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やぶれっ!住基ネット情報ファイル




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1.住基ネット問題神奈川県連絡会の結成について

2004年3月、横浜市、相模原市、藤沢市、鎌倉市などの神奈川県内で住基ネット問題に取り組む市民グループが、住基ネット問題神奈川県連絡会(神奈川県連絡会)を結成した。

神奈川県は住基ネット問題に対する市民運動が盛んな地域ではない。『住基ネットに「不参加」を!横浜市民の会』をはじめ、各地域の個人やグループがこの問題に取り組んでいたが、今のところ、住基ネットに対する決定打を打つことは困難であり、各々の取り組みだけでは、これ以上の成果を挙げることは難しい状況にある。住基ネットの見直しを公約に掲げて松沢知事が当選したことで、運動の追い風となることを期待していたが、その後の姿勢の変容には、大きく失望させられた。住基ネットの運用主体である神奈川県を相手に運動することの意味の大きさから、県への働きかけを連携して行うことと、また住基ネットに係る問題点を明らかにしていくために各市町村への取り組みも平行して行うことを目的に本会の結成に至った。

2.住民基本台帳大量閲覧制度の実態

(1)なぜ、大量閲覧問題なのか?

住基ネットに対する関心は残念ながら2003年8月25日の本格稼動以降、時間の経過とともに薄れつつある。しかし、住基ネット問題の本質は何ら変わったわけではなく、その利用によってはますます危険性が高まっているのである。

改「正」住基法が国会で審議された当初、国は「これまでも住基4情報は原則公開であったし、各自治体で閲覧されている。住基ネットで流れることには問題はなく、プライバシーではない」と答弁していたが、氏名・住所・生年月日・性別の住基4情報に対する市民の意識の高まりを背景にその位置づけを変え、「住基ネットから4情報が漏洩することはない」と議論はセキュリティ問題にシフトしていった。

私たちは原点に立ち戻り、既存住基情報が原則公開であり、日々大量に閲覧されている状況を問題視すべきであるという地点にいま立っている。住基ネットにおいて4情報が流通することは住基ネットにおける本質的な問題であるが、それ以前に既存住基台帳から4情報が大量に「漏洩」しているところを看過して住基ネットに抗する論理も成り立たないだろう。

住基4情報は、当該自治体が住民に対するサービスのために収集したものであり、それ以外の目的に同意なしに利用することは、個人情報保護の原則にも反する。私たちが危惧するのは、住基4情報プラス住民票コードをもとにさまざまなデータのマッチングや検索が私たちの与り知らないところで行われていくことである。住基ネットを廃止させるためにも、まず既存住基情報は原則非公開にすべきであることを私たちは主張したい。そのために既存住基4情報の大量閲覧の実態把握と自治体の対応を調査することが当面の目標だった。

(2)県内市町村に対する調査の実施

神奈川県連絡会は、個人のプライバシー保護の観点から、住基ネット及び住基情報等の保護が自治体でどのようになされているのかを把握するため、3回にわたり「住基ネット及び住基情報の保護実態に関するアンケート」調査を県内全市町村に向けて実施した。

ア.第1回調査

2004年4月に実施。37市町村中36市町村が回答。

このアンケートの目的は次の2点。

  1. 住基ネット本格稼動後の自治体における運用状況に問題はないか、住基カードの配布状況はどうか
  2. 既存住基台帳からどのくらい情報が漏洩しているのか

住基ネットの運用について最も心配されることは、個人情報の保護に関することだが、運用・保守をほぼ業務依託しており、対策は守秘義務を課すだけとなっている。住基カードの配付は予想以上に低調であった。

大量閲覧の数字については、それが件数なのか、人数なのか回答によってばらつきが生じてしまったために正確さに欠ける面があった。しかし、大都市部を中心に予想を超える大量閲覧が行われている実態を把握することができた。また、1世帯300円という手数料を設定している自治体と1簿冊あたりの手数料設定をしている自治体があり、1簿冊単位の方が単価が安く、大量閲覧を誘発する原因にもなっている。担当者は現場で苦闘しており、法的に公開はやむをえないが、法改正が必要であるという認識を概ねもっているようだ。なお、この結果については2004年6月にプレス発表した。

           
イ.第2回調査

2004年7月に実施。市町村ごとの「閲覧申請書」を送付してもらった。第1回アンケートにより、大量閲覧が行われている実態を確認した。住民基本台帳が原則公開となっているため、このような大量閲覧が行われているが、今回は各市町村で閲覧制度をどのように規定・運用しているのか、違いはあるのかなど、調べることにした。申請書の書式や大きさは実に自治体ごとにまちまちであった。規模の小さな自治体では独自様式を持たず、一般の住民票の写しの申請用紙で代用している自治体も見られた。独自様式を設定している自治体の項目はだいたい共通なものだった。

目的外利用をしない、等の誓約事項については、申請書の内部に設定しているものと別用紙で設定しているものとが見られたが、ほとんどの自治体が誓約させている。

ウ.第3回調査

2004年9月に実施。2回目の「閲覧申請書」の送付の際に「注意事項」を添付してくれた自治体が、5自治体あった。1回の閲覧人数の規制、ひと月の回数の規制、時間の規制、手数料設定等その自治体の大量閲覧に対する規制の姿勢がそこから読み取ることができる貴重な資料であった。そこで再度閲覧申請書とは別に「注意事項」等が配布されていれば、その資料を送付してほしいと3回目の調査を行った。何とか閲覧の歯止めをかけたいという姿勢は、例えば年間を通じて閲覧できない月を設けたり、不当な手段での閲覧や目的外使用した場合に罰金を課したり、同一申請者の回数を制限したりするなど、市町村ごとにさまざまな注意事項・制限事項を設けて工夫していることがわかった。

(3)大量閲覧制度改正へ努力する自治体

神奈川県戸籍外国人登録事務協議会は「住民基本台帳の法の改正を求める」要請書を全国連合戸籍事務協議会(全連)に提出し、採択されている。全連は2004年5月、住民基本台帳の閲覧禁止の要請を麻生総務大臣あてに提出している。

特筆すべきは2004年6月に制定された熊本市の「住民基本台帳に係る個人情報の保護に関する条例」だ。ここでは、はっきりと「被閲覧者を氏名、生年月日、住所等により特定できないものにあっては、当該請求を拒むものとする」と規制をかけている。

3.今後の運動

今回の調査のなかで、自治体によって大量閲覧に対する考え方、実際の対応方法についてもかなり差があることが判明した。神奈川県連絡会では、今回の調査結果と収集した資料を資料集『神奈川県内市町村の住民基本台帳大量閲覧の実態』にまとめた。この資料集を利用し、是非とも自治体間の比較を行い、地元自治体に対して大量閲覧に対する規制強化を働きかけてほしい。そしてそうした取り組みは、将来的には住基台帳の原則非公開への法改正につながっていくものと考える。住基情報は当該自治体が行う住民サービスのためにのみ活用し、国や民間の利用を排除すべきである。これを実現できれば、住基ネットの存在基盤は消滅するはずである。

(宮崎・記)
●横浜市に対する申し入れ書
本文おわりです。
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Copyright(C) 2005 やぶれっ!住基ネット市民行動
初版:2005年08月02日、最終更新日:2005年11月06日
http://www5f.biglobe.ne.jp/~yabure/yokohama01/etsuran.html
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