5月29日(木)〔A〕 “道が開けそうな一方で、もう一つの問題に「裁判に訴えるのが早道」とは!?…”

 皆さま、いろいろと有り難うございます。

 ようやくと言いますか本当に長い間、懸案だった被爆者手帖と、現地治療の道が開けてきそうです。
 新聞の報道など見ますと30日に自民、公明、民主の三党が30日に被爆者援護法改正案を、衆議院厚生労働委員会に提出する予定で、今国会での成立を目指すとなっています。

 1974年7月、旧厚生省局長が「国外に出た被爆者には健康管理手当などを支給しない」と通達402号を発令し、自治体に通達。
 それ以後2003年3月国が通達を廃止するまでの29年間、在外被爆者は、日本に住んでいる被爆者と差別され、何の援護も受けることが出来ませんでした。

 今回の被爆者援護法改正案、内容はまだわかりませんが、年老いた在外の被爆者が、残り少ない人生を、原爆の放射線被害の苦しみから少しでも解放されるよう、精神的ケアーも含めての援護法になることを望んでいます。

 これも今回ブラジル原爆被爆者協会 会長森田隆氏が、日本の被爆者支援の4団体の方々の協力の下に各機関に働きかけられて、実現を見ることになりました。
 4団体の方々、それとPT議員懇談会の議員の皆様、本当に有り難うございました。心から皆様にお礼申し上げます。

 それとは別にもう一つの問題、在外被爆者賠償ですが、5月22日、厚生労働省での会議で、在外被爆者の賠償については
「(ほかの在外被爆者も)裁判に訴えるのが最も早い道なのではないか
と厚生労働省健康局の北波孝健康対策推進官が言われたそうです(『長崎新聞』5月23日付)。

 昨年12月12日の衆議院厚生労働委員会で、阿部知子議員の質問に対し、舛添厚生労働大臣は次のように答えていらっしゃいます。
 「この11月1日の最高裁判決を受けまして、同じ様な状況にに有る方々をどうして救うか、そういうことで、事実関係の認定、それから、今迅速に何か出来ないか、財務省と折衝中でありまして、一日も早くゴールに導きたい、そういうふうに思っています」
 こう言われていますが、今回森田会長の働き掛けまでなんの連絡もなく、その結果が裁判に訴えろという厚生労働省職員の回答でした。

 これを読んでおられる皆様はこの回答についてどのように思われたか、お考えを聞かして頂きたいと思います。

 今までの在外被爆者の裁判は判決まで平均5年はかかっています。在外被爆者の平均年齢は今年74歳、結果が出る年は平均79歳、何人の人が生き残っているでしょうか、これは人道問題だと考えますが??

 役所の方々が自分達で結論がだせない問題を裁判に肩代わりさせようという、自分の手は汚さずに高見の見物をするという、一番卑怯な方法の答えを今回されました。

 疑っているわけではありませんが、 本当に舛添厚生労働大臣は、財務省に折衝の書類を出されたのでしょうか、財務省からの回答はどういう内容だったか見てみたいものです。

 私達、外国に長く住んでいますと、日本に住んでいる皆様との考え方、言動は日本風に考えると失礼な面もあると思いますがどうかお許し下さい。

 以上今回の在外被爆者問題についての私見を述べてみました。

(盆子原 国彦)

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