きみがそばにいない日 4



ああ、まったく。
なんでこう老人ってのは、トイレが近けえんだ。
いったい、何回休憩取ってやりゃあいいんだっての。
しかも、なんで休憩するたんびに土産買うんだよ。
しかも何個買うんだ。誰にそんなに配るんだ。
そう言ったら、全部近所に配るとかで―。
いってえ何十軒隣まで”ご近所”なんだか。

呆れつつも、それでも本気で苛つかないのは、この老夫婦の、のんびりとした人の良さそうな性格のせいだろう。
隣の銀次の指定席をブン取ったじいさんも、余計なことはこうるさく喋らず、ただおっとりと居眠りをしていたり、後部座席のばあさんとほのぼのと、天気の話やばあさんの妹のみよこだかの話をして微笑んでいた。
そのせいか、あまり隣に坐られていても、疎ましいとか思うことはほとんどなかった。
車を運転する者なら誰しも多少なりの経験があるだろうが、サイドシートに坐る人間との相性は結構運転に影響する。
それが、長距離ドライブともなれば、なおさらだ。
疲労の度合いが、全然変わってくる。
当然、それ相当の覚悟はしていたが、どうも肩透かしの感があった。
この老夫婦は、どうやら銀次と同じタイプの人間らしい。
「お人好し」という、最近では希少稀な人間のタイプ。

そんなわけで、休憩の回数は予定外だったものの、てんとう虫はすこぶる快調に疾走し、道も思いの外空いていて事故に遭遇することもなかったため、ほぼ予定通りにK市に到着した。


やっとこれで、狸の置物から解放されるかと思うと、まったく涙が出そうになるぜ。
つい習慣でルームミラーを見てしまい、何度後部座席のタヌキと目が合ったことか。
その度に、ブルーになっちまったからよ。

少しお茶でも飲んで休憩していってくださいな。と通された広い座敷は、よく手入れされた美しい庭に面してい、普段は使われていない部屋なのか畳の青い匂いがたちこめていた。
銀次が見たら喜色を露にして、さぞかしこの畳でごろごろと転がって遊ぶことだろう。
石倉のジジイのとこでも、そうだったしな。

茶が運ばれてき、胡座をかいたままそれを受け取る。
茶菓子は丁重に断りを入れ、茶をゆっくりと飲む間。
オレには珍しくガラにもなく、おっとりとした口調で話すばあさんの息子の話などに耳を傾けたりもした。
何でもあの狸は、事故でガキの頃に死んだ長男の気に入りだったらしい。
だから、じいさんらはこの置物を息子の形見のように、そりゃ大事にしてたとかで。
まあ、もうちょっと小せぇものはなかったのかとは思うがよ、気持ちはわからなくもない。
で、その狸を奪っていきやがったヤツが実はその弟、つまりはこのじーさんたちの次男だ。
いや、次男つっても、しっかりもうオッサンだけどよ。
田舎みてえ辛気くせえ所にいられっかよと上京して事業に手を出したのはいいが、結果的に失敗。
借金抱えて、10年ぶりだとかにコッチに現れたと思や、実家の金目のもんをごっそり奪ってきやがったらしい。
でもなあ、んな狸、金になるわきゃねーといくらバカでもわかるだろうに。
わざわざ、長男の気に入りで両親も大事にしていたもんだと知って奪ってくあたり、オッサンといえど、親に対してはまだガキくせぇというか・・。
で、案の定、他のものは全部くれてやるから、その狸だけは返してくれと電話で泣きつかれオッサンはキレやがった。
こんな金にもならねぇモン、コッチで叩き割って処分してやると言われて青くなり、それでじーさんらは人を介して仲介屋を探し当て、「奪還屋」に仕事を依頼した・・というわけだ。

「あの子にしてみたら、ずっと私らが、死んだ上の子の思い出にしがみついてるように見えたのかもしれへんねえ」
「いつからこんなに、気持ちが離れてしもうたんやろなあ」
しんみり言うじいさんとばあさんに、湯飲みを返して立ち上がる。

「――さあてと」

よかったら夕飯もだの、どうぞ泊まって行かれたらだのと引き止められたが、いつまでものんびりしてるわけにゃいかねえ。
車までご丁寧に見送って、「本当にありがとうございました」とオレの右手を取って、ばあさんは深々と頭を下げた。
なんというか・・・妙な気分だ。
しわだらけの温かい手の中に、オレの右手が握られている。
戸惑うもいいとこだぜ、ばあさん。
銀次がもしこの光景を見ていたら、さぞかし嬉しそうにしやがるだろうという気がした。
そっと手を離し、スバルに乗り込み、窓を全開にしてそこから顔を出してばあさんに言う。
「んじゃ。金は、今回はあのこうるせえ仲介屋を通すことになってっからよ。あの女の指定してくる口座に振り込んでくれや。まあ、最初の話の半分ってことでいっか―」
「ええ? でもそれじゃあ」
「まったく危険のきの字もねえ仕事で、そんなにふんだくるほどオレらも悪党じゃねえって。ま、奪還料と高速代・ガソリン代含めた運搬料と。まあ後は、東京で待たせてるウチの相棒の菓子代に、ちょっとイロつけてやってくれりゃあ、そんでいい。何せ、よく食いやがるからよ、あのバカ。まあそのへんはまかせるけどよ」
銀次の話をした途端、オレの口元もだが、ばあさんの目元もほころぶ。
「ほんまにやさしい子やったねえ」
しみじみ言われ、なんだか照れくさいというか。
いや、何でオレが照れなきゃなんねえんだ。
「あんな風に、ウチの息子も素直やったらええのに」
言われて、思わず苦笑する。
まあな、世界中の人間があんなだったら争いも起こらず、誰も不幸になることもねぇのによ。
しかし、そりゃ無理ってもんだ。
ああいうのは、そうそういねぇよ。ばあさん。
気をよくして、オレが言う。
「ま、狸はオレらが奪還してやったけどよ。息子の心を奪り還すのは、そりゃあ、あんたたちの仕事じゃねえのか? そうだろ?」
ばあさんが、驚いた顔になる。
「蛮さん・・」
「ちがうかよ」
オレの言葉に、ゆっくりと、今度は静かに微笑んだ。
「そうやね・・・。ほんまに、そうやねー。ありがと、蛮さん・・・」
少し涙ぐんで、それからばあさんはにっこりとした。
心のこもった礼に、妙に胸が熱くなる。
「じゃあな」
「気をつけてね」
「ああ」
ばあさんは、まるで孫を見送るみてえにして、オレがスバルの発進させた後もずっと門の前で手を振り続けた。
それを、やっと狸のいなくなったルームミラーで確認し、オレは。
どうにもこうにも、あのアホの声が聞きたくなった。
なんだか、何を言うでも聞くでもないが、この温かい気持ちのまま、銀次の野郎と話がしたかった。
まあ、どっちにしても、無事届け終えたら連絡すると、そう言って出てきたんだからよ。
そうおかしくもねえだろう。
むしろ、連絡するにゃ遅すぎるぐれえだな。
思って、ズボンのポケットから携帯を取り出す。
ホンキートンクのナンバーを押し、波児が出るなり、前置きもなく訊いた。

「銀次は?」

当然カウンターにでもいて、オレの電話を待ちくだびれてやがると、そう信じてオレは疑っていなかった。
だから、それだけで即、電話に飛びつくようにしてくるアイツの嬉しそうな声が聞けると思っていた。
――が。
「蛮か。”運び屋”は無事廃業か?」
「おうよ。・・・で」
「銀次ならなー。さっき電話があって」
「あ?」

・・・・・・・・・・んだとおおおおお!!!!

ヒトが1人で仕事してるっつーのに、こんなK市くんだりまで来てるっつーのに、まだ晩飯すら食ってねえっつーのによ!
猿マワシのとこでお呼ばれだああ!?
ナメてんのか!!!
なんで、だいたいにして、オレのいねえ間に猿の・・・いや、あれはただのヒモだ! 猿の邸なんぞじゃねえ。もとい、マドカの邸に行かなきゃなんねーんだ!
まさかあのバカ、仕事くれとか、金かせとか、んなこと頼みに行きやがったんじゃねえだろうなあ!
そういうとこ、まったくプライドっつーもんがあの野郎にはねえから。
いや、この際、んなこたぁどうでもいい!
なんで、人に電話よこせとか言いながら、ホンキートンクで待ってられねえ!
本気で迷子になって、マドカに保護されたわけでもねえだろう。
つか、それでもあそこの車で送らせでもすりゃあ、とっとと帰ってこれるはずだ。
何だってんだ!!!

「おーい? 蛮。それでどうするんだ。そっちでホテルでも取って・・」
「決まってんだろ、今日は帰らねえかんな! あのバカにそう言っとけ!」
言うだけ言って乱暴に切り、腹いせに後部座席に携帯を投げつける。
なんだか切った瞬間に手の中で、ぐしゃ・・とか嫌な音がしたが、知ったこっちゃねえ。


結局、さっきまでのほのぼのした気分はどこへやら。
一般道をとろとろ走ってやがる車を次から次から追い越し蹴散らして、高速に上がるなり、オレは思い切り更にアクセルを踏み込んだ。




東京まで、ガンガンとノンストップで走れてしまいそうな勢いだったが、まあ実際はそういうわけにもいかなかった。
3分の1も走らねえところで、てんとう虫が空腹を訴えやがったからだ。
まったく、あのアホといっしょで、この車もすげえ腹減らしだ。
すぐ「おなかすいたー。おなかすいたよー」と、うるせえ。
サービスエリアで車を止め、とにかくスバルを腹いっぱいにし、一応オレも腹が減ってたから遅い晩飯をとることにした。
つってもなんか面倒で、自販機で買えるハンバーガーとブラックコーヒーで一息つく。
レストランもあるにはあるが、1人で入って飯をゆっくり、という気分でもねえし、別にそこまで腹も減ってねえ。
銀次が一緒だったら、浮かれてオレの手をひっぱって、意地でもレストランにつれていくだろうが。
ヤロウがいねえと、どうも食事は愉しむというよりは、単に生存のための手段の1つとしか成り得ない気になる。
もともと、銀次と会う前は、食事なんてそんなもんだと思っていた。
食わねえと身体がもたねえってならいざ知らず、まあ、てんとう虫や銀次とちがって、オレは燃費はいいからよ。
ドッチかってえと、そんなには腹は減らない方だったし、大して食わなくてもそれでも充分動けたしな。

結局、オレはたかだか飯を食う時間とマルボロ2本分の休憩で、満腹になったてんとう虫に早速食後の運動を強いることにした。
銀次とちがって、てんとう虫は腹がふくれりゃあ不平も言わず、アクセルを踏み込むなりギュンと機嫌良く鳴いてスピードを上げる。
「おなかいっぱいになったら、なんか眠くなっちゃったー」などど、気の抜けるようなことをほざきやがることもない。
ったく。
よくよく考えたら、かなり手の掛かる相棒じゃねえか、アイツはよ。
なーんで、よりにもよってあんなのと、奪還屋なんておっぱじめちまったんだか・・。


ハンドルを握りながら、カーラジオの時計をちらっと見、さて、マジで今夜どうすっかと考えた。
さすがに、自分でも疲労しているのがわかる。
休みは細切れにとったとはいえ、8時間ぶっとおして運転した挙げ句、依頼人宅で休んだのも、たかだか20分ほどだ。
疲れがとれるはずもない。
ましてや、いつものように「あー疲れた! あー眠てぇ!」と目覚ましがてらにイッパツ殴る便利な頭も隣にはねえし。
だいたいにして、いくら人のいい老人とはいえ、他人を隣に乗せるのと、常日頃べったりその席にはりついている相棒とでは、やはり違いがあるもんだ。
オレだって、多少は気も使う。
行きは、そんなこともさして気にはならなかったが。
いや、疲れてるってこと自体、オレにとっちゃあかなり珍しいことだ。
どれほどハードなバトルの後もヤバイ仕事の後も、ついぞ疲労というものを今まで感じたことなどなかった。
まあ派手なバトルの後は相当身体も精神的にも興奮してっから、疲れなんぞ感じる暇もないんだかな。
つーことは。バトルもねえ、ヌルイ仕事の後だからか?
・・いや、ちがうだろう。
そんな、言ってみりゃあ”取るにたりねえ仕事”も今までにさんざんこなしてきた。
だったら、と。
考えて、舌打ちする。
空のサイドシートを半分睨むように見た。

――アイツがいねえから・・・・ だってのか?




そうこう考えている間に。
小一時間もしねえうちに、オレは猛烈な睡魔に襲われた。
やべえ。
こりゃあ、マジで、東京まではもたねえな。
しゃあねえ。高速降りて、ホテルでも探すか。
今、ホテルのやわらかいベッドで横にでもなりゃ、朝までどころか昼まで寝ちまいそうだが。
まあ、いいやな。
どうせ、銀次のヤローも猿マワシ・・ いや、マドカの邸にでも泊まりやがるのかもしれねえし。
無理して帰ったところでよ、別にそれでどうなるもんでもねえ。


オレは、再度スバルとともに休みを取ることにした。
小さめのサービスエリアに寄り、シートを倒してはあ・・と脱力する。
そういや、手前にあった降り口の表示からコッチの記憶がねえ。
一瞬寝たか? やべえなー。
とりあえず、シートを倒したままマルボロをくわえ一服した後、目覚ましにと別に目的はないが店内に入った。
ああ、ついでにコーヒー買うか。
思って、自販機でブラックを買い、紙コップを片手に自動ドアに向かいかけたところで、とんでもねえもんと目が合っちまった。
出入り口の自動ドア付近に、じゃらじゃらと引っかけられたキーホルダーの中の一個だ。
その同じ種類は全部売り切れたのか、残りはそいつだけだった。
目があった途端、それがオレに「売れ残っちゃったのー」と悲しげに訴えたような気がしたんだ。
いやいやいや! 
なに気色悪いこと考えてんだ、今のはオレの思考じゃねえ。
あんにゃろが言いそうな台詞だ! 
つまり、オレは自分が銀次だったらそう思うだろうと、無意識に考えていたってことか?
・・・もっと気色悪りぃじゃねえか!
オレは、そのふかふかした(ウェルシュ・コーギーとかそういう類の子犬だろう)犬のキーホルダーを睨み付けるように見、手の中のコーヒーがこぼれそうになるのも気にせず、乱暴に自動ドアを開き、大股でスバルに戻った。
倒したままになっていた、運転席のシートに滑り込む。
頭の中に、ヤツの声が響いた。
”ねえ、蛮ちゃん! オレさ、あのワンちゃんのキーホルダー買っちゃだめ?”
金銭が絡む物へのおねだりは控えめな銀次だが、間違ってるぞ。
買っちゃだめ?じゃねえだろ、買ってー、だろ。
”なーんか一個だけ売れ残っちゃって可哀想だし。それにすごく可愛いかったよ?”
いくつだ、テメエは。
んじゃあ、何か。
一個だけ売れ残ってるもんは全部カワイソーだからって買いやがるのかよ。んなことしてたら破産だ。
もっとも。破産する金もねーけど。
素直に言やぁいいだろ、テメーが欲しいんだろが。
”うん、欲しい!”
ったく、しゃーねえな。
”買ってくれんの!? 本当!? ありがとー蛮ちゃん! オレ、すっごい嬉しー!”
だーかーら。
大の男が犬のキーホルダーぐれえで、そんな大袈裟に喜ぶなっての。

考えながら、傾いたカップから熱いコーヒーが腕に垂れてきてハッとする。
「おわ、あちち!」

・・・半分寝てたな、今。

妙な妄想をしていたような気が。いや、夢見てたのか?
まったく・・。
半分寝ぼけて見た夢がコレとは、情けなさすぎる・・。
気を取り直してシートを起こし、コーヒーを一口飲み、ちらりと店内を覗き見る。
ちょうど出入り口の正面にスバルを止めたせいで、がらがらの店内は運転席から丸見えだ。
若ぇ兄ちゃんが、カノジョにでもやるつもりか、オレの見ていた犬のキーホルダーを手にとってじっと眺めてやがった。
へっ、よかったじゃねえか。犬。
どうやら売れ残らずに済みそうだぜ。

―さて、行くか。

そう思ってサイドブレーキに手をかけて、オレはぴくりと眉を寄せた。
兄ちゃんが、ぶらさがったキーホルダーを手でじゃらじゃら掻き混ぜながら、後ろを振り返って誰かを呼んだ。
そして、その兄ちゃんの後ろから来やがった連れらしいねぇちゃんは、まあ貧乳なのも気に入らねえが、いかにも情の薄そうな、んな犬など1日もしねえうちに飽きてゴミ箱に捨てちまいそうなオンナだった。
自慢じゃねえが、そういう人間ばっかり過去に見てきたオレの、その辺の勘にハズレはねえ。
・・・妙に、腹がたった。
んなオンナに比べりゃ、アレはよっぽど銀次のヤツが持つ方が似合う。
犬も、あっさりゴミにされるよりは、その方が幸せってもんだ。
それに、しょっちゅうスバルのスペアキーをどこへやったかとポケットを探ってやがるアイツにゃ、アレくらいでけえキーホルダーのが便利でいい。

オレはスバルを降りた。



「あーあ、何やってんだかよ・・」
スバルの屋根に懐いて、オレはがっくりと肩を落とした。
手には、小さな紙袋が握られている。
思いきりガンつけるほどのこともねえっての、ったく。
しかも、兄ちゃんをそこからすごすご退散させ、その勢いでアレをレジに持ってくオレ様の格好悪さったらよー・・・。
冷酷無慈悲な邪眼の男の触れ込みが泣くぜ、まったく・・。

「クソ、銀次の野郎・・・」

別にこの場合銀次は悪くねえが、八つ当たり半分でそう思う。
さて、どうする。
紙袋を眺め、この先で高速を降り、今夜の宿を探すかどうか算段する。
どうせ、銀次は戻らねえ。
いや、仮にオレとの約束を思い出してホンキートンクに帰ってたとしても、新宿に着くのは明け方近くになる。
波児もさすがに気を利かして寝床の1つも提供してくれるだろうから、そしたら寝付きのいいあのヤロウのこと。
朝までぐっすりってとこだろう。
夜通し走って帰っても、別に何の得もねえな。
「どうするよ、相棒」
オレは、スバルに凭れてコン・・と手の甲でそのボディをこづいた。
常に乗り慣れた車とドライバーの間にゃ、不思議とどっかで通じ合うような空気がある。
銀次は時々、てんとう虫にまで、「あー、なんか蛮ちゃん、またてんとう虫くんと内緒話してる!」とヤキモチを妬きやがるが、あながちソレは真っ当な見解と言えなくもない。
まあ、車に嫉妬してる銀次のヤローは、ぜってえオカシイが。

てんとう虫との話はあっさり付いたので、オレは運転席のドアを開いた。
キーを差し込み、エンジンをかける。
紙袋をサイドシートに軽く投げ置いた。
そこに銀次がいたら、どんな顔をしてこれを受け取るだろうと一瞬考えて、オレは苦笑する。
まったく。
どこまでオレは・・・。


「んじゃま、そういうことで・・・・いくか」

誰に言うともなしに呟いてアクセルを踏み込むと、スバルはさも嬉しげにスピードを上げた。









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お読みくださった方の「ば、蛮ちゃん・・・(笑)」という声が聞こえてきそうです(笑)
本当にこの人は・・。
でも、すごく書きたかったところなので、やっと書けて大変満足v
カイトさん、リクなくても蛮ちゃんサイドのお話は絶対書きたかったのーvv
だからご心配なくなくvv 楽しかったでーすv 
まだ5につづきます。これで終わりvv



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