ホテルへ戻り、フロントで鍵をもらうとき、女性スタッフに「ケツァール見たよ!」と言うと、「ほんと?」と驚いて 「すごいラッキー!あまり見れないのよ」と一緒に喜んでくれた。
”ラッキー(Lucky)”って言葉、日本語の”幸運”という言葉よりも定着してきて耳慣れた感じがしてるけど、 スペイン語の”スエルテ(Suerte)”は、中南米で耳にするたび嬉しさが増す気がするうえ、 敏感に反応してしまう言葉のひとつかな?

 いい気分で部屋に入ったものの、しばらくして「し・しまったぁ・・・」
というのも、昨日ホテルへ着いてすぐに衣類を洗って部屋に干していたんだけど、いつもならだいたい乾いているはずなのに ・・・全然乾いてなくて濡れたまんま。なんで?今日は天気いいのに・・・と、そうか!今さらながらに気づいてしまった。
ここは熱帯雲霧林地帯。ほとんど毎日のように(だいたい午後から)霧に包まれ、雨が降ったりするんでかなり湿度が高い。 早々乾くわけないじゃん。がっくし・・・早くに気づいていればよかったんだけど・・・。 とにかく明日出発までに少しは乾いてくれないと、水分含んでいる分、荷物が重くなるのはツライ。ちっとは乾いていることを期待して。

 気をとりなおして、お昼を食べに行かないと、1時にはスカイウォークへ出発しなくては。 ホテル傍にベジタリアン向けのレストランがあったので、軽く食べるくらいだからと入ってみる。 ナチュラルテイストっぽい店内は窓が大きくて明るくていい感じ。 やっぱりベジタリアンメニューに豆腐は欠かせないようでよく目にする。適当に頼んだけど、サラダメインだったような? 店の名前が何だったか覚えてない。

 1時前にホテルの向かい側にあるスカイウォーク事務所前へ行ってバスに乗り込む (《モンテベルデについて、ホテル&フィンカ・エコロヒカ編》にて)。 バスはサンタ・エレーナの街中を通り、サンタ・エレーナのスカイウォーク事務所前で停まり、そこでまた数名乗せる。
初めてサンタ・エレーナの街中を通ったんだけど、スーパーやレストランなどもあり、私にとって 散策にほどよい田舎町って感じだった。今度モンテベルデに来るようなことがあれば、サンタ・エレーナの小さなホテルに 泊まるとよさそう。
サンタ・エレーナを過ぎ、ガタガタと道路を上っていくと、左手に学校があり、さらに行くとサッカー場があって子供たちで賑わっていた。 さらにしばらく進むと上の方に建物と鉄塔みたいなものが見えて来た。サンタ・エレーナからだいたい15分ぐらいかかったかな?

 スカイウォーク(Sky Walk)HP;スペイン語/英語)は、 雲霧林の中の2.5kmあるトレイル中に6本のつり橋があり、 樹上から森の中の生態を簡単かつ安全な方法で観察できるようにと出来たもの。 樹上から・・・ってことは、つり橋は高いところで50m近くあって、高所恐怖症にはオススメではないんだけど・・・ ただ、足下に森が広がっているので、高さをそんなに感じないかも?まぁ、最初のつり橋さえクリアすればの話しだけど。

 バスを下りて建物の中へ入り、カウンターで受付をする。 カウンターの女性から「こんにちは。元気?」ってな感じで声かけられたので、ふつうに「元気」と答ようとして、 ふっと頭をよぎって出た言葉は「Pura Vida!」。彼女はやたらと喜んでくれたなぁ。
料金はすでに払っていたのでチケットを渡すと、トレイルの地図をもらい、スカイウォークはあっちからどうぞと言われた。 ってゆーか、バスで一緒に来た面々でスカイウォークは私一人。 他の人たちは人気上昇中のスカイトレックだったようで。

 バスで一緒だった若い男性が「スカイトレック行かないの?」って声かけてくれたけど、 スカイウォークでさえ覚悟して来てるのにスカイトレックなんてとんでもない!
スカイトレック(Sky Trek)HP;スペイン語/英語) て、キャノピーツアーのこと。 2.3kmあるトレイル中にキャノピー(1本のケーブルにぶら下がって身一つで滑り降りていく、さながら一人ジェットコースターって感じ?) で森から森へと移動する高所恐怖症にはそら恐ろしいツアー。11個のケーブルがあり、ケーブルの長さが40m〜770m、高さが 20m〜160mととんでもない。
滑り降りている間、パノラマの景色が眼下に広がり・・・って、見てる余裕あるのか知らないけど? おまけに樹上の観察もする余裕なんてないと思うんだけど?自然の中のスリル満点アトラクションってとこで、 いかにも欧米人が好みそうで人気があるのはわからんでもない。
もともと研究者が移動用にとキャノピーを活用していたらしいけど、高所恐怖症の研究者っていなかったのかしらん?

 スカイトレック陣がヘルメットをかぶり、足腰にベルトを装着して、ガイドから説明を受けているところを横目に スカイウォークと書かれた案内版に沿って行き、扉を開けて・・・と、そこで見えた光景に目が点。うっそ!
階段の踊り場みたいな空間から、らせん状に空へと昇っていく階段。すっごい上の方に橋らしきものが見える・・・。 ここを上るの?あの橋を渡るの?でも来てしまったからには後戻り出来ないしぃ・・・下を見ないようにゆっくりと階段を上る。
階段を上りきったところで、うーん、遠くの景色がいい感じ。と目の前に続くつり橋。視線は正面を見据えたまま。 だけど、わかる。歩くところって網目で下が見えるようになっている。とにかくこの橋を渡らないことには先に進めない。 足がすくんで、胸がキュンとなって、それでも覚悟を決めてスタスタと歩いて行った。
つり橋No.1 つり橋No.2 つり橋No.3 つり橋No.4
つり橋No.1;長さ30m、高さ15m。高さとしては一番低いのだけど、 らせん階段を上りきって橋を歩く瞬間、一番足がすくんで恐怖におののいたつり橋。 このときまだ下に森がないんで高さが身に沁みる。 つり橋No.2;長さ70m、高さ21m。No.1からちょっとトレイルを歩いたところにある。 樹上と言うより、森の中腹って感じで同じ目線で木々を観察できる感じ。 No.1より木々が近いので高さをあまり感じず、ホッ。 つり橋No.3;長さ120m、高さ42m。 No.2から約500m行ったところにある。
それぞれのつり橋の入口には 「つり橋の上を一度に渡れるのは10人まで」との表示がされている。
つり橋No.4;長さ104m、高さ17m。 No.3から約800m行ったところにある。ここも同じ目線で木々の観察ができる。
トレイルは上ったり下りたり変化に富んで面白い。

 上記「つり橋の上を一度に渡れるのは10人まで」となっているように、ハイシーズンはスカイウォークへの入場規制があり50人まで。 その上10人ずつに分かれての行動になり、つり橋渡るときは待たされるそう。 相反してオフシーズンってこんなもの。私一人、てくてく歩いていた。全行程でさえ会ったのは4〜5人程度。
ただ、ここでもまた会ってしまった陽気なアメリカ人おじさまおばさま4人組のうちの2人。 つり橋No.3に来たとき、橋手前のベンチに座っていた。 昨日といい、今朝のモンテベルデ自然保護区でといい、 結局行くところは一緒なのかな?あと2人はというとチーズ工場へ行ったそう。 彼女たちとは英語のみの会話になるゆえ、ちょっと苦痛。一緒に行動というのは避けたいところなので、 先に行くからと追い越して行った。
遠くに見えるもの つり橋からの樹上の眺め 足元
No.4から見えた景色。No.1の橋の鉄塔なのか?キャノピーの鉄塔なのかわからないけど、 遠くそびえているのがわかる。てゆーか、またあそこまで歩いて行かねば。 つり橋から見える樹上の様子。運よければ、樹上にいるナマケモノにも遭遇できるらしいけど。 もっともっと運がよければ、ケツァールにも出会える? つり橋からの眺めに慣れてきたころで、足元を撮ってみた。これで見る限り、そんなに高さを感じないでしょ? それでもやっぱり真下を見るには勇気がいるかな?

つり橋No.5 つり橋No.6
つり橋No.5;長さ112m、高さ36m。 No.4からちょっと歩いたところにある。
雨が降り出し、撥水加工のパーカーだけでは雨を凌げなくなってきたので、傘を差して歩いていた。
つり橋No.6;長さ200m、高さ46m。 ここもNo.5からちょっと歩いたところにある。 一番長くて高い橋なんだけど、この頃はもうほとんど恐怖感はなくなってた。 ただ雨でゆっくり観察できなかったかな?
霧に包まれる
スカイウォークのトレイルは、ハチドリが飛び交う中(飲み場があちこちにあるため)、建物前の広場に出て終了。 雨も小雨になってきたと思ったら、昨日のフィンカ・エコロヒカでも体験したように、 下から煙にまかれるようなすごい勢いで霧が上がってきて、あっと言う間にすべてが霧に包まれた。 日本でいう、”もや〜っと霧に包まれる”感覚ではないのは確か。

かわいらしいキノコたち 色鮮やかな蘭  ガイドなしだったので、森の様子とか着生植物についてとか詳しくわからなかったけど、雲霧林独特の森はしっかりと味わえる。
左写真はトレイル中に目にした、 なんかかわいらしいと思って撮ったキノコと、色鮮やかな小さな蘭。動物はいくつかの鳥を見かけただけだった。 スカイトレック

 広場をうろうろしていると、叫び声とともにシャーって音が定期的に聞こえてくる。 ふと見上げると、スカイトレックの面々が一人ずつ空中を横切っていく。ひぇっ!た・たかい!(右写真)
トレイルをちょっと歩いて、森から森の移動のたびに鉄塔へ登り、滑車を装着してキャノピーで降りて次のトレイルへと向かう。 約2時間半ほどの行程。 鉄塔からの眺めは展望台みたいでいいかもしれないけど、やっぱ高所恐怖症(私は軽い方だと思うけど?)としては遠慮しときたいよね?

 建物の中へ入り、4時のバスお迎えまで2階にあるカフェテリアでお茶したり、売店で時間つぶしたりしてた。 売店ではたくさんの絵葉書があり、ナマケモノ、ケツァール、モルフォ蝶など気に入った写真のものを買うことにした。
売店カウンターへ持っていくと、スタッフのお姉さんが「切手いる?」って聞いてきた。切手?・・・ コスタ・リカの切手を買うのもいいかも?と日本までのハガキ2枚分の切手も買うことにした。送るかどうかは別として・・・ だって、今送ったとしても、ハガキが着く前に私が日本へ帰ってるんだもの。

 建物内をうろうろしている途中、スカイトレックから帰って来た面々と会い、 最初に「スカイトレックへ行かないの?」と声かけてきた若い男性が、 「スカイウォークはどうだった?」って聞いてきた。スカイトレックではキャノピーは面白かったそうだけど、やっぱり 観察どころではなかったそうで・・・「まぁ、よかったよ」って答えたら、時間まで逆方向からちょっとトレイルを歩いてみようと 出て行った。

 4時過ぎて、バスのお迎えが来たけど、来るときより超満員状態。すごく道が悪くて縦揺れ横揺れしているのに 立っている人もいるぐらい。 なんで?と思ったら、仕事終えたスタッフの人たちも一緒に乗って帰るみたいで、ワイワイと賑やか。
スカイトレックに参加した面々と、行動を共にしたスタッフたちがキャノピーのことで盛り上がっていたけど、 さすがにこの会話についていけなかった・・・。


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