<3、ステア特性は何で決まる?>

前章で、市販車については基本的にアンダーステアにしつけられていると言いましたが、ではステア特性はどのようなもので決まるのでしょうか?

答えは、◎車両諸元、◎サスペンション特性、◎タイヤ特性、などが互いに影響し合って決まります。

重要なファクターの一つは前後の重量配分です。簡単に言うと前が重いものは、タイヤ特性とセットの影響で、基本的にアンダーステアの傾向が強くなります(但しサスペンション特性の影響などもあるため、フロントヘビーなら必ずアンダーステアになるという意味ではありません)。例としては、今はサスペンションでのコントロール技術が進歩したためそうでもなくなりましたが、一昔前にはFF車にアンダーステアの強い車が多かったことが挙げられます。もちろんこれには駆動力の影響等いろいろな要因が関係していますし、FF車のほうがFR車より常にアンダーステアが強いということでもありません。ただ、FF車はレイアウト上、例えばFR車では後ろにあるデファレンシャルギヤやドライブシャフトがフロントにあったり、重いトランスミッションの搭載位置がFR車より前にあったりして、どうしてもフロントヘビーになりがちで、これが放っておくとアンダーステアが強くなる一因となっています。逆にいえばその分FF車はサスペンションのセッティング等でアンダーステアを弱める工夫がされているわけです。

 但し重量配分の違いはタイヤの特性とセットでステア特性に影響します。つまり、<1−1>章でチラッと触れたタイヤ横力が完全には垂直効力=輪荷重に比例しないという特性との相互作用によってそうなるのです。もし、タイヤが輪荷重に対してどこまでもリニアに横力を発生すると仮定し、サスペンションの影響も無視するならば、前後の重量配分を変えてもステア特性は変化しません。まず、これを簡単に説明して、そののちタイヤの荷重に対する非線形性を考慮したらそれがどう変わるかみてみましょう。


<3−1、重量配分とステア特性(コーナリングパワーの荷重に対する非線形性が無い場合)>

<3−2、重量配分とステア特性(コーナリングパワーの荷重に対する非線形性がある場合)>

<3−3、左右荷重移動とステア特性>


<目次へ>  <HOMEへ>