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1 はじめに
 最近、中小企業の皆さんを中心に、銀行や証券会社に勧誘されて契約した「通貨オプション取引」などのデリバティブ取引で大きな損失を被ってしまった、というトラブルが多発し、社会問題になっています。この問題は、単なる自己責任による「取引の失敗」ではなくて、多くのケースは、契約者側の被害と呼べるものです。
 また、個人投資家や各種法人等が、複雑な「仕組債」やこれに類似する「仕組投信」「仕組預金」を購入した結果、予想外に長期にわたり資金が拘束されたり、元本が大きく毀損されてしまうというトラブルも増えており、これについても証券会社や銀行の勧誘・販売の姿勢に問題がある事例もあるようです。

2 デリバティブ取引とは
 「デリバティブ」と言う言葉は、英語で「派生の」という意味です。
「デリバティブ取引」とは、「金融派生商品」の取引と呼ばれ、預金や貸付、株式や債券の売買、外国為替取引など伝統的な金融商品(取引)から派生したもののことをいいます。金融先物(為替・株価等の先物の意)やスワップ、オプションと呼ばれるものが含まれます。
具体的な商品としては、「通貨オプション」等のオプション取引の他「金利スワップ」などのスワップ取引等があります。

3 仕組債とは
  仕組債とは、金融技術により債券に特別な「仕組み」を持たせた債券の総称です。
  ここで言う「仕組み」とはスワップやオプションといったデリバティブ(金融派生商品のこと・金融派生商品の説明は2をご参照下さい)の利用によって生み出される構造のことです。
  一般的な仕組債は、組み込まれているデリバティブにより通常よりも有利な「金利(クーポン)」を受けとれるよう組成されますが、同時に「デリバティブに伴うリスク(金利を超えるリスク)」も内包しています。
  一口に仕組債といっても、その「仕組み」は様々であるため、そのリスクの程度も様々です。
  販売数が多く問題が多く取り上げられている商品としては「EB債(他社転換可能債券)」や「日経平均リンク(連動)債」があります。また、購入単位が多額で期間が30年などの長期に設定されている債券(一定の数式で利息などが決まるもの・代表的なものとしてパワーリバースデュアルカレンシー債やFXターン債)などもその拘束期間の長さからトラブルが増えています。
  なお、「仕組投信」「仕組預金」も、仕組債と同じくスワップやオプションといったデリバティブ(金融派生商品)の利用によって生み出される構造(仕組み)により、運用される投資信託や預金のことで、仕組債と同じようなリスクをはらんでいます。

4 デリバティブ取引・仕組債の問題点
  今問題となっている商品の多くは、「オプション」の「売り」の要素が含まれ、「高い利率等が見込まれる」という宣伝文句で勧誘される反面、多大な損失が出る危険性があるという性質をもっています。
一般的に言って投機性が高く、安全に資金を運用したいという考えの方には向かない取引です。
しかも、その仕組が大変分かりにくく、勧誘してくる担当者さえも危険性を正しく理解しないままに取引を勧めてくるケースもたくさんあります。
もしも、顧客に向かない危険な商品を勧めたということであれば業者や担当者の「適合性原則違反」となりますし、商品の危険性や仕組についての説明が不十分であれば「説明義務違反」となります。このような場合には、顧客の損失は単なる「自己責任」とはいえず、業者や担当者の勧誘や説明に問題があると言えます。

5 ご相談・事件依頼について
(1) 通貨オプションなど、デリバティブ取引でお困りの方へ
  デリバティブ取引による被害を防ぐ一番いい方法は、もちろん、取引をする前に、契約をよく確認し、自分にどのようなリスクがあるのかを担当者に尋ね、それでもよくわからない点があるのなら取引をしないことです。しかし、既に取引を始めてしまって、しかも、経過が思わしくなく、「既に多大な損失を出したまま継続している」とか、「担保金を追加するように言われたが手持ち資金もなくなり困っている」、または、「怖いので解約したいが、やめさせてもらえない。」などの場合は、当会までご相談下さい。出来る限り敏速に対応させて頂きます。
このようなデリバティブ取引については、現在、裁判になってるものも多く、業者や担当者の責任(適合性原則違反や説明義務違反など)が判決で認められる例が増えつつある状況であり、訴訟などによって被害回復が可能なケースも多々あります。
 「この場合に、お金が取り戻せるか」「何割戻ってくるか」というのは、具体的にご相談を聞かなければ何とも言えませんが、デリバティブ取引・仕組債でお困りの方は、ともかくも一度、弁護士にご相談頂くことをお勧めします。

(2)仕組債取引でお困りの方へ
  仕組債についてもそのハイリスク性や証券会社の勧誘体制などに照らして、証券会社の責任が認められ、投資家側が勝訴する例が増えています。
  もっとも、先に述べたように一口に仕組債といってもそのリスクの程度は様々であるため、リスクの比較的低い商品については投資家の自己責任が問われやすい面もあります。
  これから仕組債を購入される方については、購入する仕組債のリスクとリターンについて十分に確認し、他のよりリスクの低い商品等と比較検討することをお勧めします。
  既に仕組債を購入してしまっている方で、証券会社等による商品の危険性や仕組について十分に認識できないままに多額の損害を被ったり、償還時まで資金の拘束を受けている方については一度、弁護士にご相談されることをお勧めします。
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