ホテルへ一旦戻ったものの、バスで帰る途中、ホテルからそう遠くないところに気になったお店があったので、 すぐに覗きに行くことにした。
雨が降ったあとなので、道は泥道と化していてすごく歩きづらいんだけど・・・歩く場所を選びながらサンタ・エレーナへと 続く道路をしばらく進むと、右手脇の小さな階段を上ったところに手作り布とかが売っている小さなお店があった。 お土産として買っていくにはイマイチかな?と思い、見るだけ見て再び道路へと出た。
そのまま進むと左手にレストラン、お土産屋さん、ホテルも一緒になってたような平屋の建物があり、そこのお土産屋さんも 覗いてみる。その先には蘭のためのプロジェクトなのかわからないけど、蘭を観察できるような遊歩道の案内があった。 さすがにもう遅いし、また一人さまようのもなんだし・・・。

 結局これ以上、約2km先のサンタ・エレーナまでぶらぶら悪路を歩いてもと引き返した。 昨日行ったフィンカ・エコロヒカへの道沿いに小さなレストランがいくつかあったようだし、 夕食はそこらへんで済ませることにしよう。ということで、 道路を戻りながら昨日も寄った小さな商店前を通り過ぎ、フィンカ・エコロヒカへの道へと曲がって行った。 (《モンテベルデについて、ホテル&フィンカ・エコロヒカ編》

 まぁ、とにかく水溜りやぬかるみに足がとられそうなぐらい道が悪くて、足を踏み出す場所さえも決めかねない。 そんなわけで下を見ながら慎重に歩いていると、背後から「こんにちは」と日本語が聞こえてきた。 へ?って振り返ると、バケツを手に日本人男性がニコニコしながら歩いてきていた。 私も「こんにちは」・・・と、コスタ・リカへ来て初めて日本人に会ったような?それもこんな山の中で。
ちょうど彼はそこの小さな商店へ来ていたらしく、店を出たら、すぐ前を私が踏み場を選びながら歩いていたようで、 日本人?と思いつつしばらく後ろに付いて歩いてたみたい。

 「慎重に歩いているみたいだね」と笑われてしまった。うーむ、はたから見たら滑稽な歩き方に見えたかも? 「いやー、すごく道が悪いよねぇ」と笑ってごまかして、 「ところで何しているの?」とバケツを指しながら話題を変える。と、洗濯物を取りに来たとのこと。 Keiと名乗る彼はボランティアで来ていて、すぐそこの関連事務所で寝泊りしているそう。
で、「夕食は?」と聞かれ、今からどこか行こうか考えていたところとのことに、一緒に夕食取ろうということになった。 その前にKeiさんは「ちょっと待って、洗濯物取ってくる」とバケツを持って、立ち止まって話してたすぐ脇の門をくぐり、白い家へと入って行った。 そうか、やっぱりランドリーは必要だよね。乾燥機ないと乾きにくいよねぇ・・・。 夕暮れ

 そうこうするうちに辺りはどんどん薄暗くなってきて、建物の灯りがまわりを照らしだした。 (右写真;フィンカ・エコロヒカへの道からサンタ・エレーナへと続く本道方面を撮ったところ。道路向かいの建物はHotel Heliconia)
それからはいろいろ話しながら、Keiさんが寝泊りするという事務所の裏手へ向かい、彼は「ちょっと待って」と 小さなドアを開けて洗濯物を置いてきた。 それから、Keiさんがよく行くという道沿いのちいさなレストランへ入る。 ちいさなレストランだけど、壁を隔てた向こうには小部屋があって、安くで寝泊りできるそう。

 気さくなおばちゃんがいて、ビールとKeiさんオススメという料理を頼んだ。 安くて量が多くておいしいとのこと。お店の名前が何だったか?料理も何だったか?肝心の写真を撮ってなかったので あまり記憶にないけど、ボリュームあっておいしかったのは確か。食べ切れなくて彼にあげたような?
お互いワインも好きと言うことで、ワインも飲みながら談話。結局、夕食はKeiさんがおごってくれることになり、 お言葉に甘えて・・・ご馳走様でした! その上、ハウスワインを1本買って、事務所で飲もうということに。

 道には街灯もないので、暗闇の中を歩く感じ。ぬかるみに足をとられそうだけど、足元がよく見えない。 と、Keiさんが「僕の後ろを歩くと大丈夫だよ」とすっと手を差し伸べるあたり、んー、ラテン人ぽい気遣い(?)。 ただ、いきなり手を握るのはなんだし・・・でもせっかくだから「ありがとう」と腕を掴んですぐ後ろを歩いた。
なんとか事務所裏のドア前に着いて、Keiさんが「外灯が切れていて暗いんだよな」と言いつつ ドアを開けている間、辺りを見渡すと、ひらけたところの目線下から広がる星空がキレイ・・・って「えーっ!うそぉ!あれぇ?」 と思わず叫んでしまった。だって、ちょっと見下ろしたところに見える星って 南十字星じゃない? でも、一応ここは北半球。南十字星って見えるもの?でも、 ガラパゴスでしっかり目に焼き付いたクロスだもの。間違いはない。
Keiさんに「あれって南十字星じゃない?」と言うと、「えー、そうなの?見たことないから」としばし眺める。 絶対にそう!すごーい!ここで南十字星を見れるなんて!めちゃめちゃ感動!!

 ここでKeiさんについて。
この4月に長野の別荘(東京在住)のご近所でペンションを営む方がやっているNGO 「にっぽんこどものじゃんぐる」のコスタ・リカ訪問に ひょんなことから弟と同行することになったそう。 Keiさんは高校時代、1年間エクアドルの首都キトへ留学していたそうで(どうりでラテンっぽい)、 長い間スペイン語に触れてなかったけど、若干わかるということで通訳によかったみたい。
「にっぽんこどものじゃんぐる」がどういうものかわからないまま同行し、約2週間後、他のメンバーは帰ってしまったものの、 弟とともに支援しているコスタ・リカの団体にボランティアとしてそのまま居残り、2ヶ月が経ってしまったとのこと。 弟はちょうど他の場所へ出ていて、モンテベルデにいなかったので今回会えなかった。

 ちなみに、支援しているのはコスタ・リカの団体MCL(Monteverde Conservation League;モンテベルデ保護連盟)。 これは1986年にモンテベルデ雲霧林生物保護区の雲霧林を保護する目的で設立された団体。
MCLが管理している森のひとつに「BEN(ベン);BOSQUE ETERNO DE LOS NINOS(ボスケ エテルノ デ ロス ニーニョス)」がある。 日本語で言えば「子供たちの永遠の森」。 未来の子供たちに森を残そうとメキシコの少年オマール君が声を上げたのがきっかけとなり (『ぼくのジャングルを救って!』偕成社発行絵本あり)、少しずつ世界中に支援の輪が広がり、 今では40カ国以上の子供たちが中心となってコスタ・リカの森を少しずつ買い取っている。
場所はモンテベルデの傍にあり、西はサン・ヘラルド(San Gerardo)から東はラ・ティグラ(La Tigla)近くまで、 南北もそれと同じ距離広がっていて、 コスタ・リカで個人所有の森としては22,000ha(2001年付)とコスタ・リカの地図に名前が載るくらい最大の森になっている。

 Keiさんが寝泊りしている事務所とは、MCLのモンテベルデにあるバホ・デル・ティグレ(Bajo del Tigre)の ビジターセンター。裏手にある流しの付いた小さな部屋を使用しているそう。 湿気が多いため、すぐマットとかにカビが生えて大変だそうで寝るのに苦心しているみたい。
そこの事務机の上で、先ほど買ったハウスワインを開けたものの、甘くてイマイチ。で、Keiさんがコーヒーを入れてくれた。 それも、私が欲しがっていたチョレアドールで入れてる。 「これいいよね」って二人で盛り上がってた。

 彼はもうしばらくコスタ・リカにいて、それからすっかり音信不通となったエクアドルのホームステイ先を訪ねたいと話しをしていて、 ちょうどエクアドルから中米へ渡って来ていた私にいろいろと訊ねてた。
そう言えば、Keiさんが若い頃に(今も若いんだけど・・・)、弟と2人で車で旅していたとき、我が故郷椎葉へも来たそう。 ということで、日本三大秘境と言われる椎葉の山の中から、コスタ・リカのモンテベルデの山の中へ来るってスゴイことだと 妙に感動していた。「そう?」と言ったら、彼はモンテベルデの人が椎葉へ行くのと同じと言われ、なるほど・・・と なぜか納得してしまったんだけど?
で、折角だからと、MCL、BEN、「にっぽんこどものじゃんぐる」などについて説明を受ける。 私にとっては興味がある分野なので退屈はしない。

 話しは尽きないものの、11時をまわったこともあり、ホテルへ帰ることにした。 今度は懐中電灯で足元を照らしながらなので、ちょっと楽に歩ける。
と、ホテルロビーのある建物へ向かうと・・・「え?」ホテルのロビーが閉まってて真っ暗じゃない。 えぇーっ!鍵どうしよう・・・と、暗闇の中、建物の外にあるベンチに、がたいのいい男性が一人座っていた。 その男性がすっくと立ち上がって、鍵を差し出しながらこちらへと歩いてくる。 その鍵をよく見ると、私の部屋ナンバーの鍵。
ひゃー!もしかして、ロビーが閉まったあと、私をずっと待ってたのかしら? って、ロビーが閉まるなんて考えてもなかったんだものぉ〜。ずっと待っててくれてた警備員風の彼に申し訳ない。 「ひゃー!ごめんなさーい!」と謝りに謝りつつ、よかったぁ〜。

 ホテルまで送ってもらったKeiさんにはラテンスタイルでお礼してから、メールで連絡するとのことで別れた。 Keiさんとは数時間前に初めて会ったばかりなのに、ずっと前から友達みたいな感じでモンテベルデでの ひと時を過ごせて楽しかった。
後日「今エクアドルへ来ています」と我が家に絵葉書が届き、ホームステイ先のご家族と無事出会えたとのこと。 それと「にっぽんこどものじゃんぐる」の代表の方からは、Keiさんの紹介でとメールが届き、それ以降お付き合いをさせて頂いている。 これも何かのご縁かと・・・「にっぽんこどものじゃんぐる」を通して、森を守るために活動されている方々と 出会えるチャンスがもらえた気がする・・・。

 翌朝は早々と起きて、やっぱり半乾きのままの衣類を詰め込み荷物をまとめ、朝食を食べに行った。 8時にはサン・ホセへと帰るお迎えの車が来るので、荷物を持ってロビーで待っていた。
迎えに来たワゴンタイプの車にはすでに2〜3人の人が乗っていた。帰りは一人じゃなかったのね・・・。 それから、サンタ・エレーナや、その先のホテルなどに寄り、結局7〜8人ほどの乗客。 どうやら、モンテベルデへ来るときの運転手のおじさんが、よろしくと伝えておくと言った運転手の車ではなかったみたい。 (《モンテベルデ到着前編》にて)

 帰りは、来るときとは違って、山を降りてからなぜか海沿いを走ってた。 これがニコヤ湾で向こうに見えるのがニコヤ半島?と思いつつ、違った景色を楽しんでた。
と、出店っぽい空き地に車は止まり、そこには他にも3〜4台の同様の車が止まっていた。 そこで皆、車から降ろされ、運転手が他の車へと案内する。ここで乗り換え? とりあえず、トイレを済ませ、何人かは出店で軽食を買ってた。それから プンタレナス(Puntarenas)方面から来たツアー客と合流して、サン・ホセへ。



 サン・ホセ 30日へつづく


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