緩和への反対意見

小鳥販売時の説明義務緩和に反対する意見をいただきました。
小鳥愛好家サイト管理人@sea_sun さん

「小鳥は弱い、すぐ死んじゃう」というのが一般的な方々の感覚だと思います。ところがちゃんとした飼い方をすれば、ブンチョウやセキセイインコでも10-15年、ボタンインコやコザクラインコで20年、オカメインコで30年、大型の白色オウムやボウシインコで60-80年生きます(七面鳥で117歳という記録もあります)。特売980円の小鳥でもワンニャンと同じくらい一緒に生活することになるのです。中型以上のトリさんであれば、終生飼養は世代をまたぐことまで考えなければなりません(ある鳥類専門店で、オウムを買いたいという高齢のかたに寿命の説明をして暗に難しいですと伝えている場面に行き合ったことがあります。)
  寿命が10年20年さらにもっと、となると、当然ヒトのほうの環境が変わらずということはないと思います。恋愛、就職、転勤、結婚、妊娠、子育て、場合によっては離婚や失業、いずれの場合も飼育の環境も生き物への接し方や接する時間などが大きく変わります。これはワンニャンでも同じですが、寿命が長い分、その可能性は大きくなるわけです
  飼い鳥となっている鳥類は、一般的にペアを基本として群れで生活する種属です。この習性を逆手にとって、ヒトをペアの相手と思わせたのが、いわゆるベタ馴れの子たちです。トリさんたちのペアは野生下では24時間行動を共にします。ところが、ヒトがそのお相手代わりを24時間続けるのは無理です。となれば、トリさんに大きなストレスがかかって問題行動(人間目線での)に発展してしまいます。例えば呼び鳴き(大型鳥では絶叫です)だったり、気を紛らわすための自傷行為だったり…。またペアの相手と思い込ませた人間が、他のヒトと話したり仲良くしていることは、トリさんにとってはペアの相手を奪われるかもしれないという恐れから、お相手以外の人に攻撃的になったりもします(中型インコでも本気で噛まれると流血沙汰なのです)
  さらに困ったことに、日本では鳥類をちゃんと診れる獣医さんの数が絶対的に少ないのです。 鳥類専門の獣医さんは最近でこそ大都市圏に増えてきましたが、この先生たちは留学したり独学したり、他の鳥専門医の下で修行したりという獣医師資格とは別の勉強をしています。日本の獣医さんはいわゆる産業動物の増産や健康管理を主目的としていますので、大学でも鳥類の講座はほとんどありません。家禽の勉強をちょっとかじるくらいです。鳥類は哺乳類とは身体の構造や働きが全く違いますので、知識の流用が難しいのです。ちゃんと小鳥を診られる獣医さんが少ないことも「小鳥は短命」のひとつの原因でもあります
  販売時には、こういったことも説明しなければならないのですから、通り一遍の説明ではとても追いつくわけがありません。増やしたい説明事項があっても、減らすところなんて一つもないと思っています
  そしてこれも大事なことですがワンニャンは、イエイヌ、イエネコというそれぞれ一つの種で、その中に品種があるわけですが、鳥類の場合は種の上の属、目、綱までが一緒くたになっています。要するに鳥類と言うのは哺乳類と言っているのと同じなのです。当然、目や属が違えば習性も生態も飼い方も餌も違うのですが、ペットショップの店員さんでもそれをきちんと説明できるかたのほうが少ないでしょう。 逆説的ですが、そういった店員さんのスキルアップのためにも説明項目は必要だと思っています ペット動物販売業者用説明マニュアル 鳥類」でも鳥類は12種類に分かれています。これでも全然足りないと思っています。

リンク切れのため、毎日新聞10/26記事「愛護法改正を考える(下)」より大野コメントを抜粋しました。
「販売時の説明 必要性は」
動物ライター大野瑞絵

今でも販売時の説明義務が順守されているとは言えない

購入時に飼育上のリスクを知らされず、飼い始めてペットを持て余す飼い主もいる。十分な説明を聞き、書面に署名するという行為で買う覚悟が生まれる

<同記事より>
  2万2000ある業者の3割弱が加盟する全国ペット協会(ZPK、東京都杉並区)は08年3月、1000業者を対象に、事前説明に関するアンケートを実施した(回答数436件)。 犬の販売時の説明時間は「30分~60分」が58.1%と最も多く、「30分以内」が30.5%、「60~90分」は9.0%。猫もほぼ同じ傾向だった。
  これに対し、小動物は73.0%の業者が「30分以内」と回答。「30~60分」は23.8%、「60~90分」は3.2%にとどまった。
  ZPKは「事前説明は時間もかかり大変だが、業者の責務。今後も十分行うべきだ」としている。
東京新聞2011年1月6日記事年始特集「うさぎおいし」の「5 捨てられる」より大野コメントを抜粋しました。
「飼う前に考えて」
動物ライター大野瑞絵

どんな生き物かを理解して飼ってほしい。卯年ブーム後にウサギが捨てられてはあんまりだ

<同記事より日本うさぎ愛護協会代表のコメント抜粋>
  協会の坂巻隆雄代表(55)は「病気になると医療費は高額。年を取れば排泄やえさなどの介護も必要になる。飼う前に考えて」と訴える。
業者の販売方法にも注文をつける。体がコーヒーカップに入るような週齢で店頭に並べ、「ミニウサギ」として売る事例もあるという。 「ミニといっても大きくなるのに」と批判する。
  動物愛護管理法は、ペットを捨てた場合50万円以下の罰金、業者には適切な飼い方を飼い主に理解させる責務があると定める。 業界団体は「ウサギなどは販売説明を簡略化できるように」と法改正を国に要望するが、協会は反対している。
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