2005年6月 9日
横浜市長
中田宏 様
住基ネットに「不参加」を!横浜市民の会
共同代表〔氏名・連絡先省略〕
住基台帳の大量閲覧問題に対する申し入れ書
住民基本台帳はその法の規定により、原則公開されています。しかし、近年民間業者を中心として大量に閲覧がなされ、身に覚えのないダイレクトメールが届いたり、不正請求の温床にもなってきました。また最近では母子家庭や単身家庭を調べるなど犯罪に展開するような事例も起こっています。
横浜市においても毎年10万件のオーダーで大量閲覧が行われていることが私たちの調査によって判明しております。
こうした状況を受けてようやく国も重い腰を上げ、住基台帳閲覧の見直しの検討会を立ち上げました。貴職も委員の一人として参加されているのでよくご存知だと思います。
しかし、その検討会の結論は秋頃出る予定となっており、法改正にはさらに時間がかかります。またどのような形で規制がなされるのか現時点においては不分明な状況です。
つまり、国段階における法改正を待っていたのでは、日々行われている大量閲覧を現時点で規制することはできません。そこで自治体独自の規制施策が必要となると私たちは考えます。すでに全国では熊本をはじめ、いくつかの自治体で大量閲覧を規制する条例を策定したり、閲覧手数料を値上げしたり、真摯に取り組んでいます。是非とも横浜市においても大量閲覧に対する規制を具体的に行ってほしいと思います。
住基ネットについて、5月末に金沢地裁、名古屋地裁と相次いで判決が下りました。金沢地裁においては、住民の住基ネットから離脱する権利を憲法上認める判断が出ましたが、一方、名古屋地裁は「本人確認情報が公開情報であるため、保護する対象に当たらない」旨の理由が示され、離脱の権利を認めませんでした。
しかし、大量閲覧を規制し、本人確認情報が原則非公開情報となれば、論理的には名古屋地裁判決も大幅に変更せざるをえないはずです。つまり、この大量閲覧問題は住基ネットのあり方にも大きく影響を与える重要な問題であると私たちは考えます。
よって以下のことを申し入れます。なお回答は6月24日までにお願いします。
1.住基台帳の大量閲覧を規制する条例を横浜市においても策定すること。実質的に大量閲覧が不可能になるような施策を実施すること。
- 1に対する市の回答
現在、総務省の検討会で、法改正を含めた閲覧制度の見直しを検討していますので、本市として、条例を制定する予定はありません。また、大量閲覧を防止するために、1ヶ月に閲覧できる回数を制限しております。
2.国段階で法改正が行われるとするとその前に駆け込み的に大量閲覧が行われる危険性が存在する。そうした駆け込み的大量閲覧を貴職の判断で止めさせること。
- 2に対する市の回答
本市としては、大量閲覧を防止するために1ヶ月に閲覧できる回数を制限しております。
3.警察や自衛隊による公用閲覧のあり方について見直しを行うこと。
- 3に対する市の回答
見直しを行う予定はありませんが、公文書を提出させるなどの徹底を図りました。
4.貴職の参加している国段階の住基台帳閲覧の見直しの検討会において、貴職が住基台帳を原則非公開とする法改正を行うよう主張すること。
以上
- 4に対する市の回答
すでに、第1回目の検討会において、原則非公開とするよう、法律を改正すべきである旨の主張をしております。
この旨ご了承いただき、貴会の皆様によろしくお伝えください。
初版:2005年08月21日、最終更新日:2005年11月06日
http://www5f.biglobe.ne.jp/~yabure/yokohama01/m050609c.html