地名 |
No.1
デジマ |
始めに説明しておこう、東方三国同盟に住まう人々には脳筋がとても多かった。(彼らの名誉のために補足するが、現在はそうでもない)
そのため初期に考えられた地名はとてもシンプルである場合が多い。
このデジマもそのひとつで、巨大な貿易港があるためそう呼ばれている。
貿易港付近はコンクリートの建物が目立つが、そこから離れるにつれ民家は木造の古めかしい低層住宅となって行く。
歩く人々も洋服から和服へ変わる様を見るのは面白いだろう。
また、気候にははっきりとした四季がある。
船舶・航空の管理や物流を行うため、この地に住まうのはラクナス人を先祖に持つ者が多い。(既に人種などごちゃごちゃだが)
付近はほぼ人間の領地になっており、水棲の異貌を除けば概ね安全な地域といえる。
しかし空を飛べる異貌が集団で空襲を仕掛けてきたこともあり、油断は出来ない。
また、人の出入りが多いことから人間の管理が不十分で、人間に化けた異貌が確実にどこかに混ざっている。
渡航の際は背中から襲われないよう精々注意しよう。
この都市では『魔王の左手』を守っている。
その恩恵は「暴食」、この地域ではあらゆる物体が食べられる。 |
No.2
クカイ |
大地に根付く形で、『魔王の右足』が存在する街。
いかなる理由によってか、地面とほぼ同化している『魔王の右足』を移動させることができなかったため、その周囲に街を築いたのだが、街のすぐ傍に亀裂が存在し、時に瘴気が漂ってくるため極めて暮らしにくい、まさに苦界である。
そのため、この街の住人の大半は瘴気への耐性を身につけている。また、鬼の人口比率も高く、体力のある者が求められたためハザード人を先祖に持つ人間が比較的多い。
そして異貌の侵攻も激しい。東の未開地と、南の海から同時に異貌が襲ってくることなど珍しくも無い、カオスに次ぐ激戦区なのである。
おまけに精鋭は最重要地点のカオスに大半が送られてしまうため、この街の人々は常に辛い戦いを強いられることになる。
『魔王の右足』の恩恵は「精強」、この地域では肉体的、精神的な疲労が十分の一に軽減される。丸一日働き続けても、二時間半程働いたのと同じ疲労感しか感じないことになる。 |
No.3
タカミネ |
険しい山岳地帯が多いためそう呼ばれている。これもまたシンプル。
鳥型と獣型の異貌が多く、現在も激しい戦いを繰り広げている地域のひとつである。
近接戦闘よりも遠距離戦が多い地域であったため、比較的ソレイユ人を先祖に持つ魔術士が多い。
箒を使う人間や翼を持っている人間、あるいは空を飛ぶ超能力など、ここで戦う人々は何らかの形で空を飛ぶ手段を持っている。
ここでの戦いは殆どが空戦になるからだ。そのためここの人々はテングと呼ばれていたりする。
平地が少なく切り立った崖と森が多いため、多くの人々は樹上か、または崖をくり貫いてそこに居を構えている。
因みに異貌を使った料理が食べ物の主流となっており、意外と美味しい。
人々は気楽で明るい人物が多く、賭け事も盛んである。
しかし侮ってはいけない、彼らは爪を隠した鷹だ。
彼らはそうやって粘り強く待っている。山頂にある異貌の一大拠点、これを落とすその時を。
この地では『魔王の翼』を守っている。
その恩恵は「風読」、この地域では一週間後までの天候を完全に予測できる。 |
No.4
カオス |
東方三国同盟において最も激しい戦闘が繰り広げられている場所、それがこのカオスだ。
あるときは人間側が制圧し、あるときは異貌側が制圧している。
どちらも精鋭を集め必死になってこの地を手に入れようとしている。
それはここに『魔王の心臓』が封印されているからである。
魔王が実際に破壊された場所がこのカオスであり、いくらパーツを集めてもこの地に持ってきて儀式をしなくては魔王は復活できないのだ。
心臓が存在するといわれる渦巻状の塔以外は殆ど焼け野原となっており、両軍はそこに野営地を構えている。
塔の内部には強力な守護者が4体存在し、それらを全て倒さない限り『魔王の心臓』には到達できない。
ここ100年は辛うじて人間側がこの地を確保しているが、そろそろ異貌側も策を打ち出してくる頃だろう。
『魔王の心臓』の恩恵は「不死」、この地では戦いによって死ぬことはけしてない。
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No.5
コクセツザンの砦 |
黒雪山、瘴気に染まった黒雪の降り積もる高山地帯、その最頂部に位置する氷の砦である。その標高は約4000mにも達し、リロルクラスの異貌ならばそこからデジマで働いている漁師の数すら数えてしまうという、異貌軍の見張り塔のような砦である。
人間と異貌の境界を分ける最前線となっており、「北の砦」「北の境界」と呼ばれることもある。この砦より東方が異貌の領地である。
当然異貌にとっては重要な防衛拠点であるため、タカミネ地方の異貌軍はこのコクセツザンの砦を中心に相当数の戦力を集中させている。その総数は5万とも10万とも推測されており、タカミネ軍のおよそ10倍である。
この砦を落とすことがタカミネ軍の使命ともいえるのだが、500年以上かかってもそれを果たせていないことからこの砦の攻め難さが伺える。
砦の周囲は険しい山岳地帯であり、一年の殆どが雲で覆われている。平均気温-15、常に吹雪く雪と風のせいでり視界も非常に悪い。
この豪雪の中異貌たちは雪に隠れて人間を待ち構えている、また鳥獣型は空から急襲を狙っている、その上異貌の中には自在に雪崩を引き起こす者がいるのだから厄介だ。
トンネルを掘ろうにも活火山であるためすぐに温泉を掘り当ててしまうのでそれもできない、異貌軍たちの湯治場にもなっているらしい。
ただ、全ての難関を潜り抜けて山頂までたどり着くと、そこには美しい紫水晶のような輝きを持つ氷の城がある。
そこに住まう城の主こそ――である。
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No.6
イミガミサキの砦 |
忌ヶ岬、クカイに存在する「魔王の右足」の魔力と巨大な亀裂の瘴気が同時に流れ込み、その融合作用によって常に幻影に包まれている砦である。幻影の規模はカオスからイミガミサキに渡り80kmに及ぶ巨大さであり、奥行きがどれほどあるのかは定かではない。その実態も規模も不明であり、正確な位置すら分かっていない砦である。
ただそこに砦があることだけは鋼鉄将軍の発言から明らかになっており、それを裏付けるようにイミガミサキを中心に大量の異貌が毎日のようにクカイへと進行している。その数は地理的な重要性からコクセツザンと同程度と考えられている。
人間と異貌の境界を分ける最前線となっており、「南の砦」「南の境界」と呼ばれることもある。この砦より東方が異貌の領地である。
幻影が見せるのは「ニセモノ」である。
そしてこのニセモノは実体をもつ、つまり本物と同じニセモノが現れるのだ。
例えば人間軍が入り込めば偽者の人間軍が現れ「敵襲があったので助けてくれ」と助けを求められ全く分からない場所に案内されたり、付近に異貌が居れば「偽者の異貌」が大量に襲いかかってきて実害を被ったり、その先に出口があれば「偽物の出口」が現れ気付けば振り出しに戻っているなど、非常にたちが悪い。
この幻影は基本的に入ってきたものを拒むため、人間達にとっては大きな障害となっている。
幻影の大本は魔王が持つ「人間を忌む意思」だと言われており、人間以外の存在はその影響を受けない。鬼の場合は中途半端に幻影が現れるため、強力な意思と力があれば突破できないことはない。
また、イミガミサキの向こう側には異貌たちの町があるともされる。未確認情報だが東方の生活水準に近い文明レベルを持っているらしい。
位置も規模も不明だが、少なくともその町を守れる位置に作られているのがこの砦、そしてその主は――である。 |
No.7
”罪と欲望の街”
ラクザ
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カオスより東方に向かい山脈を一つ越えた先の扇状地、そこには巨大な異貌たちの街がある。
人口は20万を越す異貌領最大の街である。
大小様々の(体格が違うので家の形もまちまち)コンクリート造りの建物が平原一面にひしめき合う様子は人間の都市と比べてもなんら遜色は無い。
ただ濃密な瘴気が町全体を覆っているため昼間でも薄暗いことと、その界隈を闊歩するのが人外の化物ばかりということだけが、普通の都市とは違う。
街の名前にもあるように、この街の特徴は商売が盛んなことである。異貌領の東西南北全てに通じているため流通が盛んで、それに加えカオスも近いため軍需も大きい。そして何より人間領に近いことから、人間から略奪した物品や人間そのものの売買が盛んなのである。そのため稀にギーラがやってきては酷いことになるらしい。
この街では檻に詰め込まれた人間がポックの馬車で運ばれている光景や、焼いた人間の太ももが屋台で売られているなんてことは、さして珍しい光景ではない。
食用の人間を牧畜する人間牧場や、反抗的な人間を捉えて見世物にする闘技場などという娯楽すらあるのである。
大規模な異貌軍の駐屯基地や人間研究施設など、軍事施設もラクザに集中している。異貌軍で重要な会議などがある場合も大抵はこの街に集まることになっているようである。
また、人間研究施設では異貌の中では珍しい頭脳派の異貌たちが日夜、魔術や科学といったものを研究しているらしい。ラクザの発展は彼らの研究の成果によるところも少なくない。 |
No.8
"港"と"港町"
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異貌領奥地の入り江とその周辺地帯。
特に名前を与えられず"港"とだけ呼ばれるのは、異貌が保有する領土内で「港」と呼べるような場所がここだけだからである("港"からの物資を受け取るための小さな拠点程度ならあるが)。
別名を「ハシヒメの城」。それが示すとおり、ここは"制海"ハシヒメが陸地に持つ数少ない領地であり、彼女の指揮下にある水棲異貌達の手によって、この港には大量の物資が海路を通して日夜届けられ、また逆に各地の異貌領へ送られている。
この港の周辺部は街としての機能も備えており、人口は変動が大きいものの、およそ10万弱といったところ。
近代都市と言ってもいいラグザとは違い、建物は造りの雑な木や煉瓦造りのものが大半で、しかもしょっちゅう壊れては新しい道なり家なりが作り直される。
このため街中の移動手段は、陸路より水路が中心となる。移動用のゴンドラや水棲異貌に乗るか、血管のように張り巡らされた水路を辿って歩くのが、賢い"港"の歩き方。
住んでいる異貌は海の男的な気の荒い連中が多く、喧嘩や流血沙汰は日常を通り越してもはや背景。
乱暴で粗雑……そんな印象を見るものに与える街だが、この"港町"はそれ以上に、ラクザにも匹敵する商業都市でもある。
"港町"ではあらゆるものに値段がつく。それが情報のような無形のものでも、人間であっても、そして異貌であっても、だ。
"港町"に入る者は誰であれ、まず管理所の異貌に金を払って、自分自身を「購入」する必要がある。
特産品はやはり海産物だが、ハシヒメの軍が人間の交易船から略奪してきた様々な物資も魅力。玉石混交だが物価はラクザより低いため、掘り出し物を探しにやってくる異貌も。
他の異貌軍にも(名目上は)内密なことだが、ハシヒメはこの港を通じて人間の組織とも取引を行っており、商業の熱気の裏で、冷たい陰謀が絶えず渦巻いている。
ハシヒメはこの街を人間、異貌双方にとっての「重要拠点」とすることで、どちらからも積極的な干渉を受けないようなバランスを保ち続けている。
ぶっちゃけヤバくなったら海に引き篭もればいいや、という心算もあるようだが……"港"と"港町"をここまでの商業都市に発展させたのには、彼女以外の別の「誰か」の思惑もあったと噂されている。 |
No.9
未定 |
設定募集中 |
No.10
未定 |
設定募集中 |
メグミ川 |
タカミネ方面から東方三国同盟中央部を横断して流れる川。
ある程度瘴気に汚染されているものの、ろ過すれば飲料水となるため貴重な水資源となっている。
かつてはこの川を巡って異貌との戦いがあり血の河などとも呼ばれたが、現在は完全に人間側が確保している。 |
その他 |
『月光』東方支部
(組織) |
東方三国同盟を現地まで出向いて支援する唯一の組織である。
最初は個人活動に過ぎなかった異貌駆逐活動を国家レベルまで引き上げたのがこの支部だ。
現在でも兵器の流通や人材派遣を行っており、異貌駆逐活動の中枢となっている。
なんでも現在の支部長はサイトウとかいう脳筋らしい。
また、ロードオブアビスはこの地に支部を作っていないが、一部で団員が活動しているようである。 |
東方文化
(文化) |
地理的な都合からなのか、この地に渡ってきた人間はアジア系の者が多い。
そのため東方をイメージさせる文化が今も残っている。
代表的なのがサムライと呼ばれる剣士や、ニンジャと呼ばれる暗殺士である。
茶の湯や畳といったものもある。
しかしなんといっても有名なのは、冥土さんだろう。
飲食店などに行くと必ずといっていいほどその格好をした女性がおり、暖かく出迎えてくれるのだ。
冥土は文化である
。(大事なことなのでもう一度)
因みにそれを広めたのも『月光』だという。
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開拓民
(組織) |
瘴気渦巻く広大な第二アジア大陸、その果て目指すという、馬鹿で、酔狂で、そして何より勇敢な民。それが開拓民である。
彼らは第二アジア大陸でも最も古い入植者の末裔であり、国家の垣根を越えて志を同じくする者を一族に迎え入れてきた。
そのため、開拓民は肌の色も髪の色も、さらには価値観や文化もバラバラで、短気な者もいれば泣き虫な奴も居る。
唯一「大陸の果てへ」という目的だけが、彼らを入植当時から今まで団結させてきたのだ。
現在、第二アジア大陸にいる開拓民の総数は150人前後と言われ、少なければ10人足らず、多くとも20人程度のグループを作って、大陸の東、人類の勢力が及ばぬ瘴気と異貌の大地への旅に出る。
片道切符の旅ではなく、仲間に情報を伝えるためにある程度進んでは帰還することを繰り返すのだが、当然ながらその旅の危険度は半端なレベルではない。人の想像を絶すると言ってもいいだろう。
見果てぬ夢への旅に出た一団の人数が、戻ってくるときには半数以下となっていることは常だという。
過酷な生涯を送る開拓民の人間は、一般的な東方の人間より、さらに輪をかけて強靭な存在である。
開拓民生まれの人間は、ほぼ全員が瘴気に対する完全な耐性を持ち、さらに『澱み詠み』と呼ばれる「周辺の異貌のおおよその数と距離、方角、強さを感じ取る」という、開拓民独自の特殊能力を有する。
さらに東方の民の中でも最前線で異貌と戦ってきたと言える彼らは、その過程で積み重ねた戦いの技術を、余すことなく子孫に伝えてきた。
周りの全てが敵とも言える過酷な旅路から、彼らが生還できる最大の理由は、彼らの一人ひとりが低位中位の異貌など歯牙にもかけない、一騎当千の実力者だからなのだ。
そして何より、彼らは諦めが悪い。十回逃げても百回負けても千回挫折しても、執念深くまた旅に出る精神力の強さがある。
ある程度の纏まりを持った集団としては、「月光」と並び東方最強の一角とも称される戦闘集団。それが開拓民のもう一つの顔である。
開拓民の本拠地はクカイに存在し、東方における人類の勢力圏全域に密な連絡網を有する。
加えて『澱み詠み』の異能を持つ彼らは、東方の人間社会における様々な問題(多くは異貌の襲撃、それによる被害)を素早く察知することが多い。
人手不足故に自分達で行動することは少ないが、旅に出た者の帰りを待つ留守番役の開拓民達は、こういった情報を主にフリーで動く腕利きに提供し、問題解決を報酬付きで依頼することも多い。
異貌の討伐や物資の輸送等、依頼内容は幅広く、何処から捻出しているのか報酬額も悪くないとフリーランス達には評判。
このときに依頼主となる開拓民の族長は、第二アジア大陸の数割をカバーするという、規格外の『澱み詠み』を使うという。 |
鬼
(種族) |
異貌側の情報収集をするために生み出された、異貌と人間の混血種である。
生まれつき瘴気を帯びており、瘴気が全くない場所では息ができない。
また、その皮膚は青白く体のどこか一部が異貌である。
彼らはロードオブアビスの研究機関によって生み出され、東方三国同盟によって初めて実戦投入された。
その忠実さ、戦闘能力は他の追随を許さない。
彼らは全く口答えせず、嫌がりもしないで過酷な任務をこなす。例え人間の迫害があっても嫌な顔ひとつせず頭を下げてみせるだろう。
しかし何故だろう。彼らと目を合わせようとする人間はあまりにも少ない…… |
魔王
(特殊) |
かつて冥界に君臨していたといわれる、異貌たちの王である。
かの魔王はかつて人間達に壮絶な戦いを挑み、敗れ、そして魂を砕かれた。
それを行ったのは悪魔撲滅組織だった『月光』である。
戦いの後、冥界に残ったのは魔王の体のみだったという。
砕かれた魂の破片は人間界に霧散した。
冥界に暮らすものたちにとって、それはどれほどの屈辱、絶望であっただろうか。
しかし5000年が経ったある日、冥界と人間界を繋ぐ亀裂が生じた――――
第二アジア大陸には、異貌たちが持ち込んだ魔王の体が存在する。
それらをある場所に集め儀式を行うことで、人間界に霧散する魔王の魂を取り戻しこれを復活させることができるという。
この地の異貌はそれを狙っているのだ。
そしてそれを阻止しようとしているのが東方三国同盟である。
彼らは異貌から魔王の体を奪い、そこに魔王の魂ではなく”別の魂”を入れることにより、魔王を永遠に葬ると同時に異貌を一掃しようと考えているのだ。
魔王の身体はその周囲の半径50Kmに何かしらの「恩恵」を与えるという。 |
ミサキ家
(組織) |
第三次世界大戦以前から続いていたという刀鍛冶の一族。東方に住む人々は基礎戦闘力が高いためか今だに原始的な武器の需要も高いらしく、現在は刀剣類全般を製造している。
ただの屑鉄から屈強な異貌に傷を付けられるほどの武器を造るとして人気が高いが、自分の武器を心から愛せる者にしか売ってはくれないらしい。
反面、武器に愛情を注げるのであれば異貌相手でも商売をする空気読めて無さも発揮している。また、その腕に惚れ込み弟子入りを志願してくる者達も多数おり、工房兼居住スペースである家屋はちょっとした大所帯と化している。
現在の当主は元々分家の人間だったが、第三次世界大戦間際に彼の先祖が本家の者から一族の名を継いで欲しいと頼まれて今に至るらしい。その後本家の最後の一人は戦渦に身を投じ、血筋は絶えている。
家屋の裏庭には一本の李(すもも)の木が植えてあり、記録によると家督を譲る際に本家の者が託した物だという。
『この木が、家を護ってくれますように』
その言葉通り、現在は樹齢と瘴気の影響で恐ろしいまでに育った李は異貌化し。主の許可を得ていない侵入者を蔦で巻き取り締め上げ稀に食う。
あまりに大きく育ちすぎたため、遠目から見ると森に見える。 |
ノーディ家(ミサキ・遠縁分家)
(組織) |
ミサキ家の家訓その一、『武器造りに必要なのは技術ではない、心。即ちラヴ(発音注意)』に特化したのが本家ならば。
ミサキ家の家訓その二、『武器を扱うに足る強者であれ、ラヴ(発音注意)を忘れるな』に特化した分家。遠縁の親戚でもある。
武器を造る事よりも、その武器と武技で覇道を極めたり、武術の真髄を極める事に主眼を置いた一族。
数多くある分家の中でも唯一、本家創業から共に歩いて来た為、歴史は現本家より長い。
創業時代から既に、武技と武器を愛していたらしくそういった記述も多い。
そのせいなのか、生まれ付いて戦闘適正が高い者が数多く排出され、歴史に名を残した者も少なくない。かのグラン少将も此処の出。
今でも紛争がある為出番も多く、サイトウ氏に気に入られてちょくちょく声を掛けられているとか。
刀鍛冶の業務を全般的に放棄している為、本家と仲が悪いのかと思いきや、本家も本家で武器を有効利用してくれる為何も言わないし、
何より、『ミサキ』の名を冠すだけあって、やっぱり武器ラヴの変人集団。目的は違えど、同じアナの狢同士、関係は良好の様子。
因みに、現在の当主は長男ではなく次男がやっており、長男は勘当中。
何でも、長男は25の若さで13階梯にまで登り詰める程の天賦の才、それを驕らぬ努力の才を持ち合わせた天才だったらしいが……
……あまりに変人過ぎた。腕試しと称して、大事な封印を勝手に破壊し、其処に封印されていた守護獣を殺したり、
本家の李の木を邪魔だとして焼き払いかけたり、妻を娶りたがらなかったり、挙句の果てには協会と対立、協会が保持している砦を落とした。というか消し飛ばした。
ついでに、ロリコン疑惑が素晴らしいぐらいに蔓延しているおかげで、分家の下馬評がますます酷いことになり、今も頭痛の種だとか。
『何時まで私等の頭を痛め続けるんじゃ、あの男はーッ!』by現・当主
……彼だけのせいではないだろ、そう言われる声も少なくない。決して、少なくない。 |