ユニレンジャーV3(3A)
ユニレッドを捕らえた戦闘艇は、他の1機とともに太平洋を一路南下していた。
逆さ吊りにされたユニレッドは、まだ気を失ったまである。
「グググ。ユニレッドも哀れな者よ。
これまで、仲間が随分やられてきたんだ。
基地に着くまでに、少々痛めつけてやるか」
戦闘艇の中で、トカゲのような醜い姿をしたインベダ星人が、仲間に話しかける。
「良いのか。生きたまま連れて帰れとの命令だぞ」
「生きてれば良いんだろ、生きていれば。
生かさず殺さずに・・なっ」
「それもそうだな。グググ」
話がまとまると、戦闘艇は高度を下げ始めた。
「そうら。いつまでも寝てるんじゃないよ。目を覚まさせてやる」
戦闘艇は海面ぎりぎりを飛び、ユニレッドを水責めにする。
うつ伏せの体勢で、海面を引きずられるユニレッド。
「ぐぅわ」
目を覚ましたユニレッドだが、この体勢では反撃できない。
いや、キリヤマから言い渡された指示によれば、
ここで反撃する事が妥当かどうかも考え物だ。
ともかく、敵の基地の所在をつきとめなければならないのである。
ユニレッドが考えをまとめる間もなく、戦闘艇は急上昇を始めた。
「グググ。地球のヒーローなど、他愛のないものよ。
もう少し痛めつけてやるか」
「おう。今までやられた仲間の恨み、こいつの身体に思い知らせてやろうぜ」
上昇して、すぐに海面めがけて急降下。
戦闘艇は、それを何度も繰り返す。
足を縛られた状態のユニレッドは、その度に海面に叩きつけられた。
「くっ、くそー。このままやられてしまったのでは元も子もない」
ユニレッドは戦闘艇が上昇するタイミングを見計らい、
身体を反転させて、戦闘艇に向き直った。
「ユニビーム!」
戦闘艇に命中し、爆発が起きる。
足の拘束も解けた。
だが、爆風でユニレッドも吹き飛ばされる。
残る1機がユニレッドを追ってきた。
再び、蛇のようなロープを発射する。
今度は、ユニレッドの両手もろとも上半身に巻き付いた。
腕を動かす事ができなくなれば、ユニビームは使えない。
「グググ。こいつ、この場で処刑してやるか」
「待て。勝手な事をすれば、今度は我々が処刑されてしまうぞ。
ユニレッドを連れて帰れば、褒美ももらえる。
どうせ基地でいたぶられる運命なんだ。
我々もその時に楽しませてもらおうぜ」
「グググ。それもそうだな」
最後の1機は冷静な判断をした。
それがユニレッドにとって、幸か不幸かは分からなかったが・・。
やがて、戦闘艇は山ばかりの小さな島にたどり着いた。
インベダ星人の基地である。