ユニレンジャーV3(2)

 

インベダ星人の宇宙空母から発進した戦闘艇が、大気圏を抜けて地球に侵入してくる。

その数7機。シャドの迎撃ミサイルが迎え撃ったが、今回も数を減らす事はできなかった。

「ヨシ。あと3分で交戦空域だ。手はず通り頼むぜ」

ユニレッドから発せられるテレパシーにも、いつも以上の緊張感が感じられた。

交戦空域に入る直前、ユニレッドはスピードを上げて上昇し、

雲に隠れながら、敵戦闘艇の背後に回ろうとする。

いくら捕虜になって、敵の基地をつきとめる作戦とはいえ、

簡単に捕まってしまっては怪しまう。

表向きは、敵を挟み撃ちにする戦法が失敗し、ユニレッドが孤立して捕虜になったように

見せかける手はずだったのだ。

思惑通り、ユニレッドは敵の背後に回り込む前に、戦闘艇から攻撃を受ける。

敵は3機がユニレッドを攻撃し、残る4機がユニレッドと他の2人の間に入って、

2人がユニレッドの救出に向かうのを阻止する体勢を作った。

ユニレッドめがけて、3機の戦闘艇から怪光線が発射される。

光の束を華麗にかわしながら、ユニレッドも反撃する。

ユニビームの直撃を受けた戦闘艇が、爆発を起こして消滅した。

ユニブルーやユニレッドも、1機堕としている。

「何だよ、こいつら。これじゃ、捕虜になるのも一苦労だぜ」

そう思った瞬間だった。

或いは、ユニレッドにも慢心からくる油断が生じた瞬間だったのかも知れない。

敵の戦闘艇が、ユニレッドをめがけて、一直線に突っ込んできたのだ。

「な、何だ!」

無謀な攻撃だ。普段のユニレッドなら、一撃で撃破していただろう。

だが、ユニレッドは一瞬の躊躇を見せた。

この1機も堕としてしまえば、残るは1機。

1対1の戦いで、敵の捕虜になってしまうのは、いかにも不自然だ。

ユニレッドは、間一髪のところで、敵の体当たり攻撃をよけた。

しかし、この時のユニレッドの驚きの感情が、テレパシーで他の2人にも伝わってしまう。

「どうしたんだ?!」

ユニイエローが視線をユニレッドに向けるのを狙っていたかのように、

戦闘艇がユニイエローに怪光線を浴びせる。

特殊なユニフォームで守られているとはいえ、直撃だ。

ユニイエローが吹き飛ばされた。

さらに、第二撃第三撃の怪光線がユニイエローに見舞われる。

「うわぁー」

悲鳴をあげ、撃墜されるユニイエロー。

「ちきしょー!」

ユニブルーが救出に向かおうとするが、3対1ではそうもいかない。

 

一方、ユニレッドも敵の体当たりは避けたものの、戦闘艇の風圧で吹き飛ばされ、

体勢を立て直す間もなく、怪光線の洗礼を受けてしまっていた。

「ブルー。聞こえるか。今日のところは作戦は中止だ。

 敵を振り切ってイエローを救出するぞ」

怪光線を浴びながらも、テレパシーで指示を送るユニレッド。

だが、意識してテレパシーを使う事は、わずかだが隙を作る事になる。

体当たりをかわされた戦闘艇は、反転して再びユニレッドに向きを変えると、

背後からも怪光線を浴びせてくる。

前後からの攻撃を、歯を食いしばって耐えるユニレッド。

しかし、その力は空中にとどまっているのが精一杯だ。

意識が薄れていく。

怪光線が止まった。

戦闘艇が近づいてくる。

戦闘艇から蛇のようなロープが発射され、ユニレッドの足に巻き付いた。

「チェッ、やっと捕虜にしてくれたか。

 いや、違うよな。捕虜にされたんだよな」

ユニレッドの身体から力が抜けた。

落下するユニレッド。

むろん、戦闘艇から伸びたロープによって足を縛られているので、

そのまま地上まで落ちてしまう事はない。

戦闘艇に逆さ吊りにされたのだ。

ユニレッドが敵の戦闘艇に逆さ吊りにされた瞬間、

シャド司令室のモニタースクリーンの映像が途切れた。

「敵の宇宙空母の攻撃で、偵察衛星が破壊されました」

「なにっ!」

アマギの報告に、キリヤマが苛立ちをあらわにする。

「ユニレッドには特殊発信器を持たせていたはずだ。

 そっちはどうなったんだ!」

「ダメです。怪光線の攻撃を受け時に、故障したようです。

 仮に故障が一時的なものだとしても、偵察衛星を破壊されてしまっては、

 ユニレッドの位置を特定する事はできません。

 他の偵察衛星の軌道を変えるとしても、間に合うかどうか・・」

「要するに、どうもにならんという事だな」

キリヤマが吐き捨てた。

「レッドだけじゃない。イエローも撃墜されている。

 ブルーだけでは、捜索しようにも無理でしょうが!」

追い打ちを掛けるようなフルハシの言葉に、キリヤマは唇を噛みしめる。

「フルハシ参謀。イエローの事はともかく、レッドが敵の基地に侵入するのには

 成功したんです。作戦に100%を望むのにも、無理があるんじゃないですか」

ソガが割って入った。

しかし、日頃からユニレンジャーを中心とした地球防衛を唱えているフルハシは

収まらない。

「いいか、ユニレンジャーはV3の3人しかいないんだ。

 そのうち1人が捕虜になり、1人は撃墜され、1人は安否不明なんだぞ。

 いったい、誰が地球を守ると言うんだ」

「メガビーム砲があります」

「オゾン層まで破壊するってやつだろ」

「それではフルハシ参謀は、どうやって地球を守ればいいとお考えですか?」

今度はフルハシが言葉に窮した。

結局のところ、メガビーム砲しかないのだ。

  

  

 

その後、ユニレッドは・・

その後、ユニイエローは・・

その後、ユニブルーは・・

その後、シャド本部では・・