蜜月列車殺人事件
掲載内容 主な登場人物
再婚旅行殺人事件

あずさ3号殺人事件
  第1章 白馬の誘い
  第2章 遺留品
  第3章 京都の町
  第4章 密室の死
  第5章 最後のアリバイ

ゆうづる5号殺人事件
  第1章 乗客の忘れ物
  第2章 阿武隈川の死体
  第3章 「サシ581」の謎

新婚旅行殺人事件
  第1章 「やまびこ5号」
  第2章 容疑者
  第3章 カレンダーの謎
  第4章 鉄壁のアリバイ
  第5章 突破口

あとがき 西村京太郎
解説 荻原良彦
ISBN978-4-334-70259-5

1995/12/20初版1版
2007/8/10 56版

光文社文庫
590円(税引)
390ページ

カバーデザイン 亀海昌次
カバー写真 真島満秀
再婚旅行殺人事件はリンクを参照。

小林和美、和美の恋人・岡田利男、長谷川浩子、岡田の同僚・加藤昌彦
渡辺由美子(あずさ3号殺人事件)

ひかり98号車掌長・安田、太陽商会課長・田島久一郎、田島の妻・亜木子
小寺万里子、亜木子の友人・三村君江、かつての田島の部下・渡辺
立花浩二、立花の友人で八戸駅駅員・近藤
国鉄総裁秘書・北野(ゆうづる5号殺人事件)

小川刑事の新妻・幸子(旧姓・新藤)・前田外科病院・入江医師
森田徳太郎、辻章夫、藤田、山尾、青野裕二、裕二の兄・青野久男
白井病院白井医師(新婚旅行殺人事件)

捜査陣
十津川警部・亀井刑事(共通)

十津川の部下・西本刑事
長野県警小野刑事(あずさ3号殺人事件)

十津川の部下・西本刑事
岡山県警捜査一課北山警部、宮城県警木下刑事、柳沢警部(ゆうづる5号殺人事件)

十津川の部下・小川刑事・本多捜査一課長
宮城県警名取刑事、西沢警部、青森県警三浦刑事、江島警部(新婚旅行殺人事件)
山陰本線・新下関近くを走っていた急行「さんべ3号」のグリーン車内で殺人事件が発生した。
被害者は東京の私立探偵、発見者は京都のクラブのママ・尾形尚子である。彼女は三年前に離婚した井村正義と再びヨリをもどし、
再婚旅行中だった。そしてなぜか死体の膝には、井村が尚子に宛てたラブレターが・・・・。
”列車と時刻表トリック”の粋を集めた決定版! (裏表紙参照)

カッパノベルズ(光文社)1982年4月刊
最初の事件(再婚旅行殺人事件)は、裏表紙の内容の事件です。
このサイトでは、十津川警部捜査行 神話と殺意の中国路に登場人物など書いてあるので、 リンクを参照してください。

「あずさ3号殺人事件」では、テレビのクイズ番組で当たった京都旅行と交換に、長谷川浩子と名乗る女性から、白馬への旅行との交換をした小林和美は、 恋人の岡田と共にあずさ3号に乗った。交換したのは、お互いに過去に行った事がある場所の旅行券だったからだった。
楽しい車内だった。列車は、塩尻駅に定時に到着。岡田はトイレに行くと席を立った。しかし、松本駅に着いても、岡田は帰ってこない。 トイレに行ってみると、カギが掛っていた。トイレ付近に乗務員室があり、車掌にドアを開けてもらう事になった。そこには、背中を刺され、 倒れている岡田であった。捜査を担当した長野県警の小野刑事は、交換した長谷川浩子があやしいとするが・・・・。

「ゆうづる5号殺人事件」は、東京に夜11時46分に到着し、乗客が降り切った「ひかり98号」。この列車の車掌長・安田が見回りした時、 洗面台に、財布などと共に名刺入れがあった忘れ物を見つけた。その名刺には、太陽商会の課長の田島久一郎と書かれてあり、 遺失物係にもっていって、あとを任せた。安田は自宅に戻り、床につく頃には、その事は忘れていた。
翌日は、休日であり、昼まで寝ており、目を覚まし、テレビをつけ、なんとなく昼のニュースを見ていた。そのニュースに、田島久一郎という 名前がでてきた。この日の朝早く、後頭部を殴打され、これが直接の死因だという事。安田は警察に電話をした。その電話を対応したのは、 警視庁捜査一課の十津川警部だった。捜査し、浮き上がった女性が、宮城県の阿武隈川で死体となって発見された。

最後の事件「新婚旅行殺人事件」。十津川の部下・小川刑事は、亀井刑事の紹介で、見合いで知り合い、つきあっていた新藤幸子と結婚する事になった。
幸い前日までに、担当した事件も解決し、無事、本多捜査一課長の仲人にて、結婚式も終えた。新婚旅行の行き先は、幸子の母が、足が不自由な為、式に 出席することができない事から、幸子の郷里に行き、二人で会いに行く事になっていた。上野駅には、亀井が見送りに現れ、二人は見送れてながら、 「やまびこ5号」のグリーン車に乗り込んだ。しばらくして二人は、食堂車に行き、宇都宮あたりで再びグリーン車に戻った。幸子がバックを忘れたと いう事で、食堂車に小川が向かい、預かってくれていた女の子にバックを受け取り、お礼を言っていたその時、すさまじい爆発音が起こり、車体が揺れ、 床に叩きつけられた。その後、幸子のいるグリーン車から悲鳴が聞こえ、小川は冷たい戦慄が走る。

この「蜜月列車(ハネムーン・トレイン)殺人事件」は、十津川警部のトラベルミステリーものの最初の短編集です。
どの事件とも、題名通り「ハネムーン」というキーワードで、集められそれぞれの列車で、事件が起こるという事柄です。
特に最後の事件は、十津川の部下・小川刑事が、列車の爆発で亡くなってしまう、というショッキングな事件。 テレビシリーズで亀さんの次に登場する若手のリーダーである西本刑事も、「恋の十和田、死の猪苗代」 にて新婚旅行中、新妻が殺される目に会ったり、独身と書かれているが、かつて、新婚旅行も行っている三田村刑事は、雨の中、倒れていた女性を助け、 その後、親しい仲となり、三河の西浦に旅に出る。そこで、その女性はなんて事であろうか旅館の板前を殺し、その後、自殺を図るという事件を起こす。 という「桜の下殺人事件」。日下刑事は、親孝行という事で、当時・国鉄で企画した「日本一周旅号」に 参加。そこで、早く結婚をと思う母親が同じく参加した女性を気に入り、その女性が狙われている事を理由に、本庁の刑事である日下を同乗させる。 その女性に対し、ほのかな恋心を持つが、結局、この女性とある男性とが起こした事件で、最後、激しくののしられ、監獄の中、女性は自殺する 日本一周「旅号」殺人事件。など、十津川班の若手刑事は、女性運がないようです。
小川刑事は、初期の十津川班にて登場する刑事ですが、女性運がないというはしりを作ったのは、出版順から言えば、小川刑事かもしれませんね(笑)。
かなり前からこの本の存在を知っていましたが、あとがきには、西村京太郎さんが、どうしてそれぞれの列車について知り、この短編集を書いたかも 書かれており、おもしろい一冊だなと思いました。

評価
☆☆☆☆☆ 星5つ(星5つで満点)     女性運のない若手刑事のはしりはこの人?