飛ぶ鳥とめる 繪にしてとめる
あの音とめる 譜にしてとめる
思いをとめる 形にしてとめる

そのまゝで見る
繪にして見る

鳥が選んだ枝
枝が待つてゐた鳥

あるまゝでない
形こそ無の姿

まつすぐなものしか まがれない
まがつたものしか まつすぐになれない

持つてゐる自分に もたれてゐる自分

今日は やあ始めまして
今日は

これはこれ
嘘を借りなければ
あらはせないない真實

金塗り 銀塗り
それでも足らぬで
金塗り 銀塗り

貧乏の美 かたずけられた貧乏 
               ―わびとさび

ありとあらゆる物と事との中から
見付け出した喜
               ―美の正體

機械は存在しない
機械は新しい肉體

生活の花―文化
智慧の實―文明
        智慧は本能の変形

同じ底邊を持つた無數の三角形
                ―人間













        閉門 

何ものも清めて返す火の誓ひ
背中にも
月を見させて歸る

入ろうとすると 閉められる
出ようとすると 摑まる

けだもの山走る ひとり走る

出てみれば
何もない代わりに 何もある
空が破れて のぼる處がない
底が抜けて 落ちて行く處がない

何といふ静かさだ
一つ又一つ
小さな音が穴あけてゆく

大根大地へ はだか打ち込む

はだかははたらく 仕事すっぱだか

物の中なる ほんとのいのち
一心いのちの 耳すます

土の中から世の中へ
突き刺してゐる筍

蟲 人間見てる

人木に登れば よき景色作る

あそこから飛びあがるのだ
塔のさきに

月が月見てゐる
見てゐる月
月見返してゐる

一人光る 皆光る
何も彼も光る

灰の中の燠
掘れば出てくる火の玉 燠

身體に灯ともす
全身にともす

祈らない 祈り
仕事は祈り

誰が動いているのだ
これこの手

動かせば 何か出て来る
身體動かす

いくら書いても書きしくじらない
大空へ模様

思ふさま 書いては書く
壁の空白
前編 いのちの窓

火の願ひ

      開 扉  
焼けてかたまれ 火の願ひ


もうもうと煙吐いてる 火の祈禱

火の祈禱
熔かさでおかない
火の祈禱

真白に熔けてる 火の祈念

燃えさかっては 持ってもをれず
もののいのちに 火の寄贈

焚いている人が 燃えている火

焼くのが仕事 焼いてかためる
火の仕事

手に持てる火
土の中にかくれた火
姿をかへてる火
つめたい火の玉
手の中の火の玉
        ―陶器

火出る箱 燐寸みつめる

手のひらに ほんとに火の玉
ひとにぎり 電球撫でる

火が一つ 大きな闇に穴あけてゐる

あそこにも 人がゐるのか
煙り立つ
雪の田圃のはての山から

山の中の雪の中の一軒家の
圍爐裏の榾火 彼

冬田おこす人 土見て
我を見ず

をちかたは 入日の山
寸金に 立てるは人

群青の御願ひ
はげた朱色の祈り
白々しい胡紛の秋風の中の
絵馬なげき

月のせ山寝る山熟睡

二つならべて 足のうらにも
月を見させる
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