ご協力ありがとうございました

このたびの動物愛護法・政省令改正によって説明義務が緩和されることは避けられました。これもひとえに署名にご協力いただいた皆さま、呼びかけにご賛同いただいた皆さまのお力添えの賜物です。皆さまの多大なご協力に感謝するとともに、これからも小動物が適正に扱われることを願っています。
このページは役目を終えましたが、活動の足跡としてこのまま残しておきます。
ご協力、ありがとうございました。
2013年4月

要旨

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チンチラミニ写真

はじめに

はじめに
あなたがペットショップで犬猫以外の小動物(エキゾチックペット)を買うとき、必要な説明をきちんとしてもらったでしょうか?

現在、動愛法の見直しが始まっています(見直しが反映された改正動愛法は平成24年に公布となる予定)。

中央環境審議会動物愛護部会(第25回)での資料によると
「動物愛護管理法見直しにおける主要課題(案)」(pdf:別ウィンドウで開きます)
として「販売時説明義務の緩和(犬猫以外の小動物等での説明義務事項の緩和の検討)」が挙げられています。

前回の動愛法改正で、哺乳類、鳥類、爬虫類を販売するときにはその動物の特性や状態を、文書を交付して客に説明し、客はその内容を確認したうえで署名することが決まりました(平成17年6月公布、平成18年6月施行)。

今回課題として挙げられている「販売時説明義務の緩和(犬猫以外の小動物等での説明義務事項の緩和の検討)」は、その説明義務を緩和しようというものです。これは犬猫以外の小動物たちにとって、非常に大きな問題をはらんでいます。

説明義務の緩和によってなにが起こるでしょう。
適切な飼育方法や動物種の特性を十分に理解しないままに、また、命あるものを所有することへの自覚や責任を十分に納得できないままに飼育を開始することは、動愛法が飼い主の責任として掲げる「適正飼養」「終生飼養」と明らかに反することではないでしょうか。不適切な飼育方法により動物をみだりに傷つけ、苦しめることとなり、結果的に動愛法の精神に反することにはならないでしょうか。飼育放棄、放逐を進めることにはならないでしょうか。

「緩和」の反対は「強化」です。
犬猫以外の小動物を購入するさいの販売時説明義務は、それ以前より「強化」されたものだったのでしょうか。ここ4年ほどの間、ショップで犬猫以外の小動物を購入するときに、その動物に関する説明をきっちりとしてもらったという方はどのくらいいるのでしょう。最初からユルユルなものをこれ以上緩和してどうするというのでしょう。

犬猫以外の小動物も、犬や猫と同じ命あるものです。なぜ犬や猫には適用される販売時説明義務が犬猫以外の小動物には緩和されなくてはならないのでしょう。犬猫以外の小動物が、動物種、ペットとしての歴史、体の大きさ、価格、寿命などで区別されることなく、家庭に迎えたそのときから適切な方法で飼育されるために、「販売時説明義務の緩和(犬猫以外の小動物等での説明義務事項の緩和の検討)」に反対します。

そもそも、多くの犬猫以外の小動物の飼い主さんたちは、こうした動きを知っているのでしょうか? まずは知ってもらうために、そして情報収集のために、このページを作成しました。
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ウサギミニ写真

販売時説明義務って?

販売時説明義務ってなんなのでしょう?
「販売時説明義務」とは、ペットショップやブリーダーが動物(哺乳類、鳥類、爬虫類)を販売するときは、下記の内容を客に説明し、同内容を記した文書を発行すること、その文書を客がたしかに受領したことを確認するためにサインをしてもらうこと、という義務のことです。哺乳類、鳥類、爬虫類をペットショップやブリーダーから購入するさいには、必ず行われねばならない義務です(同じ動物取扱業者を相手に販売をする場合のみ例外)。動愛法の八条で「動物の販売を業として行う者は、当該販売に係る動物の購入者に対し、当該動物の適正な飼養又は保管の方法について、必要な説明を行い、理解させるように努めなければならない」とその責務が規定され、説明内容については以下のように取り決められています。

動物の愛護及び管理に関する法律施行規則(別ウインドウで開きます)

八条四号
販売業者にあっては、販売をしようとする動物について、その生理、生態、習性等に合致した適正な飼養又は保管が行われるように、契約に当たって、あらかじめ、次に掲げる当該動物の特性及び状態に関する情報を顧客に対して文書(電磁的記録を含む。)を交付して説明するとともに、当該文書を受領したことについて顧客に署名等による確認を行わせること。ただし、動物取扱業者を相手方として販売をする場合にあっては、ロからヌまでに掲げる情報については、必要に応じて説明すれば足りるものとする。
イ 品種等の名称
ロ 性成熟時の標準体重、標準体長その他の体の大きさに係る情報
ハ 平均寿命その他の飼養期間に係る情報
ニ 飼養又は保管に適した飼養施設の構造及び規模
ホ 適切な給餌及び給水の方法
ヘ 適切な運動及び休養の方法
ト 主な人と動物の共通感染症その他当該動物がかかるおそれの高い疾病の種類及びその予防方法
チ 不妊又は去勢の措置の方法及びその費用(哺乳類に属する動物に限る。)
リ チに掲げるもののほかみだりな繁殖を制限するための措置(不妊若しくは去勢の措置を不可逆的な方法により実施している場合を除く。)
ヌ 遺棄の禁止その他当該動物に係る関係法令の規定による規制の内容
ル 性別の判定結果
ヲ 生年月日(輸入等をされた動物であって、生年月日が明らかでない場合にあっては、推定される生年月日及び輸入年月日等)
ワ 不妊又は去勢の措置の実施状況(哺乳類に属する動物に限る。)
カ 生産地等
ヨ 所有者の氏名(自己の所有しない動物を販売しようとする場合に限る。)
タ 当該動物の病歴、ワクチンの接種状況等
レ 当該動物の親及び同腹子に係る遺伝性疾患の発生状況(哺乳類に属する動物に限り、かつ、関係者からの聴取り等によっても知ることが困難であるものを除く。)
ソ イからレまでに掲げるもののほか、当該動物の適正な飼養又は保管に必要な事項

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シマリスミニ写真

どうして…

どうして「緩和」が言い出されたんだろう?
ここに挙げられている項目は、どの説明も生き物を飼う上では最低限、知っておかなくてはならないことばかりです。緩和できる場所など見当たらないのに(「緩和」以前に適切に運用されているのかどうかも疑問ではあるんですが)、いったいどこから「緩和」という話が出てきたのでしょうか。

中央環境審議会動物愛護部会(第25回)議事録(別ウィンドウで開きます)
によると、事務局による資料の説明の中で以下のように説明されています。

それから次の項目、販売時説明義務の緩和です。これは現在、規定上は犬猫を含めた哺乳類、鳥類、爬虫類、これもすべて同じ規定がかかっておりまして、これをまともに販売時説明すると30分、あるいは1時間かかるわけでございます。そうしたときに犬猫以外の例えばハムスター、モルモット、セキセイインコ、あるいはカメとか、そういった小動物なりも同じような規定というのはいささか大変なんじゃないのかと。それよりも全部説明するよりは本当にそれぞれの種で重要な事項、例えばカメであればこのカメは30年生きますよ、どれぐらいの大きさになりますよ、あるいはこれは絶対捨てちゃだめですよ、飼えなくなったらペットショップに戻すなり相談してくださいねと、そういった本当に重要な事項をピンポイントで説明する。あるいは小動物であれば1、2年で亡くなるかもしれないけどその間はちゃんと飼ってねと。子どもが買いに来るかもしれません。そういうときに今は署名もしなきゃいけない規定になっていますけれども、署名とかではなくて何らかの別の代替法で、そういったハムスターなどの小動物は、そういった小学生、中学生でもきっちり飼うという約束のもとで買えるというような、そういった説明義務の緩和というのも検討する時期ではないかなというふうな検討内容でございます。

また、
動物愛護部会 動物愛護管理のあり方検討小委員会(第1回)議事録(別ウィンドウで開きます)
での説明は以下のようなものです。

販売時説明義務の緩和。これは現在、哺乳類、鳥類、爬虫類までですけれども、動物を販売するときに説明義務が課せられているわけです。例えば、この動物はどのぐらいの大きさになります、何歳まで生きます、お家にアレルギーの人はいませんかとか、いろんな飼い方などについて説明義務が課せられていますけれども、犬や猫だけでなく、鳥、あるいは爬虫類、全て同一の義務がかかっています。そうしたときに、例えば小動物、ハムスターを1匹売るのに、同じように30分かけて説明ができるかどうかというと、説明をした方がもちろん望ましいとは思いますけれども、現実的に難しい、現実性がないんじゃないかということもあるわけです。ですから、そういったハムスター、モルモット、例えば小鳥、あるいはカメといったものを販売するときに、犬猫で説明が必要な部分と同じ説明が必要な部分も、もちろんあるのですけれども、もっと重点的に、例えばカメであれば、「これは50年生きますよ。飼いきれなくなったときにも、絶対捨てないでください。ペットショップに相談してください」といった、本当に必要な部分に特化して、説明する必要もあるのではないかというふうに考えているわけです。そういった動物によっての説明義務の緩和、犬猫以外の動物の説明義務の緩和といった議論でございます。

まとめると
・犬猫以外の小動物にも、犬猫販売時と同じ説明義務を課すことは大変である、現実性がないので、緩和したほうがいいのではないか。
・本当に重要な事項、本当に必要な部分に特化して説明をすればいいのではないか。
・必要な部分とは…「寿命」「サイズ」「捨ててはいけない」

これは私見ですが、要するに、「たかだか500円程度のハムスターやミドリガメを1匹売るのに、そんなにコストをかけてらんないのよ」ということなのでしょう。

なるほど、商売をやる上で、コスト意識はとても大切なことです。

しかし、販売しているのは、モノはモノでも「生き物」です。命があります。間違った飼い方をすれば健康でいることができず、死んでしまうことさえあるのです
そもそも、「捨ててはいけない」が守れるかどうかを知るためにも、十分な説明が必要なのではないでしょうか。

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ハムスターミニ写真

どこを緩和できる?

緩和できるところがあるのか?
ペットショップはボランティアじゃありません。コスト意識は大切です。もし今行われている(はず)の説明内容に「これは必要ないな」というものがあるのなら、省いたっていいんじゃないかと思います。その動物を飼育するのに必要な情報のうち1から100までをすべて説明する必要はありません。飼育を開始するときに知っておかなくてはならない、ごく基本的な、最低限の情報だけを伝えてもらえればよいのです。さて、現在、説明義務がある項目の中に、いらない説明があるんでしょうか?

イ  品種等の名称

→必要。
ウサギでは、「にせネザーランド・ドワーフ」が横行しています。当然、命の重さ、命の価値に違いはありませんが、販売時に名称を誤って伝えることにより、純血種とそうでないものを交配し、せっかく作り上げてきた純血種を違うものにしてしまうのは、すべきではないことでしょう(そこからまたスタンダードに戻すには、交配が繰り返され、淘汰も起こります。命を無駄にすることになります)。ミニウサギ(雑種)ならそうだと正確に伝えるべきでしょう。一方で、ウサギは純血種の歴史がまだ短いため、純血種同士の交配でもスタンダードから外れた個体が誕生することもあります。こうした点をについても正確な情報(わからないならわからないと)伝えることが重要です。

ロ  性成熟時の標準体重、標準体長その他の体の大きさに係る情報

→必要。
「ちっちゃくてかわいいミドリガメ」が気がつけば甲長30cm、「プラスチック水槽じゃ狭くてかわいそうだから自然に返してあげよう」となりかねません。最初に「大きくなる」と伝えること、当然飼育施設も大きくすることを伝えるのは、当然のことでしょう。

ハ 平均寿命その他の飼養期間に係る情報

→必要。
小動物だからといって短命とは限りません。鳥類、爬虫類は長生きなものが多いので、将来、結婚するとき、子供ができたとき、(自分がある程度の年齢になって飼うなら)自分が死んだとき……寿命の情報はとても重要。哺乳類でも、チンチラはウサギより小さいけれど20年近く生きます。
※そもそも「平均寿命」も、幼いうちに死んでしまう子や劣悪な環境下で飼育されて早く死んでしまった子を含めての数字です(きちんと統計を取ったデータはほとんどないと思います)。ウサギの平均寿命をネットで検索すると、3-4年、5-7年などが出てきますが、メスなら避妊手術をし、適切な環境、食生活で飼育をすれば、10年くらいは元気で過ごせるでしょう。そのあたりも含めて説明してほしいところ。

ニ  飼養又は保管に適した飼養施設の構造及び規模

→必要。
ケージの底面積があったほうがいい動物、ケージの高さがあったほうがいい動物、水槽で飼ったほうがいい動物、ケージで飼ったほうがいい動物、いろいろいます。ハムスターをケージで飼うと、網をよじ登って天井まで行ってしまい、落下してケガをします。水槽だと、空気がこもりがちになるのでこまめな掃除が必要です。最初に購入する飼育施設をすぐに買い換えることは少ないでしょうから、最初に説明しておきべきこと。

ホ  適切な給餌及び給水の方法

→必要。
特に、ショップにいる動物は幼い個体であり、成長期という重要な時期にあります。購入後も、その動物に合った栄養をしっかりと摂らせなければなりません。最近人気のあるデグー(げっ歯目のチンチラやモルモットの仲間)は草食動物なので、牧草や草食動物用ペレットが主食なのですが、一部のショップでは「デグーマウス」などと称して販売し、マウス・ラット用飼料あるいはハムスター用飼料(いずれも雑食性)を与えているといいます。これはたとえていえば、猫に「野菜も十分にあげてくださいね」と言っているようなものではないでしょうか。正しい情報を伝える必要があります。

ヘ  適切な運動及び休養の方法

→必要。
運動不足や狂った生活サイクルは、動物にとって大きなストレスになります。かといって、簡単に「部屋に出してあげてくださいね」というわけにもいきません。安易に部屋に出すことで起こる事故は非常に多いものです。「ニ」にも関連しますが、部屋に出さないで飼うのなら広いケージが必要になります。また、夜行性の動物は昼間、昼行性の動物は夜、ゆっくりと休ませなくてはなりません。最低限の情報のひとつ。

ト  主な人と動物の共通感染症その他当該動物がかかるおそれの高い疾病の種類及びその予防方法

→必要。
皮膚糸状菌症、サルモネラ症など、現実問題として注意すべき共通感染症があります。共通感染症ではありませんが、アレルギーの問題は絶対に触れておくべきこと。愛情で補えるものではありません。ハムスターならアナフィラキシーショックについても必要な情報ではないでしょうか(命に関わります)。
また、その動物種ごとのかかりやすい病気とその予防方法も、たいへん重要な情報です。後述するように、診察してもらえる動物病院が多くない犬猫以外の小動物では、早期発見方法を含む健康管理、予防は、命に関わる情報だといえるでしょう。

チ  不妊又は去勢の措置の方法及びその費用(哺乳類に属する動物に限る。)

→(一部の動物のみ)必要。
不妊去勢手術が可能な(手術してくださる獣医師がある程度存在している)エキゾチックペットは多くはありませんが、ウサギのようにメスは子宮疾患を予防するために不妊手術が推奨されている動物もいます。選択するのは当然飼い主ですが、選択肢は提示しておくべき。

リ  チに掲げるもののほかみだりな繁殖を制限するための措置(不妊若しくは去勢の措置を不可逆的な方法により実施している場合を除く。)

→必要。
安易な繁殖をさせるべきではないということ、動物種によっては一度にたくさん生まれること、繁殖を望まないならオスとメスは分けることなどを伝える必要があります。

ヌ  遺棄の禁止その他当該動物に係る関係法令の規定による規制の内容

→必要。
外来生物法については絶対に必要でしょう。
犬猫以外の小動物すなわちエキゾチックペットは、そのほとんどが外国産の動物です。購入した飼い主が捨てたり逃したりすれば、生態系を崩すことになってしまいます。
しかし、その動物が外来生物だということを知らないままに飼い始める人もけっこういるのではないでしょうか(ウサギは典型例かもしれません)。
その動物が外来生物であること、決して捨ててはいけないこと、決して逃がしてはいけないことをきちんと伝えるのは、外来生物を販売するものとしてのペットショップの大きな責任でしょう。

ル  性別の判定結果

→必要。
いうまでもありません。鳥類のように幼鳥時には雌雄判定が困難なものは、必ずその旨を伝えることが必要です。

ヲ  生年月日(輸入等をされた動物であって、生年月日が明らかでない場合にあっては、推定される生年月日及び輸入年月日等)

→必要(日まではわからないことも多いでしょうが)。

ワ  不妊又は去勢の措置の実施状況(哺乳類に属する動物に限る。)

→必要(「状況の説明」が必要という意味)。
販売時にすでに不妊去勢手術が行われている(ことが多い)犬猫以外の小動物ではフェレットがよく知られています。その手術が早すぎるために副腎腫瘍(フェレットに非常に多い病気)になりやすい、とも言われているので、手術時期の情報は重要。

カ  生産地等

→繁殖された場所(国/都道府県)のこと。適切なルートで流通していることを明確にするためにも必要。

ヨ  所有者の氏名(自己の所有しない動物を販売しようとする場合に限る。)

→同様に、適切なルートで流通している健康な動物であればいいですが、購入した動物に問題があったときにフィードバックができないと困ります。

タ  当該動物の病歴、ワクチンの接種状況等

→必要。
病歴は当然のこと。エキゾチックペットの中でワクチン接種に関連するのはフェレットですが、購入後の接種時期などを決めるために必要な情報です。

レ  当該動物の親及び同腹子に係る遺伝性疾患の発生状況(哺乳類に属する動物に限り、かつ、関係者からの聴取り等によっても知ることが困難であるものを除く。)

→必要。
わからないことは多いでしょうが、純血種のウサギであればある程度はわかるはず。その後、繁殖させたいと思っている場合には非常に重要な情報です。

ソ  イからレまでに掲げるもののほか、当該動物の適正な飼養又は保管に必要な事項

→多岐にわたって存在します。
・診察してもらえる動物病院が少ないこと:犬猫以外の小動物を飼育しようという人には、絶対に伝えなくてはならないことです。どこの動物病院でも診察を受けられるわけではありませんし、受け付けてもらったとしてもその診療内容が不適当である場合も、残念ながらあります。購入した動物を連れて家に帰ったら、一番最初にやるべきこととして、「獣医さんを探してくださいね」ということは伝える必要があります。
また、動物病院と同様に、ペットホテル、ペットシッターなど、犬猫では当然のサービスが同じように受けられない場合が多いこともできれば伝えておいてほしいことです。

・温度管理:チンチラは夏場はエアコンをつけっぱなしの覚悟がいります。その他の動物たちにしても、昨今の夏の猛烈な暑さを考えれば、できればエアコンのある部屋で飼ってください、という指導は必要でしょう。冬場も、ハムスターなど低体温症を起こしがちなので、室内を暖かくできないならペットヒーターを使うことなどを伝えないと、生き物の命に関わります。爬虫類や鳥類は哺乳類以上に温度管理に神経を使います。

・紫外線:昼行性の爬虫類には必須です。日光浴や紫外線ライトの必要性は必ず伝えるべき情報です。

・多頭飼育:多頭飼育が可能なのか、不可能なのか。可能であっても手順を踏むことが必要だということは伝えるべき情報です。動物の知識のない方には、「1匹で飼うのはかわいそう」という思い込みがあります。しかし、たとえ多頭飼育ができる動物だとしても、いきなり一緒にしてうまくいくわけではありません。オスとメスを飼えば、繁殖する可能性があります。多頭飼育がうまくいかずにどちらかを手放すことになったり、無計画な繁殖という問題が起こります。

・その他の種ごとの特性:

たとえば、プレーリードッグやシマリスのように季節によって気が荒くなる動物がいます。おとなしそうなイメージの強いウサギは、縄張り意識がたいへん強い動物です。チンチラには砂浴びが必須です。

こうして見ていくと、省いてもいい項目はほとんどありません。
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プレーリードッグミニ写真

犬猫とは違う

犬猫とは違う「基礎知識」のレベル
犬や猫は、ペットとしての歴史が非常に長い動物です。そのため、飼育経験がないとしても、誰もが「犬は吠えるもの」「猫は爪とぎをするもの」ということくらいは知っているでしょう。

ところが、犬猫以外の小動物に関しては、飼育するために必要な、最低限の知識を持っていないことがほとんどです。つまり、運転免許を持っておらず、運転の知識も持っていない人に、その人が運転するとわかっていながら自動車を販売するようなものです。

必ずしもすべての飼育初心者が飼育書を購入し、事前に勉強するとはいえませんから、ペットショップで説明をしてもらえない限り、手探りの状態で飼育を開始することになってしまいます。手に負えない状態になったとき、「捨てる」という手段を選ぶ人は、残念なことに少なからず存在します。

犬猫以外の小動物を販売するときに最低限、必要な情報を説明しないことは、外来生物の放逐にもつながります。アライグマの悲劇を繰り返してはなりません。

あの頃に販売時説明義務があったとしたらどうだったでしょうか(放逐されるアライグマが皆無だったとはいいませんが)。
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セキセイインコミニ写真

犬猫以外の小動物って?

「犬猫以外の小動物」って何のこと?
ところで、「犬猫以外の小動物」とは、なんという種類の動物のことでしょう? 事務局による説明には、ハムスターとカメだけが出てきますが、犬猫以外の小動物とは(動愛法にのっとれば)「すべての犬猫以外の哺乳類、鳥類、爬虫類」をいいます。

事務局からの説明を聞いていると、「小中学生が、たかだか500円程度のハムスター/カメを飼う」ということしか想定されていないように想像されますが、「犬猫以外の小動物」に、いったいどれだけの種類があるというのでしょう。

哺乳類では、家畜化しているグループ(ウサギ、フェレット、ゴールデンハムスター、ジャンガリアンハムスター、マウス、ラット、スナネズミ、モルモット、チンチラ、デグーなど)もいれば、家畜化とまではいえないものの飼育下での累代繁殖が行われ、なおかつ飼育方法もだいたいわかっているグループ(シマリス、オグロプレーリードッグ、ハリネズミ、フクロモモンガなど)もいます。そのほかに、世間でいわゆる「珍獣」と呼ばれるような動物たちのグループがいます。鳥類ではブンチョウ、ジュウシマツ、セキセイインコ、オカメインコ、ボタンインコ、コザクラインコ等々、爬虫類ではミシシッピアカミミガメ、ケヅメリクガメ、グリーンイグアナ、ヒョウモントカゲモドキ、フトアゴヒゲトカゲ、コーンスネーク、カリフォルニアキングスネーク等々、「犬猫以外の小動物」には、数多くの種類の動物たちが含まれています(もちろん「ペットショップで販売している」という前提で)。
当然、その生態や習性、食性、飼育管理方法などはそれぞれに違っています。

犬猫以外の小動物に関する販売時説明を「本当に必要なことに特化」するというのなら、あらゆる販売種に関して、「本当に必要なこと」をリストアップする必要があります。それを誰がやるのでしょうか、その内容は正しいものなのでしょうか。

せっかくフォーマットができている「説明義務事項」に則って説明をしていったほうが間違いがないと考えられます。
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デグーミニ写真

販売時説明が持つ意味

「販売時説明」がもつ、もうひとつの大切な意味
「販売時説明義務」には、その動物を飼育するさいに必要な最低限の情報を提供するという意味のほかに、もうひとつ、大切な意味があるのです。

それは、売る側にとっては、健康な個体を販売するのだから(「動物の愛護及び管理に関する法律施行規則」第八条第一号~第三号)、この方法で飼育すれば健康に飼うことができます、という責任と自覚を持つ機会になるということです。

一方、飼育する側にとっては、健康な個体を購入したはずなのだから、適切な方法で健康に飼育をするという責任と自覚を持つ機会になるということです。

事務局の説明を読み、聞いている限りにおいては、子供に対してはきちんとした説明をしなくてもいい、というようにも受け止められます。
時間のかかる説明を聞くことは、子供たちにとってもきっと負担でしょう(もちろん、わかりやすい言葉で説明をする必要はあります)。
しかし、それがどんなに小さな生き物でも、寿命の短い生き物でも、命あるものです。「命を引き受ける重さ」を教えるのに、こんないい機会はないではありませんか。

大人が相手でももちろんそうです。
ただかわいいというだけで、その動物の特性もなにも考えずに迎えれば、「こんな動物だったなんて知らなかった」と、飼育に手を抜き、長生きできるはずの動物を早死させたり、放逐するということにもなりかねません。
命あるものの売買にともなう責任と自覚に、「犬猫」と「犬猫以外の小動物」で違いがあるというのでしょうか。
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文鳥ミニ写真

ショップにもメリット

ショップにもメリットはある
今回の「緩和」の問題は、コスト的に割が合わないことからペットショップが言い出したことであろうと想像されます。たしかに、500円のハムスター1匹を売るのにそれ以上の人件費がかかる可能性があることや、ハムスターの説明に時間をとられる分、もっと高い動物を買ってくれるかもしれない客を逃すとしたら、コスト的には痛いことではあるでしょう。

しかし、きちんと説明をしてくれるショップというのは、よい評価を得られるのではないかと思います。このネット社会ですから、悪い情報も広がりやすいですが、よい情報だって広がります。「信頼できるショップ」という口コミは、高い宣伝費を支払うよりもメリットのある「宣伝」になるのではないでしょうか。

事前説明を行うのととともに、関連商品やサービスの宣伝、告知をすることだってできます。
最初は「亀のスターターキット」的なものを販売するとしても、いずれ大きな水槽が必要になるので、そのときにはこの文書を持ってきてくれれば10%オフにしますよ、というようなことをするのもいいのではないでしょうか。
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フェレットミニ写真

そもそも…

そもそも「動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目」はきちんと守られているのか?
ペットショップにいる犬猫以外の小動物の飼育管理状況に疑問を持ったことはありませんか?

動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目(pdf)

には、飼養施設の管理、動物の管理など、動物取扱業者(ここではペットショップ)が守るべきことが詳細に書かれています。読んだことがない方は、ともかく読んでみてください。

残念ながら、守られていないショップを思い浮かべる方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

多くの場合、動物がペットショップにいるのは成長期です。健全な体と健全な心を作るための、とても大切な時期です。そのときに、不適切でストレスの多い環境に置かれ、間違った食べ物を与えられることには、大きな問題があるのです。

なにも特殊なことをしてほしいというのではありません。それぞれの動物にとって最低限必要な飼育管理をしてほしい、というだけのことです。

「販売時説明義務の緩和」云々を言う以前に、「動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目」を遵守することを強化していただきたいものです。
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コーンスネークミニ写真

売り物という側面から

売り物という側面から見ても
ペットショップの動物たちには2つの面があると思います。
ひとつは、当然ですが「命ある生き物」ということ。
もうひとつは、「販売されている『商品』」ということ。そんなことをいうと「動物は物じゃない!」と言われてしまいそうです。もちろん「物じゃない」んですが、しかし「売り物」だという面、これは非常に重要です。

ペットショップ以外の商店を考えてみてください。

ガソリンスタンドにストーブの燃料を買いに行ったら(うっかりミスではなく)ガソリンを売られるなんてことがあるでしょうか。
冷凍食品が常温で売られているなんてことがあるでしょうか。
4畳半一部屋で暮らしていると言っているのに50インチのテレビを勧められるなんてことがあるでしょうか。
かに専門店で「私、甲殻類アレルギーなんですけど、かに食べても大丈夫ですか?」と尋ねて、「大丈夫ですよ」と言われるようなことがあるでしょうか。
八百屋のおじさんに今が旬の野菜を聞いたら、知らないと言われるなんてことがあるでしょうか。

どんな商売であっても、販売する側は、販売する商品に対する一定の知識をもち、その商品を購入する客に適切な情報を提供するのが当然のこと、ですよね。
しかし、残念ながら一部のペットショップでは、このようなことが起こっているようです。

どうしてペットショップという商店だけは、適切な知識もなく商品を保管し、適切なアドバイスもできないままに商品を販売することが許されているのでしょう。

「動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目」がきちんと遵守されていないのだとしたら、「販売時説明義務」の緩和など、考えられないことではないでしょうか。
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知ってください

知ってください
まずは多くの方にこのことを知っていただきたい、と思っています。
犬猫以外の小動物を大切に思っている皆さんのお知り合いにも、ぜひ知ってもらってください。
もちろんこのページ http://www5f.biglobe.ne.jp/~simarisuko/no_relaxation_of_regulation.html へのリンクはご自由にどうぞ。バナーも用意してありますので、お持ち帰りください。

参照サイト

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情報をください

情報をください
・平成18年(2006年)6月以降にペットショップで犬猫以外の小動物(哺乳類、鳥類、爬虫類)を購入したとき、必要な説明を受けることはできたでしょうか?
・「動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目」は、あなたの知っているペットショップでは遵守されているようでしょうか?
情報をお待ちしています(なるべく具体的に)。
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力を貸してください

力を貸してください
・署名にご協力ください。
・アンケートを行っています。犬猫以外の小動物を販売時説明が義務化されて以降に購入された方だけでなく、ペットショップにどの程度の販売時説明を求めるか、またペットショップの飼育管理状況に関してご意見のある方、ご協力をお願いします。
(↑ 2011年2月10日に受付を終了しました。アンケート結果をご覧ください)
・今後要望書の提出に向けて準備中です。
(↑ 2010年10月31日に要望書を環境大臣宛に提出いたしました。)
・私の守備範囲は主に「犬猫以外の哺乳類」なので、鳥類、爬虫類に関して起こり得る問題等あればぜひ教えてください。補足していきたいと思います。

※※署名入り口※※

※※アンケート入り口※※(受付終了)
(2011年2月10日に受付を終了しました。アンケート結果をご覧ください。)

みなさまのご協力をなにとぞよろしくお願い致します。

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販売時説明義務の緩和(犬猫以外の小動物等での説明義務事項の緩和の検討)に反対します 販売時説明義務の緩和(犬猫以外の小動物等での説明義務事項の緩和の検討)に反対します 販売時説明義務の緩和(犬猫以外の小動物等での説明義務事項の緩和の検討)に反対します 販売時説明義務の緩和(犬猫以外の小動物等での説明義務事項の緩和の検討)に反対します

販売時説明義務の緩和(犬猫以外の小動物等での説明義務事項の緩和の検討)に反対します 販売時説明義務の緩和(犬猫以外の小動物等での説明義務事項の緩和の検討)に反対します
販売時説明義務の緩和(犬猫以外の小動物等での説明義務事項の緩和の検討)に反対します 販売時説明義務の緩和(犬猫以外の小動物等での説明義務事項の緩和の検討)に反対します

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