家のあやめ
 またお目にかかれてうれしいわ。にゃんちワールドには個性的な子がたくさんいるでしょ。
またそれぞれのお部屋でゆっくり話を聞いてあげてね。

 ねえー、ここの住人の名前、「シロ」とか「アカ」とか、みな安易だと思わない。わたしの名前も「にゃんち」なんてちょっとねえー。もう少し考えてくれてもよかったと思うわ。

 わたしの名前が決まったときの話を聞いて! ある日突然、よっちゃんがわたしのことを、「百恵」とか「淳子」とか「昌子」とか呼ぶのよ。わたし何かと思って、呼ばれるたんびに駆け寄っていったの。そしたら「何て呼んでも来るんじゃ決められないじゃないの!どれがいいの?」って言われちゃったのよ。わたしに名前を選ばせようとしたらしいのよ。わかるこの名前、このころのアイドルの名前なんですって。
 それならそうと言ってくれれば私も考えて行動したのに。とうとう決められなくて最初に呼ばれた「にゃん子ちゃん」から、そのときはやっていたモンチッチをくっつけて「にゃんち」になったのよ。他の子も「トラちゃん」とか「クロちゃん」とか、見た目そのままの名前が多いいの。でもわたしは結構かわいい名前ねって言ってくれる人もいるからまあまあかな。

 わたしの日課は朝4時半に起きて、ひとまわりお散歩をして(台所の窓をから出入り)帰ったらヤスヤンの顔をペロペロして起こすのよ。時間は決まって7時。2人がお仕事に行ってる間はお外でお留守番なの。でも寂しくなかったわ。わたしとてももてたのよ。
 柴又の河川敷にはたくさんのお友達がいて、アパートの塀の上をゆうゆうと、たくさんのボーイフレンドを従えて歩いていたのを、よっちゃんが窓から見てたんだって。2日帰らないで遊んでいたら怒られチャたわ。、昼間よっちゃんやヤスヤンが お仕事でいないときはそこでお昼寝したりお友達と遊んだりして、夕方ドアのガチャとあく音がすると急いでドアの前に座るのよ。よっちゃんなんかいつもびっくりしてたわ。今までいなかったのにドアの開く音とともにお座りしてるって。
 夜はお部屋のベットで一緒に寝て、そうそうお風呂屋さんに行くのもついて行って、途中の小さな畑で遊びながら待っていて、一緒に帰ったのよ。ヤスヤン達が車でお出かけした時も、ヤスヤンの車の音がしたらすぐに駐車場にいってお出迎えをしたわ。

 ここのお部屋の窓からは夏柴又の花火がよく見えたの。ヤスヤンのお友達もおおぜいビール片手に花火見物に来てたわ。東京とは思えないくらいのどかで良い所だったわ。でもある日アパートの大家さんが来て、よっちゃんに大変なことを言ったの。このお話はまた次回ね。    
おかおも洗わなくちゃ
身だしなみには気をつかうわ
わたし専用のタオルケット
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