9時前にホテルロビーへと向かう。ソファーには、空港からのシャトルバスとホテルが一緒になってしまった ボーイッシュな彼女がすでに座って待っていた。
彼女の名前は忘れたけど、ドイツ人で英語とスペイン語が堪能。メキシコをまわって、グアテマラ入りしたばかり。 これからグアテマラをまわり、南へと下りながら中南米を一人旅するそう。

 ティカル行ミニバスが来て、往復運賃Q60(900円強)を払い、乗り込む。 バスはあちこちのホテルを寄りながら、予約の人を乗せていく。
途中、私の隣にアジア人風の女性が乗ってきた。もしかして日本人?はたまた中国人?って感じだったけど、アジア系アメリカ人だった。 現地のスペイン語学校に来てまだ1週間も経ってなく、ほとんどスペイン語は初級中の初級。 英語主体のスペイン語だけど、よく話すし明るい。
私の後ろの座席に座っていたドイツ人彼女の隣には、イギリス人の女性が座っていて、彼女も英語主体のスペイン語だけど、よく話す。

 フローレスから約60Km、1時間半弱でティカルのビジターセンター前に着いた。 帰りのバスは4時にここから出発するとのこと。ティカルで5時間以上は過ごせる。
結局、女性一人旅4人;ドイツ人彼女、アジア系アメリカ人彼女、イギリス人彼女と私は、一緒に行動することになった。
まず、腹ごしらえをすべく、ビジターセンター前にポツポツとある簡易食堂へ向かう。 私はチキンのサンドイッチとジュースを注文。水はホテルで買ってたけど、ジャングル内での水分補給にとっておかないと。
お腹も満たされ、ビジターセンターを通り抜け、500mほど歩いたところで案内地図があり、道が3方向へと分かれる。 4人で話し合った結果、右方向へ進み、反時計まわりで見学することにした。 某ガイドブックによれば、最初にメインのT号神殿、U号神殿のあるグラン・プラサへと向かうのが普通らしいけど? はっきり言って、逆まわり?

 1979年に複合遺産(自然遺産、文化遺産)として世界遺産に登録された ティカル(Tikal)国立公園には、ジャングルの奥深くに築かれたマヤ文明最大の神殿都市遺跡がある。 ちなみに「ティカル」は、マヤ語で「叫び」を意味するそう。
なんと、ティカルには紀元前600年頃にはすでにマヤ人が定住していたそう。 都市が栄えたのは、300年頃から900年頃。政治、経済、文化の中心地だった。

 ティカルはメキシコのテオティワカンの影響を強く受け、 テオティワカンが衰退してしまった8世紀頃に最盛期を迎える。 この時期に現存する神殿などの建造物のほとんどが造られたそう。
10世紀に入ると、急激な衰退期を迎え、 1696年にスペイン人宣教師たちに偶然発見されるまで、神殿群は熱帯のジャングルの海に埋没してしまっていた。

 約16kuの空間に神殿、宮殿、球戯場、霊廟、広場や道路など、3000箇所以上の建造物や、 約100箇所の地下室、約10万点もの土器片が発見されており、一番古いもので紀元前200年以前のものがあるという。
一説には、ティカルで発掘された遺跡は全体の3%程度で、いまだに多くの遺跡がジャングルに眠っているとも言われている。 発掘された遺跡もまだ、木々に覆われたままで、修復さえままならない。
20mにも30mにも茂るジャングルの樹木のさらに上に高くそびえる6つのピラミッド神殿も、完全に修復されているわけではなく、 頂上に登れるのはW号神殿とX号神殿のみ。(以前はT号神殿、U号神殿も登れたが、現在は立ち入り禁止)

 複合遺産に登録されているように、遺跡以外にも、ジャングルでは豊かな自然が残っており、 いろいろな種類の木々や動物、鳥たちをみることができる。
そう、ジャングルと言われるだけあって、熱帯の蒸し暑さの中をひたすら歩かなければならない。 虫よけスプレー、タオル、水は必需品。
虫よけになるならと、ジーンズをはいて行ったのはいいけど、 途中蒸れて下半身がサウナ状態になるので考えもの。 あと帽子も頭が蒸れてしまうので、日差しがなければ必要ないかも?
ピラミッド
最初に目にしたピラミッド。 4つの建物が対になっているコンプレッホ Complejo と呼ばれるもの。 現在7つ確認されているらしいが、このコンプレッホはQかRかPかのいづれか? 対となるピラミッドの存在がわからなかった・・・。
ピラミッド上から
左のピラミッドに登って見下ろしたところ。 ピラミッド前には整然と石碑が並んでいる。
テオティワカンでもそうだったけど、高所恐怖症と言えども、登れるピラミッドにはしっかり登る! って、段差のある階段の登りは上を向いて一歩一歩よじ登って行くので全然平気だけど、降りるときが問題。 階段側を向いて足元を見ながら、一歩一歩よじ降りる(こういう言葉あり?)感じ。 足元からちらちら地面が見えるたび、足がすくんでしまうこと多々だけど、ピラミッドを見るとやっぱり登ってしまう・・・。
W号神殿への木製階段
西の端のW号神殿頂上へは、 東側にある階段が土と樹木で覆われ使用できないため、北側に作られた木製階段をひたすら登らないといけない。 階段前の広場の木上にはサルが飛び交い、ハナグマもウロウロ。

W号神殿(双頭の蛇の神殿)頂上
W号神殿 Templo W(双頭の蛇の神殿)の頂上。 飾り屋根までの高さ 70mで、建造されたのは741年だそう。ジャングルが一望できる。 飾り屋根を支える壁の厚さは12mある。確かにこの階段を登ってみると狭くて小さい空間がありすぐ壁になっていた。
木製階段
上から撮った木製階段。結構急な階段だとわかる。地上までこの階段が続く。
ちなみに、降りて行っているのは、手前からアジア系アメリカ人彼女、イギリス人彼女、ドイツ人彼女。
ピソーテ(ハナグマ)
中南米でよく見かけたピソーテ Pizote(ハナグマ)
ハナグマ以外にも、サル(ホエザル?)、クジャクみたいな鳥、赤い頭のキツツキ、九官鳥みたいな鳥などなどが、 そこら辺に いるって感じで、遺跡以外にも楽しめる。(他動物写真は小さくて見づらいのでUPしてません)

W号神殿からの眺め

右写真左側ズーム版。 左からT号神殿正面、U号神殿背面、V号神殿背面
W号神殿からの眺め
W号神殿からの眺め
中央の小山にちょこっと頭が出ているのが、X号神殿だけど、これでは見づらい?
W号神殿からの眺め

左写真右側ズーム版。 失われた世界のピラミッド。のちにこのピラミッド上からのW号神殿写真あり。

V号神殿(ジャガー神官の神殿)背面
W号神殿から、メインのグラン・プラサへ向かう途中から望める V号神殿 Templo V(ジャガー神官の神殿)背面の飾り屋根部分。 人と比べてみるとジャングルも神殿も壮大でしょ?なぜかV号神殿の正面写真を撮ってなかった・・・。
グラン・プラサ
ティカルの中心となる大きな広場グラン・プラサ Gran Plaza。 広場の東にT号神殿、西にU号神殿、北にノース・アクロポリス、南にセントラル・アクロポリスがある。
写真は、 ノース・アクロポリス Acropolis del NorteT号神殿 Templo T(大ジャガーの神殿)
T号神殿のピラミッド内部のさらに古いピラミッドから大墳室が発見され、 王アー・カカウの物と思われる遺骨や周りの副葬品がティカル博物館に保存してある。
T号神殿もU号神殿も登れると思ってたのに、立ち入り禁止のロープが張り巡らされてた。 ザンネン・・・と思う反面、この急階段を降りるときのことを考えるとよかったのかも??
ノース・アクロポリス
広場より数段高いプラットフォームの上にある ノース・アクロポリス Acropolis del Norte
1000年以上にわたってティカルの行政の中心として君臨していたらしく、100を越える建築物が折り重なるように 建っている。発掘のために、上部の建物(600〜900年建造)を取り壊し、現在見られるのは300〜600年ものらしい。 一番古いもので紀元前200年までさかのぼるそう。

ノース・アクロポリス前の石碑
ノース・アクロポリスには、ところどころの石碑が屋根で覆われている。 他の石碑に比べて、薄いピンクがかっていたこの石碑は、上部は風雨にさらされ溶けてしまった感じ。 側面下部のマヤ文字ははっきり見て取れ、朱色に染まっていたことがわかる。
T号神殿(大ジャガーの神殿)
T号神殿 Templo T(大ジャガーの神殿)
700年前後に建てられた高さ 51mの純粋なマヤ様式建物。 上部の神殿入口に巨大なジャガーの彫刻が発見されたので「大ジャガーの神殿」と呼ばれる。
U号神殿(仮面の神殿)
U号神殿 Templo U(仮面の神殿)
T号神殿と対座する。同様700年前後に建てられた高さは 42m。 飾り屋根の顔の浮き彫りから「仮面の神殿」と呼ばれる。
T号神殿(大ジャガーの神殿)
セントラル・アクロポリス Acropolis del Centralから撮った T号神殿 Templo T(大ジャガーの神殿)。 水平に並ぶ9つの層に貫く急な階段・・・登ったら大変なことになってた?

U号神殿(仮面の神殿)
セントラル・アクロポリス Acropolis del Centralから撮った U号神殿 Templo U(仮面の神殿)
セントラル・アクロポリスは約210mにわたって東西に広がる支配者層が住んだといわれる巨大住居跡。 大小6つの中庭があり、それを囲むように2〜3階建ての宮殿が並んでいるが、 廊下や階段が入り組み、まるで迷路のようだった。
今見られる建造物は300〜600年に建てられたものだそうだが、その下部に見られる建物から、紀元前から人が住んでいたと 言われている。
X号神殿
X号神殿 Templo X
高さは57mで、T号、U号神殿同様700年前後に建てられた。
X号神殿修復完成記念プレート
ジャングルの茂みから見えるX号神殿 Templo X(左写真)の 階段上部付近から下が妙に白い・・・と思い近づいてみると、何やら脇にプレート(記念碑?)が・・・ あれ?一番下に書かれてある日付が ”2003年5月21日”??頭が混乱。だって今日は2003年5月19日・・・のはず?
どうやらこの2日後に修復完成記念式典が開催されるようで・・・ どうりで修復されたばかりの階段が白く浮いて見えた。 2日後からX号神殿は立ち入りできるようで、これまたアンラッキーな私たちである。

サウス・アクロポリス
X号神殿のすぐ西側にあるサウス・アクロポリス Acropolis del Sur。 電信柱みたいな木は、カポックと呼ばれている木だそう。
サウス・アクロポリス
同様サウス・アクロポリス。 まだ復元に至っておらず、樹木に覆われている。それにしても、木の根が遺跡上を這っている感じ。
サウス・アクロポリス
同様サウス・アクロポリスの神殿のひとつだと思われる。 神殿を支えるプラットフォームは積み重ねられて、約26mの高さがあると言われている。

7つの神殿の広場
サウス・アクロポリスの西隣に広がるのは、 7つの神殿の広場 Plaza de Siete Templos。 ティカルで最も美しいと言われている広場の東側に、7つの小建造物があることからこの名前が付けられたそう。
木があれども、開けたジャングルって感じで歩いていて心地よい。 (写真は広場のどの位置の建物か、方向音痴のため定かではない・・・)
7つの神殿の広場
7つの神殿の広場の 南側には3つの宮殿、西側に1つの小神殿がある。北側には3つの平行した建物があり、 この建物間を利用して球戯場の役割を果たしていたとも言われている。 (写真はたぶん、北側の建物のひとつ?)
V号神殿(ジャガー神官の神殿)側面
7つの神殿の広場から、西隣の失われた世界へ向かう途中から望める V号神殿 側面

失われた世界
7つの神殿の広場西隣の失われた世界 Mundo Perdidoにあった神殿遺跡。
失われた世界
失われた世界 Mundo Perdidoの中心にある高さ 30mのピラミッド。 600年前後に建てられたと言われている正四角錐型の形はテオティワカン建築の影響を強くうけている。
数年前まで草木に覆われていたピラミッドは、ほぼ完全に修復されている。
ピラミッド頂上から
左写真のピラミッドを登り、こわごわと上から見下ろした階段。よじ登ってきているのがわかる・・・ 下りが恐怖で思いやられそうと思いつつ撮った。 確かに、下っている途中、足がすくんでしばし立ち止まって・・・というより、しがみついたまま動けなかった。 時間かかったけど、地に足が着いたとき、脱力感とともにホッとしたのを覚えている。

ピラミッド頂上から
失われた世界のピラミッドからの眺め
右奥に見える神殿が最初に登った高さ 70m あるW号神殿。 左手前の建物は上写真の失われた世界の神殿。
ピラミッド頂上から
失われた世界のピラミッドからの眺め
左からV号神殿、U号神殿、T号神殿を望む。
Y号神殿(碑銘の神殿)
グラン・プラサからメンデス通りを歩くこと約1km、遺跡群の東南端にポツンとある Y号神殿 Templo Y(碑銘の神殿)。 766年に建てられたと言われる高さ12mの比較的新しく発見された神殿。 飾り屋根に多くの神聖文字が刻み込まれているため「碑銘の神殿」と呼ばれ、第Yの神殿とされた。 階段の復元がまだなので、登ることができない。


ペテン・イツァ湖の夕焼け  再びビジターセンターへと歩いていく。 薄曇と言えども、サウナのような熱帯ジャングルをトータルで7〜8kmは歩き続けた。 ティカル博物館まで見る余裕なく、お迎えの時間。
ティカル遺跡ビジターセンター周辺には3軒のホテルがあり、そこに宿泊すれば、2日かけてゆっくり見学できる。 ただし、部屋数が少ないため、予約したほうが無難。ちなみにシングルでUS$25〜80ぐらい。

 お迎えのバスに乗り、それぞれのホテルまで送ってくれた。 4人で夕食をいっしょにしようと、7時に島の中心にある中央公園で待ち合わせして別れた。
汗と湿気でベトベトの体を一掃したく、部屋へ帰るなり即シャワーを浴び、 テラスからしばし夕焼けに染まったペテン・イツァ湖を眺める。これでビールがあれば、至福のひとときなんだけど・・・。(左写真)

 フローレス島は、直径400m程度の小さな島ゆえ、沿岸から中央公園まで直線にして200m程度。 余裕持って、20分前にホテルを出て、ブラブラしながら中央公園へと向かう。
途中、インターネット店前を通ると、ドイツ人彼女が中でインターネットをやっていた。 声をかけると、もう少しやってから行くとのこと。 ティカル観光の拠点でもあるので、フローレス島には観光客向けにインターネット店が多い。

 中央公園の広場の街灯下では、子供たちがサッカーしたりして遊んでいた。 公園横の教会の階段にアジア系アメリカ人彼女と、イギリス人彼女とその男友達がすでに来て座っていた。 インターネットをやって来るというドイツ人彼女を待って、しばし談笑。
ドイツ人彼女もやってきて、5人でレストランを探しながらウロウロ。 なんていう名前のレストランか忘れたけど、石段を下りたところにあったキレイなレストラン。 中も広くて、多くの人で賑わっていた。
みんなでスパゲティか何かを頼んだんだけど、ここフローレスには、マヤ料理を食べさせてくれるレストランがある。 マヤ料理って、野生動物の肉・・・ アルマジロ、イグアナ、食用ネズミ、七面鳥、シカ、テペスクインテ(小さいイノシシのようなもの)などなどだそう。 七面鳥、シカは食べたことあるけど・・・アルマジロ、イグアナは抵抗あるなぁ。

 食後、みんなと別れて、ドイツ人彼女とホテルへ向かう途中に、再び一緒にインターネットのお店へ入った。 20〜30分だったと思うけど、Q6(90円ぐらい?)で安い。
私はメールチェックしただけだったので、ドイツ人彼女とはそこで別れて先に帰った。 彼女は翌朝フローレスを去ったため、これが最後の別れとなった。


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