加齢黄斑変性     更新日 16.5.7   2.016 本文へジャンプ

・滲出型加齢黄斑変性(AMD)、萎縮型加齢黄斑変性、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)、網膜血管腫状増殖(RAP)、前駆病変としての軟性ドルーゼンや網膜色素上皮異常
・主に50才未満の方に多い脈絡膜新生血管(近視性黄斑変性など)は→こちら 


現代医学での概要と当院の針灸治療 
千秋針灸院で行う測定法 
千秋針灸院で行う治療法について 
千秋針灸院での針灸治療の特色と現状 
患者さんからよくある質問 
院長からひとこと
患者さんに気をつけていただくこと(網膜黄斑変性症サポート情報)
中薬、抗酸化サプリメント、医療向け遮光レンズのご紹介 
全国での連携治療、関連リンク、参考文献 

千秋針灸院の統計症例報告 2016.3.13 第33回「眼科と東洋医学」研究会 台東区民会館にて報告
●リンク・・・「黄斑変性への鍼施術が、視力に及ぼす影響について」 詳細に解説しています

現代医学での概要と当院の針灸治療

加齢性黄斑変性の概要

・黄斑部に起こる進行性の疾患で萎縮型と滲出型があります。どちらも中心視力が徐々に失われ、視野内に歪みや暗点を生じながら進行します。欧米では2.000万件もの報告があり、中途失明の原因の第1位です。滲出型は日本人ではポリープ状脈絡膜血管症(PCV)が60%近くを占め、脈絡膜新生血管(CNV)由来が35%、網膜血管に由来する網膜血管腫状増殖(RAP)が5%とされています。RAPを除いては男性の発症者が約7割と多い傾向がです。両眼での発症はPCVで約2割弱となっています。

・滲出型では脈絡膜新生血管(CNV)等が発生し、出血や滲出を伴い、視力低下や暗点・歪みなど変視の自覚症状が表れます。無治療では90%以上の症例で視力予後は不良なため、積極的な治療が行われています。有効性を認められた予防薬や治療薬はありませんが、ルセンティスなどに代表される抗血管内皮増殖因子(抗VEGF)製剤の硝子体内注射が、最近の主流となっています。しかしながら長期間の観察では視力低下や再発、健側への発症リスクは依然として残っており、視力や変視の改善は完全ではなく、視界の中心が見え難いことから日常生活上での大きな困難を伴う課題が残されています。

・萎縮型については進行は緩慢ですが、黄斑部より視細胞が徐々に死滅して、萎縮性変化(境界鮮明な地図状萎縮)を起こし中心視力が低下します。様々な黄斑疾患の終末像で萎縮型に類似した眼底所見を示すため、萎縮型の診断が難しいことがあります。現代医学での治療方法は無いとされています。

現在、眼科で行われている主な治療法について

・新生血管の活動期に使える薬としては、選択枝が増えてきましたので、内容をまとめてみました。各治療法の状況は眼科専門書の記載や、千秋針灸院の臨床から得られた結果より評価しています。

  ステロイド  PDT   アバスチン※1 マクジェン  ルセンティス アイリーア  鍼治療
新生血管抑制  ○ 
視力の改善量 △  △  ○  ○  ◎ 
視機能改善の速さ  △  ○  ○  ○  ◎  ○ 
網膜浮腫軽減 ○  △  ○  ○  ○ 
効果持続期間 3ヶ月  不明  2ヶ月 1.5ヶ月  1ヶ月  2ヶ月  ※2 
副作用・合併症  △  △  ○  △  △  無し 
長期連用可否  不明 ※3  ○  ※3  ※3  ◎ 
瘢痕期への適用 ※4 適応外 ※4  適応外  ※4  ※4  ○ 
16.3.13付 統計症例報告「黄斑変性への鍼施術が、視力に及ぼす影響について」を基に改訂しました

※1 アバスチンについては未認可薬のため、今後使用されなくなる可能性があります。
※2 活動期に対しての鍼治療は、週2~1回ペースで行い、状況により他の治療との併用も可能。
※3 以前は長期連用可とされましたが、脳梗塞や緑内障のリスクが高まると報告され、長期は行わない傾向。
※4 瘢痕期に至った黄斑変性に対しては適応外ですが、網膜浮腫の軽減を目的に行われる場合があります。


・新薬で期待されるAflibercept(アイリーア)ですが、ranibizumab(ルセンティス)などと同じく、VEGFに対しては広域ターゲットタイプのVEGF阻害剤であり、ルセンティスと同程度の効果が見込める反面、副作用も同程度と考えるのが妥当です。49.1%で副作用の報告があり、眼障害(眼内炎、硝子体出血など)や脳卒中等の重大な副作用も報告されています。メリットとしては効果の持続期間が2倍程度(2ヶ月)であり、やや重症で新生血管の活動期間が長くなる場合に有効と考えられます。またVEGF阻害剤は遺伝子組み換え融合蛋白であることから、長期連用により抗体を生じ易く、効果の減弱が目立ってきますが、薬剤を換えることで抗体産生を遅らせることが期待できます。治療の選択肢が広がったと解釈できるでしょう。

※Aflibercept(アイリーア)について、報告されている重大な副作用と特徴。
・眼内炎0.3%,眼圧上昇4.4%,硝子体剥離1.5%,外傷性白内障0.7%,網膜出血0.7%,網膜色素上皮裂孔0.6%,硝子体出血0.3%,網膜剥離0.06%,網膜裂孔0.1%,網膜色素上皮剥離0.04%,脳卒中0.3%,動脈血栓塞栓関連事象の発現率は0.6~3.3% ( 国内外における第3相臨床試験)

また抗Aflibercept(アイリーア)抗体の発現が確認されており、投与を繰り返すことで効力が減弱します。

・最近増えている報告に光線力学療法(PDT)、抗VEGF抗体硝子体内注射(ルセンティスやアイリーアなど)の合併症として、網膜色素上皮裂孔があります。網膜色素上皮に裂け目が入ることで、網膜剥離や硝子体出血などの重篤な結果を招きます。小型の網膜上皮裂孔(microrips)を含む発生は、17%(アバスチンの例)に生じたと報告されています。千秋針灸院に来院されている患者さんにも時々みられ、PDTや注射後に大幅な視力低下を生じているケースがあります。十分な効果を見込める状況ではない場合に、PDTや抗VEGF療法などを選択することは、大きなリスクのみを伴うと言わざるをえません。頻回投与時の緑内障や脳梗塞などの発症リスクと合わせて、慎重に検討されることをお勧めします。

光線力学療法(PDT) 一年後の視力改善は5.6%(海外の143名による臨床試験) 09.5.15付 中日新聞
・光線力学療法(PDT)は日本人に多いポリープ状脈絡膜血管症(PCV)に対して効果が高いとされ、実績のある治療法である。加齢性黄斑変性を除いては適応外となり、治療後の経過は良好でも、数年以上の長期経過後は再発例や視力低下も多い。PDT施行後、合併症として3割に網膜下出血がみられたとする報告もあり、多くは自然吸収されるものの拡大して硝子体手術が必要となる症例もある。最近ではVEGF阻害薬が治療の中心となり、PDTは病巣が小型のポリープ状脈絡膜血管症(PCV)やトリアムシノロン(ステロイド)との併用療法として施行されているが、出血等の合併症のリスクから避けられる傾向がある。

抗VEGF硝子体内投与 一年後の視力改善は40.3%(海外の139名による臨床試験) 09.5.15付 中日新聞
・Bevacizumab(アバスチン)、ranibizumab(ルセンティス)は臨床試験が終了し、ルセンティスは2009年3月に認可・発売された。Bevacizumabは硝子体内注射の際に網膜内への移行性が悪いとされ、移行性を高めたranibizumabが開発された経緯がある。硝子体内注射を1ヶ月毎に行う必要はあるが、治療により視力改善を期待できる初めての治療薬であり、欧米では第一選択の治療法となっている。ただし日本に多いポリープ状脈絡膜血管症(PCV)に対しての効果は劣るとされている。合併症について短期的に重篤な症例は報告されていないが、反復施行や長期的な変化については今後の報告を待つ必要がある。

・Pegaptanib(マクジェン)は2008年10月に認可・発売となったVEGF阻害薬で、副作用は少なく生体に対する安全性は高いと推測されている。欧米での治療効果はPDTより優れるものの、Pegaptanib治療前に比較して平均視力は低下した結果が出ている。治療の目標としては、視力低下のリスクを下げるという程度と考えられる。


千秋針灸院での針治療 3ヵ月後で48.2%(43/93)、24ヵ月後で70.2%(33/47) 16.3.13付 統計症例報告
「黄斑変性への鍼施術が、視力に及ぼす影響について」第33回「眼科と東洋医学」研究会 台東区民会館
・千秋針灸院では黄斑変性と診断され、当院にて針治療を3ヶ月~24ヶ月以上受けられた81名107眼について、眼科専門医による「眼科と東洋医学」研究会の場で、針治療の症例統計として公式に報告させていただきました。また上記リンクより詳細な解説付で読んでいただけます。千秋針灸院での針治療は、眼科医療の現状に比較して優れる部分も多く、黄斑変性の治療の選択肢として検討可能なことがお分かりいただけると思います。

・5年以上前に加齢性黄斑変性の主流となっていた光凝固法や光線力学療法(PDT)ですが、病変部にレーザーを照射して新生血管を焼くものであり、基本的に病変部のみを治療の対象としてきました。しかし病変部のみを治療しても、黄斑変性症の根本的な問題となる眼底の健康状態や網膜虚血の改善には結びつかず、再発や健側への発病の可能性は依然として残ります。また現実の副作用として約半数の症例で、レーザー照射領域での様々な網膜障害が発生している報告があります。PDTを行うことで正常な脈絡膜血管も閉塞させてしまい、網膜機能が低下することによる新生血管の再発も指摘されており、当院でもこうした副作用に遭われて大幅な視力低下を生じて来院された患者さんがあります。PDTは既に過去の治療法であり、一部のケースを除けば現在では積極的に選択する理由は乏しいと考えられます。

・最新の治療法である抗VEGF製剤(ルセンティス等)も、活動期の新生血管の一時的な消退や抑制効果は高いのですが、PDTと同じく新生血管を発生させている根本原因(眼底周囲の健康状態)が改善する訳ではありません。このため数ヶ月毎に繰り返し眼内注射を受ける必要が出てきます。数ヶ月毎に繰り返し眼内注射を続け、新生血管の発生を押さえながら、活動期が自然に終息するのを待つというのが、抗VEGF製剤(ルセンティス等)による治療の実際ということになります。しかし、最近になって下記の報告が出ています。

ルセンティスなどで、VEGF(血管内皮細胞増殖因子)を、むやみに抑え込むことはリスクがあります

・加齢黄斑変性において、VEGFは病的血管(新生血管)を生じる原因となることから、抗VEGF硝子体内注射(ルセンティスなど)が、眼科での治療の第一選択となっています。しかしVEGFは網膜などの正常血管の発達や修復にも関わっており、神経保護因子としての働きもあることから、網膜の健全性が損なわれやすく、必要最小限の投与とすべきです。最近の報告では10回以上の抗VEGF硝子体内注射を行なった患者さんの経過観察で、視神経乳頭の陥凹が有意にみられ、眼圧も上昇し易い傾向があることが分かっています。特に70歳以上の高齢者では8人に1人は緑内障があり、加齢黄斑変性の治療として抗VEGF硝子体内注射を頻回に行う事は、緑内障進行のリスクが高まります。

・また 2011年に、海外で行われた加齢黄斑変性症に対するベバシズマブ(アバスチン)の臨床試験で、合併症により、全身合併症として一年以内の死亡率2.6%、内訳は動脈血栓1.2%、非致死性心筋梗塞0.5%、非致死性脳梗塞0.7%などを生じていたことが、報告されました。なおルセンティスについても同様に、脳梗塞についての副作用が報告されています。この報告は平均年齢が80歳と高齢者での結果であり、複数回投与が行われた結果ですが、死亡率2.6%は無視できない内容であり、また先に書いた頻回投与による緑内障の発症リスクも考えると、漫然と硝子体内注射を繰り返さないことが、重大な合併症から身を守ることに繋がります。アバスチンは手術時の出血防止など、眼科医療の様々な場面で役立つ薬ですが、効果の大きな薬ほど、大きな合併症を併せ持つことを思い知らされます。

・千秋針灸院では、最新の眼科医学の知見と当院での針治療の実績・結果から、抗VEGF硝子体内注射(ルセンティスなど)について、多くても最初の3回程度に止めるべきであり、適切な針治療を行なっており、病変部の障害の程度が比較的軽度であれば、硝子体内注射は行なうべきではないという結論に達しています。ただしマクジェンについては、選択的に病的な新生血管に関わるVEGFを抑える効果がありますので、この限りではありません。しかし実際の眼科での治療では多くがルセンティス、アイリーアですので、10回、15回などと漫然と使い続けない注意が必要です。

・なお当院に来院された患者さんからの問診や状況から、1回でも硝子体内注射を行った場合には白内障や眼圧上昇、網膜色素上皮裂孔、硝子体出血。5回以上で緑内障を発症しているケースが複数例あり、脳出血を生じていた症例もありました。硝子体内注射を漫然と続けることは、回数を重ねるほど大きなリスクを伴いますので、発症初期から重篤な状況を除けば可能な限り行わないことをお勧めします。

・当院の針治療は特に眼底を含めた局所(目周囲)の血流を改善することにより網膜虚血を改善し、眼底部位の炎症や出血を効果的に吸収させる治療法で、現代医学の治療法に比較して治療回数は必要なものの、眼底周囲の血流は改善され、良好な状態が維持されるため、悪化や再発の危険性を大きく減らすことができます。針治療の継続症例では再発や視力低下は5年以上の経過例でも非常に少なく、専門医療機関で抗VEGF製剤(ルセンティス等)治療等を薦められていた患者さんの多くは視力が上昇、状態が好転した結果、「当面の治療は必要無し」と診断されています。最近ではOCT(光干渉断層計)や眼底写真上でも、針治療の前後で明瞭な変化がある場合もあることが確認できています。
※当院の針治療で用いる経穴(ツボ)は、(社)全日本鍼灸学会で眼底の血流量が改善することが証明・報告されています。


・視力の改善率は他の現代医学的な療法と比較しても高く(当院での測定や、眼科医療機関の検査結果)、薬物や外科的手術のような副作用や合併症も無く、眼底周囲の健康状態を改善するという根本治療のため、病変部の状態にも左右されない優れた特徴があります。千秋針灸院では現代医学とは異なる角度からのアプローチとして、抗VEGF製剤との併用も含め、治療の選択肢として検討すべきことを統計的に証明しました。


網膜の黄斑部は、本来、自然の治癒力を持っています (外傷性黄斑円孔の症例から)

・『眼科プラクティス2 黄斑疾患の病態理解と治療』 文光堂 という眼科専門医向けの書籍があります。杏林大学、樋田哲夫教授が報告しているP14-図18では、外傷性黄斑円孔の自然閉鎖過程を示すOCT像が5枚の画像で紹介されており、発症から四ヶ月で黄斑部が自然に修復された症例が掲載されています。また同じくP248でも同様な症例が紹介されており、OCTの画像と共に、視力も0.3→0.6へと回復したと報告されています。黄斑円孔とは、網膜の黄斑部が硝子体に引っ張られ穴が開いたものです。またOCTとは光干渉断層計という最新の検査機器です。大切なことは黄斑部の物理的な損傷が自然に閉鎖して、元どうりの黄斑部を形成していく姿こそが自然治癒力そのものであるという事実です。外傷性で元々の病気は無いことから、自然治癒力が十分に発揮されたものと考えられています。

・病気は外傷などの突発的なものでなければ必ず原因があり、ゆっくりと時間をかけて発症してくるものです。眼の病気も例外ではなく、当院では現代医学や中医学に加え、多くの患者さんからの問診などから、病気によって異なるものの、目への過大な負荷(OA作業、コンタクトレンズ、携帯等)、食生活(甘いお菓子、アルコール、大食等)、睡眠不足、喫煙、紫外線曝露(屋外作業、スキー等)、出産(体への過負荷)、医薬品等の副作用、遺伝・・・が分かっています。多くの方に何かは当てはまるとは思いますが、眼の病気の多くは上に挙げた複数の原因が関与しているはずです。

・針治療を含めた中医学では、これらを含めた患者さんごとの体質を捉えて、治療を進めていきます。重要なことは患者さん自身も発病の原因と考えられるものを取り除いたり、何か別の方法で解決していただくことが必要です。煙草を止めたり、甘いお菓子は控えたり、コンタクトレンズは眼鏡に替える等、OA作業は仕事なら止められませんが、ディスプレイの調整や、医療向け遮光レンズの活用などの対策は立てられます。針治療に加えて病気が発症した環境が変われば、自然治癒力は発揮されやすくなり、多くの眼の病気は回復に向かいます。逆にどんなに優れた治療をしても、病気が発症した環境が変わらなければ、悪化する可能性が無くなることはありません。

本物の治癒に大切なことは、病気の起きてきた環境を変え、あなた自身の治癒力を発揮させること

・最新の優れた治療法や様々なサプリメントを摂取していても、何度も再発を繰り返してしまうのは、病気が発症した環境が変わらず、十分な自然治癒力が発揮されていないことが原因かもしれません。私は針治療が良好な結果を残す理由に、治療者と患者さんが向き合う時間が長く、患者さん自身が原因を自覚して、環境を変える努力をされることが大変大きいと感じています。患者さん自身が発症した原因を自覚して、環境を変える努力を始めることができたら、眼の治療の半分は成功です。現代医学も中医学も関係なく、残り半分は医師や治療者の技量でもあります。高度に発達した現代医学と、伝統的な中医学による針灸。私はアプローチ方法は異なっても目指すものは同じと思います。

・黄斑変性症には様々な症例があり、何度も再発を繰り返した場合には、眼底写真上でも分かるほどに、網膜の損傷が激しい場合があります。しかしそのような場合でも、自然治癒力は働いており、少しでも回復しようと体は努力しています。当院では針灸治療と共に、中医学、現代医学両面でのサポートや豊富な症例数を基に、様々な状態の患者さんが「どうすれば自然治癒力が発揮され、最大限の回復が得られるか」を第一に、黄斑変性症の治療に取り組んでいます。

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千秋針灸院で行う測定法


・当院では網膜黄斑変性症に対して、視力、変視部位・大きさの特定、変視の度合いを数値化する評価法を用いています。全て眼科医学にもとづいた医学的根拠のある評価法であり、黄斑疾患を専門とする眼科医療機関でも用いられています。

関連リンク・・・眼科針灸の測定・評価法

・黄斑変性症では視力低下に加えて、視界内の歪みに代表される変視症が最も代表的な症状であり、患者さんにとって日常生活上でも最大の問題なのですが、通常眼科では自覚症状については十分な検査が行われていません。黄斑変性症に限らず眼科分野では、眼底所見から見た医師の診断と患者さんの自覚症状が、必ずしも一致しないことはよくあることです。当院では特に患者さんの自覚症状を的確に捉えることを目標とした様々な測定法を導入しています。

・当院では様々な眼科医学にもとづいた医学的根拠のある評価法により、黄斑変性症の特徴である視力低下や変視症に対し鍼治療の確実な効果や適応の可能性を捉える作業を続けています。当院との提携治療院では、視力表や鈴木式アイチャートを導入している治療院もあり、連携治療して測定したデータを生かすことが可能です。(全ての提携治療院が導入している訳ではありません。)

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千秋針灸院で行う治療法について


・黄斑変性の針治療法については、患者さんの証(体質)や症状の重さにより若干変わりますが、後頚部、背部、下腿、目の周囲の経穴に対して針をします。

・特に滲出型では新生血管等の活動期かどうかも関係しますが、活動期では初期は視力の上昇や変視の改善が確認されるまでは週に2回(通常は3ヶ月程度)、可能な限り良好な視力の確保や変症の改善を目標とする期間は週1回(3~12ヶ月程度まで)、その後は視力等の維持や再発を防止するための治療間隔として隔週1回から月に1回程度へ徐々に治療間隔を延長していきます。週1回以上の治療が必要な治療期間は、一部の新生血管の活動性の高い症例を除けば平均1年程度です。

・非活動期、萎縮型等では、
週に2回(通常3ヶ月)、週1回(3~12ヶ月程度まで)としており、その後は患者さんの都合や視力をはじめとした測定結果から、無理なく続けられる治療間隔を設定していきます。また当初から視力が十分に保たれている場合等、治療上の課題が少ない場合には、より少ない治療回数で良い状態を保つことができます。

・当院で症例が比較的多い網膜黄斑変性症では、治療を開始してから数ヶ月以内に視力が上昇し、視野中心部の曇りや暗点が消えたり薄くなることを多くの症例で確認しています。なお網膜黄斑変性症では滲出型への治療が効果が高く、視力の上昇開始までの期間が短く大幅に上昇するようです。萎縮型は視力上昇開始までにやや時間がかかり、上昇幅の個人差が大きい傾向です。また視界内の歪みについても、部位が小さくなったり、歪みの強さが少なくなるなどの結果が、患者さんの自覚だけでなく、M-CHARTSなどの測定でも分ってきました。

・初期の視力上昇の仕方は個人差も大きく、数ヶ月間も変わり映えしなかった視力が突然上昇を始めることも経験します。治療開始当初は毎回視力を測定していきますが、私は視力変化が始まった時ほど嬉しく思う瞬間はありません。この後は順調に回復される例が多いです。中心部の曇りや暗点は「中心に光の穴ができて拡がっていった」「曇りが薄くなり明るくなった」「歪みが少なくなった」等と患者さんは表現されています。こうなると眼科医院での検査でも明らかな変化が現れており、視力の向上だけではなく黄斑部浮腫や眼底出血等の病変部の改善が確認されるケースも少なくありません。


当院症例報告 加齢性黄斑変性の症例等(萎縮性変化後、萎縮型、滲出型のPCV、CNV症例)
 
(当院での病名ごとの典型例を紹介していますので、全ての方に良好な結果を保証するものではありません)

①加齢性黄斑変性(萎縮性変化後)の症例 60代 発症後10年以上 発症は右眼のみ
開始時の視力 右0.05 左0.2 両0.4 (矯正視力・当院測定) 3ヶ月前の眼科検査は右0.02 左0.3
1ヶ月後の視力 右0.075 左0.4 両0.4 (矯正視力・当院測定) 感覚的にはやや見やすいとのこと
3ヶ月後の視力 右0.3 左0.5 両0.5 (矯正視力・当院測定) 正視しても視力が出てくるようになる
1年後の視力 右0.4 左0.6 両0.6 (矯正視力・当院測定) 遠くの物を見るのは大きく改善された

3年後の視力 右0.6 左0.7 両0.7
 (矯正視力・当院測定) 1年後以上に良好な状態を維持

・現在も状態維持を目的に治療間隔を空けつつ治療を継続されています。治療開始から七年後の運転免許証も更新できました。治療開始当初は1ヶ月以上も結果が出ず心配していたのですが、1ヶ月半頃から突然患側の視力が上昇、視野中心部の曇りがやや薄くなり、正視してもある程度見えるようになったとのことです。現在は10年が経過しましたが視力は保たれており、ゴルフや自動車の運転、日常生活等に支障はほとんどありません。萎縮型網膜黄斑変性症は現代医学の治療法が無く、医師から見放されているのが現実ですが、粘り強い治療で比較的良好な状態を保てる可能性があると言えます。


萎縮型網膜黄斑変性症の症例 60代 発症後1年 発症は左眼のみ

開始時の視力 右1.0 左0.02 (裸眼視力・当院測定) 視野中央に大型で灰色の暗点、歪みも強い
1ヶ月後の視力 右1.5 左0.06 (裸眼視力・当院測定) 中心外視力(視野内の最大視力)が0.2→0.3
3ヶ月後の視力 右1.5 左0.15 (裸眼視力・当院測定) 中心外視力(視野内の最大視力)は1.2
6ヶ月後の視力 右1.5 左0.3  
(裸眼視力・当院測定) 時々0.5まで見えることもあり、視力は不安定
9ヶ月後の視力 右1.5 左1.0  (裸眼視力・当院測定) 大幅に視力が上がり、眼科でも0.02→0.8
1年後の視力 右1.5 左1.2 (裸眼視力・当院測定) 視力は完全回復のため、隔週1回の治療へ移行

・治療開始当初は視力測定も厳しい状況でしたが、0.1未満まで正確に測定できるNIDEKの液晶視力表に助けられました。本当に少しずつ視力が回復していった症例で、粘り強く来院された患者さんには頭が下がる思いです。0.02という失明寸前の状態から、1.2までの回復は当院でも最大の回復幅になります。現代医学の治療法が無いとされる萎縮型でも、非常に大きな回復が得られる場合もあり、この患者さんの担当医も言葉を無くしたそうです。針治療を初めて3ヶ月までに少しでも変化が出てこれば、その後に大きな回復が期待できる可能性がありますので、一度は試してみる価値があります。この症例の方も2週間に1回の寬解期治療へと移行し、万一の再発や健側への発症予防を目的に通院されています。

③滲出型加齢性黄斑変性症(近視性 CNV)の症例 50代 発症後約1年 発症は左眼のみ


開始時の視力 右1.0 左0.2 (矯正視力・当院測定) 視野中央上部に灰白色暗点、歪み強い
M-charts H0.6゜ W2.0゜↑
3ヶ月後の視力 右1.2 左0.3 (矯正視力・当院測定) 視野中央上部の暗点消失、歪みの部位は縮小
H0.5゜ W1.7゜
6ヶ月後の視力 右1.5 左0.5 (矯正視力・当院測定) 歪みの部位はさらに縮小、歪みの程度も軽い
H0.6゜ W0.9゜

・M-chartsは変視(歪み)量の定量測定チャートであり、H(縦)、W(横)方向の歪みの強さを表しています。
0゜歪み無し、~0.5゜軽度の歪み、~1.0゜やや強い歪み、~1.5゜強い歪み、~2.0゜非常に強い歪み、2.0゜↑は
測定不可の歪み

・鈴木式アイチェックチャート (変形アムスラーチャート)を使い、平面視野計法により測定した座標を結んだものになります。変視(歪み・暗点)部位の位置や大きさ、状況について、実際の見え方を反映し、針治療による変化を掴むことが可能です。


開始時 透見できない暗点有り  3ヶ月後 暗点消失、変視部位縮小  6ヶ月後 更に縮小、歪みも軽減

・近視性の加齢性黄斑変性であり、発症当時は抗VEGF製剤もまだなく、PDTも不適のために経過観察とされていた症例です。半年間の針治療の結果、視力の向上は3段階(著効)と、当院の針治療の結果としては一般的ですが、視野内の状況が大きく改善しています。視野中央上部の暗点は消失し、歪みを感じる部位も大幅に縮小、歪みの程度も軽くなりました。2007年後半以降の症例については、変視症(歪みや暗点の部位、大きさ、強さ)を測定していくことで、視野内の状況の改善を確実に記録に残すことが可能になりました。針治療は視力のみならず、変視に対しても効果が見込める治療です。

④滲出型加齢性黄斑変性症(ポリープ状 PCV)の症例 50代 発症後4ヶ月 発症は右眼のみ


開始時の視力 右0.3 左1.2 (矯正・当院測定) 中央に大型の変視(歪み)があり、歪みも強い。
M-charts H2.0゜ W2.0゜↑
1ヶ月後の視力 右1.0 左1.5 (矯正・当院測定) 視力は大幅に向上し、視野中央の変視も大きく縮小。

H2.0゜ W2.0゜


・M-chartsは変視(歪み)量の定量測定チャートであり、H(縦)、W(横)方向の歪みの強さを表しています。
0゜歪み無し、~0.5゜軽度の歪み、~1.0゜やや強い歪み、~1.5゜強い歪み、~2.0゜非常に強い歪み、2.0゜↑は測定不可の歪み

・鈴木式アイチェックチャート (変形アムスラーチャート)を使い、平面視野計法により測定した座標を結んだものになります。
変視(歪み・暗点)部位の位置や大きさ、状況について、実際の見え方を反映し、針治療による変化を掴むことが可能です。


開始時 中央に大きな変視  1ヶ月後 変視部位は大幅に縮小

・ポリープ状黄斑変性(PCV)と診断され、当院へ来院される2ヶ月前にPDT(光線力学療法)を行ったものの、視力低下が進んだ症例です。僅か一ヶ月の針治療で状況は劇的に変化し、視力の著明な上昇(7段階)、変視部位の大幅な縮小が得られました。歪みの強さはまだ2.0゜と強いですが、まだ治療開始から1ヶ月であり、今後軽減していくことが予想され、目標でもあります。発症後4ヶ月と早い時期に針治療を開始されたことが、急速な回復に結びついているものと思われます。2007年後半以降では視力のみでなく様々な測定法を導入し、多角的に黄斑変性症を捉えることが可能になったため、測定結果を受けての治療法の改良も進み、視力や変視症に対しての針治療による効果の高さや、改善までの期間も短縮してきています。

・これまで当院の指示通りの間隔で治療を行えた多くの症例で良好な結果を得ていますが、概ね指示通りの間隔で治療できない場合には、十分な効果が得られない場合もあり、効果が判然とせずに治療が続けられなくなるケースもあります。当院では眼科医学にもとづいた評価法により、患者さんに必要最小限の通院で済むように治療計画を立てます。指示通りの間隔で治療を行えても回復の難しい疾患や症状はありますが、ご自身で回復の可能性を潰してしまわないよう、お願いいたします。

・時々問い合わせがあるのですが、治療効果が高いとされる眼窩内刺針は出血の恐れが高いため、当院では通常用いることはありません。当院の治療は眼窩内へ刺針を行わなくても充分な効果が得られています。上海では実際に眼窩内刺針により効果を上げているのですが、効果が早く現れることと引き替えに目周囲が腫れてしまう確率も高く、私は積極的にお薦めはできません。当院では目周囲が腫れる可能性の無い安全な治療方法を確立しています。


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千秋針灸院での針灸治療の特色と現状

千秋針灸院の統計症例報告 2016.3.13 第33回「眼科と東洋医学」研究会 台東区民会館にて報告
●リンク・・・「黄斑変性への鍼施術が、視力に及ぼす影響について」 詳細に解説しています


○針治療開始より3ヶ月程(週2回治療)までで、多くの症例に視力変化が認められます。
 (治療開始3ヶ月時点の視力改善の目標はLogMAR0.3以上(2倍値)です。例えば0.2→0.4以上です。)


○当初は硝子体内注射やPDT等が必要と医師より薦められていた患者さんでも、当院の推奨する治療間隔で続けられた多くの場合に、視力などが改善した結果、当面は必要無し(要経過観察)と診断されています。
 
○視野内の暗点(黒点もしくは白点)は縮小したり薄くなったりと、治療開始3ヶ月程度で多くの方に変化が見られます。 鈴木式アイチャート等で確認できるものですが、患者さん本人でも自覚できるケースが多く、眼底検査等でも良好な状態が分かる場合もあります。(医療機関における検査機器の有無や医師毎の判断によります)

○当院での治療を継続中に、再出血等が起こり症状が悪化する例は、新生血管の活動が特に活発な一部の方を除けばありません。患者さん全体の数%程度です。針治療は両眼に効果が期待できる治療法のため、再発や健側での発症も防止できていると考えられます。針治療を一定間隔で行っていれば視力はほぼ全ての例で、向上した状態のまま維持されています。詳しくは上記の統計症例報告を参考にして下さい。ただし最も長い方で治療開始から十数年程ですので、20~30年後といった長期間の結果は未知な部分があります。

○視野内の歪みについては、歪みや暗点を鈴木式アイチャートを用いて大きさや部位、程度を継続して測定することで、歪みや暗点に変化が現れることを確認しています。特に病歴が短い、初めての発症など比較的軽度な症例では、歪みが軽減したり消えたりする場合が多いことも分かっています。また暗点が薄くなったり視力の向上により、分かり難かった歪みが相対的に目立ってくる場合もあります。針治療による視野内の歪みの軽減や解消についても、状況により効果的であることが分かってきました。

 

・現在、最新の治療法である抗VEGF製剤の眼内注射(アバスチン・ルセンティス・アイリーア等)を受けられた患者さんの来院が多くなっています。鍼治療を開始したところ、繰り返し抗VEGF製剤の治療を続けていた方の多くは、眼内注射を続ける必要がなくなっています。特に初期の滲出型黄斑変性症の場合に、抗VEGF製剤を用いることで新生血管を一旦消退させ、その上で鍼治療を加え、新生血管発生の根本原因(眼底周囲の健康状態)を時間をかけて改善させるという方法も、検討される価値があると思います。鍼治療を併用することで必要以上に硝子体内注射等を用いることなく、健側への発症や再発リスクも軽減されると考えられます。
(2006年までの当院症例報告から、針治療単独でも十分な効果は見込めます。)

・網膜黄斑変性の患者さんは当院でも200名以上を数え、近年来院される方が増えています。来院される患者さんは、全国各地の大学病院など、高度な専門医療機関に通われている方が多く、これまで以上に確実な診断結果をいただけるようになりました。特に視力向上と手術の回避については確信を持てる診断結果が得られています。このことから現在までのところ、当院での特に滲出性(出血性)網膜黄斑変性症についての針治療は、現代医学を含めた様々な治療法の中でも、最も確率の高い治療方法の一つと思われます。また治療方法の無い萎縮型についても、針治療では改善する可能性は充分にあり、多くの症例で良好な治療結果が得られています。3ヶ月程度の期間を設定して、針治療を試してみる価値は十分にあると思われます。

千秋針灸院の加齢黄斑変性への取り組み

・2007年10月7日
(社)日本鍼灸師会 全国大会in大阪での一般口演で、 
『中医学による加齢性黄斑変性症への鍼灸治療』
国内の鍼治療としては、初の統計的な発表になると思います。(学会の抄録検索での未発表を確認済み) 
・2016年3月13日
第33回「眼科と東洋医学」研究会での一般口演で、「黄斑変性への鍼施術が、視力に及ぼす影響について」を統計症例報告として発表しました。

・当院は今後も引き続き針灸治療を研鑽し、臨床を蓄積して、加齢黄斑変性への取り組みを続けていきます。これまで来院していただき、勉強させていただいた多くの患者の皆様に感謝いたします。


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患者さんからよくある質問


Q 針治療により、加齢性黄斑変性が治るのですか? もしくは進行を遅らすことはできますか?

A 加齢性黄斑変性症には様々な病態があります。滲出型の中で比較的多い新生血管症、黄斑浮腫などでは、視力の向上や変視症の改善等、硝子体内注射やレーザーを中心とした現代医学でのアプローチに比較して良好な結果が得られています。また現代医学での治療法が無かった萎縮型黄斑変性でも個人差はあるものの、視力が健側並に向上する等、治癒として差し支えない程の著効を示す症例に度々出会います。萎縮型だから改善は望めないという眼科医学の常識は、必ずしも当院の針治療では当てはまらないと考えて下さい。

・強度近視(病的近視)が関与する加齢性黄斑変性症では網膜自体の脆弱性から程度により、一定期間治療した後でも状態がやや安定し辛い傾向があり、また網膜血管腫状増殖(RAP)については、症例数が少なく針治療の評価は定まっていません。また過去にPDT(光線力学療法)、レーザー(光凝固術)、抗VEGF製剤の眼内注射やステロイド注射(テノン嚢下注射、硝子体内注射)等を繰り返した症例では、病気の遷延化と共に網膜が様々な後遺症などの障害を受けたと考えられるため、治療効果として一定期間治療した後でも状態が安定し辛かったり、やや劣る傾向が見られています。

  
・鍼灸治療の効果は黄斑変性症の病態や程度により様々ですが、少なくとも現代医学でのアプローチのみに比べ、視力の向上や変視症の改善などの点で好結果が得られます。また5年以上鍼灸治療を続けられた症例などから長期的に多くの場合で悪化を回避し、健側への発症も防いでいると考えられます。現代医学では完全な治癒は見込めない疾患ですが、鍼治療を加えることで病状は改善、安定し、生涯に渡って失明の危険から眼を守ることができるものと思われます。

Q 医師から手術療法(PDT、抗VEGF製剤、ステロイド眼注等)を勧められましたが、どうしたら良いでしょう?

A 患者さん自身の眼の状況を正確に掴み、手術が本当に必要かどうか慎重に判断する必要があります。

・眼科医学は検査機器が急速に進歩している分野です。高度な医療機関でも最新の検査機器が入っているかは大変重要です。また網膜分野の専門医がいるかどうかもポイントになります。当院に来院される患者さんで2カ所以上の大学病院で診察を受けられた方は、診断結果が異なる場合が多くあります。また抗VEGF製剤の眼内注射やPDTの適応かどうかについても、医療機関ごとに異なる場合が多い現実があります。急激に視力が下がるなど、緊急を要する場合もありますが、医師に手術療法を勧められたときには、可能な限り別の医療機関でも意見を聞いた方が良いと思います。


・現在なら抗VEGF製剤の眼内注射は、活動期の新生血管に対して最も効果があるようです。(ルセンティス、アイリーア等)しかし当院に来院されている患者さんの中には、抗VEGF製剤の眼内注射後に更に視力が落ちた症例もあり、副作用が無い訳ではありません。またルセンティス等の眼内注射を行ってもほとんど改善しない場合もあり、この場合に漫然と眼内注射を繰り返していくことは、副作用や合併症のリスクを高めてしまう可能性があります。(ルセンティス等の眼内注射は過去の様々な手術療法に比較すれば、安全かつ大きな効果が見込める治療法です)  

・ステロイドのテノン嚢注射についても、抗VEGF硝子体内注射に比較して効果が劣る上、数ヶ月で薬の効果が切れると再発し易く、副作用としての眼圧の上昇は27%、白内障の進行は31%と報告されています(OkadaAA 2003)。また注射に伴うブドウ球菌などによる感染症のリスクもあります(GharaeeH 2011)。2005年以前であれば、スタンダードな治療法ですが、現在では積極的に選択する理由は見当たらないと思われます。

・非常に活発な活動期で、短期間に大幅な視力低下(0.1未満)を伴う緊急の場合を除き、数ヶ月の針治療を行えば、良好な状態に変化していく可能性は十分にあります。緊急の場合を除き、まず3ヶ月程の針治療も試してみることをお勧めします。多くの方で視力の向上や眼底病変の改善等により、ほとんどの方で針治療開始後のルセンティス眼内注射は不要となっている事実があります。黄斑変性をはじめ、多くの病気で結局は自分自身の治癒力を高めていかなければ再発や悪化を繰り返してしまいます。この観点からも硝子体内注射等は可能な限り必要最低限で済ますべきと考えます。

・ルセンティス、アイリーアなどの硝子体内注射が本当に必要か、今一度検討してみて下さい。

・加齢黄斑変性において、VEGFは病的血管(新生血管)を生じる原因となることから、抗VEGF硝子体内注射(ルセンティスなど)が、眼科での治療の第一選択となっています。しかしVEGFは網膜などの正常血管の発達や修復にも関わっており、神経保護因子としての働きもあることから、網膜の健全性が損なわれやすく、必要最小限の投与とすべきです。最近の報告では10回以上の抗VEGF硝子体内注射を行なった患者さんの経過観察で、視神経乳頭の陥凹が有意にみられ、眼圧も上昇する傾向があることが分かっています。特に70歳以上の高齢者では8人に1人は緑内障があり、加齢黄斑変性の治療として抗VEGF硝子体内注射を頻回に行う事は、緑内障進行のリスクが高まります。

・千秋針灸院では、最新の眼科医学の知見と当院での針治療の実績・結果から、抗VEGF硝子体内注射(ルセンティスなど)について、多くても最初の3回程度に止めるべきであり、適切な針治療を行なっており、病変部の障害の程度が比較的軽度であれば、硝子体内注射は行なうべきではないという結論に達しています。ただしマクジェンについては、選択的に病的な新生血管に関わるVEGFを抑える効果がありますので、この限りではありません。しかし実際の眼科での治療では多くがルセンティスですので、10回、15回などと漫然と使い続けない注意が必要です。また硝子体内注射を行うことによる眼内炎(感染症)は1.000例に1例とされていますが、仮に10回行えば、100分の1に確率が上がることになります。


・最近注意すべき副作用として、網膜色素上皮裂孔のリスクが問題視されています。光線力学療法(PDT)や坑VEGF抗体硝子体内注射(アバスチン、ルセンティス、アイリーアなど)を行った後に、新生血管の消退や萎縮した網膜色素上皮などから牽引が起こり、網膜色素上皮が裂けたり小型の傷ができるもので、黄斑部を巻き込んで裂孔が生じると大幅な視力低下に繋がります。このことは加齢黄斑変性の患者さんの網膜は元々脆弱であり、網膜色素上皮剝離(網膜浮腫)などを伴うことが多いため、網膜が薬剤による急速な変化に耐えられないことを意味しています。たとえ時間が掛かっても適切な鍼治療などにより、網膜を健全にする方向が無理なく正しいことは言うまでもありません。

・抗VEGF硝子体内注射の適応について、特に有効なのは活動期の新生血管に対しての効果のみです。網膜浮腫に対しても薬剤が残っている間は有効ですが、初期に十分な効果を発揮しない場合には、繰り返し注射を行っても改善しないばかりか、緑内障の発症や進行のリスクが生じてきます。数回の注射を行っても改善しない場合には、それ以上続けない方が安全です。

・坑VEGF硝子体注射の副作用については、2011年後半に海外の報告が相次ぎましたが、2012年春頃から全国的に使用が控えられるようになり、2012年夏以降は多くの眼科で慎重に使用される傾向が強まっていました。ただし最近では新薬(アイリーア)が登場したこともあり、漫然と使用を繰り返す事例も再び目立っています。

Q 千秋針灸院で視力や変視症の測定で効果が出た場合に、病院の診察でも同じ結果が得られますか? 

A 視力の場合は眼科と同等の測定ですので、病院での診断でも同様な結果が得られることを確認しています。当院の視力測定は公式に0.03から測定可能ですので、通常の医療機関では手動弁(カード等)となる0.1未満の視力でも正確に測定可能です。手動弁(カード等)や近距離での視力検査に比較して、NIDEK社システムチャートSC-2000を使用した当院での測定結果の方が正確です。


当院の変視症測定については、鈴木式アイチェックチャート、M-CHARTS共に、眼科医学に基づいた医学的根拠のある評価法として、眼科医学界に認知されているものです。しかし現在の眼科医学は患者さんが自覚できる視力や変視等の変化よりも、眼底の状態を画像として捉える他覚検査に重点が置かれており、患者さんの自覚による評価法は重視されない傾向があります。ですので当院での測定結果は眼科医学としては通用するものですが、当院での測定法を眼科医が採用していない場合には、評価していただけないケースがあります。

当院では患者さんに自覚できる視力の向上や変視症の改善が最も重視すべき点と考えており、鍼治療も含め病医院とは別の角度から加齢性黄斑変性症に対しての治療を行ってきました。また鍼治療の効果を客観的に判定するために、各種の評価法を取り入れ、加齢性黄斑変性症への鍼治療を確実なものにしていくことを目標としています。  

Q 鍼治療は黄斑変性に効果がありそうですが、どこの治療院でも同じ治療は受けられますか?

A これまで眼科領域を専門とする治療院は一部の大都市に限られ、遠方の患者さんは実質的に治療の継続が困難でした。当院でも遠方から来院されている患者さんを、どのように治療していくかは最も深刻な課題です。そこで当院では治療法や測定方法を公開して、全国で実力があり眼科領域の鍼治療に協力していただける治療院と眼科鍼灸ネットワークを作り、遠方の患者さんへ距離の壁を越えた可能な限りの治療ができる体制を目指しています。提携治療院での治療法は当院と完全に同一ではありませんが、当院の治療法や治療方針を参考にしていただき、また医学的な根拠に基づいた測定により鍼治療での「結果」が得られるよう努力をしています。


当院では視力や変視症に対しての医学的な根拠に基づいた評価法を重要と考え、積極的に導入してきましたが、眼科領域を専門と掲げている他の治療院では、こうした評価法は行われていないようです。医学的根拠に基づく評価法が行われていないということは、その治療院の鍼治療自体に根拠が乏しいと言われても仕方がありません。また眼科医療機関では通常眼底検査(造影・OCT等)が重視され、眼科医療としての基礎である視力や自覚検査は、あまり丁寧ではない場合があります。患者さんにとっては自覚検査も他覚検査(眼底等)も共に大切になりますので、眼科鍼灸ネットワークでの治療では、当院もしくは提携先治療院での視力や変視症の評価を大切にしています。

なお当院での初回測定や治療を行わず、提携治療院へ直接通院される場合、患者さんへの適切な治療や指導が行われているかについて、個別の状況が分りかねますので当院では関知できません。提携治療院へ直接通院される場合には、病気への説明や治療、生活指導などは全て提携治療院の先生にご相談下さい。最近こうした問い合わせが多いのですが、一度も診せて頂いたことの無い患者さんへ、個別に適切な助言ができる専門家はいないと思います。申し訳ありませんが、敢えて書かせていただくことにしました。


眼科領域の難病治療を提携治療院で(当院ページ)
から、お近くの治療院をお探し下さい。

Q 針灸治療はサプリメント(ルテインなど)や漢方薬、処方されている医薬品との併用は可能ですか?

A 針灸治療は薬物ではなく、患者さんごとの体質や症状に合わせて、最適なツボに必要な刺激を与えることで、誰もが本来持っている自然治癒力を引き出す治療法です。このため基本的に他の治療法と併用されても通常は問題ありません。針灸治療を併用することで、薬物は通常効き目が増すようです。(緑内障やバセドウ病等、多くの実例があります) ルテインや漢方薬だけで効果が実感できなかった方も、当院の針灸治療を受けられる場合は続けてみて下さい。以下、各療法の併用での注意点を挙げます。


サプリメント(ルテイン等)...過剰摂取にならないよう用量を守って下さい。多種の摂取は控えましょう。
漢方薬...体質に合っているかが最も大切です。漢方薬は体質に合わない場合には副作用もあります。
医薬品...当院から薬物療法への指示はできません。医師の説明から納得のいくものは服用して下さい。


Q 針灸治療は視力低下や感染症等の副作用の危険はないのですか? 医師には分からないと言われますが。

A 鍼治療は薬物を全く使用しない治療法です。また当院の治療法では感染症のリスクや強い内出血を伴う眼窩内への鍼も行いません。また患者さん毎の専用の鍼(日本製)を治療毎に滅菌処理していますので、副作用や感染症についての心配は皆無です。眼科領域の全ての外科的な手術法(レーザー、PDT、眼内注射など)に比較して、最も安全な治療法です。当院の眼科疾患では10才未満の子どもさんから、安全で痛みの少ない鍼治療を行っています。 


日本では医師の教育や医療制度に鍼灸が組み込まれていないため、鍼灸治療の実際については、医師にもあまり理解されてはいません。しかし当院が専門とする眼科分野は、現代医学の中でも検査機器が進歩している分野です。医師にはなかなか理解していただけない部分もありますが、一人一人の患者さんを丁寧に治療し、現代医学的にも結果を出し、積み重ねることが、この病気の克服に繋がるものと思います。現代医学以外は一切を信用しない方もありますが、私自身が難病のクローン病(特定疾患)を患い克服できた経験から、どのような治療でも、結果を出せる治療が患者さんにとって意味があり、結果の出せない治療法は現代医学でも鍼灸治療でも意味が無いと考えています。

・千秋針灸院は2016年3月13日 第33回「眼科と東洋医学」研究会での一般口演で、「黄斑変性への鍼施術が、視力に及ぼす影響について」を統計症例報告として発表しています。公の場での眼科専門医に向けての報告になりましたので、今後は医師に眼科領域の鍼治療の存在も少しずつ理解していただける可能性があります。

Q 眼科医から「瘢痕化しているため、治療法はありません」と告げられました。針治療は効果がありますか。

A.瘢痕病巣の大きさや病歴の長さにもよりますが、視力や中心暗点が改善する症例も少なくありません。
・円板状の瘢痕病巣が小さく病歴が比較的短い場合には、病巣が小さくなるなどして灰色に見える中心暗点は小さくなったり、薄くなることがあります。瘢痕病巣とは新生血管からの出血などによる炎症後、増殖した線維芽細胞に網膜色素上皮細胞やグリア細胞が入り込んでいる組織で、瘢痕治癒の過程でのマクロファージなどによる異常な免疫炎症反応が関与しているとされます。適切な針治療を行うことにより眼底血流は改善し、異常な免疫反応は起こり難くなることから、網膜黄斑部の瘢痕の拡大は停止し、黄斑部組織の損傷や視力低下を防ぐことに繋がります。この結果、数年単位の観察では網膜が健全になることから、視力や中心暗点は改善のみられる症例は多いです。


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院長からひとこと


・症例報告を行うにあたり、黄斑変性症への当院の針治療の役割が明確になりましたので、まとめました。

針治療は硝子体内注射に比較しても、視力をはじめとした視機能の改善に優れ、併用も可能です。
(当院統計症例報告 
「黄斑変性への鍼施術が、視力に及ぼす影響について」を参考にして下さい)

長期に渡り、再発や悪化、健側への発症を予防する目的
(やや高い確率で再発や悪化、健側への発症が起きます。当院では10年以上の経過例でも防げています)

ルセンティスやアイリーア等の硝子体内注射、PDTなどの再手術を回避する目的
(視力低下等の度に注射が必要です。針治療は悪化例が少ない為、多くの場合に再注射を回避します)


・当院の加齢性黄斑変性の治療は全てが完全に治癒していくものではありませんが、黄斑部の回復や疾患の進行を遅らせ、特に視力(矯正視力)の向上と維持・症状の軽減に特徴があり、眼科検査でも良好な結果が得られています。軽症な症例では視力1.0以上、変視(暗点や歪み)の解消など実質治癒の場合も少なくありません。視力低下や変視の程度が少なく、発症して数年以内の場合には治療効果も高く、かなり短期間に改善する傾向があります。針治療により注射等も回避できる可能性が高いため、早期に治療を受けられることをお勧めします。

・当院のホームページから来院され、発症後数週間という、かなり早期に治療を開始できたケースがあります。このケースでは視野内の暗点(眼底出血)が少なく視力低下が固定されなかったため、針治療のみで半年程度の期間で視野内の暗点がほぼ消失し、視力が発症以前の状態に回復した症例がありました。早期の治療開始が好結果を生んだ症例と思います。 この症例では2年後に眼科医から「黄斑変性症ではない」と診断されました。当初は新生血管の存在が確認され、レーザー治療等が検討されていたことから、間違い無く黄斑変性なのですが、眼科では経過観察のみで治療が行われていなかったため、「黄斑変性が自然に治る訳が無い」という意味の裏返しの診断なのでしょう。つまり針治療のみで医学的に治癒したことになります。

・患者さんに気をつけていただくこととして、喫煙(血管を収縮させるため眼底の血流量が低下する)は止めることや、飲酒量(網膜浮腫を生じる可能性が高まる)を減らす。紫外線(黄斑部を刺激し変性を促す)を避ける、野菜を中心とした食事やルテインの摂取、パソコン等の目に負担をかける作業は極力避ける、コンタクトレンズ(目への負担を避けるため)の使用を避ける等の指導をしています。仕事等、止むを得ない場合もあるかと思いますが、ご自身でも努力していただきたいと思います。当院での指導による患者さん自身の努力の結果が、黄斑変性への針治療の高い成功率に繋がっていることは間違いありません。

・千秋針灸院には様々な病気や症状の方が来院されますが、当院では既に200名を超える黄斑変性の治療実績があります。この結果、加齢黄斑変性に関しても臨床数が圧倒的に多く、データや治療法、経験も豊富に蓄積されているため、様々な進行状態にある患者さんの状況に合わせた治療方法を提案することが可能です。

・また当院の眼科領域の治療は、唯一の専門領域と位置付けているため、全力を挙げて眼科疾患に集中した取り組みを行っており、 他の眼科領域の疾患も含め、高い専門性を皆様に役立てていけることを目指しています。遠方の方は提携治療院等、紹介可能で充分な治療水準の治療院がある場合には、通える範囲にある治療院を紹介していますが、眼科領域の疾患に対応できる治療院は非常に限られますので、通院可能な場合は出来る限り当院もしくは提携治療院での治療をお薦めします。

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患者さんに気をつけていただくこと(網膜黄斑変性症サポート情報)


・黄斑変性は外傷とは違い突然発症したものではなく、多くは日常の積み重ねから生じるものです。治療効果を確実にするには、患者さん自身の日常生活も可能な範囲で変えていく努力が必要になります。当院では中医学や現代医学(眼科学)、抗加齢医学に基づき、また多くの患者さんの問診や傾向から加齢性黄斑変性を把握し、当院独自の生活指導を行っています。針治療を受けられていない方も参考にしていただけたらと思います。

コンタクトレンズ(CL)の使用は可能な限り避けましょう。(主に近視が原因の加齢黄斑変性)

・50歳未満で発症し、特発性脈絡膜新生血管もしくは近視性黄斑変性と診断され、当院に来院された多くの患者さんへの問診から、この病気の発症に、コンタクトレンズの長期装用が強く関与している可能性が疑われる結果となりました。
(当院の報告は50歳未満の患者さんを対象としましたが、加齢性でも近視性のタイプでは同様に注意が必要と考えられます)

・2009年9月末までに、特発性脈絡膜新生血管もしくは近視性黄斑変性と診断され、当院に来院された患者さん45名の問診では、45名中40名(88.9%)がCLの長期装用者(10年以上)でした。その内CL装用歴が明らかな25名について、発症までの平均年数は18.6年、全員がCL装用歴11年以上、最も若く発症した方は20代前半でした。また両眼へ発症した症例は45名中16名(28.1%)で、CL長期装用の有無で差異は見られませんでした。

・近視等でのCL装用者は年々増えており、日本国内では1.503万人(2004年)、2010年には1.640万人と予想されています。また小学生以下への低年齢化も進んでおり、高校生では近視者の4人に1人はCLを使用しているとの報告もあります。しかし50歳未満に発症するとされる特発性脈絡膜新生血管や近視性黄斑変性の8割以上が、CLの長期装用者であるという事実は、発症に強く関与している可能性が疑われるものです。

・眼科医が説明するように、CL装用は深部の網膜とは無関係という主張が正しいのならば、発症は多くても3割程度と考えられますが、結果は8割以上と大きく異なっていました。今回の結果を完全に覆す、もしくは肯定するためには統計学の観点から4倍(約150名)以上の症例が必要になりますので、正しく調査され、CLによる健康被害が出ないよう報告されることを願っています。引き続き当院でも統計を取り、調べていきます。


・知られていない事実ですが、以前のソフトCL装用者の9割で、角膜新生血管を生じていたことが眼科学専門書に記載されています。角膜がCLで覆われ酸素等の供給が不十分なため、角膜細胞がVEGFを発信し結膜上の血管から新生血管が角膜内に浸入した状態です。以降は仮説ですが、VEGFの一部は角膜だけでなく硝子体を通過し、僅かずつですが網膜や脈絡膜まで達し、10年以上の時間を経て黄斑変性の発症に至ることがあると考えられます。酸素などが不足した角膜から放出されるVEGFも、黄斑変性で問題となるVEGFも同じ因子だからです。CLを使用すると必ずしも脈絡膜新生血管(近視性黄斑変性)になる訳ではありませんが、元々発症リスクを抱えている方は、CLの長期使用が眼に負担をかけ、間接的に関わるのではないかと考えます。

・当院ではCL装用を必要最小限の時間として、遮光レンズ(東海光学等)の眼鏡の使用をお勧めしています。CLは大変便利ですが使用が中止できない場合でも、本当に必要な時だけに限るなど、一日の装用時間をできる限り少なくする必要があると思います。


・また当院の患者さんでCLの使用を続けられている方は、使用を止められた方に比較して視力の向上等、治療結果が明らかに低下するようです。(将来的には統計的に結果を報告したいと思います) 様々な理由からCLの使用を続けられる方がありますが、可能な限り最小限の使用としていただきたいと思います。

OA作業が多い方など、できる限りの対策を取りましょう。(黄斑変性を含む多くの眼科疾患)

仕事や日常生活で目にかかる負担が増えています。仕事は減らすわけにはいきませんが、日常生活で目への負担を減らすことやディスプレイの調整などは可能です。また様々な場面で遮光レンズも役立ちます。

・間近で使うPC用ディスプレイやスマートフォンの画面、大型液晶TV等は紫外線や目に負担をかける短波長光(青色光)を出します。特にLEDバックライトを使用した液晶画面は鮮明ですが、強い短波長光(青色光)を出しています。使用時間自体をできるだけ減らすと共に、周辺の明るさも関係しますが液晶ディスプレイでは特に輝度(明るさ)を調整することで目の疲れが軽減できます。また連続して見続けないよう気をつけることも大切です。

・また最近の遮光レンズやブルーライトカットのレンズは、周囲の方が気づかない程の薄い色で、一般のサングラスを上回る紫外線の遮断効果や短波長光を減少させ眩しさを軽減する特徴があります。目への負担を減らし、黄斑変性の進行や白内障の予防効果も期待できますので、黄斑変性の方に限らず広くお勧めしています。コンタクトレンズのUVカット効果等とは比較にならない程の高性能ですので、特にコンタクトレンズから遮光レンズ等を使用した眼鏡へ換えることは治療上も大きな意味を持つと思われます。また瞳孔拡大による眼圧上昇(眼底血流を低下させる)や顔と眼鏡の隙間から入り込む紫外線を抑えるために、当院ではできるだけ薄い色のレンズをお勧めしています。


・最近の傾向ですが、LED照明を導入後から、目が疲れるようになったという声が聞かれるようになりました。LED照明は省エネには繋がりますが、現時点で目に優しいかという点では、いくつかの問題があります。具体的には安定器の品質(チラつき)と光の拡散処理(蛍光灯との原理の違い)にあり、改良が進んではいますが発展途上です。現時点では無理にLED照明にするのではなく、疲れを感じるようであれば元に戻して下さい。千秋針灸院では、患者さんやスタッフの目を保護するため、治療院内の全ての照明でLEDの使用を避けています。

一部の医薬品には、病気や症状を悪化させる場合があります。(網膜黄斑変性全般)

・特にステロイド系の内服薬は、網膜浮腫を引き起こしたり、悪化させている場合があります。その他にも影響を与える可能性のある医薬品は少なくありません。
・詳しくは当院ページの
目の健康に影響を与える医薬品情報のページを参考にして下さい。

●白内障手術は、黄斑変性を発症・悪化させる場合があります。

・白内障手術後に、滲出型加齢黄斑変性や地図状萎縮の発症頻度が有意に高いという報告があります。眼内レンズの挿入により、青色光などの透過率が増すことで網膜が障害を受けやすくなることや、手術時の炎症が網膜に波及することで新生血管の発症や萎縮が進む可能性があるようです。白内障手術が本当に必要な状態かを見極めることや、やむを得ず行う場合には、ビタミンCやルテインなどの十分な抗酸化サプリメントを摂取し続ける必要があります。

胃腸に負担をかける食生活を改めましょう。(滲出型や強度近視が原因の黄斑変性)

中医学では胃腸や肝臓に負担をかけることで、出血傾向や自然治癒力の低下を招き眼病を招くとされています。また当院の数十名以上の患者さんの問診や体質からも、同じような傾向を掴んでいます。

・特に女性の方ではチョコレート等の甘い物(砂糖)、男性では食べ過ぎや長年の飲酒が原因で、胃腸や肝臓の弱りを起こしている方が多いようです。食べ過ぎや甘い物の摂り過ぎは胃腸を弱らせ眼底部を含めた出血傾向を高めます。また毎日の飲酒も量にもよりますが自然治癒力の低下を招き、体の回復力を弱めてしまいます。

・ルテイン等のサプリメントや漢方薬も過剰摂取や体質に合うかに気をつけていれば有益ですが、甘い物の摂り過ぎは案外ノーマークの方が多いようです。最近は何かと甘い物を口にする機会が増えていると思いますので、特に気をつけていただきたいものです。


水分の摂りすぎに注意しましょう。(黄斑浮腫を生じている網膜黄斑変性)

・大量の飲酒が原因となる他、最近では熱中症対策として、やや過剰に水分摂取をされている方があります。黄斑部浮腫では過剰な水分摂取が原因となる場合があり、この場合には視力が低下し変視(歪み等)が大きくなります。また過剰な水分摂取から滲出液が眼底に滲みだし黄斑部に溜まると、視界が黄色っぽくなる現象が起こります。眼科では利尿剤(ダイアモックス等)が出されるケースがありますが、水分の摂りすぎにも気をつけてみましょう。

・適度な運動と十分な休養、適切な食事ができていれば、大抵の病気は起こり難くなり、また治りやすいものです。黄斑変性の患者さんには針治療だけではなく、自分でできるところから改善していただくことで、黄斑変性という難病から抜け出すことに繋がります。当院でも可能な限りサポートをしていますが、治療と共に努力していきましょう。

眼底血流量の改善を目標に生活習慣を改善しましょう。(加齢性黄斑変性)

・眼底の血流量を改善させるための生活習慣のポイントの一つに、適切な血圧を維持することが挙げられます。正常眼圧緑内障などは、最高血圧が125未満で緑内障が進行しやすくなることが分かっています。眼底の血流量が増加すれば、酸素や栄養は細胞に届きやすくなり、また出血や浸出液等の残渣をはじめとした老廃物は吸収されやすくなります。この結果、網膜が健全になることで新生血管の発生は抑えられ、また自然治癒力が増すことで黄斑部の回復は促進されます。こうして得られる回復は抗VEGF製剤等による一時的な回復ではなく、体質改善からの根本的な治療といえるものです。軽度の運動や食事、睡眠、過度な医薬品の服用も含めて、生活習慣を見直してみましょう。

・過度な飲酒は自然治癒力の低下も招き、回復力を弱めてしまいます。少なくとも毎日の習慣としての飲酒は止めましょう。また当院の針治療で用いる経穴(ツボ)は、(公社)全日本鍼灸学会で眼底の血流量が改善することが証明・報告されています。針治療と併用して生活習慣を改善していくことで、より一層の治療効果が期待できます。

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中薬(漢方薬)、抗酸化サプリメント、遮光レンズのご紹介


関連リンク・・・抗酸化サプリメント、医療向け遮光レンズのご紹介

・千秋針灸院では、単なる治療にとどまらず、様々な日常生活での注意点や、適切なサプリメント等の紹介や摂取法、遮光レンズに代表される有用な道具の説明や紹介をしています。患者さんによるこうした努力は結果として、早期の回復や大幅な改善、治療回数を少なくできる等、当院の統計症例報告にもあるような、他の治療では見られない際立った好結果に繋がっていると考えられます。

○お近くの患者さんには、漢方薬に理解のある眼科をご紹介させていただきます。
(先方にご迷惑をかける恐れがありますので、来院された患者さんで興味がある方に限らせていただきます)

○抗加齢医学に基づき、眼科領域に関わるサプリメントを紹介する試みを行っています。
(当院は特定商品の斡旋・販売は一切行いません。抗加齢医学会の論文や各種報道を基にご紹介します。)

○遮光レンズのサンプルをご用意しています。
(全国各地の眼鏡店で取り扱いがあり、様々な矯正や加工が可能です)

・当院では様々な眼科領域の疾患に対して、日常生活における紫外線の遮断や眩しさの原因となる短波長光(青色光)軽減を目的として、遮光レンズによる眼鏡の使用を推奨しています。最新の遮光レンズは非常に薄い色で一般のサングラスを上回る紫外線の遮断効果、短波長光を減少させ眩しさを軽減する特徴があります。千秋針灸院ではサンプルを用意していますので、必要とされる患者さんには説明や紹介をしています。また手軽に入手可能なブルーライトカット眼鏡もお勧めします。

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全国での連携治療、関連リンク、参考文献


○遠方から来院される患者さんに、実質的な治療が行える鍼灸ネットワーク(仮称)を行っています。
(当院で初診を受けられた患者さんに、お近くの提携治療院へご紹介できる仕組みをご用意しています。)

・遠方から来院される患者さんに実質的な治療が行えるよう、全国規模で提携先治療院と当院で連携した治療を始めています。当院への通院回数は数ヶ月から年1回と少なく済みますので、当院へ通院するのに比べ経済的・時間的な労力を少なく針治療を受けることができます。   
眼科領域の難病治療を提携治療院で


●関連リンク

・眼科領域の諸疾患 (当院ページ)

・参考文献・蔵書一覧 (当院ページ)

●症例報告
「黄斑変性への鍼施術が、視力に及ぼす影響について」 (当院ページ)

・演題 『中医学による加齢性黄斑変性症への鍼灸治療』 (当院ページ)
統計症例報告集 (当院ページ)

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   本ページの内容は現代の眼科医学及び中医学、抗加齢医学、千秋針灸院の治療実績に基づいて書いています。
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