8月9日(土) “〈『共同通信』「時事通信」より−〉厚労省、在外被爆者への賠償支払い決める〜ただし国家賠償請求訴訟の提訴が条件!?”

 厚生労働省はこのほど、
「1974年の旧厚生省局長通達(402号通達)を理由に、健康管理手当を受給できなかった在外被爆者」
に対し、一律120万円を支払う方針を決めたそうです !!

 8日付「共同通信」「時事通信」が報じてくださいました。

 ただし…、条件があるのです。
 今回の決定では、在外被爆者が120万円を受給するには、日本の裁判所に、国を被告として「国家賠償請求訴訟」を提訴しなければならないのです。
 提訴により、以下のような裁判上の手続きを経て、ようやく支払われることになります。

@ 国家賠償請求訴訟の提起(原告=在外被爆者、被告=国)
 ⇒ A 裁判所が「原告は旧厚生省通達により手当を受給できず、精神的苦痛を受けた」と事実認定
 ⇒ B原告(在外被爆者)と被告(国)が和解
     国は在外被爆者に対し、慰謝料と裁判費用として120万円を支払う

 なんだか面倒ですし、わかりづらくて、不思議な感じがします。

 裁判所を通さず、
「厚生労働省に申請すれば、審査して、支給する」
といった手続きにすれば、もっと簡単だと思うのです。

 私たちの協会も、裁判所を通さずに支給してくださるよう、広島市の秋葉市長などを通じて国に訴えかけています。
5月29日〔A〕 ⇒5月30日

 しかし、記事によれば
「国家賠償の性質上、司法の判断は不可欠」(厚労省健康局総務課)
との理由で、このような面倒な手順を踏まなければならないらしいのです。
また関係筋によれば「新たな法律を作成していると制定までに時間が掛かりすぎるので、裁判を通す形にしたほうが早い」という理由もあるようですが…。

 以下に記事を紹介させていただきます。

(ホームページ管理者)

受給権喪失の在外被爆者救済へ=「通達原因」認定ケースで−厚労省
(「時事ドットコム」ホームページ8月9日掲載【時事通信】配信記事から全文抜粋)

 厚生労働省は8日までに、在外被爆者訴訟で裁判所が判決前に、在外被爆者が健康管理手当を受給できなかった根拠として、国外移住による権利喪失を定めた旧厚生省通達を事実認定した場合には、和解に応じる方針を決めた。和解に際し、慰謝料と訴訟費用で計120万円を支給する。

在外被爆者に一律120万円 最高裁判決受け厚労省
(「47News」ホームページ8月8日掲載【共同通信】配信記事から全文抜粋)

 日本国内に居住していないことを理由に、被爆者援護法に基づく健康管理手当を受給できなかった在外被爆者に対し、厚生労働省は8日までに、国家賠償請求訴訟を起こし、裁判所が事実認定することを条件に、慰謝料と裁判費用に相当する120万円を一律に支払う方針を決めた。

 広島市の旧三菱重工業の韓国人元徴用工40人が損害賠償を求めた訴訟で、最高裁が昨年11月、被爆者の出国で健康管理手当を打ち切るとした1974年の旧厚生省局長通達(402号通達)の違法性を認めて国の上告を棄却し、国家賠償を命じた判決が確定したのに伴う措置。

 厚労省によると、元徴用工と同様、健康管理手当を受給する権利があるにもかかわらず、通達によって手当を受給できず、精神的苦痛を受けたと裁判所が事実認定したケースは、争わずに迅速に和解するという。

 裁判所の判断が必要なことについて、高齢化が進む在外被爆者は「最高裁判決が出ている以上、双方にとって無駄」と反発。行政手続きだけで慰謝料の支払いを求めているが、厚労省は「国家賠償の性質上、司法の判断は不可欠」(健康局総務課)としている。

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