開始初期から効果が得られています。)
(眼窩内刺針は前眼部で炎症を起こし、閉塞隅角緑内障に関与する可能性があるため、当院は行いません)

・患者さん毎の証(体質)や症状の重さにより若干変わりますが、後頚部、背部、下腿、目の周囲の経穴に対して針をします。緑内障では、症状の重さや障害の程度によって、治療回数や間隔は変わります。症状の改善、視力や視野が上昇し、可能な限り最大の視力・視野に到達するまでは週2回程度(概ね2〜3ヶ月程)、その後は症状や視力・視野等が維持できる治療間隔として週1回〜数週1回程度へ目標を切り替えていきます。

・時々問い合わせがあるのですが、治療効果が高いとされる眼窩内への刺針は出血の恐れが高いため、当院では用いることはありません。眼窩内への刺針を行わなくても後述のように充分な効果が得られています。上海では実際に眼窩内の刺針により効果を上げているのですが、効果が早く現れることと引き替えに目周囲が内出血により腫れてしまう確率も高くなります。また前眼部に炎症を引き起こす場合も考えられ、急性の閉塞隅角緑内障の発症に関与する可能性が捨てきれないため、眼窩内への針治療は、例えどれだけ優れた治療家が行ったとしても推奨できません。

・2006年から採用している当院の改良された針治療は、従来の中国式の眼窩内への刺針と比較しても、効果の発現に遅れることは無く、内出血により目の周囲が腫れ上がったり、閉塞隅角緑内障の発症に関与する可能性が無い点で、大きな優位性があります。

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当院での治療効果の実際


○他の眼科領域の難病と比較して、視力・視野改善に個人差が大きいようです。
(点眼薬を併用する例では改善例が多くなりますが、治療の効果は緑内障の進行状態に大きく左右されます。)
(初期〜中期では良好な結果が得られやすく、後期〜末期では十分な効果が得られ難くなることが多いです。)


○緑内障に関わる諸症状(頭痛、目の奥の痛み等)は、早期に改善しています。
(症状を緩和する治療は比較的容易ですが、眼圧のコントロール等については、病院での検査が必要です。)

○残念ながら緑内障の視野狭窄については、日本の医療機関では針治療の効果を認めていただけません。
(日本では有効とされる治療法は存在しないとされますので、詳細は視野検査の写しをいただいて下さい。)


・緑内障については開放隅角緑内障(高眼圧)、正常眼圧緑内障について視力の向上や視野の拡大、眼圧低下(開放隅角緑内障)を確認しています。視力については滲出型網膜黄斑変性症などと同じく比較的早期に上昇する傾向があります。眼圧は高眼圧の場合には境界域である20oHg以下になり、比較的早期に目の奥の痛みや頭痛などの症状は軽減、消失することが多いです。視野に関しても回復は早く(当院測定)、軽症例では1ヶ月程、通常3ヶ月程までに視野の拡大を確認できる症例が多いです。初回の治療直後から、見易さを自覚される患者さんも少なくありません。

・一方で重症例では眼科での精密な視野検査をいただき、ようやく幾分かの向上が確認できる程度に留まる症例もあります。長期に渡る病歴や、視野狭窄の進んだ症例ほど、視野回復は難しい傾向がはっきりしており、回復には大きな個人差があります。幸い軽度な状態で緑内障の診断を受けた場合には、早めに針治療との併用も検討されることをお薦めします。


当院症例報告

・当院での鈴木式アイチェックチャートによる平面視野計法に基づく評価
無印・○印は正常、△+印は軽微な感度低下、△印は中程度の感度低下、△−印は高度な感度低下、×印は欠損


開放隅角緑内障(POAG)の症例

治療開始前
初期マリオット盲点拡大、耳側下方に視野欠損が有り
1ヶ月後
マリオット盲点は正常、耳側下方の視野は改善
2ヵ月後
耳側下方の視野は軽微な感度低下のみとなる

・約10ヶ月前に眼圧25により開放隅角緑内障と診断され、比較的軽度の視野欠損を伴う症例です。点眼により眼圧は20前後になっていましたが、視野欠損の改善・維持を目的に当院に来院されました。2ヶ月間ほどで軽微な感度低下を残して視野欠損は解消され、視力も0.8→1.2、眼圧も17〜18と改善しました。眼科での視野検査でも視野欠損は解消しており、点眼薬は中止、経過観察のみとなりました。(画像は右眼)

正常眼圧緑内障(NTG)の症例

治療開始前
マリオット盲点拡大、耳側下方に視野欠損有り
3ヶ月後
マリオット盲点拡大を残すのみとなった

・半年前に眼科で正常眼圧緑内障(眼圧14〜15)との診断を受けた、比較的軽度な視野欠損を伴う症例です。3ヶ月間程で耳側下方の視野欠損は解消し、マリオット盲点の拡大のみが残っています。視力は1.2→1.2。3ヶ月程適切な治療を続けられた患者さんの場合、結果として残った視野欠損の改善は難しいため、3ヶ月以降は治療間隔を週一回〜隔週一回と空けて、視機能の維持を目標とした治療に切り替えていきます。

・緑内障に伴う視野欠損は、現代医学では回復の可能性は無いとされていますので、当院での針治療の有効性を医師に認めていただき難い問題はありますが、詳細な視野検査表の写し等をいただき、治療の有効性を確認する作業を続けています。また当院でも視力や鈴木式アイチェックチャートを使用した視野測定を行っており、治療効果を客観的に捉える工夫をしています。

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患者さんからよくある質問


Q.針治療を行うことで、緑内障が治るのですか? 少なくとも進行を抑えることは可能でしょうか?

A.緑内障の診断基準は、視神経乳頭、視野の特徴的変化の少なくとも一つを有すること(日本緑内障学会)とされています。緑内障への針治療の効果は、特に視野内の感度低下に対して、大きく改善される場合があり、初期緑内障の場合では視野異常が解消された症例が複数あります。また視野欠損に対しても、部分的に感度が改善される症例は少なくありません。視野に関しては、当院で比較的詳細な変化が把握できるため、個人差はあるものの、明確な改善が得られる症例があります。


・また眼科での点眼薬等に当院の針治療を併用することで、眼圧は下がりやすくなる傾向があり、部分的な視野欠損や感度 低下の改善に加えて、長期的には緑内障の進行を抑えることに繋がると考えられます。なお2010年には、当院における針治療での緑内障について、統計的な症例報告を行いました。

○統計症例報告・・・緑内障への針治療

Q.正常眼圧緑内障と診断され点眼薬を使用していますが、眼圧は下がらず進行も止まりません。針治療は効果がありますか?

A.正常眼圧緑内障は、そもそも眼圧は正常範囲ですので、点眼薬などで眼圧を下げる余地はあまりありません。眼圧が15
mmHg以下に抑えられている場合には、視神経の保護や循環改善を治療の中心とすべきと考えます。必要以上の点眼薬は防腐剤による副作用に始まり、眼や体全体の健康状態に悪影響を及ぼす場合もあります。針治療は循環改善に役立ち、一部のサプリメント等は視神経の保護に役立つ場合があることが分かっています。眼圧を低下させるだけでは進行が抑えられない場合、針治療や栄養療法、日常生活の見直しも取り入れ、総合的に緑内障に立ち向かう必要があります。

・なお高眼圧、正常眼圧に関わらず、眼科の点眼薬と針治療の併用では、眼圧は更に下がる傾向があります。点眼薬だけではコントロールができなかった症例が、針治療を始めたところ、容易にコントロールできるようになる場合もあります。ただし既に10mmHg近くまで低下している場合には、更なる眼圧降下は期待できません。特に正常眼圧緑内障の場合には、眼圧の数値にのみ囚われるのではなく、血圧も含めた血液循環や栄養状態にも注意を向けてみて下さい。

・当院で正常眼圧緑内障の患者さんから、問診により普段の血圧を伺ったところ、半数程度の患者さんで最高血圧が100以下の低血圧症であることが分りました。低血圧症は、緑内障の発症・進行要因になることは、眼科学の常識ですが、なぜか眼科では血圧測定は行われず、専ら眼圧の下降に専念される傾向です。既に眼圧で12mmHg前後までにコントロールできている場合には、それ以上の投薬や手術は意味が薄れるだけでなく、副作用や合併症のリスクが高くなります。しかも長期間の使用により血圧を低下させるβ遮断薬が処方されて、眼圧は少し下がったものの、低血圧症が生じている患者さんもありました。

Q.針治療をはじめましたが、眼圧が不安定で急に高くなったりします。

A.不安定で急な眼圧上昇の多くは、隅角の閉塞や眼や全身の薬剤が原因となります。点眼薬の使用が適切ではなかったり、眼科受診時の散瞳薬の影響による場合(半日〜数日)もあります。他にもステロイドや安定剤等、眼以外の医薬品にも影響されます。眼圧を上昇させる可能性のある医薬品は、非常に幅広く存在しますが、眼科以外の専門医では、副作用としての眼圧上昇はあまり問題視しない傾向です。眼圧を含めた眼の状態が不安定になる原因の多くは、まず医薬品を疑う必要があります。

・鍼治療では眼窩内への深刺を行った場合、前眼部への炎症に関わる可能性があるため、眼窩内への鍼治療は避けた方が良いと思われます。緑内障は前眼部も関わる病気ですので、眼の周囲での強刺激はリスク要因になり得ます。当院から提携治療院へは注意喚起を行っていますが、一般の治療院では現在でも、リスクを伴う眼窩内等への鍼治療が続けられている場合もあり、注意が必要です。

Q.緑内障への針治療は、どこの治療院でも受けることができますか?

A.緑内障の治療を掲げている治療院は少なくありませんが、緑内障の評価に欠かせない、視野や視力の測定を行う治療院はほとんどありません。治療院で測定や評価が行われていない場合、残念ながら針治療の結果自体に根拠が乏しいと思われます。当院の治療法は、測定・評価を繰り返しながら改良を重ねた治療法であり、当院以外の提携治療院での治療を受けられる患者さんには、必ず治療内容(カルテの写し)や測定結果の記録用紙をお渡ししています。

・遠方の理由などで当院以外での治療を希望される場合には、基本的に提携治療院をお勧めしていますが、患者さんの希望により国内全ての針灸治療院に、提携治療院と同様な対応が可能です。但し希望される治療院が、当院で行う眼科医学を基本とした安全な鍼治療に取り組んでいただけるかどうか、結果を出せる実力があるかどうかは分かりません。緑内障は眼科領域の他の疾患に比較して、治療方法や治療家の実力により、治療結果に差が付きやすい傾向があることも分かっています。遠方の患者さんは、できましたら実績のある提携治療院での治療をお勧めします。

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日常生活での注意点

・患者さんからよく聞かれる質問について、主に日常生活上の注意点からまとめてみました。

○一度に大量の水分やカフェインの摂取は、一時的に眼圧を上昇させます。
・一度にコーヒーで3杯以上、紅茶で4杯以上の摂取は、その後の数時間に渡り眼圧が上昇しますので避けるべきです。コーヒー等のおかわりは避ける程度の注意で大丈夫です。また最近の研究では、一日3杯以上の摂取は落屑緑内障のリスクを高めるとの報告も出てきました。コーヒー好きな方も、ほどほどにしましょう。

○1日に一合程度までの飲酒は、緑内障に対しての影響は心配ありません。
・アルコールの摂取は一過性に眼圧を下げることと同時に、毎日大量に飲み続けると眼圧を上昇させることが分かっています。1日にアルコール20g相当(ビール500ml、日本酒1合)程度まであれば、眼圧に対しての影響は心配しなくて良いでしょう。当院での話として、毎日3合以上もの飲酒をされている眼科領域の患者さんは、針治療をしても回復が難しいという結果が出ています。

○タバコは止めてください。
・タバコは血管を収縮させ、目の周囲も含めた血流を低下させます。急には止められなくても、少しずつ減らしていくなどして、計画的に止めていくようにして下さい。タバコに限らず血圧に対して良いことは、眼圧に対してもプラスに働くことが多いです。

○眼球を押さえ付けることは避けましょう。
・眼球は手で僅かに押さえるだけでも、かなり大きく眼圧が上昇してしまいます。疲れた時に目を抑える方がありますが、眼球を押すことは避けてください。眼球はやや強く押すだけで眼圧は100mmHgにも達します。目の上に蒸しタオルやアイピローを乗せたり、マッサージを受ける場合も注意が必要です。

○眼科以外でいただく医薬品にも注意してください。
・緑内障では特にステロイド系薬剤について注意が必要です。ステロイドは様々な難病をはじめ、花粉症やアトピー性皮膚炎、喘息等へ炎症を抑える目的で幅広く処方されています。眼圧に対しての副作用は意外にも強く、例えば点眼薬の例では1日3回4週間の使用で、3人に1人は6mmHg以上の眼圧上昇(0.1%デキサメタゾン)が起こります。内服薬・坐薬が最も副作用が大きく、次に点眼薬などの外用薬が続きます。またステロイドの長期使用は、眼房水の濾過機構に不可逆的な変性が起こり、眼圧が下がり難くなります。ステロイドは効果の高さから、副作用に目をつぶる傾向がありますが、非ステロイド系薬剤に切り替えることが可能であれば、他剤へ変更した方が賢明です。

・当院に来院されている患者さんの中で、特に30代までの患者さんには、アトピーなどの既往により、長期間ステロイドを使用されてきた患者さんが少なくありません。例え医師が否定的であっても、また外用薬であっても体質や使用期間・薬の強さ・部位によっては、眼圧に影響を与えることは明らかです。特に原因がステロイドなどの医薬品にある場合には、可能な限り使用し続けることを避けるようにして下さい。

○低血圧(最高血圧で100mmHg未満)の方は、血圧による対策が必要です。
・当院で調べたところ、緑内障の患者さんは全般に血圧が低いケースが多いことが分かりました。低血圧の患者さんでは眼球内への血流が不足し、緑内障の発症や進行し易い傾向があることが、専門書にも明記されています。一般に眼科では血圧については無関心ですが、低血圧が改善することで視力や網膜の感度が改善する場合もあります。チーズや赤ワインは低血圧を改善しますので、積極的に摂取しましょう。またミケランやチモプトールなどのβ遮断薬の点眼は、長期間の使用により眼圧だけでなく、血圧も低下させているケースがあります。視野狭窄や視力低下に関わる場合もありますので、思い当たる場合には、医師や薬剤師にご相談下さい。ただし眼科で血圧を管理していない現状から、例え眼科医でも詳しく知らない場合が有ります。

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院長からひとこと


○特に視野狭窄が、初期〜中期の患者さんに広くお勧めできる治療法です。年齢はあまり関係ありません。
(眼科での治療を行っても急速に進行してしまう症例では、進行を遅らせる程度になる場合もあります。)
(数ヶ月後には月に数回の治療で、点眼薬のみの治療に比較して大きく改善・維持できる可能性があります。)
(点眼薬等により、眼圧のコントロールが十分にできていることが前提です。)

○視野欠損になる前の、感度低下(暗く見える)の時点(初期緑内障)から、針治療の併用をお勧めします。
(針治療による効果として、特に各部位の感度低下への改善が得られやすいことが分かっています。)


○高眼圧症、網膜色素変性症等での合併症としての緑内障等、様々なケースが針治療の対象となります。
(点眼薬と針治療の併用により、眼圧低下や眼周囲の血流が改善する等、様々な効果が期待できます。)

・緑内障は第一に眼圧のコントロールが重要になる疾患です。しかし眼圧を下げたとしても、それだけでは視神経の自然回復はほぼ無いと考えられ、その結果が視野欠損の改善は有り得ないという眼科医学の常識になっています。しかし、針治療による眼周囲での血流改善効果を加えることで、特に初期〜中期での視野欠損は改善する可能性があることが分かってきました。また点眼薬と針灸治療の併用は、効果的に眼圧を下げることが期待できます。自覚症状に乏しい緑内障ですが、回復する可能性のある時期を逃さず治療を行うことで進行を抑えるのみではなく、可能な限り良好な状態まで改善させた上で、長期に渡り維持することが可能になります。

・鈴木式アイチェックチャートによるblue on yellowチャートを使用した測定から、針治療の効果は特に感度低下に対して良好な結果が得られています。緑内障における感度低下とは、その部位が視野欠損までには至っておらず、視神経節細胞の20%〜40%程度が損傷を受けている状態で、緑内障の進行により視野欠損が生じる前段階を意味します。感度が低下している部位は実際の見え方として、やや暗く感じたり、ぼやけたりする見え方をします。針治療により感度低下の部位を改善・解消させることで、長期間に渡り緑内障の進行を抑えることに繋がります。

千秋針灸院は眼科領域の専門治療院であり、緑内障の患者さんは既に100名を超え、眼科領域の患者さんは来院される方全体の7割以上、年間延べ4.000名以上に上ります。こうした結果、一般の治療院に比較して、眼科領域の疾患に関しては臨床例が圧倒的に多く、データや治療法、経験も豊富に蓄積されているため、治療結果にも大きく差がついてくると考えられます。緑内障は他の眼科領域の疾患に比較しても、技術の差が大きくなる傾向があります。緑内障の治療に対応できる治療院は非常に限られますので、通院可能な場合は出来る限り当院、もしくは提携治療院で治療を受けられることをお薦めします。

・千秋針灸院では眼科領域を専門とした針治療に留まらず、全身状態から目を診ていきます。最新の眼科学を踏まえながらも、個別の患者さんに合わせた治療や指導を行っていけることが最大の強みです。初診で来院される患者さんは、疑問点などを解消していただいた上で、遠方の方は提携している治療院への紹介も、積極的に行っていますので、ご相談下さい。

●関連リンク

○統計症例報告・・・緑内障への針治療

中薬(漢方薬)、抗酸化サプリメント、遮光レンズのご紹介

眼科領域の諸疾患 (当院ページ)

眼科領域の難病治療を提携治療院で(当院ページ)

●参考文献

参考文献・蔵書一覧

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  ・本ページの内容は現代の眼科医学及び中医学、抗加齢医学、千秋針灸院の治療実績に基づいて書いたものです。
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